エヌアイデイ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、エヌアイデイの有価証券報告書(第59期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エヌアイデイってどんな会社?
同社は、システム開発やITインフラ構築などのシステムマネジメント事業を主力として展開する独立系SIerです。
■(1) 会社概要
1967年に千葉県にて京葉計算センターとして設立し、情報サービス事業を開始しました。1972年に日本情報開発へ、1994年に現在のエヌアイデイへ商号を変更しています。2003年のJASDAQ市場上場を経て、2022年にはテニックを子会社化するなど、継続的な事業拡大を図っています。
同社グループは、連結で1,683名、単体で1,088名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業家出身で代表取締役社長の小森俊太郎氏で、第2位も同社創業者の小森孝一氏となっています。また、従業員持株会も上位株主に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小森俊太郎 | 19.58% |
| 小森孝一 | 10.79% |
| エヌアイデイ従業員持株会 | 8.74% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性0名の計13名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小森俊太郎氏が務めており、取締役の社外取締役比率は10.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小森俊太郎 | 代表取締役社長 | 1997年同社監査役。2000年取締役財務担当、2003年NID東北代表取締役を経て、2015年より現職。 |
| 小森孝一 | 取締役会長 | 1952年三隆入社。1959年福半商店代表取締役、1967年同社設立代表取締役社長。2019年より現職。 |
| 盛満敏昭 | 専務取締役DX事業本部長 | 1979年同社入社。ネットワークソリューション事業部長などを経て、2019年DX事業本部長。2025年より現職。 |
| 酒井真一 | 常務取締役DX事業本部副本部長兼インシュアランスデジタルデザイン事業部長 | 1986年2B・ボンバーズ・スタジアム入社。1988年同社入社。デジタルビジネスデザイン事業部長等を経て、2025年より現職。 |
| 石井廣 | 取締役CX事業本部長 | 1981年高見澤電機製作所入社。1987年NID・MI入社。同社代表取締役等を経て、2024年より現職。 |
| 小菅宏 | 取締役コーポレートデザイン本部長 | 1980年NTTデータMSE入社。2011年同社入社。ICTイノベーション事業部長などを経て、2024年より現職。 |
| 鷲尾幸一 | 取締役ソーシャルデザイン事業部長 | 1983年同社入社。NID・MI事業部部長等を経て、2021年ソーシャルデザイン事業部長。2025年より現職。 |
| 門倉利幸 | 取締役ITコミュニケーションデザイン事業部長 | 1986年同社入社。ICTイノベーション事業部副事業部長などを経て、2022年より現職。 |
| 奥屋善久 | 取締役ICTデザイン事業部長 | 1987年同社入社。ネットワークソリューション事業部副事業部長などを経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、石井慎一(石井法律事務所開設)です。
2. 事業内容
同社グループは、「システム開発事業」「システムマネジメント事業」および「その他」事業を展開しています。
■システム開発事業
金融、情報・通信、公共・社会インフラ等の分野の顧客を対象に、組込みソフトウエア、通信ソフトウェア、金融ビジネスソフトウエアの設計・開発などを幅広く提供しています。
顧客からのシステム開発に関する請負契約や準委任契約などに基づき、対価を受け取ります。事業の運営は、エヌアイデイのほか、子会社のNID・MI、NID東北、テニックが担っています。
■システムマネジメント事業
運輸・通信、金融・保険、官公庁・団体等の分野の顧客を対象に、各種サーバー等のネットワークに関するシステム構築、インフラ構築、セキュリティーサービス、システム保守・運用などのサービス全般を提供しています。
専門的な技術者による支援を提供する準委任契約や派遣契約に基づき、提供した稼働実績等に応じて顧客から料金を受け取ります。本事業の運営はエヌアイデイが単独で行っています。
■その他
データエントリーサービス等を提供するデータソリューション事業、スマートデバイス向けアプリケーションやパッケージを含めたプロダクト製品開発を提供するプロダクト事業、並びに人材派遣事業を展開しています。
各サービスの提供やプロダクトの販売、人材の派遣などを通じて顧客から収益を獲得します。事業の運営はエヌアイデイに加え、子会社のNID・MI、NID airが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の売上高は安定して成長を続けており、毎期着実な増収を達成しています。利益面においても同様に右肩上がりのトレンドを描いており、安定した高い利益率を維持しながら順調な事業拡大を実現しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 183億円 | 204億円 | 226億円 | 250億円 | 264億円 |
| 経常利益 | 25億円 | 27億円 | 31億円 | 34億円 | 36億円 |
| 利益率(%) | 13.5% | 13.4% | 13.9% | 13.6% | 13.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 16億円 | 15億円 | 17億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
直近の業績では、売上高の成長に伴い売上総利益も順調に増加しており、売上総利益率は23.8%へと改善しています。営業利益率も12.8%へと上昇し、収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 250億円 | 264億円 |
| 売上総利益 | 57億円 | 63億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.8% | 23.8% |
| 営業利益 | 31億円 | 34億円 |
| 営業利益率(%) | 12.3% | 12.8% |
販売費及び一般管理費(合計29億円)のうち、給料手当が6.9億円(構成比24%)、役員報酬が4.0億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全てのセグメントにおいて着実な売上の増加が見られます。主力であるシステム開発事業が業績全体を大きく牽引しており、システムマネジメント事業も堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| システム開発事業 | 173億円 | 185億円 |
| システムマネジメント事業 | 58億円 | 61億円 |
| その他 | 19億円 | 19億円 |
| 連結(合計) | 250億円 | 264億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだ資金を元に設備投資や借入金の返済、株主還元を行っている健全な状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 28億円 | 25億円 |
| 投資CF | -5億円 | -4億円 |
| 財務CF | -3億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.9%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も79.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは企業理念として、「<ヒューマンウェア>人が真ん中のしあわせな社会を知恵と技術で拓いていきます。」を掲げています。ITを駆使して人と情報技術が融合したより良い社会の形成を具現化していくことを使命とし、顧客の価値実現に貢献するために常に一歩先を見通した付加価値を提供することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は「ヒューマンウェア」の理念に基づき、「社員の多様性や個性を尊重し、安心して働ける職場環境を整備し、コミュニケーションを重視した活き活きした組織をつくります。」を行動基準として定めています。多様な人材の採用や育成を推進し、社員が健康に長く活躍できる環境の構築に取り組む文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な成長を続けることで企業価値を高めることを経営目標としています。「売上高」「営業利益」「営業利益率」を重要な経営指標と位置づけ、新しい収益源を開拓しながら事業規模の拡大を目指しています。
・営業利益率:10%以上を継続して維持
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業領域における競争優位性をさらに高めつつ、DX化などの領域において信頼されるパートナーとしての地位を確立、強化することを成長戦略の柱としています。自社の強みを活かし、他社との差別化を図るためにより付加価値の高いシステム開発やITソリューションの提供を推進しています。また、将来的な収益の源泉となる新たな事業の探索も進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
会社の成長と社員の成長が相互に作用する好循環モデルの確立を目指し、「公平・公正な評価と処遇」「ワーク・ライフ・バランスの推進」「人材育成の重視」に取り組んでいます。OJTや社内外研修による技術力の向上と先進技術の共有、階層別の体系的なキャリア開発プラン等を通じて、優秀な人材の確保と育成を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.8歳 | 14.2年 | 5,931,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含めております。なお、通勤補助は含まれておりません。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.5% |
| 男性育児休業取得率 | 89.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 79.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 44.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、パフォーマンスとキャリアの定期的レビューを受けている従業員割合(84.3%)、技術社員の研修参加率(73.2%)、離職率(5.5%)、新卒採用における女性採用比率(27.0%)、健康診断受診率(96.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不採算プロジェクト発生のリスク
システム開発におけるプロジェクト組成時の見積りが甘く、受注額が過少となったり、進行中の突発的な事故等でプロジェクトの効率が阻害されたりする場合、原価が受注額を上回る不採算プロジェクトが発生するリスクがあります。また、品質が低下し顧客よりクレームを受けるリスクも存在します。
■(2) 外部要因による受注減のリスク
同社グループの受注先は製造業や運輸、金融などの大手企業や官公庁が大多数を占めています。為替レートの変動、景気の悪化、政治動向や自然災害等の外部要因により顧客の業績が影響を受け、システム開発投資に慎重になった場合、受注額が減少する可能性があります。
■(3) サービス価格(単価)の引き下げのリスク
受注先の業績悪化が単価引き下げの圧力となる場合や、ハードウエアベンダーのソフトサービス事業へのシフトにより過当競争が生じるリスクがあります。また、安価な海外へのシステム開発発注の増加傾向による価格競争の激化も懸念されます。
■(4) 人材の確保や育成に関するリスク
将来の成長と成功は有能なエンジニアやキーパーソンに依存するため、人材の確保と育成は重要課題です。最新技術経験を持つエンジニアの採用コストや人件費の高騰、従業員の継続的な教育・研修コストの増加などが、同社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。



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