明豊ファシリティワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

明豊ファシリティワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

明豊ファシリティワークスは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、オフィスや各種施設のCM(コンストラクション・マネジメント)手法を用いた発注者支援事業を展開しています。直近の業績トレンドでは、民間や公共分野におけるCM業務の順調な受注拡大等により、売上高・各利益ともに過去最高を記録する増収増益を達成しました。


※本記事は、明豊ファシリティワークス株式会社の有価証券報告書(第46期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 明豊ファシリティワークスってどんな会社?


オフィスづくりや各種施設の建設に関わるCM手法を用いた発注者支援事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1980年9月に明豊産業として設立し、1983年にオフィス内装工事を開始しました。1990年に明豊へと社名変更し、1994年よりアットリスクCM方式による設計・プロジェクトマネジメントサービスを開始しました。2001年に現在の明豊ファシリティワークスへ社名変更し、2004年に株式を上場しました。

同社の従業員数は単体で208名です。筆頭株主はサカタホールディングスで、第2位は資産管理業務等を行う日本カストディ銀行(信託E口)、第3位は明豊従業員持株会です。

氏名 持株比率
サカタホールディングス 11.75%
日本カストディ銀行(信託E口) 3.44%
明豊従業員持株会 3.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は大貫美氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
坂田明 代表取締役会長 1965年栗田工業入社。1980年明豊産業(現明豊ファシリティワークス)設立、代表取締役社長就任。2009年代表取締役社長兼会長などを経て、2017年より現職。
大貫美 代表取締役社長 1990年スパチオ研究所入社。1997年同社入社。マーケティング部長、常務取締役オフィス事業部長等を経て、2017年代表取締役社長に就任し、2021年より現職。
大島和男 専務取締役経営企画本部長 1997年カルチュア・コンビニエンス・クラブ入社。2000年同社入社。経営企画部長、取締役経営企画本部長、常務取締役などを経て、2023年より現職。
村上富士男 取締役 1990年竹中工務店入社。2012年同社入社。技師長兼執行役員、技師長兼生産技術部長等を経て、2021年より現職。
家﨑武司 取締役 2007年シンプレクス不動産投資顧問入社。2011年同社入社。建築技術部部長、執行役員技術本部長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、志賀徹也(元日本オラクル副社長執行役員)、小須田明子(元DHR International Inc.上級ヴァイス・プレジデント)、土屋純(元日本エマソン代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「オフィス事業」「CM事業」「CREM事業」「DX支援事業」を展開しています。

オフィス事業


オフィスの移転・新設・改修のプロジェクトマネジメントから、ICT・データセンターの構築、働き方改革や維持費削減まで、オフィスづくりと運用に関するあらゆる業務をサポートしています。
主な収益源は、顧客と締結するCM業務委託契約に基づく固定のマネジメントフィーです。サービスの運営は明豊ファシリティワークスが主体となって行っています。

CM事業


公共庁舎や教育・医療・商業施設など各種施設の建設・運用に関する業務を、CM手法を用いて基本計画の作成から設計・施工マネジメントまで一貫して支援し、プロセスを可視化しています。
本事業の収益源は、提供するマネジメントフィーであり、コストや品質などが顧客の期待を超えた場合にはインセンティブとしてボーナスが支払われることもあります。運営は同社が行っています。

CREM事業


発注者が自社保有資産の最適化を行うコーポレート・リアルエステート・マネジメントについて、保有資産の管理・運用業務や多拠点施設の同時統廃合業務等を支援しています。中長期修繕計画の策定支援等も行います。
収益源は、発注者への最適化業務の支援等に対するマネジメントフィーです。運営は同社が行っており、独自システムによる情報の一元管理などを活用してサービスを提供しています。

DX支援事業


社員のアクティビティ可視化による働き方改革やプロジェクトマネジメント情報の可視化システム、多拠点の発注プロセスのシステム化等、顧客側で行うDXを同社のノウハウを活用して支援しています。
主な収益源は、自社開発システム等の提供やDX支援に対するマネジメントフィーです。運営は同社が行っており、長年蓄積された実践的なノウハウをもとにサービスを提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が順調に拡大を続けており、それに伴い各利益も安定した成長を示しています。利益率も20%から21%台の高い水準で推移しており、堅調な収益性を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 43億円 48億円 53億円 57億円 61億円
経常利益 9億円 10億円 11億円 12億円 13億円
利益率(%) 20.3% 20.2% 20.3% 21.5% 20.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 7億円 8億円 9億円 9億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益と営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率および営業利益率ともに高い水準を保っており、安定した利益創出力を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 57億円 61億円
売上総利益 31億円 33億円
売上総利益率(%) 54.4% 54.1%
営業利益 12億円 13億円
営業利益率(%) 21.5% 20.8%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が7億円(構成比32%)、賞与引当金繰入額が3億円(同16%)を占めています。また、売上原価のうち、労務費が21億円(構成比76%)、経費等が6億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


オフィス事業やCREM事業、DX支援事業が堅調に売上と利益を伸ばし、特にオフィス事業の利益は大幅に増加しました。一方、CM事業は売上・利益ともに微減となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
オフィス事業 11億円 16億円 1億円 3億円 20.4%
CM事業 33億円 31億円 8億円 7億円 21.6%
CREM事業 9億円 10億円 2億円 2億円 21.6%
DX支援事業 4億円 5億円 0.7億円 0.7億円 14.4%
連結(合計) 57億円 61億円 12億円 13億円 20.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期は営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済等を行い、投資も手元資金で賄う健全型のパターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -2億円 15億円
投資CF -2億円 -2億円
財務CF -5億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.1%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.0%となり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「フェアネス」「透明性」「顧客側に立つプロ」を企業理念に掲げています。高い専門性とともに、全てのプロセスとコストを常時オープンにするCM手法で、建設プロジェクトやオフィスづくりに取り組む顧客に価値と安心を提供し、信用を基盤とした持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「明朗経営」の下、各プロジェクトのプロセスや成果等に関する情報を可視化し、自ら「隠し事」ができない仕組みを構築しています。企業理念を企業風土として定着させ、社員一人ひとりが顧客側に立つプロとして成長と達成感を実感しながら、全社員が一丸となって行動する文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


同社は、株主への安定的かつ継続的な利益還元を重視し、2026年度から2027年度の1株当たり年間配当金の下限を44円以上とし、配当性向55%程度を目安とする利益配当を基本方針に掲げています。また、将来の事業発展と経営体質強化に必要な内部留保を確保することも目標としています。

* 1株当たり年間配当金の下限を44円以上に設定
* 配当性向55%程度を目安とする

(4) 成長戦略と重点施策


今後の社会変化への対応として、施設のライフサイクル全般への支援や脱炭素化支援、DXと一体となったサービス推進などによりCMサービスの価値向上を図ります。また、人材育成や働き方改革などの「内なる施策」を充実させ、組織力向上と発注者支援事業の価値向上を追求する戦略を掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、CMの価値向上と更なる進化に向け、人材育成や働き方改革等の人的資本経営を推進しています。企業理念への共感と人間性を重視した採用を行い、個別に最適化したOJTやナレッジの共有を通じてプロフェッショナルを育成します。性別や国籍を問わず多様な能力を活かせるデジタルな働き方を推奨しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 46.5歳 10.6年 12,177,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.3%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


※男女の賃金の差異については、女性活躍推進法の公表項目として選択しなかったため、有報には記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の割合(26.8%)、育休からの復職割合(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設プロジェクトの環境変化と競合


経済環境や企業の設備投資意欲の変化、既存建設業者との競合状況、CM手法に対する建設マーケットでの評価などが、同社の業績に影響を与える可能性があります。

(2) 固定フィー契約における採算性の変動


顧客との間で固定フィーを事前に取り決める契約形態において、マンアワーの見積りが不適当であった場合や、プロジェクトに従事する社員の労働生産性が低下した場合、収益性に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報共有システムの障害と業務効率低下


顧客との情報共有やDX支援に活用している自社システムの開発や運用において、不具合が生じた場合、業務効率が低下しコストアップを招くなど、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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