サンマルクホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンマルクホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンマルクホールディングスは、東京証券取引所プライム市場に上場する外食企業です。「サンマルクカフェ」や「鎌倉パスタ」など、多業態のレストランや喫茶を全国展開しています。直近の業績は、M&Aの効果や既存店の競争力強化策が奏功し、売上高および経常利益ともに前期を上回る増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社サンマルクホールディングス の有価証券報告書(第35期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サンマルクホールディングスってどんな会社?


多業態のレストランや喫茶事業を展開する外食企業グループです。

(1) 会社概要


1989年に設立し、洋食レストラン「ベーカリーレストラン・サンマルク」を開店しました。1999年に「サンマルクカフェ」1号店を出店し、その後も「生麺専門鎌倉パスタ」など多業態を展開しています。2006年の持株会社化を経て、近年は牛カツ事業等のM&Aを通じ成長基盤の強化を図っています。

従業員数は連結で1,229名、単体で355名です。筆頭株主は片山智恵美氏で、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位はクレオです。

氏名 持株比率
片山 智恵美 19.71%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.07%
クレオ 4.81%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性3名の計14名で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表取締役社長は藤川祐樹氏が務めており、取締役14名のうち5名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
藤川 祐樹 代表取締役社長 三菱UFJモルガン・スタンレー証券等を経て、2019年同社入社。経営企画室長等を歴任し、2022年1月より現職。
難波 篤 取締役人材開発、リスク・コンプライアンス担当 監査法人トーマツを経て、2012年同社入社。管理本部長や代表取締役社長等を歴任し、2022年1月より現職。
飯田 隆文 取締役商品本部長 サイタ工業等を経て、2009年同社入社。商品第2部長などを経て、2020年6月より現職。
一杉 博文 取締役店舗開発本部長 スペースを経て、2015年同社入社。店舗開発本部設計担当部長等を経て、2020年6月より現職。
下司 貴永 取締役情報システム本部長 日本エクスラン工業等を経て、2011年同社入社。情報システム部長等を経て、2020年6月より現職。
岡村 淳弘 取締役管理本部長 あずさ監査法人を経て、2013年同社入社。財務・IR担当や管理本部副本部長等を経て、2020年6月より現職。


社外取締役は、中川雅文(中川公認会計士事務所代表)、渡辺勝志(渡辺勝志法律事務所所長)、北川真也(ファジアーノ岡山スポーツクラブ代表取締役会長)、原繭子(原公認会計士事務所代表)、王玲(MBSイノベーションドライブ入社)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レストラン」事業および「喫茶」事業を展開しています。

レストラン事業


「ベーカリーレストラン・サンマルク」「生麺専門鎌倉パスタ」「神戸元町ドリア」「牛カツ京都勝牛」などの複数ブランドを通じ、一般顧客向けに飲食サービスを提供しています。

店舗における飲食代金が主な収益源です。運営は主にサンマルクホールディングス、鎌倉パスタ、サンマルクグリル、京都勝牛、牛かつもと村などの各社が行っています。

喫茶事業


「サンマルクカフェ」「倉式珈琲店」「マドラグ」などのブランドで、コーヒーやパンなどの飲食サービスを一般顧客向けに提供しています。

店舗での飲食代金のほか、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入や食材等の販売が収益源です。運営は主にサンマルクホールディングス、サンマルクカフェ、La Madragueが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が継続的に拡大しています。経常利益も成長基調にあり、特に直近の当期はM&Aによる新規ブランド獲得や既存店の競争力強化が寄与し、大幅な増収増益を達成しました。利益率も改善傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 477億円 578億円 646億円 709億円 884億円
経常利益 25億円 16億円 28億円 38億円 51億円
利益率(%) 5.2% 2.8% 4.3% 5.4% 5.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -21億円 26億円 6億円 21億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに順調に拡大しています。原価率の上昇が見られますが、増収効果により営業利益率は改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 709億円 884億円
売上総利益 532億円 647億円
売上総利益率(%) 75.0% 73.2%
営業利益 36億円 51億円
営業利益率(%) 5.1% 5.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が255億円(構成比43%)、賃借料が108億円(同18%)、減価償却費が47億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のレストラン事業は、M&Aによる牛カツ定食業態の追加や既存店舗の改装効果により大幅な増収となりました。喫茶事業も、期間限定商品の開発や価格戦略の見直しにより堅調に売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
レストラン 441億円 600億円
喫茶 268億円 285億円
連結(合計) 709億円 884億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、投資も手元資金で賄いつつ借入の返済を進める健全な状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 58億円 86億円
投資CF -227億円 -32億円
財務CF 146億円 -48億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.7%でプライム市場の非製造業平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「We create the prime time for you.」(私たちはお客様にとって最高のひとときを創造します)を経営理念に掲げています。「食」を通じて顧客満足向上策を提案し、人々のより豊かな心と生活の形成に貢献すべく、レストラン等飲食店業態の3要素(味・雰囲気・サービス)の品質を高めることをめざしています。

(2) 企業文化


既に業界内において成熟したマーケット(業態)に着目し、独自の付加価値を積み重ねることを基本としています。他社他店にはない品質・サービスを生み出すことによってオンリーワン企業をめざし、存在意義の追求を長期的なテーマとしています。また、専門的な知見を持つメンバーが積極的に発言し、深く議論する文化も育まれています。

(3) 経営計画・目標


2025年に更新した中期経営計画において、安定した経営成績の基盤を確立しつつ、経営成績の拡充を図るとともに企業価値の増大に努めるための連結財務目標を掲げています。

* 売上高1,000億円(2029年3月期)
* 営業利益90億円(2029年3月期)

(4) 成長戦略と重点施策


売上拡大に加え、収益性を重視した経営へのシフトを一層強化します。既存事業では商品構成と価格設計の見直しによる客単価・粗利の改善を図り、投資効率を重視した厳選出店を進めます。また、牛カツ定食業態の国内外での展開、調達先の多様化による原価コントロール、グループ統合アプリの活用による顧客基盤強化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な人材がモチベーション高く働き、個性を活かして活躍できる環境整備を通じて組織の活性化を目指しています。新入社員に対する入社時および半年後のキャリアカウンセリングや、資格取得支援制度などを通じて自律的なキャリア形成を支援しています。また、エンゲージメントサーベイを活用し、生産性を発揮できる環境を整えています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.5歳 7.5年 5,599,713円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男性育児休業取得率 14.3%
男女賃金差異(全労働者) 72.0%
男女賃金差異(正規雇用) 71.2%
男女賃金差異(パート・有期) 99.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新業態の開発・事業化に関するリスク


多業態飲食チェーンを展開する同社グループは、継続的な新業態の開発を重要な経営課題と位置づけています。将来に向けた新たな業態の開発や事業化が計画通りに進展しない場合、同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 主要食材の調達・価格変動に関するリスク


世界的な需給環境の変化、為替相場の変動、地政学的リスクの高まりなどにより、原材料価格や物流費が上昇する可能性があります。特に主要食材である牛肉や豚肉の調達に支障が生じた場合、メニュー変更や販売数量の調整等を余儀なくされ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の確保と育成に関するリスク


多店舗展開により多数のパート・アルバイト社員を雇用し、継続的な新規出店を行っているため、必要な人材の確保や育成が計画通りに進まない場合や、労働力不足が生じた場合、事業の遂行や店舗運営に支障をきたし、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。