※本記事は、クルーズ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
クルーズは純粋持株会社であり、単体従業員数は14名、グループ連結従業員数は856名です。
同社グループは、インフラやテクノロジーの進化、ユーザーニーズの変化に合わせて事業を創造するテックカンパニーとして、ITアウトソーシング、EC領域を中心に10以上のサービス・事業を展開しています。現在はIT人材業界のエンジニア不足を解決するシステムエンジニアリングサービス事業(SES事業)を中心としたITアウトソーシング事業をメイン事業としており、連結子会社20社、持分法適用関連会社2社で構成されています。
主な国内グループ会社は、CatalyST 1号投資事業有限責任組合(その他)、グラハム(ITアウトソーシング事業)、Ada(EC事業)などです。
直近では、EC事業においてSHOPLIST事業の株式譲渡が2025年2月28日に完了し、当期からはAda.事業のみとなっています。また、GameFi事業からは2025年6月2日に撤退し、今後はホテルコンバージョン事業を新たな成長の柱として推進していく方針です。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
クルーズは、人的資本を事業構造の中核と位置づけ、多様な人材が能力を発揮し、いきいきと活躍できる職場環境の整備に注力しています。同社グループは、変化の激しい市場環境において、失敗を恐れず果敢に挑戦する個の力を競争優位性の源泉と捉えています。給与や働き方においても、個人の挑戦を評価し、ライフステージに合わせた柔軟な制度を導入していることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は平均年齢が40.8歳、平均勤続年数が8.6年となっており、比較的落ち着いた年齢構成で、一定の定着傾向が見られます。なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,437,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.6年 |
| 平均年齢 | 40.8歳 |
| 単体従業員数 | 14人 |
| 連結従業員数 | 856人 |
| 単体のグループ内比率 | 1.6% |
なお、直近の主要子会社のデータは以下の通りです。
| 会社名 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| ケアスタッフィング株式会社 | 31.4歳 | 0.5年 | 5,013,000円 |
| フルウィル株式会社 | 35.6歳 | 2.0年 | 4,976,000円 |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「国土の真価を証明し、世界に誇る観光立国へ貢献する」というミッション・ビジョンを指針とし、中長期的な目標達成には、高い志と独自のクリエイティビティを持つ人材が不可欠であると考えています。失敗を恐れず果敢に事業へ挑戦し、圧倒的な当事者意識を持つ個の力の集積が、同社グループの競争優位性の源泉であると定義しています。
給与決定方針は、中長期ビジョンの実現に向け、社員がリスクを恐れず高い目標へ挑む動機付けを行うことを意図して設計されています。人事ポリシーである「果敢な挑戦への適切なインセンティブと、個のポテンシャルを最大限に活かす適材適所の配置」に基づき、個人の主体的なキャリア形成と組織力向上を連動させる賃金体系を構築しています。具体的には、重要プロジェクト制度(通称:ボスチャレ)を導入し、年齢や社歴に関わらず革新的な価値を生み出したチームや個人を正当に評価し、その成果や挑戦度合いをスピーディーに賞与や昇給へ反映する仕組みです。
社内環境整備においては、日本の国家課題を自分事として捉え、先進的な取り組みを推進しています。ライフステージに寄り添う育児・就業継続支援として、育児に対する直接的な経済的支援(ファミリーサポート制度)や、不妊治療・育児・親の介護時に失効有給を活用できるライフサポート休暇制度を導入しています。また、従業員が経営者と同じ意思決定権限を持ってプロジェクトを牽引できる重要プロジェクト制度により、圧倒的なオーナーシップを醸成する抜擢環境を提供しています。さらに、全社を挙げたAI活用の推進、居住地の制限を完全撤廃したフルリモートワーク制度、従業員の健康維持を支援する健康経営の推進にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
クルーズは純粋持株会社として、ITアウトソーシング事業とEC事業を主軸に多角的な事業を展開しています。インフラやテクノロジーの変化に対応し、新たなサービスを創造するテックカンパニーとして成長を続けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
クルーズグループは、ITアウトソーシング、EC領域を中心に10以上のサービス・事業を展開するテックカンパニーです。現在はIT人材業界におけるエンジニア人材不足の課題解決を主眼としたシステムエンジニアリングサービス事業(SES事業)を中心に、人材×IT領域を対象としたITアウトソーシング事業をメイン事業としています。また、今後は国家戦略である「観光立国」を支えるホテルコンバージョン事業を新たな成長の柱として強力に推進していく方針です。
ITアウトソーシング事業
子会社である496株式会社などが、システムエンジニアリングサービス事業(SES事業)を中心に、人材×IT領域で事業を展開しています。収益は、システムエンジニアリングサービス事業などから得ています。当連結会計年度の売上高は前期から大きく増加し、セグメント利益も大幅に増加しました。
EC事業
子会社であるAda株式会社が、主に『ZOZOTOWN』内でオリジナル商品と他社優良ブランドの商品を厳選したファッションセレクトショップを運営しています。収益は、これらの商品の販売から得ています。当連結会計年度は前期にSHOPLIST事業を譲渡したため売上高は減少しましたが、Ada.事業単体では売上高が増加し、セグメント利益も増加しています。
その他の事業セグメント
報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、当連結会計年度からGameFi事業がこの区分に含まれています。当連結会計年度の売上高は前期から大きく減少し、セグメント損失を計上しています。
主要な顧客として株式会社ZOZOへの売上高が当連結会計年度において37.3億円であり、EC事業に関連しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ITアウトソーシング事業 | 49.6億円 | 77.1億円 |
| EC事業 | 69.4億円 | 37.4億円 |
| その他の事業セグメント | 22.9億円 | 3.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
クルーズグループの過去5期の業績を見ると、売上高は変動があり、直近の当連結会計年度では減少しています。経常利益は過去に黒字を計上していましたが、直近2期は損失を計上しています。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に、直近2期は損失となっています。
当連結会計年度の営業利益は黒字転換を果たし、前連結会計年度の営業損失から大幅に改善しました。これは主にGameFi事業からの撤退とITアウトソーシング事業の成長によるものです。営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度において支出となっていますが、前連結会計年度と比較すると支出額は減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資不動産の取得による支出などにより、継続して支出が大きくなっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入などにより、収入となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 155億円 | 140億円 | 143億円 | 142億円 | 118億円 |
| 経常利益 | 12.9億円 | 6.3億円 | 12.3億円 | △8.4億円 | △1.7億円 |
| 経常利益率 | 8.4% | 4.5% | 8.6% | △5.9% | △1.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.1億円 | 2.5億円 | 10.1億円 | △5.3億円 | △4.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 27.91 | 22.92 | 91.15 | △53.74 | △49.18 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
クルーズグループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して減少しています。一方、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期の損失から当期は黒字に転換し、大幅に改善しました。
これは、事業構造の変化と主力事業の成長が生産性向上に寄与していることを示しています。従業員1人あたりの稼ぐ力の改善は、組織全体の効率化が進んでいる傾向にあることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 19.9百万円 | 13.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △1.4百万円 | 0.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
クルーズグループは、事業の成長に向けた投資を積極的に行っている段階にあります。財務基盤やキャッシュフローの状況から、同社グループの現在の経営状態を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
クルーズグループの財務基盤を見ると、純資産は前期から減少しています。自己資本比率は28.4%となっており、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較するとやや高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)は当期でマイナス5.2%を示しています。
手元資金である現金及び預金は前期の101億円から当期は65.7億円に減少しました。これらの状況は、同社グループが事業活動を継続していく上での資金状況を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 93.3億円 | 88.6億円 |
| 自己資本比率 | 31.1% | 28.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △5.2% |
| 現金及び預金 | 101億円 | 65.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
クルーズグループのキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは当期で△1.4億円の支出となりました。主な減少要因は賃貸収益や貸倒引当金の減少額などであり、前期の支出から改善しています。投資活動によるキャッシュフローは△76.3億円の支出となっており、投資不動産の取得や定期預金の預入による支出が主な要因です。
これはホテルコンバージョン事業への積極的な投資を示しています。その結果、フリーキャッシュフローは△77.7億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュフローは22.3億円の収入となっており、長期借入れによる収入が主な増加要因です。同社グループは成長に向けた投資を積極的に行い、その資金を外部からの調達で賄っている状況がうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △10.3億円 | △1.4億円 |
| 投資CF | △63.3億円 | △76.3億円 |
| 財務CF | 46.3億円 | 22.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △73.6億円 | △77.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループが展開するSES事業を含むIT人材業界では、技術の変化や顧客ニーズの転換に即応する柔軟な事業運営が求められています。市場の変化に対応できない場合、競争力の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、SES業界は多数の事業者が存在し、顧客獲得や案件受注をめぐる競争が激化しており、売上および利益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業は人的資本への依存度が高く、特にSES事業ではエンジニアの確保・育成が持続的成長の要となっています。人材市場の流動性が高まる中、他社との人材獲得競争が激化しており、必要な人員の確保や育成が進まない場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クルーズは、ITアウトソーシング事業を主軸に、常に時代とユーザーに合わせて変化し、事業拡大を目指す企業です。人的資本を重視し、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
クルーズは、売上高と営業利益の最大化を通じて、すべてのステークホルダーに大きな価値を還元することを経営の基本方針としています。常に時代とユーザーに合わせて変化し続け、事業の拡大を目指す姿勢です。
また、2026年5月からは「国土の真価を証明し、世界に誇る観光立国へ」をビジョンに掲げ、ホテルコンバージョン事業を開始しています。この事業を同社グループの新たな成長の柱として強力に推進していく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
クルーズは、人的資本を重視し、多様な人材が能力を発揮し活躍できる職場環境の整備を進めています。フレキシブルな勤務制度の導入やフラットな組織運営を通じて、組織横断的な連携とチャレンジを促進する企業風土です。
エンジニアのモチベーション維持と定着を事業成長の要と捉え、希望するスキルの獲得機会や高水準の報酬、リモートワークや残業抑制といった柔軟な働き方の提供を継続しています。業務プロセスのDX化も推進し、従業員の創造的活動に集中できる環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
クルーズが優先的に対処すべき課題として、エンジニア人材の採用力強化と採用手法の拡充を挙げています。従来の採用チャネルに加え、新たな採用手法の導入や広告運用の最適化、面接プロセスの継続的改善を通じて、採用活動の効率と質を高めていく方針です。
また、エンジニアに選ばれ続ける待遇と働き方の維持も重要なテーマです。希望するスキルの獲得機会や高水準の報酬、柔軟な働き方の提供を継続することが不可欠であると考えています。
さらに、SES事業における法令遵守と契約リスクへの対応、内部統制およびコーポレートガバナンス体制の充実にも取り組んでいます。コンプライアンス研修や契約審査体制の強化、独自チェック項目の運用を通じて、持続的な成長を支える基盤を強化しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クルーズは監査等委員会設置会社であり、社外取締役の選任を通じて業務執行に対する監督機能の強化を図っています。純粋持株会社として、グループ全体の経営統治機能の確立を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クルーズの株主構成を見ると、代表取締役社長である小渕宏二氏が筆頭株主となっています。その他にも個人株主が上位に名を連ねており、特定の個人が同社の経営に深く関与している資本構成であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小渕 宏二 | 33.39% |
| 清原 達郎 | 9.30% |
| 田澤 知志 | 7.83% |
| SBI証券 | 3.54% |
| 日本証券金融 | 2.70% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小渕宏二氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小渕 宏二 | 代表取締役社長 | 1995年4月 株式会社ホテル京急入社、1996年4月 シーエスアイ株式会社(現:SCSK Minoriソリューションズ株式会社)入社、2001年5月 同社設立 代表取締役社長より現職。 |
| 仲佐 義規 | 取締役副社長 | 2004年4月 同社入社、2010年5月 同社執行役員、2011年6月 同社取締役より現職。 |
| 稲垣 佑介 | 取締役副社長 | 2003年9月 株式会社ワールドコンパイラ設立 代表取締役社長、2011年7月 株式会社BANEX JAPAN 取締役副社長、2013年4月 同社入社 執行役員、2016年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、永井文隆氏(公認会計士・株式会社AURUM代表取締役社長・監査等委員)、立松進氏(株式会社U.P.n.P代表取締役・監査等委員)、川井崇司氏(株式会社すごい会議どすえ代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役3名全員が社外取締役で構成されています。これにより、業務執行から独立した立場で監督・監査機能の強化を図る体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
クルーズの役員報酬は、取締役(監査等委員及び社外を除く)については代表取締役社長が報酬案を作成し、社外の監査等委員で構成される報酬委員会で審議・承認される仕組みです。監査等委員である取締役の報酬は、監査等委員の協議により決定されます。個別の報酬額は、専門知識や役割、競合他社の水準などを総合的に考慮して決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.0億円 | 25.7百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 11百万円 | 3.6百万円 |
なお、総額には当事業年度中に退任した取締役1名の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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