アドバンテッジリスクマネジメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アドバンテッジリスクマネジメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のメンタルヘルスケア関連企業です。主力の「メンタリティマネジメント事業」では、ストレスチェックやエンゲージメント向上支援などを提供しています。第27期はM&A効果や主力サービスの好調により、売上高は前期比22.2%増、経常利益は38.8%増と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社アドバンテッジリスクマネジメント の有価証券報告書(第27期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アドバンテッジリスクマネジメントってどんな会社?


企業や従業員が抱える課題に対し、メンタルヘルスケアや就業障がい者支援などの解決策を提供する企業です。

(1) 会社概要


1995年にアドバンテッジインシュアランスサービスとして設立され、団体長期障害所得補償保険の取り扱いを開始しました。1999年に現法人を設立し、2002年にメンタルヘルスサポートサービス「アドバンテッジEAP」の提供を開始しています。2006年にはヘラクレス(現グロース)市場へ上場を果たし、2010年にはメンタルヘルスケア支援プログラム「アドバンテッジタフネス」を開始しました。その後、2017年に東証一部へ市場変更を行っています。

同グループは連結従業員数519名、単体433名の体制で事業を展開しています。大株主の構成は、筆頭株主が創業社長である鳥越慎二氏、第2位が個人株主の笹沼泰助氏、第3位が常任代理人を通じて保有する海外法人SIX SIS LTD.となっています。

氏名 持株比率
鳥越 慎二 25.71%
笹沼 泰助 16.78%
SIX SIS LTD. 8.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は鳥越慎二氏が務めており、社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
鳥越 慎二 代表取締役社長社長執行役員内部監査部、健康管理部管掌 1994年アドバンテッジパートナーズパートナー、1995年アドバンテッジインシュアランスサービス設立・社長を経て、1999年同社設立・社長就任。2008年より現職。
住田 健介 取締役上席執行役員アカウントセールス事業部門、メンタリティマネジメント事業部門管掌 1991年リクルート入社。2013年同社入社、事業開発推進部長等を歴任。2020年上席執行役員、2022年より現職。
江原 徹 取締役EB・BPO営業推進部顧問 1983年アメリカンファミリー生命保険会社入社。同社執行役員、フィナンシャル・エージェンシー執行役員を経て2016年同社入社。2022年より現職。
天田 貴之 取締役上席執行役員コーポレート部門管掌(兼)人事本部長 1992年第一勧業銀行入社。ディー・エイチ・エル・ジャパン、ネクストジェン取締役執行役員を経て2020年同社入社。2022年より現職。


社外取締役は、岩佐朱美(元日本アイ・ビー・エム コマース事業部長)、松田竹生(元エニグモ取締役CFO)、寺原真希子(弁護士)、須田宏一(元NTTアドバンステクノロジ取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メンタリティマネジメント事業」「就業障がい者支援事業」「リスクファイナンシング事業」を展開しています。

(1) メンタリティマネジメント事業


企業のメンタルヘルス対策やエンゲージメント向上を支援する事業です。ストレスチェックや組織分析を行う「アドバンテッジタフネス」、人事課題解決型プラットフォーム「アドバンテッジウェルビーイングDXP」、EAP(従業員支援プログラム)、採用適性検査、EQ研修などを提供しています。

収益は主に、自社システムの利用料や研修サービスの提供対価として顧客企業から受け取ります。システム利用料は契約期間にわたり按分して計上されます。運営は主に同社が行うほか、子会社のアドバンテッジ総合研究所、Mediplat、フィッツプラスなどが連携して事業を展開しています。

(2) 就業障がい者支援事業


病気やケガで長期間働けなくなった従業員を支援する事業です。所得を補償するGLTD(団体長期障害所得補償保険)制度の導入支援や、休職者管理システム「ADVANTAGE HARMONY」による管理業務の効率化、復職支援サービスなどを提供しています。

GLTD販売に関しては、保険契約が開始した時点で保険会社から代理店手数料を受け取ります。また、休職者管理システムについては、顧客企業からシステム利用料を受け取ります。運営は主に同社が行っています。

(3) リスクファイナンシング事業


個人や企業が抱えるリスクに対し、保険商品等を提案する事業です。がん保険などの個人向け保険を中心に、損害保険会社11社、生命保険会社9社と代理店契約を結び、ニーズに対応した商品を提供しています。

収益は、保険契約の締結・開始に伴い、保険会社から受け取る代理店手数料です。個人の保険加入においては、企業の職域を通じた団体扱いを主力としています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期は大幅な増収となっています。利益面でも、経常利益は2022年3月期に一時減少しましたが、その後は回復・成長を続け、利益率も改善傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 55億円 58億円 64億円 70億円 86億円
経常利益 7.3億円 3.6億円 5.3億円 7.4億円 10.2億円
利益率(%) 13.4% 6.3% 8.3% 10.5% 12.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.9億円 1.9億円 3.8億円 5.1億円 6.6億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は約70%と高い水準を維持しており、営業利益率も10%台から12.0%へと向上しました。事業拡大に伴うコスト増を吸収し、収益性が高まっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 70億円 86億円
売上総利益 49億円 59億円
売上総利益率(%) 70.5% 69.1%
営業利益 7.3億円 10.2億円
営業利益率(%) 10.4% 12.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が約18億円(構成比38%)、業務委託費が約9億円(同17%)を占めています。人件費と外部リソース活用にかかる費用が主なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


メンタリティマネジメント事業はM&A効果や主力サービスの好調により大幅な増収増益となりました。就業障がい者支援事業もGLTD販売やシステム契約の増加で堅調に推移しています。リスクファイナンシング事業は若干の減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
メンタリティマネジメント事業 51億円 65億円 7億円 11億円 16.5%
就業障がい者支援事業 16億円 17億円 5億円 5億円 29.2%
リスクファイナンシング事業 3億円 3億円 3億円 2億円 71.0%
連結(合計) 70億円 86億円 7億円 10億円 12.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、ビジョン(企業理念)として「企業の元気を創り出す」を掲げています。ミッションには、「人々が『安心して働ける環境』と企業の『活力ある個と組織』を皆様と共に創り出す」ことを定め、企業と働く人々を取り巻くリスクや課題の解消、健康経営推進への取り組みを支援しています。

(2) 企業文化


同社グループでは、従業員の行動指針として「The Advantage way」を掲げています。常識にとらわれず市場を創造・革新し、リーダーシップをとって自ら変わり続けることで先頭を走り、生み出した価値と幸せを社会や協力者、従業員と分かち合う姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期経営計画2026」(2024年度~2026年度)を策定しており、ウェルビーイング領域における圧倒的地位の確立を目指しています。事業規模の拡大と収益性の向上を重要課題と認識し、連結売上高及び連結売上高経常利益率を重要な経営指標として位置付けています。

(4) 成長戦略と重点施策


「アドバンテッジ ウェルビーイング DXP」を軸としたプラットフォームとソリューションの提供により、ウェルビーイング領域での地位確立を目指しています。メンタルヘルスケアに加え、エンゲージメント向上や身体的健康支援など領域を拡大し、M&Aや外部パートナー連携も活用しながら、総合的な支援体制を強化する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材こそが最も重要な経営資源」と捉え、従業員の成長と活躍の基盤となる環境整備に積極的に投資しています。「The Advantage way」を体現する人材の採用・育成を目指し、従業員一人ひとりが自律してイニシアチブを発揮し、チャレンジできる機会の提供と主体的に選択できる環境づくりに努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.0歳 6.4年 6,092千円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 44.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.6%
男女賃金差異(正規雇用) 79.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 51.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ワークエンゲージメント(54.0)、離職率(6.8%)、健康診断有所見者割合(47.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 個人情報の取扱い


ストレスチェック結果やカウンセリング情報など、要配慮個人情報を多く取り扱っています。個人情報保護法に抵触する事態や情報の漏洩が発生し、適切な対応がとれない場合、同社グループの事業に影響を与える可能性があります。

(2) 法的規制への対応


ストレスチェック義務化対応商品は労働安全衛生法に適合する必要があります。法改正等により既存商品が適合しなくなった場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。また、保険代理店として保険業法等の規制を受けており、法令違反等があれば登録取消等の処分を受ける可能性があります。

(3) 競合環境の激化


メンタリティマネジメント事業や就業障がい者支援事業において、新規参入の増加や保険代理店の集約化などにより競争が激化しています。他社の新サービス開発や提携関係の変化により同社の優位性が低下した場合、事業成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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