アドバンテッジリスクマネジメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アドバンテッジリスクマネジメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アドバンテッジリスクマネジメントは東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。メンタルヘルス対策を支援するメンタリティマネジメント事業を主力に、就業障がい者支援、リスクファイナンシング、少額短期保険等の事業を展開しています。直近の業績は、売上高が増加した一方で経常利益は減益の傾向にあります。


※本記事は、株式会社アドバンテッジリスクマネジメントの有価証券報告書(第28期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. アドバンテッジリスクマネジメントってどんな会社?


メンタルヘルス対策や就業障がい者支援など、企業のウェルビーイングを総合的に支援するサービスを提供しています。

(1) 会社概要


1995年1月にアドバンテッジインシュアランスサービスを設立し、団体長期障害所得補償保険の取扱を開始しました。1999年3月にグループ統括会社として同社を設立し、2002年8月には従業員のメンタルヘルスサポートサービス「アドバンテッジEAP」の提供を本格的に開始しています。2006年12月に大阪証券取引所ヘラクレスへ株式を上場しました。直近では2024年9月にMediplatおよびフィッツプラスを連結子会社化しています。

従業員数は連結で535名、単体で450名です。大株主の状況をみると、筆頭株主は創業者の鳥越慎二氏で、第2位も同社役員の笹沼泰助氏、第3位は金融機関であるSIX SIS LTD.となっています。

氏名 持株比率
鳥越慎二 25.70%
笹沼泰助 16.77%
SIX SIS LTD. 8.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は鳥越慎二氏です。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
鳥越慎二 代表取締役社長社長執行役員内部監査部、健康管理部管掌 1995年1月アドバンテッジインシュアランスサービス代表取締役社長。1999年3月同社代表取締役社長。2008年10月同社代表取締役社長兼社長執行役員に就任し現職。
住田健介 取締役上席執行役員メンタリティマネジメント事業部門管掌 1991年4月リクルート入社。2013年4月同社に事業開発推進部長として入社。2017年4月同社執行役員、2020年6月上席執行役員を経て、2022年6月同社取締役に就任し現職。
天田貴之 取締役上席執行役員コーポレート部門管掌(兼)人事本部長 1992年4月第一勧業銀行(現みずほ銀行)入社。ディー・エイチ・エル・ジャパン等を経て、2020年4月同社に経営管理本部長として入社。2021年10月上席執行役員を経て現職。


社外取締役は、岩佐朱美(元Man to Man最高デジタル責任者)、松田竹生(現合同会社TKWG代表社員)、寺原真希子(現弁護士法人東京表参道法律会計事務所共同代表)、須田宏一(元NTT-ATテクノコミュニケーションズ社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メンタリティマネジメント事業」、「就業障がい者支援事業」、「リスクファイナンシング事業」、「少額短期保険事業」を展開しています。

メンタリティマネジメント事業


企業のメンタルヘルス対策として、ストレスチェックやエンゲージメント向上を支援する「アドバンテッジタフネス」、パルスサーベイシステム「アドバンテッジピディカ」などのサービスを提供しています。また、採用適性検査やEQ研修プログラム、産業医・保健師の業務委託サービスなども展開し、企業の課題を解決します。

収益源は、企業からのシステム利用料、研修やコンサルティング費用、カウンセリング費用などです。運営は同社のほか、子会社であるMediplatやフィッツプラスが行っており、多種多様なデータを集約して本質的な課題の顕在化と的確なソリューション実行へと導いています。

就業障がい者支援事業


病気や怪我で長期間働けなくなった際の経済的支援を行う団体長期障害所得補償保険(GLTD)の販売や、休業者管理支援クラウドサービス「アドバンテッジハーモニー」、リワーク施設の運営を行っています。

収益源は、企業や従業員からの保険加入に伴う損害保険会社からの代理店手数料や、クラウドサービスの利用料などです。運営は同社が主体となっており、休業者・復職者の情報や手続きを一元管理し、人事部門の負担とリスクを軽減しています。

リスクファイナンシング事業


主に企業等に勤務する個人を対象として、がん保険などの生命保険や損害保険の加入・見直しサービスを職域チャネルを通じて提供しています。また、企業が抱える様々なリスクに対する保険商品も取り扱っています。

収益源は、損害保険会社11社、生命保険会社9社などと代理店契約を結び、保険契約の締結に伴って受け取る代理店手数料です。運営は同社が行っており、電話やメール、郵送により手続きが行える体制を構築しています。

少額短期保険事業


健康年齢で加入できる「健康年齢連動型医療保険」や、シニア層をターゲットとした低価格な死亡保険「やさしい終活保険」などの引受および販売を行っています。

収益源は、個人からの保険料収入です。運営は、同社グループに加わった健康年齢少額短期保険が主体となっており、独自性のある保険商品の開発と提供を通じて事業基盤の確立に取り組んでいます。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、順調な事業拡大が見られます。一方で経常利益は増益が続いていましたが、直近の期間ではシステム投資や新規事業への先行投資等の費用増加によりわずかに減少へ転じました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 58億円 64億円 70億円 86億円 99億円
経常利益 4億円 5億円 7億円 10億円 10億円
利益率(%) 6.3% 8.3% 10.5% 12.0% 10.1%
当期利益 2億円 4億円 5億円 7億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に連動して売上総利益も伸長していますが、売上総利益率はほぼ同水準で推移しています。営業利益については、人件費やシステム投資などの経費負担増により、直近では減益となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 86億円 99億円
売上総利益 59億円 66億円
売上総利益率(%) 69.1% 66.3%
営業利益 10億円 10億円
営業利益率(%) 12.0% 10.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が21億円(構成比38%)、業務委託費が10億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるメンタリティマネジメント事業の成長が全体を牽引し、増収増益に貢献しています。一方で、就業障がい者支援事業は大型契約終了の影響で減益となり、新設の少額短期保険事業は赤字でスタートしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
メンタリティマネジメント事業 65億円 76億円 11億円 12億円 16.3%
就業障がい者支援事業 17億円 17億円 5億円 4億円 24.0%
リスクファイナンシング事業 3.3億円 3.4億円 2.3億円 2.2億円 64.9%
少額短期保険事業 - 2.3億円 - -0.4億円 -16.6%
調整額 - - -8億円 -8億円 -
連結(合計) 86億円 99億円 10億円 10億円 10.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 17億円 19億円
投資CF -23億円 -11億円
財務CF 9億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.7%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も50.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、ビジョン(企業理念)として「企業の元気を創り出す」を掲げています。また、「私たちは、人々が『安心して働ける環境』と企業の『活力ある個と組織』を皆様と共に創り出します。」というミッションの下、企業と働く人々を取り巻く課題を解消する解決策を提供し、健康経営推進への取り組みを支援しています。

(2) 企業文化


同社は「人材こそが最も重要な経営資源」と捉え、従業員の成長と活躍の基盤となる環境整備に積極的に投資しています。行動指針として「The Advantage way」を掲げ、多様な従業員一人ひとりが自律してイニシアチブを発揮し、思う存分チャレンジできるよう、自ら主体的に選択できる環境整備に努めています。

(3) 経営計画・目標


2024年度から2026年度を対象とする「中期経営計画2026」において、「効果につながるプラットフォームとソリューションをより多くの企業に提供し、ウェルビーイング領域における圧倒的地位を目指す」ことを骨子としています。推進する全事業においてNo.1を目指し、成長スピード加速と収益性向上に取り組みます。

・連結売上高 99億円
・経常利益 10億円
・連結売上高経常利益率 10.1%

(4) 成長戦略と重点施策


競合他社との差別化を明確にしたサービス・ブランドの確立や、グループ各社のサービスを連動させた総合提案によるシナジーの最大化を推進します。また、社内にAIタスクフォースを設置し、顧客企業に提供するソリューションへのAI技術の組込みによるサービスの高度化や、社内業務プロセスへのAI活用による生産性向上に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社員の働く価値やウェルビーイングを最大化し、活力ある個と組織をつくることで人と企業の持続的成長を目指す」ことを人事戦略の基本方針としています。これに基づく人事施策「FUN↑WORK!」を展開し、人事制度、人財開発、健康経営、両立支援、DE&Iを重点領域として、従業員のウェルビーイング向上と事業成長を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.4歳 6.5年 6,439,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 42.1%
男性育児休業取得率 87.5%
男女賃金差異(全労働者) 78.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 80.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 57.3%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ワークエンゲージメント(53.8)、エンプロイーエンゲージメント(50.4)、離職率(9.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 個人情報の取扱いに関するリスク


ストレスチェック結果やカウンセリング情報といった要配慮個人情報を多く扱っており、個人情報の漏洩が発生した場合や不適切な取扱いが行われた場合、事業に影響を与える可能性があります。同社は情報セキュリティマネジメントシステム認証を取得するなど対策を講じています。

(2) 関連法令の変更に関するリスク


メンタリティマネジメント事業における労働安全衛生法や、保険販売における保険業法などの法的規制を受けています。これらの法令や制度が変更された場合、既存のサービスが適合しなくなり、事業や経営成績等に影響を与える可能性があります。

(3) 競合他社の台頭に関するリスク


各事業領域において成長性が見込まれており、新規参入企業が増加しています。競合他社が画期的な商品やサービスを開発し、同社の優位性が失われたり価格競争が進展したりした場合には、事業の持続的な成長や収益性に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

【面接対策】アドバンテッジリスクマネジメントの中途採用面接では何を聞かれるのか

従業員のメンタルヘルスケア事業などを手掛けるアドバンテッジリスクマネジメントへの転職。採用面接は仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。