※本記事は、株式会社アイフリークモバイル の有価証券報告書(第25期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アイフリークモバイルってどんな会社?
知育アプリや絵本コンテンツの提供、ITエンジニア派遣を行う企業です。子会社の吸収合併により経営効率化を進めています。
■(1) 会社概要
2000年に有限会社アイフリークとして設立、2007年にヘラクレス市場へ上場しました。2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行。2024年に連結子会社であるアイフリークスマイルズとI-FREEK GAMESを吸収合併し、事業体制の効率化を図っています。
従業員数は459名です。筆頭株主は取締役の辛澤氏で、第2位は個人株主の永田浩一氏、第3位は資産管理業務を行うインタラクティブ・ブローカーズです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 辛澤 | 16.40% |
| 永田浩一 | 15.62% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 5.52% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は吉田邦臣氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉田邦臣 | 代表取締役社長 | 元V SECURE代表取締役。2017年より同社取締役、事業部長等を歴任し、2023年より現職。 |
| 五十嵐雅人 | 取締役 | 元IPOキャピタルパートナーズ代表取締役社長。2020年同社入社、2021年より現職。 |
| 寺田永史 | 取締役 | 元ノードコミュニケーション代表取締役。2024年同社コンテンツロボティクスオートメーション事業部長を経て現職。 |
社外取締役は、鴇崎俊也(元テクタイトフード&サービス取締役会長)、吉川雅之(ヴィトーリア代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンテンツ事業」「DX事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) コンテンツ事業
知育アプリ「森のえほん館」「あそびタッチ」や、YouTubeチャンネル「Popo Kids」の運営、スタンプ素材「デココレ」などを提供しています。親子間のコミュニケーション促進をテーマに、BtoC向けのデジタルコンテンツを展開しています。
収益は主にユーザーからのアプリ利用料や課金収入によって構成されています。運営はアイフリークモバイルが行っています。
■(2) DX事業
システム開発、インフラ構築、デザイン制作等の受託開発や、ITエンジニアの派遣サービス(SES)を提供しています。近年は生成AIやデータサイエンス分野の人材育成にも注力しています。
収益は顧客企業からの業務委託料や派遣料などで構成されています。運営はアイフリークモバイルが行っています。
■(3) その他
報告セグメントに含まれない事業として、連結子会社(吸収合併前)に対する経営指導料などが含まれています。
収益は子会社からの経営指導料等です。運営はアイフリークモバイルが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2022年3月期から2024年3月期までは売上高26億円前後で推移していましたが、利益面では変動が見られます。2025年3月期は子会社吸収合併に伴い非連結決算となり、売上高20億円、最終赤字1.1億円となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 26.3億円 | 26.1億円 | 25.7億円 | 20.0億円 |
| 経常利益 | 2.6億円 | 1.5億円 | -0.8億円 | -0.5億円 |
| 利益率 | 9.9% | 5.8% | -3.0% | -2.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.9億円 | 1.5億円 | 0.0億円 | -1.1億円 |
■(2) 損益計算書
直近の比較では、売上高は減少していますが、売上総利益率は改善傾向にあります。一方で営業損失が拡大しており、販管費の負担増が影響していることがうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 25.7億円 | 20.0億円 |
| 売上総利益 | 4.7億円 | 5.1億円 |
| 売上総利益率 | 18.3% | 25.4% |
| 営業利益 | -0.1億円 | -0.6億円 |
| 営業利益率 | -0.3% | -3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.1億円(構成比38%)、支払報酬が0.9億円(同15%)を占めています。売上原価においては労務費が14億円(構成比96%)と大半を占めています。
■(3) セグメント収益
DX事業は増収増益で全社業績を牽引していますが、コンテンツ事業はセグメント損失を計上しています。全社費用等の調整額が利益を押し下げています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| コンテンツ事業 | 0.9億円 | -0.4億円 | -49.0% |
| DX事業 | 18.8億円 | 2.3億円 | 12.1% |
| その他 | 0.4億円 | 0.4億円 | 100.0% |
| 連結(合計) | 20.0億円 | -0.6億円 | -3.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
アイフリークモバイルの有価証券報告書によると、第24期までの営業活動、投資活動、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高については、連結財務諸表を作成しているため記載がありません。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の状況を示します。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却などによる資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、株式の発行などによる資金の動きを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 |
| 投資CF | -0.4億円 |
| 財務CF | 3.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「人々の思いが伝わる・つながる・広がる 世の中の日常に喜びと感動を提供します。」という理念のもと、コミュニケーションを通じて「想いを伝えたい」という人の欲求に応えるサービスの提供を目指しています。
■(2) 企業文化
経営の透明性向上とコンプライアンスを重視し、企業倫理の徹底を掲げています。また、「誰かをhappyにすることで、自分もhappyになる」という経営ビジョンのもと、従業員一人ひとりが自律的にキャリアを構築できる環境づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
重要な経営指標として「営業利益」を掲げ、この指標を持続的に向上させることで企業価値の向上を目指しています。中長期的な拡大のためには、新規および既存事業への投資や、それを支える人材・組織の強化が不可欠であるとしています。
■(4) 成長戦略と重点施策
コンテンツ事業では、IP資産の活用や生成AI技術との掛け合わせによる新コンテンツ開発、BtoC向け知育アプリの強化を推進します。DX事業では、生成AIやデータサイエンス等の専門人材育成と商流改善による収益性向上、営業体制の強化による案件獲得に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「誰かをhappyにすることで、自分もhappyになる」というビジョンの実現に向け、多様な人材が活躍できる環境整備を推進しています。特にエンジニアの採用と育成を重視し、研修制度の充実や資格取得支援を通じて、専門性の高い人材の確保と定着を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 32.2歳 | 4.0年 | 3,484,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.2% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 84.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 84.8% |
| 男女賃金差異(非正規) | 120.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 業界環境の変化
インターネット技術を活用した事業を展開しているため、技術革新やユーザーニーズの変化が激しく、これらへの対応遅れや追加的な投資が必要となった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) モバイルコンテンツ市場の競争
コンテンツ市場は参入障壁が比較的低く、競合他社による多額の広告宣伝や新規参入により競争が激化した場合、会員数の減少や採算性の悪化を招き、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) DX事業における人材確保
DX事業の成長には優秀なエンジニアの確保が不可欠ですが、労働人口の減少や人材獲得競争の激化により必要な人材を確保できない場合、サービス提供や受注活動に支障が生じる可能性があります。
■(4) 情報セキュリティリスク
個人情報や顧客企業の機密情報を扱っているため、外部攻撃や内部要因による情報漏洩、不正使用などが発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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