アイフリークモバイル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイフリークモバイル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイフリークモバイルは東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業です。電子絵本やAIコンテンツ等の企画・制作を行うコンテンツ事業と、ITエンジニア派遣等を行うDX事業を展開しています。直近の業績は売上高19億円と減収になったものの、営業利益は0.3億円と黒字転換を果たしており、収益性が改善しています。


※本記事は、株式会社アイフリークモバイルの有価証券報告書(第26期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アイフリークモバイルってどんな会社?


アイフリークモバイルは電子絵本やAIコンテンツ等の制作とITエンジニア派遣を主軸に事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年に有限会社アイフリークとして設立され、2007年に大阪証券取引所ヘラクレスに株式を上場しました。2013年に持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しています。2016年に現在のDX事業につながるコンテンツクリエイターサービス事業を開始し、近年はM&Aによる事業再編を推進しています。

現在の従業員数は単体で354名です。大株主については、筆頭株主は外国法人のINTERACTIVE BROKERS LLCで、第2位は個人株主の辛澤氏、第3位はランニングとなっています。

氏名 持株比率
INTERACTIVE BROKERS LLC 22.84%
辛澤 19.69%
ランニング 12.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は吉田邦臣氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
吉田邦臣 代表取締役社長 防衛庁航空自衛隊に入隊後、複数社の代表取締役を経て2017年に同社へ入社。取締役、事業部長などを歴任し、2023年7月より現職。
五十嵐雅人 取締役 証券会社やユナイテッドベンチャーズなどを経て、2020年に同社へ入社し経営企画室長に就任。2020年6月より現職。
辛澤 取締役 香港の企業で代表取締役を務め、ランニング設立や他社の取締役などを歴任。2025年6月より現職。


社外取締役は、幹元慶(上海安美途融資租貸有限公司代表取締役会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンテンツ事業」および「DX事業」を展開しています。

コンテンツ事業


電子絵本サービス等の企画・制作・運営や、親子向けYouTubeチャンネルの運営、モバイルコンテンツでのスタンプ画像配信などを行っています。また、AI技術やARといった先進技術を活用したサービスの提供や、キャラクターの企画・制作等も手掛けており、法人から個人まで幅広くサービスを提供しています。

顧客からの利用料やコンテンツ提供に伴う対価がおもな収益源です。当事業はアイフリークモバイルが主体となって運営を行っており、他社との協業によるBtoB領域への展開や、生成AIと自社コンテンツ資産を組み合わせた新規サービスの開発など、収益基盤の多角化を進めています。

DX事業


ソフトウェアやシステムの開発、インフラ構築、デザイン制作、サポート業務の請負やシステムエンジニアリングサービスを提供しています。労働者派遣事業の許可を取得し、IT技術者の人材派遣を行っており、生成AIやデータサイエンス、クラウドコンピューティング分野に注力しています。

顧客企業からの業務請負代金や人材派遣に伴う手数料が収益源となっています。当事業の運営はアイフリークモバイルが行っており、エンジニアの採用・育成や生成AI活用に特化した教育体制の整備を通じ、高付加価値案件の獲得や収益性の向上を図っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が15億円から20億円のレンジで推移しています。2025年3月期は事業再編などの影響により経常赤字となりましたが、2026年3月期は販売費および一般管理費の抑制などの経営効率化が奏功し、売上高18.7億円、経常利益0.3億円と黒字に転換し、収益性の改善が進んでいます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 18.1億円 19.5億円 15.1億円 20.0億円 18.7億円
経常利益 1.9億円 1.4億円 0.0億円 -0.5億円 0.3億円
利益率(%) 10.3% 7.3% 0.1% -2.5% 1.7%
当期純利益 1.9億円 1.5億円 0.0億円 -1.1億円 0.4億円

(2) 損益計算書


直近の業績では、売上高は前年と比較してやや減少したものの、売上総利益率は25%前後で安定して推移しています。また、販売費および一般管理費の適正化が進んだことにより、営業利益は黒字転換を果たし、着実な収益構造の改善が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 20.0億円 18.7億円
売上総利益 5.1億円 4.7億円
売上総利益率(%) 25.4% 25.0%
営業利益 -0.6億円 0.3億円
営業利益率(%) -3.1% 1.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.9億円(構成比43%)、支払報酬が0.4億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上動向を見ると、DX事業が全体の大部分を占め、安定した収益基盤を形成しています。一方、コンテンツ事業はサービスの終了や配信モデルの移行に伴い、売上が減少しています。今後は両事業をDX事業へ統合し、AI技術等との相乗効果による収益拡大を目指しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
コンテンツ事業 0.9億円 0.4億円
DX事業 18.8億円 18.3億円
その他 0.4億円 -
連結(合計) 20.0億円 18.7億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益と資産売却等の資金で借入返済を進める改善局面となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 0.3億円 0.2億円
投資CF -0.4億円 0.2億円
財務CF 3.0億円 -0.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人々の思いが伝わる・つながる・広がる 世の中の日常に喜びと感動を提供します。」という経営理念を掲げています。事業活動を通じて喜びと感動を提供し、社会課題の解決と持続的な成長を実現することを存在理由としています。また、企業倫理の徹底を経営方針に据え、透明性の高い組織体制の構築を目指しています。

(2) 企業文化


「誰かをhappyにすることで、自分もhappyになる」という経営ビジョンを掲げています。社員一人ひとりが自律的にキャリアを構築し、自身の「好き」を通じて社会に笑顔を届けることを重視しています。多様な人材が活躍できるダイバーシティ&インクルージョンを推進し、あらゆるステークホルダーとのエンゲージメントを大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社が重要と考えている経営指標は「営業利益」です。この数値を向上させることで企業価値の最大化を図るとしています。個別案件ごとに投資効果を厳格に見極めながら、中長期で継続的に企業規模を拡大するため、新規事業及び既存事業への積極的な投資や人材・組織等の経営基盤の強化に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の付加価値向上と新規領域への展開、コスト最適化に取り組んでいます。今後はコンテンツ事業とDX事業を統合し、それぞれの強みを生かした相乗効果を創出します。具体的には、生成AIやデータサイエンス分野への注力や、自社コンテンツ資産を活用したAIソリューションの提供により、高付加価値な事業展開を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


先端技術と既存事業の基盤を組み合わせるため、生成AIやデータサイエンス、クラウド等の成長領域における人材育成を重要な人材戦略と位置付けています。専門領域ごとの研修や資格取得支援を行い、個々のスキルに応じた適切な案件への配属やキャリア形成を支援することで、多様な人材が活躍できる組織づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 31.9歳 5.0年 3,670,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.3%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 81.7%
男女賃金差異(正規雇用) 81.8%
男女賃金差異(非正規) -

※非正規雇用の男女賃金差異は、当事業年度において男性労働者が在籍していないため記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界環境の変化と技術革新への対応

インターネット技術を活用した事業を展開しており、常に業界動向やユーザーニーズの変化に対応する必要があります。著しい技術革新に対する対応スピードが遅れた場合や、追加的な投資が必要となった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) DX事業における競争激化

DX事業においては、優秀な技術者の確保や営業力などの質的な差別化が強く求められています。企業間の受注競争が激化する中で、同業他社の低価格戦略や顧客からの値下げ要請に対応できず、適正な収益や受注を確保できないリスクがあります。

(3) 情報漏洩とセキュリティ対策

業務遂行において顧客企業の機密情報や個人情報を扱っているため、情報漏洩や不正使用が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の低下を招く恐れがあります。そのため、情報セキュリティ規程の策定や従業員への教育を継続的に実施しています。

(4) 労働者派遣事業の法的規制

DX事業において労働者派遣法に基づく人材派遣を行っています。適正な事業運営に努めていますが、関係諸法令の改正や、不測の事態により事業許可の取消しや業務停止命令を受けた場合、事業の継続や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。