ネットイヤーグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ネットイヤーグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ネットイヤーグループは東証グロース上場のSIPS(Strategic Internet Professional Services)事業を展開する企業です。NTTデータグループの一員として、大企業等のDXやデジタルマーケティングを支援しています。直近の業績は、顧客都合によるプロジェクト縮小等が響き、減収減益で最終赤字となりました。


#記事タイトル:ネットイヤーグループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ネットイヤーグループ株式会社の有価証券報告書(第26期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ネットイヤーグループってどんな会社?


同社グループは、UXD(顧客体験設計)とデジタル技術を強みとし、企業のDX支援やマーケティング支援を主力としています。

(1) 会社概要


同社は1999年、米国のNetyear Group,Inc.の子会社として設立され、日本国内でSIPS事業を開始しました。2008年に東京証券取引所マザーズに上場し、2019年には資本業務提携によりNTTデータの連結子会社となりました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証グロース市場に上場しています。

従業員数は単体で185名です。筆頭株主は親会社であるシステムインテグレーターのNTTデータで、発行済株式の半数近くを保有しています。第2位株主は同社の元取締役で創業メンバーの石黒不二代氏、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
NTTデータ 48.51%
石黒不二代 7.63%
佐々木裕彦 2.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長CEOは廣中龍蔵氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
廣中龍蔵 代表取締役社長CEO 富士総合研究所を経て同社入社。一度退社しドッツ代表取締役を務めた後、2024年6月より現職。
中澤智彦 取締役副社長 NTTデータにて製造・流通ビジネス等の要職を歴任。JSOL常務取締役を経て2023年6月より現職。
安地亮一 取締役 NTTデータ執行役員として第二インダストリ統括事業本部事業本部長等を務める。2025年6月より現職。
德永裕幸 取締役 NTTデータシステムインテグレーション事業部長等を経て、NTTデータNJK取締役等を兼務。2024年6月より現職。
小布施秀幸 取締役 NTTデータ第一インダストリ統括事業本部機械・電機・建設事業部長等を務める。2025年6月より現職。
河西謙治 取締役(監査等委員) NTTデータ法人事業推進部シニア・スペシャリスト等を務める。2023年6月より現職。


社外取締役は、渡辺今日子(knots associates取締役COO)、古田利雄(弁護士法人クレア法律事務所代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「SIPS事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) SIPS事業


企業や行政に対し、インターネット技術を活用したDXやデジタルマーケティング支援を行っています。具体的には、生成AI技術やUXD(顧客体験設計)のノウハウを活かし、デジタル戦略の策定、Web・モバイルアプリ等のシステム開発、マーケティング戦略支援などを提供しています。顧客は主に大企業や行政機関です。

収益は、顧客企業からのシステム開発やコンサルティングに対する受託費用、運用・保守費用などから得ています。デジタル広告やSaaS提供なども手掛けています。運営は主にネットイヤーグループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績トレンドを見ると、売上高は減少傾向にあり、利益面も縮小して赤字に転落しています。前期からの顧客都合によるプロジェクトの縮小や終了、親会社グループからの受注減少などが影響しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 36億円 34億円
経常利益 1.4億円 0.8億円
利益率(%) 4.0% 2.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 -0.3億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益ともに減少しています。コストコントロールに努めていますが、減収の影響をカバーしきれていません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 36億円 34億円
売上総利益 8億円 7億円
売上総利益率(%) 22.5% 20.3%
営業利益 1.4億円 0.8億円
営業利益率(%) 4.0% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2億円(構成比36%)、支払手数料が0.7億円(同12%)を占めています。売上原価においては、外注費が16億円(構成比59%)、労務費が11億円(同41%)を占めており、外部リソースの活用度が高い構造です。

(3) セグメント収益


当期はSIPS事業の単一セグメントです。プロジェクト規模の縮小や終了、重点顧客創出の遅れ等により、全体として減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
SIPS事業 36億円 34億円 1.4億円 0.8億円 2.4%
連結(合計) 36億円 34億円 1.4億円 0.8億円 2.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ネットイヤーグループのキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが、特別損失の計上や仕入債務の増加等により収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出がありました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いによる支出がありました。これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は増加いたしました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 0.8億円 0.7億円
投資CF -1.0億円 -0.0億円
財務CF -0.4億円 -0.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「生成AIを活用して未来の社会を創造する」を経営ビジョンとして掲げています。これまでのUXD(顧客体験設計)とデジタル技術のノウハウに加え、生成AI技術を事業の中心に据え、顧客企業のDXとデジタルマーケティングを支援することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、多様なプロフェッショナルの集合体としての実装力を重視しています。従業員の内発的動機を引き出すことを主眼とし、高い専門性を持ち続けることを奨励する文化があります。また、多様な価値観を持つ人材が、やりがいを持って生き生きと挑戦できる環境づくりを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、主な成長性・収益性の指標として、売上高、売上総利益率、営業利益率を重視しています。中長期的な成長を目指し、新サービスの開発や生成AI人材への転換費用、M&A等の投資を積極的に行う方針であり、短期的には営業利益率が低下する可能性も織り込んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、オウンドメディア領域でのサービス提供範囲の拡大と、Webから様々なデバイスへのマルチチャネル化を推進しています。特に生成AI技術の利活用を加速させ、NTTデータとの協業強化やパートナー企業との共創を通じて、顧客企業のデジタルマーケティング及びDX支援を強化していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材こそが最も重要な資本であると考え、社会変革に必要な人材の確保・育成に注力しています。特にデジタル人材の育成や、生成AI技術活用を含めたスキルアップ支援を推進しています。また、多様な働き方を選択できる制度(リモートワーク、フレックス、副業等)を導入し、多様性を尊重する環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.4歳 7.3年 6,187,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 28.1%
男性育児休業取得率 1.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.1%
男女賃金差異(正規雇用) 77.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 21.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、事業部門入社者に対するUX講習の実施率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材の確保・育成


事業において個々の人材の専門性が重要であるため、優秀な人材の確保と育成が進まない場合、競争力の低下や事業拡大の制約となり、成長に影響を与える可能性があります。特にデジタル人材の需要急増に伴い、獲得競争が激化しています。

(2) 特定顧客への依存


インターネット関連投資を行う企業を主たる顧客としており、特定の顧客への依存度が高くなる傾向があります。主要顧客の戦略変更や取引減少が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。NTTデータグループ等との取引も一定割合を占めています。

(3) 上場廃止リスク


2025年3月末時点で、東証グロース市場の上場維持基準のうち時価総額基準に抵触しており、改善期間中にあります。2026年3月末までに基準に適合しない場合、上場廃止となる可能性があります。

(4) 競合激化と技術革新


専業企業や広告代理店、SIベンダー等の参入により競争が激化しています。また、生成AIを含む技術革新のスピードが速く、対応が遅れた場合や予期せぬ新技術の登場により、競争力が低下する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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