※本記事は、全国保証株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
全国保証グループは、住宅ローン保証を中核とした「信用保証事業」を展開しています。特定の金融機関や業界に限定されない独立系の保証会社として、全国的に事業を展開している点が特徴です。
単体従業員数は319名、連結従業員数は378名です。同社グループの報告セグメントは「信用保証事業」の単一セグメントです。
主な国内グループ会社は、全国ビジネスパートナー(事務受託事業)、あけぼの債権回収(債権管理回収業)、みのり信用保証(信用保証事業)などです。
ちば興銀カードサービスは、2026年6月11日に「なのはな信用保証」へ商号を変更しました。また、同社グループは当期に2社との資本業務提携契約を締結し、スタートアップ企業3社への出資も行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
全国保証は住宅ローン保証事業を中核とする企業であり、安定した事業基盤を持つことが特徴です。従業員の働きがいを重視し、人材育成や働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組む姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、比較的安定した人材定着の傾向が見られます。また、平均年齢は30代後半であり、バランスの取れた年齢構成となっていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,481,000円 |
| 平均勤続年数 | 11.0年 |
| 平均年齢 | 38.7歳 |
| 単体従業員数 | 319人 |
| 連結従業員数 | 378人 |
| 単体のグループ内比率 | 84.4% |
退職給付制度について、同社グループは主に積立型の確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。一部の連結子会社では非積立型の確定給付制度および確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)も採用しています。この制度は国内の同社および連結子会社に適用されます。
退職一時金制度があり、従業員の給与や勤続年数に基づいた一時金が支給されます。
確定給付制度における退職給付債務は12.3億円、年金資産は12.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、幅広い知識を持ち多様な業務や時代の変化に柔軟に対応できる人材の育成と、従業員一人ひとりの力が最大限活かされる魅力的な職場環境の実現を経営方針としています。人材を最も重要な経営資源と位置付け、人的資本への積極的な投資を行っています。
従業員の処遇決定にあたっては、成長段階に応じた役割期待を明確にし、評価・決定プロセスの透明性、公平性を確保することで客観的で納得感のある処遇を目指しています。非管理職層では実績よりも能力や仕事への姿勢、マインドに重点を置いた評価を実施しています。管理職層では実績に加え、経営理念の体現度を測る「バリュー評価」を処遇に反映し、株式給付信託制度も活用して株価および業績向上への意識付けを図っています。
人材育成においては、階層別、業務別、育成風土の醸成、自己啓発の4種に大別される研修制度を設けています。OJTを通じた教育や、業務に直結する知識・資格取得支援、経営人材育成のためのサクセッションプランも実施しています。
働きやすい職場環境の整備として、従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイを毎年実施し、ワークライフバランスを重視した育児・介護短時間勤務の拡充やフレックス勤務制度の選択肢を提供しています。また、従業員の健康増進に向けた取り組みや、女性活躍推進、人権尊重・ハラスメント防止にも力を入れています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 140.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 63.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 66.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 78.8% |
従業員満足度、エンゲージメントに係る指標及び目標
| 指標 | 2026年3月期実績 |
|---|---|
| 従業員満足度調査 | 4.90点(7点満点) |
| ワークエンゲージメント | 4.04点(7点満点) |
| 組織コミットメント | 4.13点(6点満点) |
女性活躍推進法及び次世代育成支援対策法に係る指標及び目標
| 指標 | 2026年3月期実績 |
|---|---|
| 管理職となる職階に占める女性割合 | 2.6% |
| 管理職候補者となる職階に占める女性割合 | 9.8% |
| 育児休業取得率(男性) | 140.0% |
| 育児休業取得率(女性) | 100.0% |
| 有給休暇取得日数 | 14.4日 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
全国保証は、住宅ローン保証を中核とした信用保証事業を展開しています。金融機関からの借入に対する連帯保証人の役割を担うことで、借入人と金融機関双方にメリットを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、住宅ローン保証を主軸とした信用保証事業を単一セグメントとしています。住宅ローンを希望する借入希望者の連帯保証を引き受け、保証委託者から保証料を収受することで収益を得るビジネスモデルです。保証料は保証開始時に一括で受領する方法と、毎月の保証債務残高に応じて受領する方法があります。
保証委託者が返済不能に陥った場合、同社グループは金融機関に代位弁済を行い、求償債権を取得します。その後、取得した求償債権に基づき、保証委託者からの回収を図ります。求償債権の多くには不動産担保が設定されており、任意売却や競売を通じて迅速かつ最大限の回収に努めています。また、保証委託者は原則として団体信用生命保険に加入しており、万一の際には保険金が同社グループに支払われ、代位弁済に充当される仕組みです。
同社グループは特定の金融機関や業界に限定されない独立系の保証会社として、全国的に事業を展開している点が特徴です。これにより、特定の金融機関の経営リスクや地域経済圏の影響を分散しています。全国の主要地域に店舗を設置し、地域密着型の営業体制を構築しています。提供する保証商品には、住宅ローン保証のほか、カードローン保証や教育ローン保証など、多様なニーズに対応する商品が揃っています。
海外での営業収益や有形固定資産はなく、事業は本邦に集中しています。また、外部顧客への営業収益のうち、連結損益計算書の営業収益の10%以上を占める特定の相手先はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの営業収益は、過去5期にわたり増加傾向を示しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に増加傾向にあり、安定した収益基盤を維持していることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | - | 503億円 | 516億円 | 570億円 | 587億円 |
| 経常利益 | - | 415億円 | 416億円 | 445億円 | 466億円 |
| 経常利益率 | - | 82.5% | 80.5% | 78.1% | 79.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | 286億円 | 288億円 | 321億円 | 325億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | 207.98 | 209.54 | 236.54 | 243.70 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの営業収益は前期から増加しており、従業員1人あたりの営業利益は前期から減少しています。これは、従業員数が増加する中で、収益は伸びたものの、利益の伸びが追いつかなかったことを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 154.4百万円 | 155.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 113.8百万円 | 109.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROEから安定した状態にあることが示されています。自己資本比率はプライム市場の平均と比較して高い水準を維持しており、強固な財務体質がうかがえます。ROEもプライム市場平均を上回っており、効率的な資本活用ができている状況です。手元資金も十分に確保されており、事業運営における安定性が期待できます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,387億円 | 2,451億円 |
| 自己資本比率 | 48.5% | 48.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 13.8% | 13.4% |
| 現金及び預金 | 1,376億円 | 725億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが328億円のプラスとなっています。これは主に税金等調整前当期純利益の増加によるものです。
一方で、投資活動によるキャッシュフローは424億円のマイナスとなり、投資有価証券の取得による支出が主な減少要因です。その結果、フリーキャッシュフローは95.2億円のマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況が示されています。
財務活動によるキャッシュフローは273億円のマイナスで、配当金の支払いが主な減少要因です。同社グループは本業で安定的に資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っており、事業の成長性への期待が持てる状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 334億円 | 328億円 |
| 投資CF | 6.3億円 | △424億円 |
| 財務CF | △193億円 | △273億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 340億円 | △95.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主に信用保証事業を行っており、景気、金利、住宅市場の動向といった外部環境の影響を受ける可能性があります。住宅価格の高止まりや金利環境の変化、人口減少などにより、住宅ローン市場が縮小するリスクが挙げられています。
また、保証委託者の債務不履行による代位弁済の増加や、債務保証損失引当金および貸倒引当金の積み増しによる与信関連費用の増加もリスクとして認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、情報セキュリティや事務処理において、役職員による人為的なミスや事故、不正等に起因する不適切な事務が行われるリスクを認識しています。これにより、情報漏洩や損失発生の可能性があり、社会的信用や業績に不利な影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
全国保証は、「お客様の夢と幸せの実現」を支援し、地域社会の発展に貢献することを経営理念としています。住宅ローン保証を中核に、住生活・金融分野の総合グループ形成を目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
全国保証グループは、「最高の商品とサービスを提供することにより、お客様の夢と幸せの実現をお手伝いするとともに、地域社会の発展に貢献する」ことを経営理念としています。この理念のもと、全てのステークホルダーの視点に立った経営施策を通じて、企業価値の向上と永続的な発展・成長を目指しています。
同社グループは、2026年度から2030年度までを対象とする新中期経営計画「Go for 50 保証の力で未来をひらく」を策定しました。この計画では、「住宅ローン保証を中核とした住生活・金融分野の総合グループ形成」をビジョンに掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
全国保証グループは、経営理念として「お客様の夢と幸せの実現」と「地域社会の発展への貢献」を掲げ、全てのステークホルダーの視点に立った経営を重視しています。サステナビリティに関する考え方として、ESGを重視した中長期的な経済価値と社会価値の双方を追求する経営が求められていると認識しています。
「全国保証SDGs宣言」に基づき、人的資本への投資、気候変動への取り組み、コーポレートガバナンスの充実などを重要課題としています。また、人権尊重を社会的責任と認識し、「全国保証人権方針」を策定しています。
ハラスメントの禁止を行動規範、コンプライアンスマニュアル、ハラスメント防止方針に明記し、多様な価値観を尊重し合える職場環境づくりに取り組む姿勢を示しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
全国保証グループは、住宅取得環境の厳しさや新築住宅市場の縮小といった事業環境の変化を課題と認識しています。この課題に対応するため、新中期経営計画「Go for 50 保証の力で未来をひらく」を策定しました。
この計画では、「人材・組織・ガバナンス強化」を基本方針の一つとしています。具体的には、専門人材の育成、多様な働き方の推進、健康増進施策の充実を通じて、従業員一人ひとりが能力を発揮できる環境整備を進めています。
組織面では、業務別人員構成の見直しや業務効率化、職場環境の適正化を図る方針です。また、グループ会社の増加や事業領域の拡大を見据え、コンプライアンス、リスク管理、情報セキュリティ、個人情報保護等の体制を強化し、グループ経営の実効性を高めることに取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
全国保証は監査役設置会社形態を採用しており、業務に精通した取締役による職務執行を監査役が監査する体制です。経営全般への助言と業務執行への牽制のため、社外取締役を任用し経営監督機能を強化しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が筆頭株主となっています。その他、富国生命保険相互会社や明治安田生命保険相互会社といった生命保険会社が上位株主として名を連ねています。これらの機関投資家が同社の事業を支える主要な存在であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.73% |
| 富国生命保険相互会社 | 9.31% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 9.31% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.36% |
| 太陽生命保険 | 6.41% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性10名・女性3名)で構成され、女性役員比率は23.1%です。代表取締役社長は青木裕一氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石川 英治 | 代表取締役会長 | 1990年1月同社入社、2006年7月同社代表取締役社長、2023年4月同社代表取締役会長より現職。 |
| 山口 隆 | 専務取締役(コンプライアンス・リスク統括部、総務部、人事部、経理部、システム部担当) | 1995年11月同社入社、2011年6月同社取締役業務本部長、2023年7月同社専務取締役より現職。 |
| 浅田 慶一 | 取締役(保証企画部、営業統括部、本支店担当) | 1984年4月日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行、2018年6月同社取締役営業本部長、2023年7月同社取締役より現職。 |
| 米田 典由 | 取締役(業務統括部、審査部、 債権管理部担当) | 2000年4月同社入社、2024年6月同社取締役業務統括部長、2026年4月同社取締役より現職。 |
| 水口 耕 | 取締役経営企画部長(経営企画部担当) | 2006年2月同社入社、2022年6月同社執行役員経営企画部長、2024年6月同社取締役経営企画部長より現職。 |
社外取締役は、上條正仁氏(元埼玉りそな銀行代表取締役社長)、永島義郎氏(元エム・ユー・フロンティア債権回収代表取締役副社長)、今戸智惠氏(三浦法律事務所パートナー弁護士)です。
同社は監査役設置会社形態を採用しており、業務執行の適正性を監査役が監査する体制です。社外取締役は客観的・中立的な立場から、経営の透明性と健全性の維持に貢献する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、役員報酬について、職責に応じた基本報酬と業績連動報酬等で構成する方針を採用しています。業務執行取締役の報酬は、基本報酬に加えて業績連動賞与と業績連動型株式報酬が含まれています。これにより、業績や株価の変動による利益意識を株主と共有し、企業価値増大への意識を強化する設計です。
また、業績連動報酬等の指標としては、短期的にEPS、中長期的には保証債務残高、ROE、従業員満足度を重視しています。社外取締役および監査役の報酬は、業務執行から独立した客観的な立場を確保するため、基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 2.6億円 | 43.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 22百万円 | 22.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 50百万円 | 8.3百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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