※本記事は、オーウイル株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
オーウイルは、食と環境を中心とした事業を展開する商社です。食品原材料の国内販売や輸出入取引、環境関連商材の販売を手掛けています。また、食品メーカーとして新商品の開発・提案も行っています。
単体従業員数は79名、連結従業員数は137名です。セグメントは卸売事業、製造販売事業の2つです。
主な国内グループ会社は、海鮮(製造販売事業)、アクセルテック(卸売事業)などです。
当連結会計年度において、オーウイルグループは株式会社アクセルテックを連結の範囲に含め、2025年4月にはNIITAKAYA U.S.A.INC.の発行済株式の85%を取得し連結子会社化しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
オーウイルは、従業員の定着を重視し、多様な働き方を支援する環境を整えている企業です。給与水準は個人の役割や成果を反映する方針が示されており、社員一人ひとりの成長を促すための人材育成にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数や平均年齢から、比較的安定した人材構成の傾向が見られます。社員の能力開発と人材育成を通じて、組織と個人の成長を促す環境づくりに取り組んでいます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,999,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.1年 |
| 平均年齢 | 38.4歳 |
| 単体従業員数 | 79人 |
| 連結従業員数 | 137人 |
| 単体のグループ内比率 | 57.7% |
退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。同社は確定拠出年金制度を、一部の連結子会社は非積立型の確定給付制度を採用しています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中長期的な企業価値向上を目指し、人材を重要な経営資本と位置づけています。経営戦略と整合した人材戦略を推進し、人材獲得・育成の強化、次世代・中核人材の育成、多様な人材の定着及び能力発揮の促進、知識共有・活用による組織力の強化を重点テーマとしています。
報酬については、年功序列ではなく、役割、成果、能力発揮の状況を適切に反映することを基本方針としています。報酬水準は、外部水準と社内バランスを踏まえ、各人の役割、職責、専門性に応じて決定されます。報酬は給与(基本給、時間外勤務手当、各種手当)と賞与を基本として構成されており、従業員持株会への加入推進など、福利厚生の充実と資産形成支援にも取り組んでいます。
また、価値創造につながる組織風土の醸成を図り、全ての社員が能力を十分に発揮し、やりがいを持って生き生きと働くことができる社内環境の整備に努めています。具体的には、生産性の高い組織環境の整備、多様な人材の受け入れ環境づくり、テレワーク勤務や時短勤務、ジョブリターン制度といった多様な働き方の環境整備を進めています。心理的安全性の高い組織風土の醸成や、社員の安全と心身の健康を重視した安全で健康な職場づくりにも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
グループ全体(連結)
同社グループは、ダイバーシティ推進に注力していますが、社員数(母数)が少なく、1人の増減でも数値が大きく変動することから、現段階ではダイバーシティ関連の目標値は設定していません。
| カテゴリー | 指標(KPI) | 2025年実績 | 2026年実績 | 2029年目標値 |
|---|---|---|---|---|
| 生産性 | 社員一人当たり営業利益 | 13,681千円 | 9,992千円 | 11,000千円 |
| 安全・健康 | 有給取得率 | 79.0% | 82.8% | 90% |
| コンプライアンス | 研修受講率(管理職) | 93% | 100% | 100% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
オーウイルは、食と環境を軸に事業を展開する商社です。食品原材料の供給と環境関連商材の販売を主軸とし、さらに食品の製造販売も手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、商社として食と環境を中心とした事業を展開しており、主に食品原材料の国内販売及び輸出入取引を行っています。また、環境関連商材の販売も手掛けています。食品メーカーとして取引先のニーズに合わせた商品の開発や提案も行っています。
事業は「卸売事業」と「製造販売事業」の二つのセグメントで構成されています。卸売事業が同社グループの売上高の大部分を占めており、製造販売事業がこれに続いています。特定の顧客への売上集中も見られます。
卸売事業
食品、飲料の製造や保存・加工などに使用されるビタミン類、食品添加物、殺菌乳、野菜果実加工品等の原料や、窒素、珪藻土等の資材を国内外より調達して取引先に販売しています。大手量販店及びコンビニエンスストア向けプライベートブランド飲料製品の販売も行っています。
収益は、食品原材料の販売が主力であり、環境関連ビジネスとして排水浄化プラントや大型シーリングファンの販売・設置も手掛けています。運営は、オーウイル及び子会社の株式会社アクセルテック、J.S.O'will,Inc.が行っています。当連結会計年度は、食品副原料、農産物加工品、乳製品、環境関連商材の販売が好調に推移し、売上高は前期から増加しました。
製造販売事業
魚卵の輸入・加工販売並びに鮮凍魚介類の販売を行っています。また、漬物ガリ生姜の製造販売及びテナント販売も手掛けています。
収益は、魚卵製品や寿司ネタ商材、漬物ガリ生姜の加工販売から得ています。運営は、子会社の株式会社海鮮及びNIITAKAYA U.S.A.INC.が行っています。当連結会計年度は、外食産業の堅調な市場動向を受け、魚卵製品や寿司ネタ商材の販売が増加し、売上高は前期から大きく伸びました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 卸売事業 | 345億円 | 353億円 |
| 製造販売事業 | 46.5億円 | 66.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期間にわたり着実に増加しています。経常利益も同様に増加傾向を示しており、本業での収益力は堅調に推移していることがうかがえます。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度に前期から減少となりました。これは、前期に計上された関係会社株式売却益が当期にはなく、訴訟和解金等の計上があったことによるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 283億円 | 313億円 | 318億円 | 392億円 | 419億円 |
| 経常利益 | 8.3億円 | 8.8億円 | 9.1億円 | 11.5億円 | 12.5億円 |
| 経常利益率 | 2.9% | 2.8% | 2.9% | 2.9% | 3.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.8億円 | 5.8億円 | 6.8億円 | 9.2億円 | 7.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 60.90 | 61.43 | 73.56 | 101.91 | 88.13 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、当連結会計年度に前期から減少しました。従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に減少しています。これは、当連結会計年度に連結子会社が増加したことにより、連結従業員数が大幅に増加したことが影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 460.7百万円 | 305.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 13.7百万円 | 10.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
オーウイルは、本業での資金創出が一時的に投資を上回らない状況にあり、事業拡大のための投資を積極的に行っている段階にあることがうかがえます。財務活動による資金調達も活用しながら、成長に向けた取り組みを進めている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は非製造業のプライム市場平均と比較してやや低い水準にあります。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を上回る水準を示しています。手元資金は前期から減少している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 52.7億円 | 61.3億円 |
| 自己資本比率 | 31.6% | 28.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 19.2% | 14.4% |
| 現金及び預金 | 28.6億円 | 25.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは、売上債権及び棚卸資産の大幅な増加により資金が使用されました。投資活動によるキャッシュフローも、子会社株式の取得による支出が主な要因となり、資金が使用されています。その結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金及び長期借入金の借入による収入が主な要因となり、資金を得ています。同社グループは、運転資金や設備投資資金、M&A等の投資資金を金融機関からの借入で調達している状況です。これは、事業拡大に向けた投資を積極的に行いながら、資金を外部から調達していることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △8.3億円 | △11.4億円 |
| 投資CF | 10.2億円 | △6.7億円 |
| 財務CF | 8.3億円 | 13.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.9億円 | △18.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、特定の取引先への依存リスクを認識しています。株式会社伊藤園への販売は、同社グループの売上高に占める割合が15.2%(2026年3月期)となっており、同社の受注動向の変化により取引が縮小される可能性があります。
また、主力マーケットである飲料業界では市場が飽和状態にあり、競争が激化している状況です。今後競争がさらに激化する場合には、収益性が低下する可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、中長期的な成長のために優秀な人材の採用と教育が重要であると認識しています。人材獲得競争の激化等により、相応しい人材の確保が困難になる場合や、人材育成が計画どおりに進まない場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
オーウイルは、食品原材料の安定供給と環境事業を通じて社会貢献を目指す企業です。信頼を第一とし、社員一人ひとりの成長と多様性を尊重する企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「信頼を得るを第一とし、自己研鑽・社業発展に励み、因って社会に貢献するを旨とする」を経営理念としています。この理念のもと、株主、取引先、社員をはじめとするステークホルダーからの信頼構築と社会貢献に努め、長期的な企業価値向上を目指しています。
食品原材料の安定供給を社会的責任と認識し、グローバルな供給拠点を設けています。また、付加価値の高い商品を取り扱うことで他社との差別化を図り、食品業界だけでなく周辺分野での事業展開も推進しています。食と環境を中心としたグローバルコミュニケーションの架け橋となることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念と経営方針を実現するための行動基準として行動指針を定めています。社員には「ゼロをイチにすべく、自ら考え、発想し、行動し、結果を出す」ことや、「和を尊重し、仲間に関心を持ち、お互いに協力しあうことを徹底する」ことが求められます。
また、「他責ではなく、自責の念を持って行動する」こと、「できない理由ではなく、できる方法を考え、効率を意識し For the Company の視点で積極的にチャレンジする」こと、そして「高い倫理観を持ち、社会人としての良識を持って行動する」ことを重視しています。これらの行動指針に基づき、経営者マインドをもって企業価値向上に尽力する人材の育成を基本方針としています。
同社グループは、全ての社員が能力を十分に発揮し、やりがいを持って生き生きと働くことができる社内環境の整備に努めています。心理的安全性の高い組織風土の醸成を目指し、役職の上下関係なく自由に意見を言える環境を維持しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、企業価値向上と社会的責任を果たすために複数の課題に取り組んでいます。事業基盤の強化として、品質管理体制と安定供給体制を整え、顧客ニーズを多面的に把握した付加価値の高い提案を行う営業体制を構築しています。
海外事業の推進と新規事業の創出にも注力しており、海外子会社の組織体制強化やグループ間連携を通じて新たな営業機会の創出と業容拡大を図っています。既存事業で培ったノウハウを基軸に、親和性の高い事業開発や新規主力商材の確立、M&Aや事業提携も積極的に検討しています。
サステナビリティ経営の推進も重要な課題であり、フードサプライの強化、環境負荷低減、ガバナンス強化、人材育成などの重点活動を推進しています。また、人材開発の強化と組織力の向上を目指し、多様な人材の採用とダイバーシティ推進、研修制度をはじめとした人事制度の整備に注力しています。デジタル技術の活用推進と業務効率化も進めており、DX推進による業務プロセスの最適化や生成AI、営業支援システムの活用に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
オーウイルは、「信頼を得るを第一として、自己研鑽・社業発展に励み、因って社会に貢献するを旨とする」という経営理念のもと、企業価値の向上を目指しています。
経営の透明性、公平性の確保と監督機能の強化に努め、監査等委員会設置会社としてコーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
オーウイルの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるビアンナです。
複数の事業会社や投資組合、そして従業員持株会が上位株主として名を連ねています。
多様な主体によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ビアンナ | 10.31% |
| グリーンコア | 8.31% |
| サンワ電化阿久比 | 6.65% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 5.40% |
| 小口 八穗子 | 4.21% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。
代表取締役社長は伊達一紀氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊 達 一 紀 | 代表取締役社長 | 1997年4月同社入社、2007年6月取締役、2019年6月代表取締役社長より現職。 |
| 青 柳 あゆみ | 専務取締役 管理本部長 | 1993年10月同社入社、2012年6月取締役、2024年4月専務取締役より現職。 |
| 吉 井 健 一 | 専務取締役 | 2005年8月同社入社、2019年6月取締役、2025年6月専務取締役より現職。 |
| 佐 伯 洋 司 | 常務取締役 営業本部長 | 1996年7月同社入社、2019年6月取締役、2022年6月常務取締役営業本部長より現職。 |
| 飯 田 裕 之 | 取締役 環境事業担当 | 2009年4月同社入社、2021年6月執行役員、2024年6月取締役より現職。 |
社外取締役は、廣田哲治氏(公認会計士・監査等委員)、久塚智明氏(㈱FBTプランニング代表取締役社長・監査等委員)、小宮憲氏(弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、議決権を有する社外取締役が監査・監督を行うことで取締役会の監督機能強化を図っています。
社外取締役は独立した立場から経営の意思決定を監督し、取締役の業務遂行を監視しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
オーウイルの役員報酬は、月例の固定報酬を基本としています。
これに加えて、企業価値の持続的な向上と株主との価値共有を目的とした譲渡制限付株式報酬が導入されています。
報酬額は、役位や職責、業績、株価推移などを総合的に勘案して決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.7億円 | 28.1百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 20百万円 | 6.6百万円 |
当事業年度における役員報酬等の総額は1.9億円であり、対象となる役員の総数は9名です。
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