ジオリーブグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジオリーブグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジオリーブグループはスタンダード市場上場。主たる業務として住宅資材販売事業を展開。第17期連結業績は、売上高1,858億円、経常利益30億円と増収増益を達成。マンションリノベ関連事業や非住宅木構造分野への取組みを強化するとともに、企業変革力を高め持続的な企業価値の向上を目指しています。


※本記事は、ジオリーブグループ株式会社の有価証券報告書(第17期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジオリーブグループってどんな会社?


住宅資材販売を中心として、物流、建築・工事請負、不動産事業等を営む企業グループです。

(1) 会社概要


1923年9月にベニア専門のベニア商会を開業したことが始まりです。2009年10月にジューテックが単独株式移転により同社を設立し、ジャスダックに上場しました。2023年9月に現在の社名へ商号変更しています。近年は増田住建、ひらいホールディングス、井桁藤、スミリンサッシセンターを完全子会社化するなどM&Aを推進しています。

従業員数は連結で1,870名、単体で91名です。筆頭株主はベニア商会で、第2位は創業者の足立建一郎氏です。第3位には社員持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
ベニア商会 27.19%
足立建一郎 7.80%
ジオリーブグループ社員持株会 6.09%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は植木啓之氏です。社外取締役は3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
足立建一郎 代表取締役会長 1980年4月住友商事入社。1985年7月ジューテック入社。1994年3月同社代表取締役社長。2009年10月同社代表取締役社長。2022年6月より現職。
植木啓之 代表取締役社長 1982年4月三井物産入社。2013年6月三井住商建材代表取締役社長。2019年4月同社入社。2020年6月同社代表取締役副社長。2022年6月より現職。
岩瀬裕道 常務取締役グループ事業統括部、情報システム部担当 1984年4月東京海上火災保険入社。2020年1月同社入社。2021年6月同社常務取締役財務経理部、審査法務部、情報システム部担当。2026年6月より現職。
今川毅 取締役財務経理部、審査法務部、内部統制室担当 兼 財務経理部長 1984年4月三井物産入社。2020年6月三井石油開発出向 取締役執行役員 CFO。2021年7月同社入社。2023年4月より現職。
花上稔 取締役 1977年4月松下電工入社。2014年10月ジューテック入社。2019年4月同社代表取締役社長。2019年6月同社取締役となり、2026年4月より現職。


社外取締役は、佐藤誠(元住友三井オートサービス社長)、定金生馬(元マックグレゴー・ジャパン社長)、山上圭子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「住宅資材販売」および「その他」の事業を展開しています。

(1) 住宅資材販売事業


合板、建材、住宅設備機器などの住宅関連資材を、日本各地の建材販売店、工務店および建築関連業者向けに販売しています。また、ホームセンター向けのDIY商品の卸売なども手がけています。

収益源は、顧客である建材販売店や住宅会社への商品販売代金です。また、当住宅関連業界の慣行として、仕入高等に応じた仕入割戻し(リベート)の受け入れもあります。事業の運営は、主にジューテック、グリーンハウザーなどの子会社が行っています。

(2) その他の事業


主に一般貨物の運送を行う物流事業、建築・工事請負業、情報システムの賃貸および不動産事業などを営んでいます。

収益源は、物流や請負工事に関する代金や、システム賃貸・不動産賃貸に伴う賃貸料などです。運営は、ジーエル運輸やジューテックホームなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が1,600億円台から1,800億円台で推移し、直近では増収を記録しています。経常利益率も1〜2%台を安定して維持しており、堅実な事業運営がうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,726億円 1,828億円 1,663億円 1,761億円 1,858億円
経常利益 38億円 44億円 39億円 27億円 30億円
利益率(%) 2.2% 2.4% 2.4% 1.5% 1.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 8億円 8億円 19億円 32億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は増加し、売上総利益率も改善しています。これに伴い営業利益も増加傾向にあり、本業の収益性が高まっていることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,761億円 1,858億円
売上総利益 234億円 259億円
売上総利益率(%) 13.3% 13.9%
営業利益 18億円 21億円
営業利益率(%) 1.0% 1.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料が72億円(構成比30%)、運賃及び荷造費が29億円(同12%)、賞与引当金繰入額が14億円(同6%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金で投資と借入金の返済を賄っている健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 23億円 36億円
投資CF -22億円 -5億円
財務CF 19億円 -51億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は26.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人と自然が共栄する、次代の生き方をつくる。」というグループパーパスを掲げています。次代に向けて変化を的確に捉えた事業を展開するとともに、持続的に企業価値を向上させていくことを経営の基本方針としています。また、人・社会・地球との共生を通じ、持続可能な社会の実現に寄与していくことをサステナビリティ基本方針に定めています。

(2) 企業文化


同社グループは、年齢や性別等に関わらず多様な人材が最大限に活躍できる機会を提供するための施策を実施しており、多様な人材が活躍する組織風土を醸成し、従業員エンゲージメントを高めることを重視しています。

(3) 経営計画・目標


経営基盤の強化および財務体質の強化の観点から、売上高、売上総利益率、営業利益率、経常利益率を重要な指標としており、常に適正な数値を確保することを目標としています。また、これらの指標を意識しながら、コスト削減に徹し効率経営に努めています。

(4) 成長戦略と重点施策


5ヶ年の中期経営計画テーマ「Dynamic Capability 2.0 企業変革力を強化し、次代を切り拓く企業グループの基盤をつくる。」に基づき、新たな事業領域を育成し既存領域の強化・変革を図っています。

* 脱炭素社会に向けた非住宅木構造事業やエネルギー関連事業の強化
* マンションリノベ関連事業や新築ビルダー向け事業の強化
* AI活用やDX推進等による販売店向け卸売業の強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


最大の経営資本である社員の人権や個性を尊重し、時代に合った多様な働き方が実践できる職場環境を整備しています。持続的な企業価値向上に向けて、経営人材育成プログラムをはじめ各職種・階層にあった研修等の拡充を図り、性別・年齢等に関わらず多様な人材の能力を最大限に引き出すとともに、環境変化に対応しうる人材を育成する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.8歳 11.2年 6,906,000円


※平均年間給与の算定にあたっては、ジューテックにおける勤続年数を通算しています。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.9%
男性育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 59.6%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 53.8%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 106.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ジオリーブ大学受講者率(94.3%)、有給休暇取得率(59.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業種的リスクと市場動向への依存


主力である住宅関連資材の販売は、新設住宅着工戸数の増減や住宅関連政策等の市場動向に左右されます。住宅需要並びに住宅関連資材需要が低迷した場合には、同社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 与信リスク


販売先である日本各地の建材販売店や工務店の経営状況が悪化した場合、突発的な不良債権の発生等により貸倒れとなる可能性があります。同社では各販売先に対して与信枠を設け、定期的なモニタリングを実施してリスク管理を行っています。

(3) 特有の取引慣行に係るリスク


住宅関連業界の慣行として、仕入高等に応じた仕入割戻し(リベート)があり、その受け入れ状況によっては業績等に影響を及ぼす可能性があります。適正価格による販売に徹するほか、売上総利益率の向上や経費削減に努め、影響の低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。