※本記事は、ジオリーブグループ株式会社 の有価証券報告書(第16期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジオリーブグループってどんな会社?
住宅資材販売を中核に、物流や工事請負、IT事業などを展開する「住空間」の総合商社グループです。
■(1) 会社概要
1923年にベニア商会として創業し、2002年に丸長産業と合併してジューテックへ商号変更しました。2009年に単独株式移転により持株会社である同社を設立し上場を果たしました。2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行した後、2023年に現社名であるジオリーブグループへ商号変更しています。
同社グループは連結従業員1,511名、単体83名の体制です。筆頭株主は創業家資産管理会社の株式会社ベニア商会で27.19%を保有しています。第2位は代表取締役会長の足立建一郎氏、第3位は従業員持株会となっており、創業家と従業員が主要株主として安定的な株主構成を形成しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ベニア商会 | 27.19% |
| 足立 建一郎 | 7.80% |
| ジオリーブグループ社員持株会 | 5.67% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は植木啓之氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 足立 建一郎 | 代表取締役会長 | 1980年住友商事入社。1985年ジューテック入社。1994年同社社長を経て、2009年同社社長に就任。2022年6月より現職。 |
| 植木 啓之 | 代表取締役社長 | 1982年三井物産入社。三井住商建材社長、SMB建材会長などを歴任。2019年同社入社、副社長を経て2022年6月より現職。 |
| 岩瀬 裕道 | 常務取締役グループ事業統括部、情報システム部、DX推進室担当 | 1984年東京海上火災保険入社。同社業務品質部専門部長などを経て、2020年同社入社。2021年常務取締役就任。2025年4月より現職。 |
| 今川 毅 | 取締役財務経理部、審査法務部、内部統制室担当 兼 財務経理部長 | 1984年三井物産入社。同社ニューヨーク本店SVP & CFOなどを経て、2021年同社入社。2023年4月より現職。 |
| 花上 稔 | 取締役 | 1977年松下電工入社。2014年ジューテック入社、2019年同社社長就任。2019年6月より現職。 |
社外取締役は、佐藤誠(元住友三井オートサービス社長)、定金生馬(元マックグレゴー・ジャパン社長)、山上圭子(弁護士・元検事)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住宅資材販売」および「その他」事業を展開しています。
■住宅資材販売事業
合板、建材、住宅設備機器、DIY商品などを国内の建材販売店、住宅会社、ホームセンター等へ販売しています。主力事業としてグループ売上の大半を占めており、独自の強みを持つ専門商社として活動しています。
収益は、顧客への商品販売による代金回収が主となります。運営は主に中核子会社である株式会社ジューテックが行っているほか、株式会社グリーンハウザー、ジオフィット株式会社、株式会社イワベニなどの地域子会社も担っています。
■その他事業
住宅資材販売以外の関連事業として、一般貨物運送等の物流事業、建築・工事請負業、情報システムの賃貸、不動産事業などを展開しています。グループ全体のバリューチェーンを補完する役割を果たしています。
収益は、運送サービスの提供、建築工事の請負代金、システム利用料、不動産賃貸料などから構成されます。運営主体は、物流をジーエル運輸株式会社、建築工事をジューテックホーム株式会社、システム事業をオフィスオペレーション株式会社などがそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績を見ると、売上高は増減を繰り返しながらも1,700億円前後で推移しています。直近では増収となりました。利益面では、経常利益率は1〜2%台で推移しており、変動が見られます。当期利益については、直近で増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,726億円 | 1,828億円 | 1,663億円 | 1,761億円 |
| 経常利益 | 38億円 | 44億円 | 39億円 | 28億円 |
| 利益率(%) | 2.2% | 2.4% | 2.4% | 1.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 8億円 | 8億円 | 19億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しましたが、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は減少しました。売上総利益率は若干改善していますが、営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,663億円 | 1,761億円 |
| 売上総利益 | 205億円 | 234億円 |
| 売上総利益率(%) | 12.3% | 13.3% |
| 営業利益 | 22億円 | 19億円 |
| 営業利益率(%) | 1.3% | 1.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が61億円(構成比29%)、運賃及び荷造費が28億円(同13%)を占めています。売上原価は商品仕入が主要な要素です。
■(3) セグメント収益
住宅資材販売事業が売上の大半を占めており、直近では増収となりました。その他事業も売上を伸ばしています。全体として増収基調ですが、主力の住宅資材販売の動向が全体の業績を左右する構造となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 住宅資材販売 | 1,611億円 | 1,696億円 |
| その他 | 52億円 | 65億円 |
| 連結(合計) | 1,663億円 | 1,761億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ジオリーブグループは、積極的なM&Aによる事業基盤強化と、住宅請負事業における高い居住性能評価を背景に、売上高を伸ばしました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少により増加しました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得による支出が主な要因となり減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が支出を上回ったことで増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 31億円 | 23億円 |
| 投資CF | 11億円 | -22億円 |
| 財務CF | -11億円 | 19億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「住空間」を事業ドメインとし、「人と自然が共栄する、次代の生き方をつくる。」というグループパーパスを掲げています。住宅関連業界において独自の強みを持つ企業として、人・社会・地球との共生を通じ、持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。
■(2) 企業文化
「消費者・生活者」の視点に立ってビジネスに取り組むことを経営の基本方針としています。常に顧客最適に徹した営業活動を行うとともに、サステナビリティへの取り組みを重視し、地球環境保全や豊かな暮らしの実現、多様性を認め合う職場環境の整備を推進する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
2024年3月期から2026年3月期までの3ヶ年の中期経営計画を策定しています。経営環境の変化に柔軟に対応し、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、売上高、売上総利益率、営業利益率、経常利益率を重要な経営指標として設定し、適正な数値の確保を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「企業変革力の向上」をテーマに、事業基盤の強化、ビジネスフレームワークの進化、事業ポートフォリオの最適化に取り組みます。具体的には、DX推進による業務効率化、工事・物流機能の強化による「コト売り」への転換、成長分野への投資、M&Aやアライアンスの推進を行います。
* M&Aやアライアンスの推進
* DX推進による業務・物流の効率化
* 工事施工・管理能力の向上
* ECサイト販売やプライベートブランド商品の強化
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
最大の経営資本は「社員」であると認識し、年齢や性別に関わらず多様な人材が活躍できる機会を提供することを方針としています。若手・女性の活躍推進、シニア人材の活用、研修・資格制度の見直し等を通じ、人材マネジメントを強化しています。また、エンゲージメント向上に向けた職場環境の整備にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.7歳 | 12.0年 | 6,398,000円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.6% |
| 男性育児休業取得率 | 35.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.0% |
| 男女賃金差異(正規) | 53.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 74.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ジオリーブ大学受講者率(77.7%)、有給休暇取得率(52.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 住宅市場の動向
取扱商品の大半が住宅関連資材であるため、新設住宅着工戸数の減少等の市場動向の影響を受けます。人口減少や少子高齢化、金利上昇懸念等により住宅需要が低迷した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、リノベーション部門の強化や非住宅分野への展開を図っています。
■(2) 与信リスク
主要な販売先である建材販売店や工務店等の経営状況が悪化した場合、貸倒れが発生する可能性があります。各販売先に対して与信枠を設定し、決算書類や信用調査情報をもとに定期的にモニタリングを行うなど、債権管理体制を強化しています。
■(3) 特有の取引慣行に係るリスク
業界特有の商慣行として仕入割戻し(リベート)があり、その受入状況が業績に影響を与える可能性があります。受け入れ時期の偏りなどによる変動要因に対し、適正価格販売の徹底や売上総利益率の改善、コスト削減に努めることで影響の低減を図っています。
■(4) 相場変動及び為替変動リスク
合板や木材など、相場や為替の影響を受けやすい商品を取り扱っています。急激な変動により価格転嫁が困難な場合や在庫評価損が発生する可能性があります。情報収集の強化や適正仕入、先物為替予約の活用などによりリスク軽減に努めています。



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