#記事タイトル:シーボン転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社シーボン の有価証券報告書(第60期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シーボンってどんな会社?
化粧品メーカーでありながら直営サロンを持つ「製販一体」のビジネスモデルが特徴。
■(1) 会社概要
1966年にシーボン化粧品として設立。1986年に直営店を会員制サロン「シーボン・ビューティスタジオ」として展開を開始しました。2009年にジャスダック証券取引所へ上場し、2012年には東京証券取引所市場第二部に上場しました。2024年には品質・安全性に関する国際規格「ISO22716」認証を取得しています。
連結従業員数は716名(単体711名)。筆頭株主は代表取締役会長の犬塚雅大氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行(三菱UFJ銀行)です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 犬塚 雅大 | 17.13% |
| 株式会社三菱UFJ銀行 | 2.80% |
| シーボン従業員持株会 | 2.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性4名の計10名で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役社長は崎山一弘氏。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 崎山 一弘 | 代 表 取 締 役社 長執 行 役 員 | 1985年入社。執行役員営業本部直販営業部長などを経て、2021年より現職。 |
| 犬塚 雅大 | 代 表 取 締 役会 長 | 1978年入社。美容部長、営業部長、取締役副社長、代表取締役社長を経て、2021年より現職。 |
| 菅原 桂子 | 取 締 役執 行 役 員事 業 本 部責 任 者 | 1993年入社。エリア長、直販営業部営業部長、執行役員などを経て、2021年より現職。 |
| 堀住 輝 男 | 取 締 役執 行 役 員商品開発本部責 任 者 | 花王を経て2017年入社。商品開発本部執行役員などを経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、岩田 功(元三陽商会代表取締役社長)、山田奈央子(シルキースタイル代表取締役)、大杉春子(レイザー代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「化粧品関連事業」および「その他」事業を展開しています。
**(1) 化粧品関連事業(直営店舗・通信販売・代理店)**
自社工場で製造したスキンケア製品を中心とする化粧品・医薬部外品を販売しています。主力の「フェイシャリストサロン」では、製品購入者に対し肌チェックや東洋式トリートメント等のアフターサービスを提供します。顧客は主に美と健康に関心の高い女性層です。
収益は、顧客からの製品購入代金およびサロンでの施術サービス料等からなります。また、通信販売や代理店を通じた販売も行っています。運営は主にシーボンが行っていますが、一部の製造や販売は子会社が担当しています。
**(2) その他**
美容室の運営や、不動産賃貸等の事業を行っています。
収益は、美容室の利用料や不動産賃貸料等からなります。運営はシーボンおよびグループ会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は90億円前後で推移していましたが、一時は85億円台まで減少しました。直近では回復基調にあり88億円となっています。利益面では赤字の期もありましたが、直近では営業黒字および最終黒字を確保し、回復傾向を示しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 91.0億円 | 91.5億円 | 85.3億円 | 85.0億円 | 88.4億円 |
| 経常利益 | -5.1億円 | 3.0億円 | -1.3億円 | 0.4億円 | 1.7億円 |
| 利益率(%) | -5.6% | 3.3% | -1.5% | 0.5% | 1.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -6.2億円 | 0.5億円 | -4.2億円 | 0.3億円 | 1.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加し、売上総利益率も改善しています。販管費は増加していますが、増収効果により営業利益は大幅に増加しました。収益性の向上が見られます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 85.0億円 | 88.4億円 |
| 売上総利益 | 64.0億円 | 67.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 75.3% | 76.3% |
| 営業利益 | 0.3億円 | 1.7億円 |
| 営業利益率(%) | 0.3% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が25億円(構成比38%)を占めています。
■(3) セグメント収益
直営店舗における売上高が増加しました。これは新規顧客への売上が伸長したことや、ポイント消化施策による契約負債の減少(役務収益の計上)が寄与しています。通信販売や代理店販売は横ばいまたは微減となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 直営店舗 | 78.5億円 | 83.0億円 |
| 通信販売 | 2.9億円 | 2.7億円 |
| 国内代理店 | 1.5億円 | 1.4億円 |
| 海外代理店 | 0.5億円 | 0.2億円 |
| その他 | 1.7億円 | 1.0億円 |
| 連結(合計) | 85.0億円 | 88.4億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.8億円 | -0.4億円 |
| 投資CF | -5.8億円 | -8.5億円 |
| 財務CF | -0.3億円 | -0.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「美を創造し、演出する」という企業理念を掲げています。スキンケア製品の研究開発・製造・販売にとどまらず、直営サロンでの肌カウンセリングや東洋式トリートメント等のアフターサービスを提供し、顧客に寄り添い共に美しさを育むことで、他社との差別化を図ることを目指しています。
■(2) 企業文化
社員一人ひとりが「自分らしく」輝くために、お互いの個性や多様性を尊重できる風土と、新しいことにチャレンジできる風土の醸成を目指しています。「シーボン サステナビリティ宣言」のもと、全てのステークホルダーから信頼を得られる企業となるため、健全性・透明性の高い経営を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
継続的な事業の拡大を通じて、企業価値と企業体力を高めていくことを経営の目標としています。経営指標としては、事業および企業の収益力を表す各利益項目を重視し、特に売上高、営業利益および経常利益の増額を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
再成長に向けた中期経営計画のもと、「製品価値向上」「サロン価値向上」「新しい価値の創造」に取り組んでいます。製品面では独自技術の明確化やスターアイテムの育成、サロン面では新規顧客開拓とロイヤルカスタマー醸成、人材確保のための待遇改善を推進しています。また、ヘア事業の拡大や海外販路の見直しも進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を事業拡大の中核と位置づけ、「働きやすさ」と「働きがい」のある職場づくりを推進しています。社員が自己研鑽できる研修の充実や、ライフステージに寄り添った柔軟な勤務制度を整備するとともに、成果を公正に評価する制度を導入し、優秀な人材の確保と定着、エンゲージメントの向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.7歳 | 12.4年 | 4,412,264円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 86.3% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 110.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一人当たり月平均所定時間外労働(13.5時間)、年次有給休暇取得率(69.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 集客活動の効率性低下
イベントプロモーションやWeb広告等を通じた新規顧客の獲得が事業の鍵となっています。イベントプロモーションが集客の多くを占めているため、その集客力が低下した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 販売チャネルの偏重
売上の9割以上を直営店舗が占めています。デジタル化等による消費者の購買行動の変化に対し、チャネル整備が遅れた場合、影響を受ける可能性があります。SNS等を活用した情報発信や、新チャネルの拡充を進めています。
■(3) アフターサービスの質
製品購入に応じたポイントでアフターサービスを提供するモデルを採用しており、これが顧客ロイヤルティの源泉です。サービスの質の低下により顧客離れが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。科学的検証等により差別化を図っています。
■(4) 人材の確保と定着
製販一体のモデルであり、自社工場での製造やフェイシャリストによるサービス提供には人材が不可欠です。採用難や離職により必要な人員を確保できない場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。待遇改善や柔軟な勤務制度の導入等に取り組んでいます。



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