※本記事は、株式会社パピレス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、スマートフォンやタブレット、PCなどの情報端末向けに電子書籍のネットワーク配信販売を主たる業務としています。また、IP制作の事業活動も展開しています。
単体従業員数は130名、連結従業員数は172名です。セグメントは電子書籍事業、IP制作事業の2つです。
主な国内グループ会社は、ネオアルド(電子書籍・事業)、JadeComiX(IP制作事業)などです。
同社グループは、セガサミーホールディングス株式会社との合弁会社であるJadeComiX株式会社を中心に、IP制作事業を強化しています。フルカラー縦スクロールコミックレーベル「ZETooN」を立ち上げ、オリジナルコンテンツIPの開発に取り組んでいます。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社パピレスは、電子書籍事業を主軸とする企業であり、デジタルコンテンツの普及と発展を推進しています。同社グループでは、従業員の成長と多様性を重視し、働きやすい環境づくりに力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的若く、平均勤続年数も一定の期間を示しています。これは、若手人材が活躍しつつも、キャリアを継続しやすい環境があることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,179,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.3年 |
| 平均年齢 | 34.5歳 |
| 単体従業員数 | 130人 |
| 連結従業員数 | 172人 |
| 単体のグループ内比率 | 75.6% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「将来、世界一になる可能性のある仕事をしよう」「楽しいと思える仕事をしよう。楽しくないならば、仕事か自分を変えよう」「経済的にいくぶんかの利益が得られ、継続できる仕事をしよう」という経営理念を軸に、その価値観に共感し、主体的に体現できる人材の確保と育成を基本方針としています。進化し続ける電子書籍市場において、海外展開を積極的に推進するため、デジタル変革に対応できるIT人材や異文化理解を備えた多様な人材の確保も重要な課題と位置付けています。
従業員の給与その他の給付は、取締役会が決議した給与規程等に基づき決定されます。基本給与や賞与のほか、ストックオプション等を付与することで、従業員の企業価値創出や業績向上への貢献意識を高め、経営と従業員の利害共有を促進しています。評価および改定については、半年周期の業績評価制度により個人の貢献度を審査し、給与規程に基づき給与額および役職の改定を実施することで、従業員のモチベーションと生産性向上を図る運用を行っています。
人的資本を重要な経営資本と認識しており、人材の多様性の確保と人材育成の強化を進めるために、企業価値の持続的な成長が実現できるような人材育成および社内環境整備の方針を定めています。具体的には、構成比目標を踏まえた採用を実施し、OJTと外部セミナー等を通じてリーダー的な業務教育や管理業務教育を実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。なお、パート・有期労働者の男女賃金の額の差異は対象者なしのため記載されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 23.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 89.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 89.6% |
多様性・登用
連結グループにおける主要な事業を営む提出会社の数値を記載しています。
| 指標 | 目標 | 実績(2026年3月31日現在) |
|---|---|---|
| 女性(管理的地位にある労働者の構成比) | 30%超 | 23.1% |
| 外国人(管理的地位にある労働者の構成比) | 20%超 | 15.4% |
| 中途採用(管理的地位にある労働者の構成比) | 50%超 | 100.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社パピレスは、主にスマートフォンやタブレット、PCなどの情報端末向けに、ネットワークを通じて電子書籍を販売する事業を展開しています。さらに、オリジナルコンテンツの制作を行うIP制作事業も手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、電子書籍の販売を主軸とし、コンテンツ制作にも注力しています。収益は、主にユーザーへの電子書籍コンテンツの提供から得られる利用料と、自社制作IPコンテンツのロイヤリティ収入によって構成されています。国内市場が収益の大部分を占める一方で、英語圏や中国語圏を中心とした海外展開にも積極的に取り組んでいます。
電子書籍事業
電子書籍事業では、スマートフォン、タブレット、PC等の情報端末向けに、ネットワーク配信による電子書籍コンテンツの販売を行っています。同社グループが運営する電子書籍販売サイトでユーザーにコンテンツを提供し、利用料を収益としています。この事業は、同社グループの売上高の大部分を占める主要な事業となっています。運営は、株式会社ネオアルド、巴比楽視網路科技股份有限公司、Papyless Global,Inc.、PAPYLESS HONG KONG CO.,LTD.、アルド・エージェンシー・グローバル株式会社などが行っています。
IP制作事業
IP制作事業では、主にオリジナルコンテンツの制作を行っています。制作したIPコンテンツを販売または利用する事業者に提供し、ロイヤリティを収益としています。この事業は、セガサミーホールディングス株式会社との合弁会社であるJadeComiXが中心的な役割を担い、フルカラー縦スクロールコミックレーベル「ZETooN」を立ち上げてオリジナルコンテンツIPの開発に取り組んでいます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。一方で、経常利益は前期の損失から当期は利益に転換し、親会社株主に帰属する当期純損失も大幅に縮小しました。営業活動によるキャッシュ・フローも前期のマイナスから当期はプラスに転じています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 207億円 | 186億円 | 172億円 | 158億円 | 147億円 |
| 経常利益 | 12.1億円 | 5.4億円 | 5.4億円 | △2.8億円 | 4.8億円 |
| 経常利益率 | 5.8% | 2.9% | 3.2% | △1.8% | 3.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.5億円 | 6.6億円 | 2.2億円 | △1.6億円 | △4百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 78.18 | 71.75 | 21.96 | △16.95 | △0.48 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期の損失から当期は利益に転換しており、生産性の改善が見られます。これらの指標は、組織全体の効率性や収益体質の変化を示すものとなります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 99.8百万円 | 85.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △2.0百万円 | 0.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
財務の安定性の観点から、同社グループの現在地を示します。当期は営業活動によるキャッシュフローがプラスに転じ、フリーキャッシュフローもプラスとなっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は当期67.1%であり、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は当期△0.0%で、プライム市場平均(9.4%)を下回っています。手元資金である現金及び預金は当期末で108億円となっており、前期から増加しています。これらの財務状況は、同社グループの事業運営における安定性を示すものとなっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 90.3億円 | 89.7億円 |
| 自己資本比率 | 69.8% | 67.1% |
| ROE(自己資本利益率) | △1.7% | △0.0% |
| 現金及び預金 | 101億円 | 108億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが421百万円の獲得となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や前受金の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△3百万円の使用となっています。これは主に、定期預金の預入による支出と払戻による収入によるものです。
財務活動によるキャッシュフローは△87百万円の使用となっており、主に配当金の支払によるものです。これらの結果、フリーキャッシュフローは418百万円のプラスとなっています。本業で資金を生み出し、投資活動を行いつつも、自由に使える資金を確保している状況は、同社グループの安定した事業運営と将来への投資余力があることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △573百万円 | 421百万円 |
| 投資CF | △2百万円 | △3百万円 |
| 財務CF | △1,213百万円 | △87百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △575百万円 | 418百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、電子書籍販売事業において特許等による参入障壁がないため、多数の企業が参入し、競合他社との競争が激化しているリスクを認識しています。また、掲載コンテンツに関する著作権利用料について、契約支払料率の変動や契約更新に支障が生じる可能性があり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
パピレスは、インターネットの進展によるコンテンツ流通革命の中で、顧客満足を追求し、世界規模でのデジタルコンテンツビジネスの展開を目指しています。サステナビリティ経営を推進し、イノベーション創出を通じて社会に貢献する企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、インターネットの進展による世界的なコンテンツ流通革命において、顧客が満足する新しい価値を創造し、世界規模のデジタルコンテンツ提案型ビジネスを目指すことを経営の基本方針としています。高品質なデジタルコンテンツの収集と最適化、販売力の高いオリジナルコンテンツの供給体制構築、デジタルの特長を活かした次世代コンテンツとサービスの開発を通じて、新たな付加価値創出を追求しています。
また、顧客ごとに最適なデジタルコンテンツを提供できるグローバルな販売プラットフォームを構築し、国内および全世界での電子書籍販売高シェア第1位を目指し、グループの価値最大化を図っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、顧客第一主義を経営の基本とし、イノベーションの創出を通じて世界規模でのデジタルコンテンツの普及と発展を推進するサステナビリティ経営に取り組んでいます。人的資本を重要な経営資本と捉え、人材の多様性の確保と育成強化に注力しています。
多様な人材が活躍できる職場環境の構築を目指し、戦略会議を定期的に開催しています。採用においては構成比目標を踏まえた実施を行い、リーダー候補者にはOJTや外部セミナーを通じた業務教育や管理業務教育を実施することで、持続的な企業価値成長を実現できる人材育成と社内環境整備を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、ユーザーが使いやすい総合電子書店サービスを目指し、サイト機能やアプリ、ビューアの利便性向上、顧客サポート強化、AI活用による検索機能のユーザビリティ向上に取り組んでいます。認知度向上に向けては、TVCM等のマス広告やプロモーション強化、SNSを活用したユーザーとの対話機会の増加に努めています。
また、ユーザーに選ばれる電子書籍販売サイトを目指し、運営サイトの統合やオリジナリティの高いサイト構築によるブランド確立を推進しています。IP制作事業では、新規IP創出に向けた体制確立、オリジナルレーベルの認知度向上、世界中で愛されるグローバルIPの創出を重点テーマとしています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
パピレスは、社内取締役と社外取締役で構成される取締役会と、全員が社外監査役である監査役会を設置しています。これにより、経営の意思決定機能と外部からの監視機能のバランスを図る体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
パピレスの株主構成を見ると、筆頭株主は同社の取締役である天谷幹夫氏です。また、代表取締役社長である松井康子氏も上位株主の一人となっています。事業会社であるセガサミーホールディングス株式会社も主要な株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 天谷 幹夫 | 39.49% |
| セガサミーホールディングス | 10.37% |
| 松井 康子 | 2.92% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は松井康子氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松井 康子 | 取締役社長 (代表取締役) | 1995年11月同社入社。2000年6月取締役就任。2012年6月代表取締役社長就任。巴比楽視網路科技股份有限公司代表取締役、Papyless Global,Inc.取締役/CEO、PAPYLESS HONG KONG CO.,LTD.取締役/CEO、アルド・エージェンシー・グローバル株式会社代表取締役社長、JadeComiX株式会社取締役を兼任し、現職。 |
| 福井 智樹 | 専務取締役 仕入部門統括 | 1995年11月同社入社。2002年6月取締役就任。2015年6月専務取締役就任。仕入部門統括を兼任。株式会社ネオアルド代表取締役社長、アルド・エージェンシー・グローバル株式会社取締役、巴比楽視網路科技股份有限公司取締役、JadeComiX株式会社代表取締役社長を兼任し、現職。 |
| 天谷 幹夫 | 取締役 アドバイザー | 1974年3月富士通株式会社入社。1995年3月同社設立、代表取締役社長就任。2012年6月取締役会長就任。2025年6月アドバイザー就任。巴比楽視網路科技股份有限公司取締役、Papyless Global,Inc.取締役、PAPYLESS HONG KONG CO.,LTD.取締役を兼任し、現職。 |
| 岡田 英明 | 取締役 販売部門統括兼システム管理部長 | 1997年4月国土情報開発株式会社入社。2000年11月同社入社。2008年6月取締役就任。販売部門統括兼システム管理部長を兼任。Papyless Global,Inc.取締役を兼任し、現職。 |
| 須永 喜和 | 取締役 管理部門統括兼総務・経理部長 | 1990年4月株式会社太平洋銀行入行。2007年10月同社入社。2012年6月取締役就任。管理部門統括兼総務・経理部長を兼任。Papyless Global,Inc.取締役/CFO、PAPYLESS HONG KONG CO.,LTD.取締役、巴比楽視網路科技股份有限公司監査役、JadeComiX株式会社取締役を兼任し、現職。 |
社外取締役は、今田公久氏(ビットキャッシュ取締役)、三竹兼司氏(ナレッジピースエグゼクティブアドバイザー)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役2名と社外監査役3名を選任することで、経営の意思決定機能と業務執行に対する外部からの監視機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
パピレスの役員報酬は、基本報酬と株式報酬で構成されています。基本報酬は、同社グループの中長期的な業績向上と企業価値増大に貢献できるよう、取締役会で決定されています。株式報酬は、株主総会の決議に基づき、取締役全員に対して付与株数が定められています。業績連動報酬は導入されていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.5億円 | 29.2百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 18百万円 | 2.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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