#ミライト・ワン転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社ミライト・ワン の有価証券報告書(第15期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ミライト・ワンってどんな会社?
通信インフラ建設を基盤に、環境・社会イノベーションやICTソリューションなど多角的に事業を展開するエンジニアリング企業グループです。
■(1) 会社概要
2010年10月、大明、コミューチュア、東電通の3社による経営統合で設立されました。2012年10月には子会社合併によりミライトおよびミライト・テクノロジーズが発足しました。2022年7月には事業持株会社へ移行するとともに、これら2社を吸収合併し、現商号であるミライト・ワンへ変更しました。2023年12月には国際航業を連結子会社化し、事業領域を拡大しています。
同社グループの従業員数は連結17,115名、単体3,619名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行の日本マスタートラスト信託銀行で、第2位も同様に日本カストディ銀行です。第3位は事業会社であり、主要な取引先でもある住友電気工業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.52% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.10% |
| 住友電気工業 | 4.07% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性3名の計13名で構成され、女性役員比率は23.0%です。代表取締役社長は中山 俊樹氏です。社外取締役比率は38.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中山 俊樹 | 代表取締役社長 | NTTドコモ代表取締役副社長などを経て、2018年ミライト(現 同社)代表取締役社長、同社代表取締役副社長に就任。2022年7月より現職。 |
| 菅原 英宗 | 代表取締役副社長執行役員 | NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長副社長執行役員などを経て、2024年6月より現職。 |
| 遠竹 泰 | 代表取締役専務執行役員 | 西日本電信電話常務取締役設備本部ネットワーク部長、ミライト・テクノロジーズ(現 同社)代表取締役社長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 宮﨑 達三 | 取締役専務執行役員 | ミライト・テクノロジーズ(現 同社)取締役専務執行役員ソリューション事業推進本部長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 髙屋 洋一郎 | 取締役専務執行役員 | NTTコミュニケーションズ取締役第三営業本部長、ミライト(現 同社)取締役常務執行役員ソリューション事業本部長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 脇本 祐史 | 取締役常務執行役員 | mmbi(現 NTTドコモ)代表取締役社長、ミライト(現 同社)常務執行役員関西支店長などを経て、2022年7月より現職。 |
| 三ツ矢 高章 | 取締役常務執行役員 | 西日本電信電話四国事業本部長兼愛媛支店長、ミライト(現 同社)執行役員などを経て、2023年6月より現職。 |
| 瀬尾 真二 | 取締役監査等委員 | 大明(現 同社)入社後、ミライト(現 同社)取締役常務執行役員などを経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、山本 眞弓(弁護士)、瓦谷 晋一(VistaNet取締役会長)、塚﨑 裕子(大正大学教授)、勝丸 千晶(公認会計士)、早川 治(元関東管区警察局長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ミライト・ワン」、「ラントロビジョン」、「TTK」、「ソルコム」、「四国通建」、「西武建設」、「ミライト・ワン・システムズ」、「国際航業」の報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
■ミライト・ワン
通信インフラ建設工事、電気・空調工事、土木・水道工事などを手掛けています。主要顧客はNTTグループや通信キャリア、官公庁、一般企業です。環境・社会イノベーション事業やICTソリューション事業も展開しています。
収益は主に顧客からの工事請負代金やシステム開発費等から得ています。運営は主にミライト・ワンが行っています。2025年1月にグループ会社5社を合併するなど、事業運営体制の効率化を進めています。
■ラントロビジョン
シンガポールを中心に、アジア太平洋地域でLAN配線等の設計・施工・保守・コンサルティング及び機器販売を行っています。データセンター関連の需要が拡大しています。
収益は顧客からの工事代金や機器販売代金等から得ています。運営はLantrovision (S) Ltdおよびその子会社群が行っています。
■TTK
東北エリアを中心に、情報通信エンジニアリング事業を展開しています。通信キャリア向けの設備工事や、自治体向けの公共工事などを手掛けています。
収益は通信キャリアや自治体等からの工事請負代金から得ています。運営はTTKが行っています。
■ソルコム
中国エリアを中心に、情報通信エンジニアリング事業を展開しています。通信キャリア向けの工事に加え、太陽光や蓄電所工事、道路情報化工事などの非キャリア事業も拡大しています。
収益は通信キャリアや一般企業、官公庁からの工事請負代金から得ています。運営はソルコムが行っています。
■四国通建
四国エリアを中心に、情報通信エンジニアリング事業を展開しています。通信事業における光設備工事や、電線共同溝PFI事業への参画などを行っています。
収益は通信キャリアや官公庁等からの工事請負代金から得ています。運営は四国通建が行っています。
■西武建設
土木、建築およびその他建設工事全般の総合建設事業を展開しています。官公庁や民間の大型案件を手掛けています。
収益は官公庁や民間企業からの工事請負代金から得ています。運営は西武建設が行っています。
■ミライト・ワン・システムズ
ソフトウェア事業の強化、ソフトウェア開発およびシステムインフラの構築・維持を行っています。
収益は顧客からのシステム開発費や保守運用費等から得ています。運営はミライト・ワン・システムズが行っています。
■国際航業
空間情報コンサルティング事業を展開しています。測量、調査、計画、設計等を行い、地理空間情報を活用したソリューションを提供しています。
収益は官公庁や民間企業からのコンサルティング料や測量業務代金等から得ています。運営は国際航業が行っています。
■その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、各社が行う付随的な事業などが含まれます。
収益は各事業におけるサービス提供対価等から得ています。運営はグループ各社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、特に当期は5,786億円と大きく伸長しています。利益面では、一時的な減少も見られましたが、当期は経常利益275億円、当期純利益172億円と回復し、増益を達成しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,637億円 | 4,704億円 | 4,840億円 | 5,184億円 | 5,786億円 |
| 経常利益 | 317億円 | 342億円 | 224億円 | 187億円 | 275億円 |
| 利益率(%) | 6.8% | 7.3% | 4.6% | 3.6% | 4.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 123億円 | 144億円 | 680億円 | 46億円 | 98億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高が約602億円増加し、売上総利益率も改善しています。これに伴い、営業利益は約102億円増加しました。販売費及び一般管理費は増加していますが、売上高の伸びがそれを上回っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,184億円 | 5,786億円 |
| 売上総利益 | 618億円 | 849億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.9% | 14.7% |
| 営業利益 | 178億円 | 280億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | 4.8% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が235億円(構成比41%)、減価償却費が38億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントともに概ね堅調ですが、特に国際航業や西武建設といった新規連結子会社を含むセグメントが売上規模に貢献しています。利益面ではミライト・ワンが大きく伸長しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ミライト・ワン | 2,959億円 | 3,022億円 | 67億円 | 153億円 | 5.1% |
| ラントロビジョン | 275億円 | 343億円 | 15億円 | 14億円 | 4.1% |
| TTK | 373億円 | 377億円 | 27億円 | 24億円 | 6.4% |
| ソルコム | 333億円 | 333億円 | 14億円 | 14億円 | 4.2% |
| 四国通建 | 230億円 | 251億円 | 25億円 | 30億円 | 12.1% |
| 西武建設 | 653億円 | 712億円 | 15億円 | 13億円 | 1.9% |
| ミライト・ワン・システムズ | 230億円 | 253億円 | 19億円 | 20億円 | 8.0% |
| 国際航業 | 130億円 | 495億円 | 6億円 | 15億円 | 3.1% |
| 連結(合計) | 5,184億円 | 5,786億円 | 178億円 | 280億円 | 4.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業で得た資金を借入返済や配当支払いに充てつつ、投資も行っています。営業CFはプラスを維持しており、健全な状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 336億円 | 180億円 |
| 投資CF | -555億円 | -94億円 |
| 財務CF | 388億円 | -64億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、Purpose(存在意義)として「技術と挑戦で『ワクワクするみらい』を共創する」を掲げています。また、Mission(社会的使命)として、顧客の期待に応え豊かな社会の実現に貢献すること、技術とビジネスモデルを磨き高い付加価値を創造することなどを定義しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、サステナビリティとコンプライアンスを重視し、社会の信頼に応えることをMissionの一つとしています。また、パートナー会社と協力し合い「みらいのインフラ」を創り守り続けることや、多様な社員がいきいきと働く「魅力的な企業グループ」であり続けることを重視しています。これらを通じて、社会インフラ領域における課題解決に貢献する姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
2026年度を最終年度とする第5次中期経営計画を推進しており、以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:7,200億円以上
* みらいドメイン比率:45%以上
* 営業利益率:6.5%以上
* EBITDA率:8.5%以上
* ROE:10%以上
* EPS年成長率:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「MIRAIT ONE Group Vision 2030」において、「人間中心経営」「事業成長の加速」「利益性トップクラス」「データインサイトマネジメント」「ESG経営基盤強化」の5つの変革(5Changes)を掲げています。特に、街づくり・里づくり、企業DX・GX、グリーンエネルギー、ソフトウェア、グローバル事業を「みらいドメイン」と位置づけ、リソースを結集して成長を加速させる方針です。また、通信基盤ドメインの効率化と生産性向上にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人間中心経営」を柱とし、人材成長による事業成長を目指しています。企業内大学「みらいカレッジ」を活用し、リスキリングやマルチスキル化を推進することで、成長分野である「みらいドメイン」への人材シフトを加速させています。また、多様な人材が活躍できる環境整備や健康経営、「ミライト・ワン流」働き方改革を推進し、エンゲージメント向上に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.2歳 | 16.7年 | 7,251,178円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.4% |
| 男性育児休業取得率 | 91.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 77.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職数(68人)、新卒採用の女性比率(24.0%)、年休取得率(71.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定取引先への依存に関するリスク
同社グループの売上高において、NTTグループをはじめとする通信事業各社の占める割合が高くなっています。そのため、通信事業各社の設備投資動向や技術革新等が業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、通信キャリア事業からソリューション事業への転換や、「みらいドメイン」へのシフトを加速させています。
■(2) 新たな分野への取り組みに関するリスク
新たな分野へのチャレンジにおいて、想定外のリスクが発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社グループでは、個別案件のリスクチェックの徹底や、「ビジネスリスク管理室」の設置により、最適なリスクマネジメントに努めています。
■(3) 安全・品質に関するリスク
重大な事故や品質問題が発生した場合、社会的信用の失墜や営業活動への制約により、業績に影響を及ぼす可能性があります。安全・品質に関する統合マネジメントシステム等を活用し、高品質なエンジニアリングとサービスの提供に向け、グループ一体となって安全・品質管理に取り組んでいます。



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