※本記事は、ウェルネオシュガー株式会社の有価証券報告書(第15期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. ウェルネオシュガーってどんな会社?
砂糖を中心とした食品素材の製造販売と、健康増進を支えるフィットネス事業を展開しています。
■(1) 会社概要
2011年10月に日新製糖と新光製糖が経営統合し設立されました。2022年に東京証券取引所プライム市場へ移行し、2023年には伊藤忠製糖との経営統合により持株会社体制へ移行して現在のウェルネオシュガーに社名を変更しています。2024年に事業会社へ移行し、2025年に東洋精糖を完全子会社化しました。
現在の従業員数はグループ全体で755名、単体で450名です。筆頭株主は事業会社の伊藤忠商事で、第2位も同じく事業会社の住友商事となっており、両社と資本業務提携を結んでいます。第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤忠商事 | 37.03% |
| 住友商事 | 24.82% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.91% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性3名の計13名で構成され、女性役員比率は23.1%です。代表取締役会長は仲野真司氏、代表取締役社長は山本貢司氏が務めています。取締役9名のうち5名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 仲野真司 | 代表取締役会長 | 1984年住友商事入社。同社常務執行役員などを経て、2023年日新製糖顧問。同年ウェルネオシュガー代表取締役会長に就任し現職。 |
| 山本貢司 | 代表取締役社長 | 1991年伊藤忠商事入社。同社砂糖・コーヒー・乳製品部長などを経て、2022年伊藤忠製糖代表取締役社長。2023年より現職。 |
| 小西正人 | 取締役常務執行役員 | 1988年住友商事入社。同社アジア大洋州ライフスタイルユニット長などを経て、2024年ウェルネオシュガー常勤監査役。2026年より現職。 |
| 伊藤成人 | 取締役執行役員 | 1988年伊藤忠製糖入社。同社常務執行役員などを経て、2023年ウェルネオシュガー執行役員。2024年より現職。 |
社外取締役は、飯塚佳都子(シティユーワ法律事務所パートナー)、藤原浩(SAPジャパン代表取締役などを歴任)、山東理二(千代田化工建設代表取締役社長などを歴任)、南勝之(住友商事ライフスタイルグループ食料SBU長)、太田晋二(伊藤忠商事砂糖・コーヒー・乳製品部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「Sugar」および「Food&Wellness」事業を展開しています。
■(1) Sugar事業
家庭用や業務用に向けた精製糖をはじめ、「きび砂糖」などの高付加価値品を製造・販売しています。生活必需品である安全な砂糖を安定的に供給するとともに、全国の生産拠点体制の下で調達・生産・物流・販売面の最適化を図り、経営効率の向上を進めています。
収益は、飲料や調味料向けの業務用製品および家庭用製品の販売代金から得ています。事業の運営は、主にウェルネオシュガー、東洋精糖、新東日本製糖などのグループ各社が行っています。
■(2) Food&Wellness事業
人々の健康増進と生活の質向上への貢献を目指し、フードサイエンス事業とフィットネス事業を展開しています。フローラデザイン素材や甘味料、「カップオリゴ」などの機能性素材を製造販売するほか、総合型フィットネスクラブの運営や子ども向けスクールなどを提供しています。
収益は、機能性素材などの製品販売代金や、フィットネスクラブの会員から受け取る利用料・会費から得ています。運営は主にウェルネオシュガー、東洋精糖、ツキオカフィルム製薬、日新ウエルネスなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上収益は事業再編や企業結合の効果もあり右肩上がりで拡大しています。税引前利益は一時期落ち込んだものの、その後の経営統合などのシナジー効果により大きく回復し、直近では約98億円に達するなど収益性が改善しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 461億円 | 583億円 | 922億円 | 971億円 | 1,129億円 |
| 税引前利益 | 24億円 | 18億円 | 76億円 | 86億円 | 98億円 |
| 利益率(%) | 5.2% | 3.1% | 8.3% | 8.8% | 8.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 17億円 | 11億円 | 55億円 | 57億円 | 65億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益は前期から堅調に増加しており、売上総利益や営業利益もそれに伴って拡大しています。売上総利益率および営業利益率ともに改善傾向にあり、事業基盤の強化による収益力の向上が見られます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 971億円 | 1,129億円 |
| 売上総利益 | 82億円 | 178億円 |
| 売上総利益率(%) | 8.5% | 15.7% |
| 営業利益 | 82億円 | 103億円 |
| 営業利益率(%) | 8.5% | 9.1% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃及び保管料が33億円(構成比26%)、従業員給与が15億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
Sugar事業は、東洋精糖の連結や高付加価値品の堅調な出荷により増収増益となりました。Food&Wellness事業は、機能性素材の出荷が安定的に推移したことや不採算店舗の減損損失額が減少したことで黒字に転換し、全体として増収増益に貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| Sugar | 838億円 | 968億円 | 93億円 | 111億円 | 11.5% |
| Food&Wellness | 134億円 | 163億円 | -0億円 | 1億円 | 0.7% |
| 調整額 | -1億円 | -2億円 | -11億円 | -9億円 | -% |
| 連結(合計) | 971億円 | 1,129億円 | 82億円 | 103億円 | 9.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFで借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 89億円 | 108億円 |
| 投資CF | -90億円 | -47億円 |
| 財務CF | 30億円 | -110億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「糖のチカラと可能性を切り拓き“Well-being”を実現する」というパーパス(存在意義)を掲げています。食と健康の両面で豊かな生活の実現に貢献することを目指し、社会的価値と経済的価値を両立させながら、すべてのステークホルダーとともに持続可能な社会の実現と企業価値の向上を追求しています。
■(2) 企業文化
パーパスの実現に向けて、「挑戦」をバリュー(行動基準)の一つとして重視しています。失敗を恐れず新たな一歩を踏み出す意識を促し、仮に失敗しても次のチャンスを提供する支援体制や、周囲の貢献を評価する風土の醸成に取り組んでいます。従来の知見に囚われない多様な価値観を持つ人材が活躍できるオープンな職場環境づくりを進めています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「WELLNEO Vision 2027」において、最終年度となる2028年3月期の経営目標として以下を掲げています。
・営業利益+持分法による投資損益:101億円
・親会社の所有者に帰属する当期利益:70億円
・ROE:9.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
Food&Wellness事業の拡大とSugar事業の基盤強化を重点戦略としています。機能性素材の開発・増産や新規用途の開拓により新たな収益の柱への成長を目指すとともに、精製糖事業では物流や販売の最適化による効率化と商品力の強化を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人的資本の最大化」を最重要課題と位置づけ、多様性の確保とエンゲージメントの向上を優先的に進めています。HR-Techを活用した個々のスキルの見える化や、社内公募制度・キャリアヒアリングを通じた自律的キャリア形成の支援により適所適材の配置を実現し、変化に柔軟に対応できる組織力と競争力の強化を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
ウェルネオシュガー(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。給与は年功要素に依存せず、役割や成果、貢献度等を総合的に勘案して決定されます。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.3歳 | 17.8年 | 7,934,417円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.6% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 78.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 77.3% |
| 男女賃金差異(有期労働者) | 82.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 精製糖事業への依存と市場環境の変化
売上収益の多くをSugar事業が占めており、国内の精製糖消費量の減少傾向や政府の農業政策、国際経済協定の動向による影響を受けやすい構造にあります。同社グループでは、高付加価値品の強化や新規領域への展開により事業ポートフォリオの多角化を図っています。
■(2) 新規事業領域への進出に関する不確実性
将来の持続的成長に向けてFood&Wellness事業などの新規領域へ投資を行っています。しかし、市場環境の変化や競争の激化などにより計画通りの収益が確保できない場合、投資の減損損失が発生し、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 食品の安全性に関わる品質問題
食品を取り扱う企業として、製品の安全性と品質確保を最重要課題としています。しかし、原材料や製造工程における予測困難な外部要因等により品質問題が発生した場合、製品回収や損害賠償、社会的信用の低下につながる恐れがあります。
■(4) 原材料・エネルギー価格の高騰
精製糖の原料である輸入粗糖や製造工程で使用するエネルギーの価格は、為替相場や国際情勢、需給バランスにより変動します。調達コストの急激な上昇分を製品価格へ適時適切に転嫁できなかった場合、収益性が低下するリスクがあります。



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