※本記事は、宮越ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第15期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 宮越ホールディングスってどんな会社?
中国深セン市での不動産開発及び賃貸管理を主力とする持株会社です。
■(1) 会社概要
同社のルーツは1948年に設立された無線電機器具部品メーカーに遡り、1955年にはポータブルラジオなどの輸出を開始しました。その後、東証での上場を果たし、2011年にクラウンが単独株式移転を行う形で、現在の純粋持株会社である宮越ホールディングスが設立されました。近年は不動産開発事業を中核としつつ、2026年3月より新規事業として半導体等の輸入販売も始動しています。
同社グループは連結で32名、単体で6名の従業員を擁しています。大株主の構成は、投資事業を行う関連会社の宮越グループが筆頭株主となっており、創業者および役員に関連する会社が事業を支援する体制です。続いて香港の投資会社などが上位に名を連ねており、海外投資家からの資本も受け入れています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 宮越グループ | 38.73% |
| センチュリー パラマウント インベストメント リミテッド(常任代理人 リーディング証券) | 13.06% |
| ロンウィン ホールディングス リミテッド(常任代理人 リーディング証券) | 12.54% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は宮越邦正氏が務めています。社外取締役は3名で構成されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮越邦正 | 代表取締役会長兼社長 | 1966年東邦電器製作所創業代表、1981年クラウンユナイテッド代表取締役社長等を経て、2011年10月より現職。深セン皇冠(中国)電子等のトップも兼務。 |
| 板倉啓太 | 取締役常務執行役員管理本部長 | 1993年クラウン入社、1995年宮越商事取締役管理本部長等を経て、2019年6月より現職。宮越グループ取締役等も兼務。 |
社外取締役は、武田茂(武田公認会計士事務所開設)、田村幸治(元日本食糧新聞社常務取締役)、宮越盛也(タスク代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産開発及び賃貸管理」および「その他」事業を展開しています。
■不動産開発及び賃貸管理事業
中国深セン市において、不動産開発や既存物件の賃貸管理を行っています。現在は「ワールド・イノベーション・センター」(WIC)という大規模な都市更新プロジェクトを推進しており、先進的な海外企業や中国企業に向けたオフィス、研究開発施設、商業施設などの開発を手掛けています。
不動産の賃貸契約に基づく家賃収入を主な収益源としていますが、現在は再開発に伴うテナント退去を進めています。この事業は主に中国の現地子会社である深セン皇冠(中国)電子などが運営主体となっており、建物の建設に先行して国内外の先進的な企業の誘致を積極的に行っています。
■新規事業、その他事業
新規事業として、半導体やロボット等のエレクトロニクス分野における製品や電子部品等の輸入販売を展開しています。中国14省・4直轄市との連携プラットフォームを活用し、優れた技術を持つ中国企業とのビジネスを構築してサービスを提供しています。
製品の輸入および販売を通じた収益化を目指しており、WICの開業後に賃料と並ぶ収益の柱として育成する計画です。運営は主にクラウンや深セン皇冠金属成型などの子会社が担い、専門部署の立ち上げと人材の確保を進めています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
経常利益は黒字を維持してきましたが、直近ではプロジェクト推進に伴う一時的な費用の増加などにより赤字に転じています。当期利益については、固定資産の減損損失などの影響を受けつつも、最終的な数値としては黒字を確保する動きが見られます。全体として、再開発の進捗に連動した過渡期の業績傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 9億円 | 8億円 | 8億円 | 6億円 | -8億円 |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 0.3億円 | 0.7億円 | 0.4億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
直近の損益状況を見ると、営業利益は前期の黒字から当期は赤字へと転換しています。これは再開発の本格化に伴い、既存物件からの賃料収入が減少したことが主な要因であり、開発段階特有の一時的な収益構造の変化が反映されています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 3億円 | -3億円 |
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | -9億円 |
| 投資CF | -5億円 | 28億円 |
| 財務CF | 0億円 | 0億円 |
企業の収益力を測るROEは-7.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は92.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
広い視野に立った透明性の高い企業活動を推進し、公平・公正かつ誠実な投資業務により適正な利益を確保することを掲げています。これにより、株主や取引先などすべてのステークホルダーの期待に応えるとともに、社会の公器としての責任を果たすことを基本方針としています。
■(2) 企業文化
「宮越ホールディングス行動規範」として、基本的人権を保護し、国籍、性別、年齢などによる差別やハラスメント行為を排除することを明文化しています。多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮して活躍できる、健全な職場環境を提供することを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
株主価値を重視する観点から、長期的な目標値として以下を設定しています。
- 1株当たりの当期純利益(EPS):25円
- 自己資本利益率(ROE):5%超
■(4) 成長戦略と重点施策
中国深セン市での大型開発「ワールド・イノベーション・センター」(WIC)プロジェクトを第1号案件とし、ESGを重視した先進的な外資企業の誘致を進めます。並行して半導体やロボット等のエレクトロニクス分野における新規事業に参入し、企業誘致の過程で得られた実需をもとにイノベーション事業を育成していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人種や国籍などに関わらず多様な人材を登用し、成果と能力に基づいた公平な評価を実施する方針です。WICプロジェクトの推進や新規事業の立ち上げに向けて、建築、デザイン、半導体などの各分野で経験豊富な専門人材のキャリア採用を積極化し、グローバルな事業環境に適応できる人材の育成を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 53.4歳 | 4.8年 | 8,955,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 27.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
同社および連結子会社は女性活躍推進法等の公表義務の対象外ですが、女性管理職比率は27.0%であり、同じ役割での男女の賃金差は設けていないとしています。また、男性育児休業取得率については現在該当者がいないと説明しています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替相場の変動
中国の経済状況や日米の経済政策などによる為替相場の変動が、現地通貨建ての事業資金や投資額の円換算に影響を及ぼす可能性があります。対策として、建設資金や運転資金を現地の金融機関から人民元で調達するなど、為替変動の影響を最小限に抑える方針をとっています。
■(2) 地球温暖化に伴う自然環境の変化
WICプロジェクトにおいて、地球温暖化に伴い発生し得る災害リスクを考慮する必要があります。そのため、中国緑色建築認証の3つ星や国際LEED認証などの高レベルな建築評価認証の基準に沿って、災害に強く環境に配慮した建物を構築することを進めています。
■(3) 不動産市況変動
中国国内外の要因により景気が減速し、不動産市況が悪化する局面においては、WICなどの長期にわたる大規模な開発事業に影響を与える可能性があります。これに対し、稼働率を高めるため、建物の建設に先行して国内外の先進的大手企業の誘致を積極的に進めています。



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