※本記事は、宮越ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第14期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
宮越ホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
1. 宮越ホールディングスってどんな会社?
中国深セン市において、大規模な都市再開発プロジェクトと不動産賃貸管理事業を展開する純粋持株会社です。
■(1) 会社概要
1948年に無線電機器具部品の製造販売を目的に設立され、1961年に東証市場第二部へ上場しました。2011年、単独株式移転により持株会社「宮越ホールディングス」を設立し、東証市場第一部へ上場(現プライム市場)。現在は中国深セン市での大規模再開発「ワールド・イノベーション・センター(WIC)」プロジェクトを推進しています。
連結従業員数は31名(単体5名)です。筆頭株主は投資事業を行う宮越グループ株式会社で、第2位はセンチュリー パラマウント インベストメント リミテッド、第3位はロンウィン ホールディングス リミテッドとなっており、上位株主は主に資産管理や投資を行う法人で構成されています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 宮越グループ | 38.73% |
| センチュリー パラマウント インベストメント リミテッド | 13.30% |
| ロンウィン ホールディングス リミテッド | 12.54% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は宮越邦正氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮越 邦正 | 代表取締役会長兼社長 | 1966年東邦電器製作所創業。クラウンユナイテッド社長等を経て、2011年同社代表取締役会長兼社長に就任。宮越グループ社長を兼務。 |
| 板倉 啓太 | 取締役常務執行役員管理本部長 | 1993年クラウン入社。経理部長、取締役管理本部長、深セン皇冠(中国)電子有限公司董事等を歴任し、2019年より現職。 |
社外取締役は、武田茂(公認会計士・税理士法人KOA代表社員)、宮越盛也(タスク代表取締役社長)、段鳳林(中国鋼鉄協会調査研究員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産開発及び賃貸管理事業」および「その他」事業を展開しています。
■不動産開発及び賃貸管理事業
中国広東省深セン市において、賃貸用の事務所、工場及び宿舎等の不動産を保有・管理し、顧客へ提供しています。また、同エリアにおいてハイエンドな都市更新プロジェクト「ワールド・イノベーション・センター(WIC)」の再開発を推進しています。
主な収益源は、テナントからの不動産賃貸収入および顧客への水道光熱供給等のサービス対価です。運営は、現地連結子会社である深セン皇冠(中国)電子有限公司および科浪(深セン)商務有限公司等が担っています。
■その他事業
不動産開発及び賃貸管理事業以外の事業を含みます。
金属加工品の製造販売や投資・資産管理等を行っています。運営は、深セン皇冠金属成型有限公司や皇冠投資管理有限公司等の連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。利益面では黒字を維持しているものの、経常利益、当期純利益ともに減少トレンドにあります。特に直近では賃料収入の減少等が影響し、利益率も低下していますが、依然として高い利益率を確保しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 16億円 | 14億円 | 13億円 | 11億円 | 10億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 9億円 | 8億円 | 8億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 79.3% | 60.8% | 59.1% | 67.6% | 53.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 7億円 | 5億円 | 5億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の減少に伴い売上総利益、営業利益ともに減少しています。売上総利益率は80%前後と非常に高い水準を維持していますが、販売費及び一般管理費の負担により営業利益率は低下しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 11億円 | 10億円 |
| 売上総利益 | 9億円 | 8億円 |
| 売上総利益率(%) | 83.0% | 79.9% |
| 営業利益 | 4億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 37.0% | 27.6% |
販売費及び一般管理費のうち、長期前払費用償却が2.4億円(構成比45%)、給与手当が0.6億円(同12%)を占めています。売上原価は2.1億円で、その内訳については詳細な記載がありません。
■(3) セグメント収益
各セグメントの業績は以下の通りです。不動産開発及び賃貸管理事業が全売上を占めており、再開発着工に備えたテナント入居見送りや解約により減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 不動産開発及び賃貸管理 | 11億円 | 10億円 |
| 連結(合計) | 11億円 | 10億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはゼロであることから、本業で稼いだ資金の範囲内で投資を行っている「健全型」と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7億円 | 5億円 |
| 投資CF | -3億円 | -5億円 |
| 財務CF | -0.0億円 | -0.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.4%でプライム市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は91.2%でプライム市場平均(非製造業)を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
広い視野に立った透明性の高い企業活動を推進し、公平・公正かつ誠実な投資業務により適正な利益を確保することで、全てのステークホルダーの期待に応えるとともに、社会的責任を果たすことを基本方針としています。持株会社と事業会社を明確に区分し、コーポレート・ガバナンスの確立した経営により企業価値向上を目指しています。
■(2) 企業文化
持続可能な経済社会作りのため、「環境」「イノベーション」「情報開示」の3項目を重点課題とする「サステナビリティ基本方針」を掲げています。また、「宮越ホールディングス行動規範」において基本的人権の保護や差別の排除を明文化し、多様な人材が活躍できる職場環境の提供を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
株主価値重視の観点から、EPS(一株当たり当期純利益)およびROE(自己資本利益率)を経営指標とし、以下の長期的な目標値を設定しています。
* EPS:25円
* ROE:5%超
■(4) 成長戦略と重点施策
中国深セン市において、官民一体で進める都市更新プロジェクト「ワールド・イノベーション・センター(WIC)」の推進に注力しています。日米欧の先進的企業を誘致し、イノベーション創出のプラットフォーム構築を目指しています。
* 為替変動リスクに対し、事業資金を人民元で調達する等の対策を実施。
* WELL認証、LEED・緑色建築認証の取得に取り組み、サステナビリティ課題に対応。
* WICプロジェクト推進のため、開発本部長や建築設計管理者等の専門人材を採用・増員。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
WICプロジェクトを円滑に進めるため、建築設計、建設施工、デザイン、コスト管理等の優秀で経験豊富な人材の登用を重視しています。また、人種・国籍・性別等を問わず多様な人材を積極的に採用し、成果と能力に基づいた公平な登用を推進することで、グローバルな事業環境に適応できる人材の育成を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 51.0歳 | 6.5年 | 8,349,000円 |
※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.0% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | -% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | -% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報においては記載を省略していますが、任意開示としてグループ全体の女性管理職比率を記載しています。男性の育児休業取得率については該当者が不在、男女賃金差異については差を設けていないとしています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替相場の変動に伴うリスク
海外子会社の財務諸表は円換算されるため、中国の経済状況や為替相場の変動により業績が影響を受ける可能性があります。また、不動産再開発事業への日本からの投資において、払込時の為替相場が投資額に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 地球温暖化に伴う自然環境の変化のリスク
WICプロジェクトでは、災害に強く省エネ仕様の建築基準が求められています。予測しえない規模の災害リスクを考慮しつつ、中国緑色建築認証や国際LEED・WELL認証などの高レベルな基準に沿った建物を構築する必要があります。
■(3) 不動産市況変動のリスク
WICプロジェクトは長期かつ大規模な投資となるため、中国国内外の景気減速や不動産市況の悪化が事業に影響を与える可能性があります。稼働率確保のため、建設に先行して日米欧の先進的大手企業の誘致を積極的に進めています。
■(4) ウクライナ・イスラエル情勢等地政学的なリスク
地政学的リスクの長期化により世界経済の成長が鈍化し、日米欧の企業が新たな投資を控える場合、同社グループの事業に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。



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