JALCOホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JALCOホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、貸金事業、不動産事業、M&Aコンサルティング事業を展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高69億円(前期比46.2%減)、経常利益6.2億円(同87.5%減)と、不動産販売の減少等により大幅な減収減益となりました。


※本記事は、JALCOホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第14期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. JALCOホールディングスってどんな会社?


同社グループは、パチンコホール等のアミューズメント業界向けを中心に、貸金、不動産、M&Aコンサルティングを展開する企業です。

(1) 会社概要


2011年10月に株式会社ジャルコの単独株式移転により設立され上場しました。2012年にアミューズメント関連サービス会社を子会社化、2013年に貸金業登録を行い事業基盤を拡大しました。2018年には宅地建物取引業免許を取得して不動産事業を本格化させ、2024年にはアミューズメント施設保有会社である株式会社エイコスを連結子会社化しています。

連結従業員数は15名(単体15名)の少数精鋭体制です。筆頭株主は代表取締役社長の資産管理会社であるカタリスト株式会社、第2位は代表取締役社長の田辺順一氏本人であり、経営陣が主要株主となっています。第3位は株式会社楽珠美です。

氏名 持株比率
カタリスト株式会社 18.47%
田辺 順一 16.19%
株式会社楽珠美 4.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は田辺順一氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
田辺 順一 取締役社長(代表取締役) 野村證券、アイ・キャピタル証券等を経て、2011年同社代表取締役社長に就任。ジャルコ、イオナアセット、エイコスの代表取締役も兼任。2011年10月より現職。
吉岡 勉 取締役 東北タツミ代表取締役等を歴任し、2010年ジャルコ代表取締役社長就任。2018年スプラウト代表取締役就任。2011年10月より現職。


社外取締役は、山岸和仁(山岸和仁税理士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「貸金事業」「不動産事業」「M&Aコンサルティング事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 貸金事業


ソーシャルレンディング事業を含めた貸金業務を行っています。主な顧客はパチンコホール企業等の事業者です。

資金の貸付による利息収入等を収益源としています。運営は主に株式会社ジャルコが行っています。

(2) 不動産事業


パチンコホール企業および事業会社向けの不動産事業を展開しています。商業施設やアミューズメント施設等の賃貸、販売、管理を行っています。

不動産の賃貸による賃料収入や、保有不動産の売却による販売収益を得ています。運営は主に株式会社ジャルコおよび株式会社エイコスが行っています。

(3) M&Aコンサルティング事業


M&Aに関するアドバイザリー業務を提供しています。事業承継や業界再編ニーズのある企業に対し、案件の組成や仲介を行います。

M&A案件の成約に伴う成功報酬等を収益源としています。運営は主に同社および株式会社ジャルコが行っています。

(4) その他


同社が保有するブランドおよび特許権の管理・運用を行っています。

顧客からのブランド使用料や特許権の貸与による収益を得ています。運営は主に株式会社ジャルコが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年3月期までは売上高、利益ともに拡大傾向にあり、特に前期は売上高127億円、利益率39.2%と高い水準を記録していました。しかし当期は、販売用不動産の売却が予定通り進まなかったこと等により、売上高は69億円へ減少し、利益率も9.1%へと低下しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益(または売上高) 27.2億円 27.8億円 49.6億円 127.4億円 68.6億円
経常利益 7.9億円 10.0億円 22.7億円 49.9億円 6.2億円
利益率(%) 29.2% 36.0% 45.7% 39.2% 9.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.4億円 9.6億円 10.3億円 42.8億円 14.3億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高は約半減し、売上総利益も73億円から35億円へと大きく減少しました。一方で、販売費及び一般管理費は微増にとどまっています。この結果、営業利益率は前期の50.0%から当期は36.9%へと低下しましたが、依然として高い利益率を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 127.4億円 68.6億円
売上総利益 72.8億円 34.8億円
売上総利益率(%) 57.2% 50.7%
営業利益 63.6億円 25.3億円
営業利益率(%) 50.0% 36.9%


販売費及び一般管理費のうち、租税公課等が1.9億円(構成比20%)、給料手当が1.6億円(同17%)を占めています。売上原価は売上高の変動に連動して減少しています。

(3) セグメント収益


不動産事業は、大型アミューズメント施設の取得や子会社化による賃貸収益の寄与があったものの、販売用不動産の売却が進まなかったこと等により減収減益となりました。貸金事業も売上が減少しました。M&Aコンサルティング事業は当期売上がなく、セグメント損失を計上しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
貸金事業 3.7億円 2.9億円 2.1億円 1.2億円 40.3%
不動産事業 87.2億円 65.5億円 16.5億円 6.7億円 10.2%
M&Aコンサルティング事業 36.4億円 - 30.7億円 -2.3億円 -
その他 0.2億円 0.2億円 0.0億円 0.0億円 9.8%
調整額 - - 0.6億円 0.6億円 -
連結(合計) 127.4億円 68.6億円 49.9億円 6.2億円 9.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得たキャッシュと財務活動による調達資金を原資として、投資活動(主に不動産取得)を積極的に行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 86.0億円 6.8億円
投資CF -145.6億円 -49.2億円
財務CF 53.1億円 54.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.3%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も24.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「金融における新価値の創造により、個人金融資産の受け皿となり、企業価値の拡大と社会への貢献を果たす」ことを企業理念として掲げています。

(2) 企業文化


「有為有志の多くの者を応援する」こと、および「顧客とリスクを共有して成果を出す」ことを企業活動の根本としています。能力とやる気のある人々(有為有志)に対してリスクマネー等を提供(応援)し、同じポジションに立ってリスクを共有することで、より良い関係を築きビジネスの成功を目指す姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、収益力と資本効率の観点から、期首の自己資本を使って1年間にどれだけのEBITDA(キャッシュ利益)を稼ぎ出したかを最重要指標としています。具体的な数値目標として、期首自己資本に対するリターン実績15%以上を掲げています。

* 期首自己資本に対するEBITDAリターン実績:15%以上

(4) 成長戦略と重点施策


コア事業であるアミューズメント業界に関連する不動産事業、貸金事業、M&Aコンサルティング事業に経営資源を集中させる戦略を推進しています。特に不動産事業では、ホール運営などのアミューズメント分野における強みを活かし、大型物件を含む不動産取得や売却を進めることで、事業の拡大と効率化を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


能力、情熱、粘り強さを重視し、性別や国籍、年齢に関わらず人材を登用する方針です。従業員が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、自社株取得奨励制度やリモートワーク環境の整備等によりエンゲージメント向上を図っています。また、研修部の発足により人的資本の価値を高める育成プランを検討し、労働生産性10万円/時以上の継続を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.6歳 4.5年 11,221,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働生産性(119,700円/時)、Scope2排出量(336.0t-CO2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制に伴うリスク

主な顧客であるパチンコホール企業は風営法や都道府県条例による厳格な規制を受けています。新たな法的規制や業界団体の自主規制によりパチンコホールの営業や設備投資が制限された場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場動向の変化によるリスク

顧客であるパチンコホール企業等が経済環境の悪化により市場構造の変化や需要縮小に直面し、経営環境が悪化した場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 有利子負債と金利上昇リスク

不動産投資において金融機関からの借入や社債等による資金調達を行っているため、今後の事業拡大に伴い有利子負債が増加する可能性があります。金利の急激な上昇時には調達コストが増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 競争激化に伴うリスク

賃貸用不動産の取得において他社との競合が発生します。競合他社が同社の許容範囲を超える条件で取得を行った場合、同社は物件を取得できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。