※本記事は、JALCOホールディングス株式会社の有価証券報告書(第15期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. JALCOホールディングスってどんな会社?
同社グループは、アミューズメント業界等へ向けた不動産賃貸・売却、資金の貸付、およびM&A仲介を行う企業です。
■(1) 会社概要
2011年にジャルコの単独株式移転によりJALCOホールディングスを設立し、JASDAQ市場(スタンダード)に上場しました。2012年に電子機器用部品事業を譲渡して事業を転換し、2013年には子会社のジャルコが貸金業の登録を受けました。2018年に宅地建物取引業免許を取得して不動産事業を強化し、現在は貸金、不動産、M&Aコンサルティングの3本柱で事業を展開しています。
従業員数は連結で21名、単体で16名です。筆頭株主は同社代表取締役社長の田辺順一氏で、第2位は資産管理会社であるカタリスト、第3位は楽珠美です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 田辺順一 | 16.16% |
| カタリスト | 15.91% |
| 楽珠美 | 4.52% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は田辺順一氏が務めています。取締役における社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田辺順一 | 取締役社長(代表取締役) | 野村證券を経てアイ・キャピタル証券に入社。2008年カタリスト設立、代表取締役。2011年ジャルコ代表取締役社長および同社代表取締役社長に就任。エイコス代表取締役等を歴任し現職。 |
| 吉岡勉 | 取締役 | タツミ紙工、東北タツミ等を経て、2010年ジャルコ代表取締役社長。2011年同社取締役に就任。その後、東北タツミ代表取締役やスプラウト代表取締役等を歴任し現職。 |
社外取締役は、山岸和仁(山岸和仁税理士事務所開設代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「貸金事業」「不動産事業」「M&Aコンサルティング事業」および「その他」事業を展開しています。
■貸金事業
パチンコホール企業やその他の事業者に対し、必要な事業資金の貸付けを行っています。通常の貸付に加えてソーシャルレンディング事業も展開しており、貸付先や対象案件の信用力、収益性、担保価値および回収可能性等を慎重に検討したうえで融資を実行しています。
貸付に伴う受取利息を主な収益源としています。資金需要に伴う案件の発掘と与信管理を徹底することで収益機会の獲得に努めており、事業の運営は主にジャルコが行っています。
■不動産事業
パチンコホール企業を中心とする事業会社に向けた、不動産の販売および賃貸を行っています。安定的な賃貸収入が見込まれる収益不動産の取得を進めるとともに、市場環境や売却条件を踏まえた販売用不動産の売却も手掛けています。
保有する不動産の賃料収入および販売用不動産の売却益を主な収益源としています。アミューズメント分野における不動産取引の専門性を強みとしており、事業の運営は主にジャルコおよびエイコスが行っています。
■M&Aコンサルティング事業
アミューズメント業界における事業承継、店舗再編、不動産のオフバランス化、および営業権の譲渡などのニーズに対応したM&A案件の組成、仲介、コンサルティングサービスを提供しています。
同社グループの不動産取得機能と金融機能を活用しながらアドバイザリー業務を行い、M&A案件の成立に伴う成功報酬を収益源としています。事業の運営は主に同社およびジャルコが行っています。
■その他
過去に手掛けていた電子機器用部品事業に関連し、顧客に対して同社グループが保有するブランドや特許権の貸与を行っています。
顧客がブランド等を使用することに伴う使用料を収益源としています。事業の運営は主にジャルコが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績は、不動産物件の取得・売却状況やM&A案件の進捗によって変動がありますが、全体として拡大傾向にあります。特に2026年3月期は、アミューズメント施設の取得および売却、大型M&A案件の成就が寄与し、売上高は170億円、経常利益は24億円と大幅な増収増益を記録しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 28億円 | 50億円 | 127億円 | 69億円 | 170億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 23億円 | 50億円 | 6億円 | 24億円 |
| 利益率(%) | 36.0% | 45.7% | 39.2% | 9.1% | 13.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 10億円 | 43億円 | 0.7億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、前期間に取得した賃貸不動産の通年稼働や大型販売用不動産の売却、M&A案件の成功報酬が寄与し、売上高および各利益項目が大きく伸長しています。売上総利益率は低下したものの、営業利益はほぼ倍増しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 69億円 | 170億円 |
| 売上総利益 | 35億円 | 61億円 |
| 売上総利益率(%) | 50.7% | 35.9% |
| 営業利益 | 25億円 | 49億円 |
| 営業利益率(%) | 36.9% | 28.7% |
販売費及び一般管理費のうち、租税公課等が3億円(構成比28%)、給料手当が2億円(同18%)、支払手数料が2億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の不動産事業は、アミューズメント施設などの新規取得や既存物件からの安定した賃料収入、販売用不動産の売却により大きく売上を伸ばしました。また、M&Aコンサルティング事業では案件が順調に成立し、新たに20億円規模の売上を計上しています。貸金事業は既存貸付金の回収と新規貸付を並行して進めています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 貸金事業 | 3億円 | 3億円 |
| 不動産事業 | 65億円 | 147億円 |
| M&Aコンサルティング事業 | - | 20億円 |
| その他 | 0.2億円 | - |
| 連結(合計) | 69億円 | 170億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスの「積極型」です。本業で稼いだ資金と借入等の調達資金を合わせて、事業拡大のための投資を積極的に行っている状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7億円 | 86億円 |
| 投資CF | -49億円 | -159億円 |
| 財務CF | 55億円 | 104億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は20.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「金融における新価値の創造により、個人金融資産の受け皿となり、企業価値の拡大と社会への貢献を果たす。」ことを企業理念として掲げています。また、「有為有志の多くの者を応援する」、「顧客とリスクを共有して成果を出す」ことを企業活動の根本としており、リスクマネーの提供等を通じて当事者同士がより良い関係を築くことを目指しています。
■(2) 企業文化
能力とやる気のある「有為有志」を応援し、顧客と同じポジションに立って「リスクを共有する」ことを重視する文化があります。また、社会的規範の遵守と上場企業としての責務を全うすることを大前提としつつ、個人が本当にやりたいことを同社グループの枠組みの中で実現することが重要であるという価値観を持っています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長に向け、収益力および資本効率の観点から「期首の自己資本を使って1年間にどれだけのEBITDA(キャッシュ利益)を稼ぎ出したか」を最重要かつ不変の指標として掲げています。具体的な数値目標として、期首の自己資本に対するリターン実績を15%以上と定めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
不動産事業において安定的な賃貸収入の積み上げと資産ポートフォリオの収益性向上を図るとともに、貸金事業では与信管理を徹底しながら資金需要の発掘を進めます。また、アミューズメント分野を中心としたM&Aコンサルティング事業の機会を広げます。さらに、コーポレート・ガバナンスの充実、資金調達力の強化、人材の確保・育成、低コスト体制の徹底を重点施策として推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業の持続的成長を実現するため、社員一人ひとりが自ら課題を発見し、専門性を高め、主体的に業務を遂行できる人材の育成を重視しています。不動産、金融、M&A等の専門分野についてOJTや外部研修、資格取得支援を活用して実務に即した能力開発を進めるとともに、ワークライフバランスや多様な人材が働きやすい環境整備により人材の定着を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.5歳 | 4.9年 | 10,860,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) アミューズメント業界の法的規制による影響
同社グループの主たる顧客であるパチンコホール企業は、風営法や各都道府県条例による法的規制、過度な射幸性を抑制する自主規制の対象となっています。これらの規制強化によってパチンコホールの営業に制限が課せられたり、設備投資の動向が急激に変化したりした場合、同社グループの事業活動や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 有利子負債への依存と金利上昇リスク
同社グループは不動産投資等の事業拡大にあたり、自己資金に加えて金融機関からの借入や社債発行によって資金調達を行っており、有利子負債残高は増加する傾向にあります。金利の急激な上昇が発生した場合、調達コストが上昇する一方で、市場金利の上昇に見合う賃料の引き上げが実現できず、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 投資および新規事業展開の不確実性
収益基盤の多様化とグループ企業価値の向上を目的に、新規事業やM&Aを視野に入れた多額の投資を積極的に行っています。しかし、予期せぬ要因により計画通りの事業展開ができない場合や、投資先の事業状況が悪化した場合、投下した資金の回収が困難となり、同社グループの財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。



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