スターフライヤー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スターフライヤー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の航空会社です。北九州空港を拠点に、黒い機体が特徴的な高品質な航空運送事業を展開しています。第23期の連結業績は、売上高429億円(前期比7.2%増)、経常利益19億円(同82.3%増)、当期純利益19億円(同110.8%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社スターフライヤー の有価証券報告書(第23期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スターフライヤーってどんな会社?


北九州空港を拠点に、国内線および国際線定期便を運航する航空会社です。顧客満足度の高いサービスが特徴です。

(1) 会社概要


2002年に神戸航空として設立され、翌年に現在の商号へ変更して北九州へ移転しました。2006年に北九州-羽田線で国内線定期便の運航を開始し、2011年には東証二部へ上場しました。その後、2018年に北九州・中部と台北を結ぶ国際線定期便を就航させるなど、路線網を拡大しています。

単体の従業員数は741名です。筆頭株主は同社とコードシェア等で提携するANAホールディングスで、第2位は資本業務提携を結んでいるジャパネットホールディングスです。第3位には地元北九州に本社を置くTOTOが名を連ねています。

氏名 持株比率
ANAホールディングス 14.31%
ジャパネットホールディングス 13.86%
TOTO 3.89%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性3名の計15名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員は町田修氏です。社外取締役比率は約58.3%です。

氏名 役職 主な経歴
町田 修 代表取締役社長執行役員 全日本空輸出身。米州室マネージャーや香港支店長などを歴任。スカイネットアジア航空常務、ANAウイングス取締役を経て、2022年より現職。
橘 一雄 常務取締役執行役員 全日本空輸出身。オペレーション統制部やシンガポール支店空港所長などを経て、同社に入社。安全統括管理者として安全推進部等を管掌し、2025年より現職。
古川 秀行 取締役執行役員 全日空整備(現ANAベースメンテナンステクニクス)出身。同社整備本部企画管理部長、人事部長などを経て、総務人事部および整備本部を管掌。2025年より現職。
湯浅 淳一郎 取締役執行役員 2005年同社入社。経営戦略部長、営業本部長、スターフライヤービジネスサービス社長などを歴任。営業本部およびイノベーション推進本部を管掌し、2025年より現職。
南 聡子 取締役執行役員 2005年同社入社。整備本部企画管理部機材計画課長、財務経理部長などを歴任。情報取扱責任者として経営企画本部を管掌し、2025年より現職。


社外取締役は、横山美帆(清水謙法律事務所代表弁護士)、上山信一(慶應義塾大学名誉教授)、小林建治(アドバンテッジアドバイザーズプリンシパル)、一木靖司(安川電機上席執行役員)、荒井伸(NAAファシリティーズ顧問)、砂川浩(TOTO執行役員)、増田博之(ANAホールディングス部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「航空運送事業」および「附帯事業」を展開しています。

航空運送事業


北九州空港を拠点に、羽田、関西、福岡、中部、山口宇部などを結ぶ国内定期便および台北(台湾)を結ぶ国際定期便を運航しています。また、チャーター便や貨物運送も行っています。全席レザーシートや機内エンターテインメントなど、既存航空会社にはない高品質なサービスを提供しています。

収益は主に、旅客からの運賃収入や航空貨物の運送収入から構成されています。また、全日本空輸とのコードシェアによる座席販売収入も含まれます。運営は同社が行っています。

附帯事業


同社のサービスノウハウを活かした教育・研修業務や、機体・機内モニターを活用した広告宣伝業務、訓練施設やフライトシミュレーターの貸出業務などを展開しています。格納庫見学や「おもてなし研修」なども実施しています。

収益は、研修受講料、広告掲載料、施設利用料などから構成されています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第19期から第23期までの業績推移です。コロナ禍の影響により第19期から第21期にかけて大幅な赤字を計上しましたが、第22期に黒字転換を果たしました。第23期は売上高が増加し、利益面でも大幅な改善が見られ、回復基調にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 183億円 211億円 323億円 400億円 429億円
経常利益 -114億円 -61億円 -7億円 11億円 19億円
利益率(%) -62.1% -28.6% -2.2% 2.6% 4.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -101億円 -50億円 0.7億円 9億円 19億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高の増加に伴い営業総利益が拡大しています。販管費も増加していますが、増収効果が上回り、営業利益率が改善しています。営業外収益の為替差益なども寄与し、経常利益および当期純利益が増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 400億円 429億円
売上総利益 33億円 45億円
売上総利益率(%) 8.1% 10.5%
営業利益 0.9億円 12億円
営業利益率(%) 0.2% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、販売手数料が8億円(構成比24%)、給料手当等が6億円(同19%)を占めています。また、売上原価(事業費)のうち、燃油費及び燃料税が111億円(構成比29%)、航空機賃借料が67億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況です。主力の航空運送事業では、旅客需要の回復や臨時便の運航などにより、定期旅客運送収入が増加しました。附帯事業収入も増加しており、全体として増収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
定期旅客運送 394億円 424億円
貨物運送 2億円 2億円
不定期旅客運送 4億円 2億円
附帯事業 0.8億円 1億円
連結(合計) 400億円 429億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を借入金の返済や投資に回している「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 5億円 53億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF 22億円 -26億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は51.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は17.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「安全運航」を至上の責務とし、安全・確実な輸送と快適かつ質の高い移動空間・サービスの提供に努めています。他社にはない新たな価値を創造し、「感動のあるエアライン」であり続けることを企業理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は、「安全運航」のもと、「人とその心を大切に」し、「個性、創造性、ホスピタリティ」を持つことを重視しています。行動指針として、安全運航への徹底、コンプライアンスの遵守、仕事への責任と誇り、顧客視点からの発想と創造、仲間との挑戦、感謝と謙虚さを持つことを定めています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営戦略2025」において、「コロナ禍前水準以上の回復と成長」を目指しています。現在は「次の飛躍」への助走期間と位置づけ、国内線を主体とした基盤作りと成長への準備に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


収入拡大による利益創出と財務体質の健全性向上、「THE STARFLYER人財」の育成・採用、ESG経営の推進に取り組んでいます。また、環境に優しい航空機A320neo型機の導入や、新規事業領域の拡大を推進しています。

* 国内線の基盤確立
* 環境配慮型機材の導入
* 新規事業領域の拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「THE STARFLYER人財」の育成・採用を掲げ、パフォーマンスと理念共感の高い人材を重視しています。性別や国籍等を問わない人物本位の登用を行い、フレックス勤務やテレワーク制度の導入など、多様な人材が能力を発揮できる環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.0歳 9.0年 6,319,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 28.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 43.0%
男女賃金差異(正規) 43.7%
男女賃金差異(非正規) 27.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向と航空需要


航空業界は景気動向の影響を受けやすく、景気低迷が長期化した場合、レジャー需要や主要顧客であるビジネス旅客が減少し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。イベントリスク等の不確実性に対応するため、純資産の積み上げを行っています。

(2) 原油価格・為替相場の変動


航空機燃料を使用するため原油価格変動の影響を受けます。また、航空機賃借料や整備費等は外貨建て取引が多いため、為替相場変動の影響も受けます。これらの変動リスクに対し、商品スワップ取引や為替予約取引などのデリバティブ取引を行い、リスクヘッジに努めています。

(3) 特定機種への依存


使用する航空機やエンジンの種類を限定することで効率化を図っていますが、当該機種に重大な欠陥等が発覚した場合、代替機材がなく運航継続に懸念が生じる可能性があります。また、機材の経年に伴う修繕維持費用の増加もリスクとして認識しています。

(4) 路線集中と災害リスク


国内線は羽田発着路線が中心であり、本社機能も北九州空港に集約されています。就航地域や拠点空港で大規模な自然災害等が発生した場合、運航および経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。リスク分散のため、新規路線の就航や収益源の多様化を検討しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。