※本記事は、ライフネット生命保険株式会社 の有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. ライフネット生命保険ってどんな会社?
インターネットを活用した生命保険販売のパイオニアとして、シンプルでわかりやすい商品を提供する企業です。
■(1) 会社概要
2006年に準備会社「ネットライフ企画」として設立され、2008年に「ライフネット生命保険」として営業を開始しました。「かぞくへの保険」等の販売を始め、2012年に東証マザーズへ上場しました。2015年にはKDDIと資本業務提携を行い、2023年にはauじぶん銀行の住宅ローン利用者向けに団体信用生命保険の提供を開始しました。
同社グループの従業員数は連結・単体ともに239名です。大株主には、資本業務提携先であるKDDIの子会社auフィナンシャルホールディングスが筆頭株主に名を連ねています。第2位株主はゴールドマン・サックス証券が常任代理人を務める海外法人、第3位は投資ファンドが続いています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| auフィナンシャルホールディングス | 18.33% |
| GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL | 16.35% |
| ARIAKE MASTER FUND | 6.61% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長は森 亮介氏が務めています。社外取締役比率は71.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森 亮介 | 代表取締役社長 | ゴールドマン・サックス証券を経て2012年に同社入社。企画部長、執行役員経営戦略本部長、営業本部長などを歴任し、2018年6月より現職。 |
| 木庭 康宏 | 取締役副社長 | 厚生労働省を経て2010年に同社入社。法務部長、チーフ・コンプライアンス・オフィサー、経営戦略本部長などを歴任し、2023年1月より現職。 |
社外取締役は、長谷部 潤(東京リレーションズ代表取締役社長)、甲谷 比呂(auフィナンシャルホールディングス執行役員)、林 敬子(元監査法人トーマツパートナー)、山下 知之(エーオンソリューションズジャパン代表取締役社長)、阿部 絵美麻(宮益坂ザ・ファーム法律会計事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「生命保険事業」を展開しています。
■(1) 個人保険事業
インターネットを通じて個人向けに生命保険商品を提供しています。主な商品は定期死亡保険「かぞくへの保険」、終身医療保険「じぶんへの保険3」、がん保険「ダブルエール」など、シンプルでわかりやすい保障内容が特徴です。顧客は自身のニーズに合わせてウェブサイト等から申し込みを行います。
収益は、契約者からの保険料収入が柱となります。また、KDDIや三井住友カードなどのパートナー企業との協業による「パートナービジネス」も展開しており、提携先の経済圏を通じた販売も行っています。運営は主に同社が行い、子会社のライフネットみらいが保険代理店事業やサービス開発を行っています。
■(2) 団体信用生命保険事業
auじぶん銀行の住宅ローン利用者に向けて、団体信用生命保険を提供しています。住宅ローン契約者が死亡や所定の高度障害状態になった場合に、保険金でローン残高を弁済する仕組みです。
収益は、契約者である銀行等から受け取る保険料です。2023年7月からauじぶん銀行の住宅ローン利用者向けに提供を開始しており、KDDIグループとの連携を活かした事業拡大を進めています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近3期間の業績を見ると、保険収益は順調に拡大し、増収傾向にあります。税引前利益および当期利益についても、保有契約の積み上げに伴い増加しており、安定した収益基盤を構築しつつあります。
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 保険収益 | 207億円 | 247億円 | 301億円 |
| 税引前利益 | 53億円 | 83億円 | 92億円 |
| 利益率(%) | 25.8% | 33.4% | 30.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 36億円 | 57億円 | 60億円 |
■(2) 損益計算書
保険収益の増加に伴い、税引前利益も増加しています。費用面では、事業規模の拡大に合わせ保険サービス費用も増加していますが、収益の伸びが上回っており、利益を確保しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 保険収益 | 247億円 | 301億円 |
| 売上総利益 | -億円 | -億円 |
| 売上総利益率(%) | -% | -% |
2025年3月期の費用のうち、発生保険金が101億円(構成比50.7%)、広告宣伝費が60億円(同30.0%)、従業員給付費用が25億円(同12.3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
(データなしのため省略)
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ライフネット生命保険のキャッシュ・フローについて解説します。
同社は、団信事業における保険料率の更新や保有契約の増加に伴う保険料の増加により、営業活動によるキャッシュ・フローは増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の取得により支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、リース負債の返済により支出となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 60億円 | 73億円 |
| 投資CF | -34億円 | -143億円 |
| 財務CF | 97億円 | -2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ライフネットの生命保険マニフェスト」を掲げ、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」ことを経営理念としています。生命保険の未来をつくるオンライン生保のリーディングカンパニーとなることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「Lifenetter Values」として、5つの価値観を大切にしています。「Manifesto driven お客さまを起点にする」「Ownership 自ら動く」「Teamwork 多様な仲間を力にする」「Growth mindset 変わりつづける」「Be ambitious 元気に、明るく、楽しく」を行動指針としています。
■(3) 経営計画・目標
2028年度を最終年度とする中期計画において、企業価値を表す指標として定義した「包括資本(Comprehensive Equity)」の最大化を掲げています。
* 包括資本:2,000億円~2,400億円到達
* 株価:3,000円以上
* 1株当たり包括資本成長率:10%程度
■(4) 成長戦略と重点施策
中期計画では、「Tech & Services」「Rebranding」「Embedded」の3つを重点領域としています。デジタル技術の活用による顧客体験の向上、時代に合わせたブランドの再構築、パートナー企業との連携による提供手段の拡大を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「多様性を大切にする」「成長の機会をつくる」を軸に人的資本の強化に取り組んでいます。多様な知見や経験を持つ従業員が個性を活かして互いに尊重できる組織を目指し、挑戦の機会を提供することで個人の成長を組織の成長につなげる方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.6歳 | 6.1年 | 8,269,031円 |
※平均年間給与は、株式報酬制度の特別奨励金、選択制確定拠出年金の選択金、賞与及び時間外手当等を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 28.6% |
| 男性育児休業取得率 | 250.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | -% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | -% |
| 男女賃金差異(非正規) | -% |
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。なお、男性労働者の育児休業取得率は公表義務の対象ではありませんが任意で記載されています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ご契約者の推薦度(82.4%)、従業員エンゲージメントスコア(理念戦略)(73)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競争状況に係るリスク
国内大手や外資系に加え、異業種からの参入もあり、競争環境は厳しさを増しています。特に主力のダイレクトビジネスにおいて競争力を維持できない場合、新契約件数の減少や解約の増加により保有契約が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 保険獲得キャッシュ・フローの投下に係るリスク
認知度向上や新契約獲得のため、広告宣伝費等を積極的に投下しています。営業活動の効果が十分に得られない場合や、インターネットを通じた保険購入が想定ほど浸透しない場合、投資効率が低下し、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 死亡率・罹患率等に係るリスク
実際の死亡率や罹患率が保険料計算の基礎となる予定率を上回った場合、想定以上の保険金支払が発生する可能性があります。特に感染症の大流行や大規模災害等により予測不可能な債務が発生するリスクがあります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。