東光高岳 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東光高岳 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東光高岳は東京証券取引所プライム市場に上場する、電力の安定供給を支える機器メーカーです。主に受変電・配電用機器や各種計器、電気自動車用急速充電器などの製造販売を展開しています。直近の業績では、電力機器事業のプラント物件増加などを背景に売上高、利益ともに前年を上回り、順調な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社東光高岳の有価証券報告書(第14期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 東光高岳ってどんな会社?


同社グループは、受変電設備の製造や計量インフラの構築など、電力ネットワークを支える事業を展開しています。

(1) 会社概要


同社は2012年に高岳製作所と東光電気の共同持株会社「東光高岳ホールディングス」として設立され、株式を上場しました。2014年に両社を吸収合併して現在の「東光高岳」へ商号を変更しています。同年には東京計器工業より計器失効替工事に係る事業を譲り受けるなど、事業基盤の強化と効率化を図ってきました。

現在の従業員数は連結で2,614名、単体で1,887名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は事業会社の東京電力パワーグリッドで、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
東京電力パワーグリッド 34.97%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.97%
日本カストディ銀行(信託口) 5.17%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は一ノ瀬貴士氏が務めており、役員のうち社外取締役の比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
一ノ瀬 貴士 代表取締役社長 東京電力東京支店渋谷支社長等を歴任し、2021年4月同社常務執行役員に就任。同年6月より現職。
水本 州彦 取締役専務執行役員 東光電気入社後、同社環境ソリューション事業本部長等を経て、2014年4月同社執行役員。2024年6月より現職。
磯 守 取締役常務執行役員 東光電気入社後、同社情報システム部長等を経て、2018年6月同社執行役員。2025年6月より現職。


社外取締役は、金子禎則(東京電力パワーグリッド社長)、三島康博(元フタバ産業社長)、植村明(元日本証券テクノロジー社長)、高田裕一郎(元さくら情報システム会長)、和田希志子(ふじ合同法律事務所弁護士)、守谷誠二(東京電力ホールディングス取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「電力機器事業」「計量事業」「GXソリューション事業」「光応用検査機器事業」および「その他の事業」を展開しています。

電力機器事業


主に受変電・配電用機器、監視制御システム・制御機器などの製造販売および電気設備工事の請負を行っています。電力の安定供給を支える変圧器や開閉装置などが主力製品であり、電力会社などが主な顧客です。

収益は、機器の販売代金や据付・設備工事の請負代金から得ています。事業の運営は同社のほか、タカオカエンジニアリング、タカオカ化成工業などの子会社が担っており、東京電力パワーグリッドが主要な販売先となっています。

計量事業


主に各種計器の製造販売や計器失効替工事などの請負を行っています。スマートメーターや変成器などを開発・提供しており、電力会社を中心とした顧客の計量業務をサポートしています。

収益源は、計器類の販売代金や各種工事の請負代金などです。同事業の運営は同社をはじめ、ワットラインサービス、東光東芝メーターシステムズなどの子会社が行っています。

GXソリューション事業


主にエネルギー計測・制御機器、電気自動車用急速充電器、組込みソフトウェアなどの製造販売やスマートグリッド事業を展開しています。環境配慮型の製品を通じて脱炭素社会の実現に貢献しています。

収益源は、各種機器の販売代金やシステムの提供、インフラ整備に係る事業収入などです。事業の運営は、主に同社およびミントウェーブが担当しています。

光応用検査機器事業


主に三次元検査装置などの製造販売を行っています。半導体の進化に対応した最先端の検査装置を開発し、国内外の半導体関連企業に向けて高品質な検査ソリューションを提供しています。

収益は、開発した検査装置の販売代金などから得ています。本事業の運営は、主に同社が単独で行っています。

その他の事業


同社が保有する賃貸ビルなどの不動産賃貸事業を展開しています。収益源はビルテナントなどからの賃貸収入であり、同社が運営主体となっています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は概ね増加傾向にあり、順調に事業規模を拡大しています。特に直近の事業年度では、特別高圧受変電設備プラント物件の増加などを背景に、売上高、経常利益ともに過去最高水準を記録し、利益率も大きく改善しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 919億円 978億円 1074億円 1066億円 1121億円
経常利益 42億円 47億円 80億円 63億円 101億円
利益率(%) 4.5% 4.8% 7.5% 5.9% 9.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 19億円 25億円 28億円 31億円 64億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益を比較すると、売上高の増加に加えて売上総利益率も改善したことで、売上総利益が拡大しています。販売費及び一般管理費は微増に留まったため、営業利益は前期から大幅な増益となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1066億円 1121億円
売上総利益 248億円 286億円
売上総利益率(%) 23.2% 25.5%
営業利益 61億円 98億円
営業利益率(%) 5.7% 8.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料諸手当及び賞与が54億円(構成比28%)、研究開発費が33億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力である電力機器事業が特別高圧受変電設備プラント物件の増加などにより堅調に推移しています。GXソリューション事業もPPP/PFI事業の増加により売上を大きく伸ばした一方で、光応用検査機器事業は半導体業界の投資抑制の影響を受けて減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
電力機器事業 599億円 639億円
計量事業 332億円 332億円
GXソリューション事業 106億円 124億円
光応用検査機器事業 20億円 17億円
その他の事業 10億円 10億円
連結(合計) 1066億円 1121億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 50億円 108億円
投資CF -37億円 -51億円
財務CF -33億円 -26億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.2%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も56.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「技術を深化・進化させ続け、お客さまとの連携を通じた新たな価値の創造により、社会問題の解決に貢献する企業」を目指しています。安全・安心・快適な生活と社会の持続可能な発展を支え、人々の笑顔があふれる未来を創るための信頼される企業として、「サステナブル社会」に貢献することを経営方針に掲げています。

(2) 企業文化


「安全・品質・コンプライアンス最優先(SQCファースト)」を全ての事業活動の基盤として確保する企業文化の構築を重視しています。また、経営理念のクレドを体現しつつ、「共創と挑戦」を推進する組織への変革を進めており、部門や会社を越えてシームレスにつながりながら相互連携を深める姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は「2027中期経営計画」において、足元の業績進捗や事業環境の変化を踏まえ、連結業績目標の見直しを行いました。モノづくりの深化に加え、エンジニアリング、デジタル、サービスを組み合わせた新たな価値創出に取り組んでいます。

* 2027年度の連結売上高1,200億円
* 2027年度の連結営業利益110億円
* 2027年度のROE14%以上

(4) 成長戦略と重点施策


SQCファースト改革を経営の基軸に据え、コア事業の収益力向上と成長分野の拡大を通じた中長期的価値創造を目指しています。具体的には、大型変圧器や開閉装置などのコア事業における生産能力増強・DX化を進めるとともに、第2世代スマートメーター関連事業、EVインフラ事業、半導体検査事業などの注力分野へ積極的なリソース投入を行っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「多様な人財が集い、挑戦・共創し続ける、活力ある人と組織の実現」を重要な経営課題と認識しています。「仕事こそ人を育てる」という方針に基づき、OJTを中心とした研修や自己啓発による効果的な人材育成を推進するとともに、新たな人事制度の導入を通じた組織づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.7歳 19.1年 6,737,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.8%
男性育児休業取得率 65.4%
男女賃金差異(全労働者) 74.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 74.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 69.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、スキルマップの成長率・設計・開発部門(7.5%)、スキルマップの成長率・コーポレート部門(13.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製品・サービスの品質問題

同社が生産販売する製品やサービスにおいて品質問題が発生した場合、不良品の回収や交換、賠償などによる損失コストの発生や、競争力の低下による受注機会の損失が生じ、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、SQCファースト改革を推進しています。

(2) 重要資材の価格高騰リスク

主力製品の製造に使用する鉄、銅、油、碍子などの重要資材が、市況変動や地政学的リスクの影響で大きく高騰した場合、価格上昇の影響を抑えきれず業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、継続的な原価低減活動や購入先の多様化を進めています。

(3) 電力会社への依存リスク

電力会社の投資動向が同社の業績に大きな影響を与える可能性があります。同社は電力機器の生産販売をコア事業としており、特定の電力会社向けの製品販売が連結売上高の約4割を占めているため、依存度の低下を目指して新市場への展開を進めています。

(4) 情報セキュリティによる事業活動の停止

標的型攻撃やランサムウェアなど、サイバー攻撃により重要情報の漏洩や業務の停止が発生した場合、サプライチェーンや営業体制などの事業活動に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。各種セキュリティ対策や従業員教育を実施し、リスク低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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