※本記事は、株式会社ケアサービス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ケアサービスは、在宅介護サービス事業とシニア向け総合サービス事業を展開しています。日本国内で介護保険制度に基づく多様な介護サービスを提供し、シニア層の生活を多角的にサポートしています。
単体従業員数は1,024名です。セグメントは在宅介護サービス事業、シニア向け総合サービス事業の2つです。
国内においてはケアサービスが、介護保険制度に基づく各種介護サービスや、シニア向けのエンゼルケアサービス、クリーンサービス、施設紹介サービスなどを直接提供しています。
同社は当事業年度より非連結決算へ移行しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社は、「全従業員とその家族の幸せを追求する」という企業理念のもと、従業員一人ひとりがやりがいを持って活躍できる環境づくりを基本方針としています。介護サービス事業を主軸とし、従業員が多様なライフイベントを迎えても長く働き続けられるよう、人材の育成と定着に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が8.0年、平均年齢が41.9歳となっており、比較的安定した人材構成と定着傾向が見られます。従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境が整備されていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,413,060円 |
| 平均勤続年数 | 8.0年 |
| 平均年齢 | 41.9歳 |
| 単体従業員数 | 1,024人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)の退職給付制度を採用しています。この制度は同社単体に適用されます。
退職一時金制度があり、退職給付として勤務期間に基づいた一時金が支給されます。なお、退職給付債務は243百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、「私たちは、全従業員とその家族の幸せを追求します。」という企業理念のもと、従業員がやりがいを持って活躍し、さまざまなライフイベントを迎えても働き続けられる環境を整えることを人材戦略の基本方針としています。持続的な成長拡大のため、人員の確保や介護サービスに必要な有資格者の確保と定着を重要な経営課題と認識しています。
給与・賞与の決定においては、在宅介護サービス事業が介護報酬、シニア向け総合サービス事業が葬儀社からの受託という収益構造上の制約があることを踏まえています。給与は定期昇給と前期業績を勘案した昇給を基本とし、業績が堅調な期には昇給幅を拡大することで成果を従業員に還元する方針です。賞与については、業績に応じた調整を行いつつも、従業員の生活安定を重視し、急激な増減を避けた安定的な支給を基本としています。
人材の確保と定着に向けた取り組みとして、採用エリアの拡大や給与水準の引き上げを実施しています。また、職能や経験に応じたキャリアパス、各種手当の拡充、サービス品質向上のための研修拡大、将来を担う管理職の育成にも注力しています。特に女性活躍推進として、職能研修や管理職研修を通じて女性従業員の事業所所長への登用を推進しています。
その他、従業員が長く活躍できるよう、産前産後休業と育児休業の拡充、正社員70歳まで・パートタイマー75歳までの継続雇用制度を設けています。一度退職した方が再度入社しやすい再雇用制度「おかえりなさい制度」や、資格取得にかかる費用の補助、奨励金の贈呈、資格取得後の職種変更など、多種多様なキャリア形成支援も行っています。これらの施策により、「えるぼし」や「くるみんマーク」の認定を取得しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 21.2% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 111.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 95.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 92.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 118.4% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 2026年3月期 男性育休取得率目標(2025年3月期実績維持) | 73.3% |
| 2026年3月期 男性育休取得率実績 | 111.1% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ケアサービスは、在宅介護サービスとシニア向け総合サービスを主軸に事業を展開しています。高齢化社会のニーズに応える多様なサービスを提供し、地域に密着した事業運営を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、主に二つの事業セグメントを通じて収益を上げています。
在宅介護サービス事業
この事業では、介護(医療)保険制度に基づく通所介護、訪問入浴、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援、小規模多機能型居宅介護、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売といった多岐にわたるサービスを提供しています。また、介護(医療)保険外サービスとして配食サービスも手掛けています。特にデイサービス施設の出店を積極的に行い、首都圏エリアを中心に営業基盤を整備しています。
収益は、介護保険制度に基づくサービス利用料や、配食サービスなどの保険外サービスから得ています。
シニア向け総合サービス事業
この事業では、冠婚葬祭業の互助会や葬儀社と契約を結び、エンゼルケアサービス(湯灌サービス、CDCサービス)を提供しています。その他、生前整理から遺品整理、遺品供養を含むハウスクリーニング等を行うクリーンサービス、介護が必要な方の施設探しをサポートする施設紹介サービスも提供しています。
収益は、エンゼルケアサービスの施行件数や、クリーンサービス、施設紹介サービスの利用料から得ています。
同社の事業は主に日本国内で展開されており、海外からの収益は言及されていません。また、特定の顧客への収益集中が見られ、東京都国民健康保険団体連合会への売上高が全体の過半数を占める状況です。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 在宅介護サービス事業 | - | 63.7億円 |
| シニア向け総合サービス事業 | - | 28.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の過去の業績は、売上高が堅調に増加し、それに伴い経常利益も伸びる傾向にありました。親会社株主に帰属する当期純利益も安定して推移し、着実な成長を示していました。
しかし、直近の事業年度からは連結決算から非連結決算へ移行しており、過去の連結業績推移とは異なる状況となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 89.7億円 | 92.4億円 | 96.4億円 | 98.6億円 | - |
| 経常利益 | 3.3億円 | 4.8億円 | 5.6億円 | 5.8億円 | - |
| 経常利益率 | 3.7% | 5.1% | 5.8% | 5.9% | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.9億円 | 3.2億円 | 3.8億円 | 3.7億円 | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | 50.66 | 85.36 | 99.56 | 98.60 | - |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
ケアサービスにおける従業員1人あたりの稼ぐ力を見ると、前期の従業員1人あたり売上高は9.5百万円でした。同様に、前期の従業員1人あたり経常利益は0.6百万円となっています。これらの数値は、同社の事業活動における従業員一人ひとりの貢献度を示す指標となります。直近の事業年度の連結従業員数に関するデータは提供されていません。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 9.5百万円 | - |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 0.6百万円 | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ケアサービスは、財務の安定性を示す自己資本比率や収益性を示すROEにおいて、高い水準を維持している傾向が見られます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ケアサービスは、前期において高い自己資本比率とROEを示しています。自己資本比率は、プライム市場の平均と比較しても高い水準にあり、財務基盤の安定性を示しています。また、ROEもプライム市場の平均を上回る水準となっており、効率的な経営が行われている傾向が見られます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 71.0% | - |
| ROE(自己資本利益率) | 13.4% | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
前期のキャッシュフローを見ると、ケアサービスは本業で安定的に資金を生み出している状況です。営業活動によるキャッシュフローはプラスであり、事業活動を通じて資金を獲得しています。投資活動によるキャッシュフローはマイナスとなっており、事業拡大や設備への投資を行っていることが示されています。
財務活動によるキャッシュフローもマイナスであり、借入金の返済や配当金の支払いなどが行われている状況です。結果として、フリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回り、余剰資金が生み出されている傾向が見られます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.5億円 | - |
| 投資CF | △1.4億円 | - |
| 財務CF | △0.9億円 | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4.1億円 | - |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、介護保険制度の改正や介護報酬の改定が、主力である在宅介護サービス事業の収益に影響を及ぼす可能性を認識しています。また、介護関連ビジネス市場の拡大に伴う競争激化により、利用者の確保が困難になるリスクも挙げています。シニア向け総合サービス事業においても、競争激化や葬儀形態の多様化による利用減少の可能性を示しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、事業拡大に必要な人材の確保が困難になるリスクを認識しています。特に介護事業においては、介護支援専門員や看護師、介護福祉士など専門資格取得者の確保が必須であり、これが業績に大きな影響を及ぼす可能性を指摘しています。人件費が高騰した場合にも、業績に影響を与える可能性があるとしています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ケアサービスは、お客様一人ひとりの尊厳に共感したサービスを提供し、全従業員とその家族の幸せを追求することを企業理念としています。高齢化社会が進む中で、地域密着型の介護サービスを通じて社会に貢献することを目指している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「お客様一人ひとりの尊厳に共感したサービスを提供し、全従業員とその家族の幸せを追求すること」を企業理念として掲げています。この理念のもと、高齢化社会の進展に伴い拡大が予想される介護業界において、東京23区を中心とした地域密着型企業としてブランドを確立することを目指しています。
ご高齢のお客様とそのご家族が必要とする介護保険外のサービスを拡充し、株主、地域社会、ご利用者、従業員等すべてのステークホルダーにとって価値ある企業となることを目指しています。中長期的には、在宅介護事業における首都圏ドミナント戦略の推進、介護保険外事業の拡大、経営基盤の強化を経営戦略として位置づけています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「私たちは、全従業員とその家族の幸せを追求します。」という企業理念のもと、従業員一人ひとりがやりがいを持って活躍し、さまざまなライフイベントを迎えても働き続けられる環境を整えることを基本方針としています。人員の確保と定着に向け、採用力の強化や給与水準の引き上げ、従業員の育成・定着のためのキャリアパスや各種手当の拡充、研修の拡大、管理職の育成を実施しています。
特に女性活躍推進に力を入れており、職能研修や管理職研修を通じて女性従業員の事業所所長の登用を推進しています。また、産前産後休業や育児休業の拡充、担当業務の転換、70歳までの継続雇用(パートタイマーは75歳まで)、再雇用制度「おかえりなさい制度」、資格取得支援などの社内制度を設けています。これらの取り組みにより、厚生労働大臣より「えるぼし」認定や「くるみんマーク」を取得しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、人材の採用と定着を優先的に対処すべき課題として認識しています。成長拡大に向けて、従事するケアワーカーの確保と定着が引き続き大きな経営課題となっています。採用機能の強化に加え、給与水準の引き上げ、優秀な従業員の育成・定着のためのキャリアパスや各種手当の拡充、労働市場の変化への順応を図っています。
女性従業員が約6割を占めることから、女性の働き方支援や職場環境を整備し、経験を持った優秀な人材が長期にわたって働き続けるための仕組み作りを推進しています。また、コスト構造の変化にも対応するため、経費管理の厳格化や調達先の見直し、業務オペレーションの見直しによる労働時間の最適化、ICTやAIの活用による事務効率化などを実行し、コスト増加の最小化に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ケアサービスは監査役会設置会社であり、取締役の職務執行を監視・監督する体制を構築しています。社外取締役および社外監査役の採用により、客観性と中立性を確保した経営監視機能が機能していると判断しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ケアサービスの筆頭株主は有限会社友愛です。次いで代表取締役社長である福原俊晴氏が上位株主として名を連ねています。また、ケアサービス従業員持株会も主要な株主の一つです。これらの株主構成は、同社の経営を支える基盤となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社友愛 | 43.83% |
| 福原 俊晴 | 14.29% |
| ケアサービス従業員持株会 | 3.92% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 1.97% |
| 東京海上日動火災保険 | 1.75% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は福原俊晴氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 福原 俊晴 | 代表取締役社長 | 2004年11月 株式会社レッグス(現:株式会社CLホールディングス)入社。2010年1月 同社入社。2019年5月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 福原 花枝 | 取締役 執行役員 | 2006年4月 コンサルティング事業個人事務所開設。2014年4月 株式会社麻生入社。2025年7月 同社入社。2026年6月 同社取締役執行役員より現職。 |
社外取締役は、藤好優臣氏(藤好公認会計士事務所代表)、園部洋士氏(至高法律事務所代表弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役および社外監査役の採用により、外部からの客観性と経営監視の中立性を確保しています。これにより、経営監視機能が十分に機能していると判断しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ケアサービスの取締役の報酬は固定報酬のみで構成されており、業績連動報酬や退職慰労金は支給されていません。監査役の報酬は、株主総会で決議された限度額内で、常勤・非常勤の別や業務分担を考慮し、監査役の協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 62百万円 | 20.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 7百万円 | 3.5百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 13百万円 | 3.2百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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