ケアサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ケアサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するケアサービスは、在宅介護サービスおよびシニア向け総合サービス(エンゼルケアなど)を展開する企業です。直近の業績は、主力サービスの利用件数伸び悩みや葬儀件数減少の影響を受け、前期比で減収減益となっています。今後は新規エリア開拓や経営基盤の強化に取り組みます。


※本記事は、ケアサービスの有価証券報告書(第35期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ケアサービスってどんな会社?


主に首都圏でデイサービス等の在宅介護事業と、エンゼルケア等のシニア向け事業を展開しています。

(1) 会社概要


1970年に蒲団の消毒乾燥を目的として創業し、1983年より介護部門を創設しました。1991年に訪問介護等を提供するケアサービスを設立後、デイサービス事業やエンゼルケア事業を拡大しています。2004年に大阪証券取引所ヘラクレスへ上場し、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。

現在、従業員数は単体で1,024名体制です。筆頭株主は友愛で、第2位は代表取締役社長の福原俊晴氏、第3位は同社の従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
友愛 43.83%
福原俊晴 14.29%
ケアサービス従業員持株会 3.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は福原俊晴氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
福原俊晴 代表取締役社長 2004年レッグス入社。2010年同社入社後、経営企画部長等を経て、2019年5月より現職。
福原花枝 取締役 執行役員 コンサルティング事業や麻生、エルゼビア・ジャパンを経て、2025年7月同社入社。2026年6月より現職。


社外取締役は、藤好優臣(藤好公認会計士事務所開設代表)、園部洋士(至高法律事務所開設代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「在宅介護サービス事業」および「シニア向け総合サービス事業」を展開しています。

在宅介護サービス事業


首都圏エリアを中心に、デイサービス(通所介護)を主体とした在宅介護サービスを提供しています。デイサービスに加え、訪問入浴、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援、福祉用具の貸与・販売、配食サービスまで、高齢者の在宅生活を支える多様なサービスを地域密着型で展開しているのが特徴です。

収益は、主に介護保険制度に基づく介護報酬やご利用者の自己負担金として受け取ります。ドミナント戦略により複数施設を展開しており、サービスの提供および運営はケアサービスが直接行っています。

シニア向け総合サービス事業


主に冠婚葬祭業の互助会や葬儀社と提携し、亡くなった方へのお化粧や湯灌を行うエンゼルケアサービスを提供しています。また、生前整理や遺品整理を含めたクリーンサービス、介護施設探しのサポートなど、シニア世代およびそのご家族向けの保険外サービスも展開しています。

収益は、提携する葬儀社からの業務委託料や、サービスを利用する個人からの利用料として受け取ります。こちらも運営はケアサービスが直接行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に拡大傾向にありましたが、直近の2026年3月期は主力サービスの伸び悩みや一部事業所の統廃合により減収となりました。利益面でも、物価や人件費の高騰に対する投資を継続したことで減益となっており、今後はコスト管理と事業の再構築が課題となります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 89.7億円 92.4億円 96.4億円 98.6億円 92.2億円
経常利益 3.3億円 4.8億円 5.6億円 5.8億円 1.6億円
利益率(%) 3.7% 5.1% 5.8% 5.9% 1.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.8億円 3.6億円 3.8億円 3.1億円 1.2億円

(2) 損益計算書


売上高の減少とともに売上総利益も低下しています。一方で、将来の成長を見据えた人材投資などの販売費及び一般管理費は前年並みの水準を維持しているため、営業利益率は大きく低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 98.6億円 92.2億円
売上総利益 13.2億円 9.2億円
売上総利益率(%) 13.4% 10.0%
営業利益 5.3億円 1.3億円
営業利益率(%) 5.4% 1.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.5億円(構成比32%)、役員報酬が0.8億円(同10%)を占めています。また、売上原価においては、労務費が59.7億円(構成比72%)、経費が20.0億円(同24%)を占めており、労働集約型の事業構造であることが分かります。

(3) セグメント収益


セグメント別の状況を見ると、在宅介護サービス事業はデイサービスの利用者伸び悩みや訪問入浴での人手不足により減収となりました。シニア向け総合サービス事業も、エンゼルケアの新規エリア開拓を進めたものの、全国的な葬儀件数減少の影響を受けて減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
在宅介護サービス事業 - 63.7億円
シニア向け総合サービス事業 - 28.5億円
連結(合計) - 92.2億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で安定的に資金を生み出し、その資金で投資や借入金の返済を賄っている健全な財務状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 5.5億円 1.2億円
投資CF -1.4億円 -1.8億円
財務CF -0.9億円 -1.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.4%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.0%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「お客様一人ひとりの尊厳に共感したサービスを提供し、全従業員とその家族の幸せを追求すること」を企業理念として掲げています。高齢化社会において東京23区を中心とした地域密着型企業としてブランドを確立し、すべてのステークホルダーにとって価値ある企業となることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、企業理念と行動指針、およびそれに基づく日々の行動目標を記した「ケアサービスフィロソフィ」を制定し、従業員への周知徹底を図っています。一人ひとりの従業員がやりがいを持っていきいきと活躍し、さまざまなライフイベントを迎えても働き続けられる環境づくりを重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、当面の間は経常利益率の向上を経営の目標としています。また、中長期的には収益性と資本効率をより高めて、総合的な企業価値を継続的に増大させていく方針を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


東京23区を中心とした在宅介護サービスのドミナント戦略を推進し、地域の医療機関との連携を含む「通い」や「訪問」の体制を強化します。また、エンゼルケアサービスの全国展開や終活関連事業の拡充など、介護保険外事業の拡大を図るとともに、人材確保やICT活用による事務効率化を通じて経営基盤の強化に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長拡大に向けて、介護サービスに必要な有資格者など優秀な人材の確保と定着を最重要課題と位置付けています。採用エリアの拡大に加え、給与水準の引き上げや職能に応じたキャリアパスの整備、各種手当の拡充を実施しています。また、女性従業員が約6割を占めることから、女性管理職の登用や働き方支援を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.9歳 8.0年 4,413,060円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.2%
男性育児休業取得率 111.1%
男女賃金差異(全労働者) 95.7%
男女賃金差異(正規雇用) 92.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 118.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 介護報酬や制度の変更


同社の主力である在宅介護サービスは介護保険法の適用を受けるため、3年ごとに行われる制度見直しや介護報酬改定の影響を強く受けます。将来的に介護報酬の引き下げや自己負担割合の引き上げなどが行われた場合、サービスの採算性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 介護サービスに関する法的規制


介護事業所の運営には都道府県知事等からの指定を受ける必要がありますが、従業員の退職などで人員基準を満たせなくなった場合、事業停止や報酬減額の処分を受ける恐れがあります。また、不正請求などの法令違反による指定取消しや連座制の適用も、事業継続に重大な影響を与えます。

(3) 専門人材(ケアワーカー等)の確保


サービス提供に不可欠な介護支援専門員や看護師、介護福祉士などの有資格者の確保は年々難しくなっています。同業他社や異業種との人材獲得競争が激化し、必要な人員を確保できない場合や人件費が想定以上に高騰した場合には、サービスの継続や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4) エンゼルケアサービスの需要と季節変動


シニア向け事業の中核であるエンゼルケアサービスは、葬儀需要の動向に左右されます。葬儀件数は夏季に少なく冬季に増加する季節的偏重があるほか、家族葬などの葬儀形態の多様化が進んでいます。これらの要因によってサービスの利用が想定を下回った場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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