※本記事は、フォーバル・リアルストレート の有価証券報告書(第31期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フォーバル・リアルストレートってどんな会社?
オフィス移転時の不動産仲介から内装工事、ITインフラ構築までをトータルサポートするソリューション企業です。
■(1) 会社概要
1995年に設立され、2005年にJASDAQ市場へ上場しました。2009年に現社名へ変更し、オフィスソリューション事業を本格化させています。2022年の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。2025年4月には第一工芸社を完全子会社化するなど、事業基盤の拡大を進めています。
現在の従業員数は85名(単体)です。筆頭株主は親会社であり情報通信コンサルタント業を営むフォーバルで、発行済株式の半数以上を保有しています。第2位は同社の従業員持株会、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| フォーバル | 50.91% |
| FRS従業員持株会 | 1.64% |
| 西本誠治 | 1.30% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は芳賀直樹氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 芳賀直樹 | 代表取締役社長 | フォーバル入社後、同社OC営業部部長、OC事業部事業部長、取締役を経て、2025年4月より現職。 |
| 吉田浩司 | 取締役会長 | フォーバル入社後、フォーバルコミュニケーションズ社長、ヴァンクール社長、同社社長を経て、2025年4月より現職。 |
| 早川慎一郎 | 常務取締役管理本部長 | ラオックスヒナタ入社後、同社入社。経理財務部長、取締役管理部長を経て、2025年4月より現職。 |
| 里村歩 | 常務取締役事業統括部長 | フォーバルテレコム入社後、同社SI営業部部長、SI事業部事業部長、取締役を経て、2025年4月より現職。 |
| 加藤康二 | 取締役 | フォーバル入社後、同社取締役管理本部長、フォーバルテレコム取締役等を経て、2009年6月より現職。 |
| 三浦静雄 | 取締役(監査等委員) | フォーバル入社後、同社管理部付部長、監査役を経て、2022年6月より現職。 |
社外取締役は、吉川正幸(吉川公認会計士事務所代表)、永井公成(法律事務所ネクシード代表弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソリューション事業」を展開しています。
■(1) ソリューション事業
企業のオフィス移転やリニューアル時に必要となるサービスを一括して提供しています。具体的には、オフィス物件の仲介、内装デザイン・工事、ICT(情報通信技術)環境の構築、オフィス家具・什器の手配などが含まれます。顧客は主にオフィス移転や環境整備を行う中小・中堅企業です。
収益は、不動産仲介による手数料、内装工事やインフラ整備工事の請負代金、およびオフィス機器・什器等の販売代金から構成されています。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、事業規模は拡大しています。利益面では、2023年3月期以降は1億円台の経常利益を確保していましたが、直近の2025年3月期は減益となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 19億円 | 22億円 | 30億円 | 31億円 | 31億円 |
| 経常利益 | 0.9億円 | 0.5億円 | 1.6億円 | 1.7億円 | 1.3億円 |
| 利益率(%) | 4.6% | 2.4% | 5.3% | 5.6% | 4.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.0億円 | 0.5億円 | 1.1億円 | 1.3億円 | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微増となりましたが、売上原価の増加により売上総利益は横ばいとなりました。一方、販売費及び一般管理費が増加したことで、営業利益は減少しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 31億円 |
| 売上総利益 | 12億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 40.4% | 39.6% |
| 営業利益 | 1.7億円 | 1.3億円 |
| 営業利益率(%) | 5.5% | 4.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.7億円(構成比51%)、法定福利費が1.0億円(同9%)を占めています。売上原価においては、外注費が10.2億円(構成比54%)、材料費が4.0億円(同21%)となっています。
■(3) セグメント収益
内装工事及びそれに付随するサービスは成約件数の増加により増収となりましたが、不動産仲介等は顧客単価および成約件数の減少により減収となりました。全体としては増収を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 不動産仲介等 | 2.5億円 | 2.1億円 |
| 内装工事及びそれに付随するサービス | 28億円 | 29億円 |
| 連結(合計) | 31億円 | 31億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.5%で市場平均とほぼ同じ水準です。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「社員・家族・顧客・株主・取引先と共に歩み社会価値創出を通してそれぞれに幸せを分配することを目指す」という理念を掲げています。オフィス空間の提供やGX・DX化の推進を通じて、中小・中堅企業の売上拡大や業務効率改善に貢献し、利益をもたらすことを目指しています。
■(2) 企業文化
人的資本への投資を企業の持続的発展の基盤と捉え、社員一人ひとりの能力や経験を適正に評価する文化があります。また、多様性の推進や健康経営にも注力しており、サークル活動を通じた社内コミュニケーションの活性化や、社是の唱和による理念共有を図るなど、組織の一体感醸成を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は継続的な成長を目標とし、3ヶ年の中期経営計画を策定しています。具体的なKPIとしては経常利益等を設定しており、事業環境の変化に対応しながら目標達成を目指しています。
* 経常利益目標:1.9億円(2025年3月期実績は1.3億円)
■(4) 成長戦略と重点施策
顧客企業の多様なニーズに対応するため、不動産・内装・ICT等の専門人材がチームを組み、伴走型支援を強化しています。また、マーケティング活動やブランド価値の向上を通じて、新規顧客の開拓と事業領域の拡大を図っています。さらに、既存ビルのバリューアップ提案など、新たな収益機会の創出にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続可能な成長のため、社員の成長を促す仕組みづくりと経営体制の整備に取り組んでいます。成果だけでなく行動や成長過程も評価する人事制度を構築し、多様な人材が柔軟に働ける環境を整えています。また、専門人材の育成や採用強化を進め、組織力の向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 37.2歳 | 7.1年 | 7,265,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 19.2% |
| 男性の育児休業等の取得率 | 0% |
| 男女の賃金の差異(全従業員) | 82.4% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用) | 82.8% |
| 男女の賃金の差異(非正規雇用) | 70.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員に占める女性従業員の割合(35.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制について
不動産仲介業務では宅地建物取引業法などの規制を受け、内装工事等では建設業法の規制を受けています。これらの法令の改廃や解釈の変更、新たな規制の導入が行われた場合、同社の事業活動や業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 個人情報保護について
事業活動において多くの顧客の個人情報を取り扱っています。プライバシーマークを取得し管理体制を強化していますが、万一個人情報の漏洩や不正使用が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 関連当事者取引について
親会社であるフォーバルグループとの間で取引を行っています。取引の健全性と適正性を確保する体制を構築していますが、取引条件の妥当性が保たれない場合や取引内容に問題が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。



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