フォーバル・リアルストレート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フォーバル・リアルストレート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フォーバル・リアルストレートは東証スタンダード市場に上場し、オフィス移転時の物件仲介から内装工事、ICTインフラ整備までをトータルにサポートするソリューション事業を展開しています。直近の業績では、多様化するオフィス環境へのニーズを捉え、売上高および利益ともに堅調に推移し、増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社フォーバル・リアルストレートの有価証券報告書(第32期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フォーバル・リアルストレートってどんな会社?


オフィス移転の物件仲介から内装工事、ICTインフラ整備までをトータルにサポートする企業です。

(1) 会社概要


1995年に通信機器等の販売を目的に設立され、2005年にジャスダック(現・東証スタンダード)へ上場を果たしました。2009年に現在のフォーバル・リアルストレートへ社名を変更し、オフィスソリューション事業を開始しています。2025年には第一工芸社を完全子会社化するなど、事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で114名、単体で113名の体制です。筆頭株主は情報通信コンサルタント業を展開し同社の親会社であるフォーバルで、第2位はFRS従業員持株会、第3位は個人の石原勝氏となっています。

氏名 持株比率
フォーバル 51.16%
FRS従業員持株会 1.69%
石原勝 1.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は芳賀直樹氏が務めています。社外取締役比率は25.0%(8名中2名)です。

氏名 役職 主な経歴
芳賀直樹 代表取締役社長 1997年フォーバル入社。2009年に同社第二営業部部長に就任。OC事業部事業部長などを歴任し、2025年より現職。
里村歩 常務取締役事業統括部長 1995年フォーバルテレコム入社。2014年に同社に入社しSI営業部部長に就任。SI事業部事業部長等を経て2025年より現職。
早川慎一郎 常務取締役管理本部長 1998年ラオックスヒナタ入社。2004年に同社に入社し経理財務部長を務める。FRSファシリティーズ取締役等を経て2025年より現職。
加藤康二 取締役 1996年フォーバル入社、経理部長等を歴任。2009年に同社取締役に就任。フォーバル常務取締役等を兼任して現職。
三浦静雄 取締役(監査等委員) 1988年フォーバル入社。2016年に同社に入社し常勤監査役を務める。2022年に取締役(監査等委員)に就任し常勤として現職。


社外取締役は、吉川正幸(公認会計士・吉川公認会計士事務所開設)、永井公成(弁護士・法律事務所ネクシード開設等)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

不動産仲介等および内装工事ソリューション

フォーバル・リアルストレートは、企業のオフィス移転時において、物件探しから空間デザイン、ICTインフラ構築までをトータルにサポートするソリューション事業を展開しています。顧客企業の成長を支える働きやすい職場環境の整備に向け、不動産仲介、内装工事、各種オフィス機器や什器の手配などをワンストップで提供しています。

収益源は、オフィス物件の賃貸借契約成立に伴う仲介手数料や、内装工事の請負代金、各種オフィス機器・什器の販売代金およびサービス利用料などです。事業の運営は主にフォーバル・リアルストレートが担っており、2025年に完全子会社化した第一工芸社とともに、互いの強みを活かした空間デザインや什器販売を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高や経常利益のデータが一部開示されていないものの、最終的な当期利益は黒字を継続しています。当期より連結決算へ移行しており、旺盛なオフィス移転・リニューアル需要を背景に、安定した収益基盤を維持しながらさらなる事業成長と利益の拡大を目指しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - - - - 46億円
経常利益 - - - - 1.4億円
利益率(%) - - - - 3.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 1.1億円 1.3億円 0.9億円 1.1億円

(2) 損益計算書


損益の構成を見ると、当期はオフィスソリューション領域での高付加価値な環境提供が寄与し、売上総利益および営業利益ともに安定した水準を確保しています。働き方改革を背景とした継続的な需要を取り込み、利益創出に繋げています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - 46億円
売上総利益 12億円 16億円
売上総利益率(%) - 35.9%
営業利益 1.3億円 1.4億円
営業利益率(%) - 3.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.6億円(構成比51%)、法定福利費が1.4億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はソリューション事業の単一セグメントであるため、全社的なオフィス移転・リニューアル事業が全体の収益を牽引しています。既存ビルのバリューアップ需要や企業の働き方改革に向けた投資意欲を取り込み、堅調な売上を計上しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ソリューション事業 - 46億円
連結(合計) - 46億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


キャッシュ・フローの状況は、営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスの「改善型」を示しています。本業であるオフィスソリューション事業から生み出された資金に加え、投資有価証券の売却等による収入も確保しつつ、株主への配当など財務面での支出を行っている堅実な資金繰りの状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF - 1.9億円
投資CF - 0.8億円
財務CF - -0.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


フォーバル・リアルストレートは、「社員・家族・顧客・株主・取引先と共に歩み社会価値創出を通してそれぞれに幸せを分配することを目指す」という経営理念を掲げています。ワークプレイスの創造を通じて「働き方」と「場」の在り方における最適解を提供し、顧客企業が抱える経営課題の解決に貢献することを社会的使命として事業を展開しています。

(2) 企業文化


フォーバルグループの社是に基づき、地球全体の環境改善および社会課題への対応を重視する文化を持っています。また、社員が持つ知識・スキル・経験を企業の持続的発展を支える「人的資本」と位置づけ、社員一人ひとりの成長を促す組織づくりに取り組んでいます。社是の唱和等を通じた理念の共有を図り、組織全体の一体感醸成を大切にする企業文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は継続的な成長を目標として掲げ、2025年5月に3ヶ年の中期経営計画を発表しています。変化する社会・経済構造の中で、企業の生産性向上やESG経営の実践に不可欠となるオフィス環境の整備需要を取り込み、持続的な企業価値の向上と事業基盤の拡大を図る方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、既存のオフィス仲介や内装領域の枠を超えた高付加価値なサービス提供に注力しています。採用コンサルティング領域への参入や、物件のポテンシャルを引き出す独自のサブリース事業の立ち上げを推進しています。また、各専門チームによる総合的な提案力と伴走型支援というブランドイメージを浸透させるため、MAツールの導入などマーケティング活動の高度化を図り、持続的な収益基盤の構築を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「既存事業の進化」と「新規事業への挑戦」を軸に、顧客への提供価値の最大化を目指した人材育成を推進しています。持続可能な企業成長を支えるため、次世代幹部やマネージャー層に向けた研修を拡充し、IT関連や不動産・内装などの専門スキルの向上を図っています。さらに、成果だけでなく行動や成長プロセスも適正に評価する新たな人事評価制度の構築を進め、社員の意欲向上を後押ししています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.9歳 5.8年 7,179,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全従業員) 75.8%
男女賃金差異(正規従業員) 76.5%
男女賃金差異(非正規従業員) 54.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 宅地建物取引・建設業に関連する法的規制

不動産取引や内装工事などの事業展開において、「宅地建物取引業法」や「建設業法」をはじめとする各種法的規制を受けています。これらの規制による免許や許可に基づいて業務を行っているため、今後、新たな法的規制が設けられたり、現行の法解釈が変更されたりした場合には、同社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 顧客の個人情報保護に関するリスク

オフィス仲介やインフラ構築といった事業活動を通じて、顧客の個人情報を多数取り扱っています。プライバシーマークを取得し、施錠管理やアクセス制限等で厳重な情報管理を徹底していますが、万が一外部への情報漏洩や不正使用が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償負担などにより、同社の経営成績に悪影響を与えるおそれがあります。

(3) 関連当事者取引の妥当性確保

親会社であるフォーバル等の関連当事者との間で取引を行うことがあります。企業としての独立性を保つため、当該取引の事業上の必要性や条件の妥当性を社内規程に則って審議・承認する体制を築いています。しかし、適切な審議を経ずに不当な条件での取引が行われた場合、少数株主の利益を損ない、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。