※本記事は、株式会社アサンテ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アサンテは、既存木造家屋を対象とした白蟻防除、湿気対策、地震対策の各種施工を主力サービスとしています。その他、住宅リフォームやゴキブリ・ネズミ等の害虫・害獣防除も手掛けています。
単体従業員数は983名、連結従業員数は1,013名です。
主な国内グループ会社は、ハートフルホーム(建築・リフォーム事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アサンテは住宅の長寿命化に資する事業を展開しており、安定した事業基盤を持つ企業です。従業員のスキルや対応力がサービス品質に直結するため、人材の育成と定着に力を入れています。多様な働き方を支援し、社員が長期的に活躍できる環境づくりを目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数も比較的長く、人材が定着しやすい環境にあることが示されています。これは、長期的なキャリア形成を支援する同社の取り組みが反映されている可能性があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,834,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.0年 |
| 平均年齢 | 41.8歳 |
| 単体従業員数 | 983人 |
| 連結従業員数 | 1,013人 |
| 単体のグループ内比率 | 97.0% |
同社には、確定給付企業年金制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度があります。これらの制度は国内の従業員を対象としています。退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。直近の退職給付債務は21.4億円、年金資産は22.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、主要サービスの営業から施工、アフターサービスまでを自社従業員が担っており、サービス品質は従業員のスキルや対応力に大きく依存しています。そのため、人材の確保・育成・定着を持続的成長を支える重要な経営課題と認識しています。処遇改善や環境整備による人材の定着、手厚い初期教育と継続フォローによる早期戦力化・離職抑制、スキル・キャリアアップを通じたやりがい・品質の向上を推進しています。
給与は職務内容、成果、技能水準等を総合的に勘案し決定されており、毎月の給与は人事評価制度に基づく等級制度により年1回改定されます。営業職・技術職については、個人の業績成果や取得したスキル、顧客からの評価に応じたインセンティブを付加することで、成果創出やスキル向上への動機づけを図っています。賞与は会社業績および社員一人ひとりの成果等を勘案し決定されています。
また、同社グループは「人と技術を育て、人と家と森を守る」を経営理念とし、「人材育成と働きがいのある職場づくり」をマテリアリティに掲げています。社員のキャリア形成を促す機会と教育体系・環境を整備し、意欲にあふれ自律的に活躍できる人材の育成に取り組んでいます。職種別・階層別のスキル向上、マネジメント能力の開発など、各種育成プログラムを拡充させ、社員の自律的な成長の機会を提供しています。人権を尊重し、自律的で多様な働き方を可能とする就労環境の整備や人事制度の充実を進め、安心して力を発揮し続けられる社内環境整備に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は開示されていません。男性育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき、労働者の男女の賃金の差異は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 49.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 52.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 46.2% |
人材育成・エンゲージメント
社員1人当たり研修時間は提出会社の社員を対象としています。女性社員数は、同社グループの主力サービスを取り扱う提出会社を対象としています。社内認定・社内検定の取得者数と取得率は連結ベースで、役員・受入出向・試用社員・アルバイトを除く全営業職・技術職の正社員が対象です。正社員数は連結ベースで、試用社員を除く60歳以上の社員を含んだ正社員が対象です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 社員1人当たり研修時間 | 16.1時間 |
| 女性社員数 | 163人 |
| 社内認定・社内検定の取得者数 | 438名 |
| 社内認定・社内検定の取得率 | 77% |
| 正社員数 | 957名 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アサンテは、既存木造家屋を対象とした専門サービスを提供し、収益を上げている企業です。同社グループは、人々の住まいを守るための多様なサービスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に既存木造家屋を対象とした「白蟻防除」、「湿気対策」、「地震対策」の各種施工を主力サービスとして提供しています。これらのサービスを通じて、顧客の住環境の維持・改善に貢献しています。また、住宅リフォームや、ゴキブリ・ネズミ等の害虫・害獣防除といったサービスも手掛けています。
同社グループの収益モデルは、これらの施工サービスや防除サービスを提供することで成り立っています。特に、農協等との提携による営業活動も行っており、幅広い顧客層へのアプローチを図っています。収益は、約束した財またはサービスの支配が顧客に移転した時点で認識されています。同社グループは単一セグメントで事業を展開しており、海外の外部顧客への売上高はなく、特定の主要な顧客に収益が集中している状況もありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にありますが、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は減少する傾向を示しています。特に当連結会計年度においては、売上高は増加したものの、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は前期から減少となりました。この親会社株主に帰属する当期純利益の減少には、遊休資産の減損損失を特別損失として計上したことが影響しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 137億円 | 141億円 | 137億円 | 140億円 | 144億円 |
| 経常利益 | 13.5億円 | 14.0億円 | 9.9億円 | 11.6億円 | 8.4億円 |
| 経常利益率 | 9.8% | 9.9% | 7.2% | 8.3% | 5.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.8億円 | 8.8億円 | 5.4億円 | 6.9億円 | 2.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 52.82 | 79.74 | 49.24 | 66.02 | 28.09 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、2025年3月期から2026年3月期にかけてわずかに減少しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期から減少する結果となりました。これらの指標は、同社グループ全体の生産性や収益体質に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 14.3百万円 | 14.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.2百万円 | 0.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、自己資本比率が高く、手元資金も厚い状態を示しています。キャッシュフローは本業で安定した資金を生み出しつつ、成長に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な現金及び預金によって安定していることが示されています。自己資本比率はプライム市場平均と比較しても高い水準にあり、強固な経営基盤を構築していると言えます。ROE(自己資本利益率)は前期から低下していますが、依然としてプラスを維持しています。手元資金も厚く、事業運営における安定性がうかがえる状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 97.4億円 | 96.1億円 |
| 自己資本比率 | 67.8% | 68.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.4% | 2.8% |
| 現金及び預金 | 71.1億円 | 67.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、営業活動による資金がプラスとなっており、本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。当期は税金等調整前当期純利益の増加が主な要因となり、営業活動による資金が増加しました。投資活動による資金は、固定資産の取得による支出が主な要因で減少しています。
財務活動による資金は、配当金の支払額による支出が主な要因で減少しました。フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態です。これは、同社グループが事業活動を通じて安定した資金を確保し、将来に向けた投資も継続していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる財務状況と言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.2億円 | 3.8億円 |
| 投資CF | △62百万円 | △1.1億円 |
| 財務CF | △26.7億円 | △6.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 10.6億円 | 2.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力商品である白蟻防除施工等のサービスは、木造戸建住宅を主な販売対象としていますが、需要の多くは潜在化している傾向があります。個人の消費マインドや経済状況、景気動向、雇用環境等により販売動向が大きく変動する可能性があります。
また、同社グループの業績は、例年5月をピークとする白蟻の活動活発化に伴い、第2四半期連結累計期間に偏重する傾向があります。該当期間の販売動向が通期業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループにとって人材の確保と育成は経営基盤の維持、拡大の上で不可欠であると認識されています。少子高齢化や労働需給関係の逼迫により人材獲得競争が激化する中、必要な人材を確保できない場合には、事業展開が制約され、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アサンテは、「人と技術を育て、人と家と森を守る」という経営理念のもと、お客様の安全・安心・快適な暮らしと社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。この理念が、同社グループの企業活動と企業風土の基盤となっています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アサンテは、「人と技術を育て、人と家と森を守る」を経営理念としています。この理念に基づき、シロアリ対策や地震対策を通じてお客様に安全・安心・快適な暮らしを提供し、既存住宅の長寿命化を推進しています。
同社グループは、環境問題などの社会課題解決に貢献し、持続可能な社会の実現を目指しています。お客様満足度の向上、環境と社会への貢献、誠実な経営の推進、優秀な人材の育成、従業員満足度の向上、そして持続的な発展の実現を経営方針として掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アサンテは、経営理念「人と技術を育て、人と家と森を守る」を共有し、社会に貢献できる優秀な人材の育成を重視しています。コンプライアンスを重視し、誠実な企業経営を実践することが求められる価値観です。
一人ひとりの従業員がイキイキと働ける環境を実現し、やる気を高め、組織力を向上させることを目指しています。多様な人材がやりがいを持って健康的に働き、個々の能力を発揮できる職場づくりを推進しています。
人権を尊重し、自律的で多様な働き方を可能とする就労環境の整備や人事制度の充実を通じて、安心して力を発揮し続けられる社内環境整備に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アサンテグループは、持続的な成長を実現する上で人材を最も重要な資本と位置づけ、人的資本の開発・活用を重点課題としています。採用力と定着力を高めるため、処遇改善、教育体制の充実、職場環境の整備を一体で推進しています。
人材教育では、充実した教育体制と社内検定制度の拡充、マネジメント能力の開発を通じて、従業員の成長とサービス品質の向上を図っています。職場環境の整備では、年間休日増加や給与水準引き上げ、福利厚生の充実、人事制度の見直しを進め、多様な人材が安心して長く活躍できる体制構築に努めています。
事業活動を通じた社会課題解決への貢献も重点テーマです。木造家屋の安全性向上と長寿命化に資するサービス提供、防災・減災につながるサービス開発・拡充、CO2排出量削減を通じて、地球環境に配慮した事業運営を推進しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アサンテの取締役会は社内取締役5名と社外取締役3名で構成されており、経営の透明性と公正性を図っています。監査役会は常勤監査役1名と非常勤監査役2名(うち2名は社外監査役)で構成され、ガバナンス体制の強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アサンテの株主構成を見ると、機関投資家である信託銀行が筆頭株主となっています。また、創業家や従業員持株会も上位株主として名を連ねており、幅広い層に支えられていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.94% |
| 宗政 ヨシ | 7.57% |
| アサンテ従業員持株会 | 3.87% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は宮内 征氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮内 征 | 代表取締役社長 | 1994年3月同社入社、2019年4月常務取締役営業本部長、2020年6月代表取締役社長より現職。 |
| 中尾 能之 | 常務取締役経営本部長 | 1986年4月三菱銀行入行、2015年10月同社入社経理部長、2026年6月常務取締役経営本部長より現職。 |
| 石上 祥光 | 取締役管理本部長 | 1990年6月同社入社、2020年6月取締役営業本部長、2025年4月取締役管理本部長より現職。 |
| 濱里 徹志 | 取締役営業本部長 | 1996年3月同社入社、2023年6月取締役営業本部長、2025年10月取締役営業本部長より現職。 |
| 松尾 俊吾 | 取締役人事本部長 | 1994年3月同社入社、2023年6月取締役管理本部副本部長、2025年4月取締役人事本部長より現職。 |
社外取締役は、名取 俊也氏(新丸の内総合法律事務所代表弁護士)、田中 道昭氏(株式会社マージングポイント代表取締役社長)、大村 尚子氏(株式会社LayerⅩ常勤監査役)です。
アサンテは監査役会設置会社であり、取締役会は社内取締役と社外取締役で構成され、経営の透明性と公正性を高めています。社外取締役は豊富な経験と幅広い知識に基づき、コーポレート・ガバナンスや会社経営の監督機能強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アサンテの役員報酬は、固定報酬である基本報酬、業績連動報酬である賞与、非金銭報酬である譲渡制限付株式報酬で構成されています。社外取締役の報酬は固定報酬のみであり、監査役の報酬も固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 1.4億円 | 23.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 13百万円 | 13.2百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 38百万円 | 7.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
💬キャリコネで会社の実態を確認する
決算資料で業績や財務の状況を把握することは、転職の準備として非常に有効です。数字は会社の今の実力と方向性を正直に示しています。
ただ、数字だけでは見えてこないこともあります。職場の雰囲気、上司との関係、実際の残業の実態、昇給のリアル——こうした情報は、現役社員やOB・OGの声から得られます。
企業口コミサイト「キャリコネ」では、社員のリアルな口コミや給与明細、求人情報をまとめて確認できます。決算データと合わせてチェックすることで、応募判断の精度が上がります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。