※本記事は、夢展望株式会社 の有価証券報告書(第28期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 夢展望ってどんな会社?
1998年設立。若年層女性向けファッションECやブライダルジュエリー、玩具卸売を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1998年に大阪府箕面市でドリームビジョンとして設立し、2005年に衣料品販売事業を開始しました。2008年に夢展望へ社名変更し、2013年に東証マザーズへ上場しました。2015年にはRIZAPグループの子会社となり、現在はアパレル、ジュエリー、トイ事業を展開しています。
同社グループは連結従業員142名、単体32名の体制で運営されています。筆頭株主は親会社のRIZAPグループで、第2位は個人株主、第3位も個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| RIZAPグループ | 45.43% |
| 岡 隆宏 | 1.63% |
| 田中 啓晴 | 0.79% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は津田茂寿氏、社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 津田 茂寿 | 代表取締役社長 | RIZAPグループ等のグループ会社役員を経て、2024年入社。2025年6月より現職。 |
| 塩田 徹 | 取締役会長 | RIZAPグループの取締役等を歴任。2024年に同社社長就任後、2025年6月より現職。 |
| 佐藤 信治 | 取締役(監査等委員) | ジーンズメイト社長等を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、岡澤耕(トレンドマイクロ バイスプレジデント)、古川純平(弁護士)、木谷倫之(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「アパレル事業」、「ジュエリー事業」、「トイ事業」を展開しています。
■(1) アパレル事業
主に10代から30代の女性向けに、ECサイト「夢展望」等を通じて衣料品や雑貨を販売するほか、30代から50代向けシャツブランド「ナラカミーチェ」を展開しています。トレンドを意識した商品企画から販売までを一貫して行っています。
主な収益は、個人顧客からの商品販売代金です。運営は主に同社および子会社のナラカミーチェジャパンが行っています。
■(2) ジュエリー事業
婚約指輪・結婚指輪等のブライダルジュエリーを中心とした宝飾品の販売を行っています。札幌から福岡までの主要都市において、路面店やファッションビル、ホテル内のテナント店およびECサイトで展開しています。
主な収益は、個人顧客からの商品販売代金です。運営は子会社のトレセンテが行っています。
■(3) トイ事業
国内玩具メーカーからの発注に基づき、玩具製品を主に中国の協力工場より仕入れ、販売しています。中国現地での生産管理および仕入ノウハウを活かしたOEM供給が中心です。
主な収益は、玩具メーカーからの商品販売代金です。運営は同社、夢新開發(香港)、夢展望貿易(深圳)が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上収益は直近5期間で減少傾向にあり、特に直近の2025年3月期は45億円まで縮小しています。利益面では、全期間において税引前損失および当期損失を計上しており、赤字基調が続いています。親会社所有者帰属持分比率も低水準で推移しており、厳しい経営状況が見て取れます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 60億円 | 49億円 | 52億円 | 47億円 | 45億円 |
| 税引前利益 | -5.1億円 | -0.5億円 | -1.3億円 | -3.5億円 | -3.6億円 |
| 利益率(%) | -8.5% | -1.0% | -2.5% | -7.6% | -8.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -5.1億円 | -0.5億円 | -1.3億円 | -3.5億円 | -3.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益は前期比で減少しました。売上総利益率は約45%前後を維持していますが、販管費の負担が重く、営業損失が継続しています。コスト構造の見直しを進めているものの、依然として赤字脱却には至っていない状況です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 47億円 | 45億円 |
| 売上総利益 | 22億円 | 20億円 |
| 売上総利益率(%) | 46.7% | 44.9% |
| 営業利益 | -3億円 | -3億円 |
| 営業利益率(%) | -6.0% | -6.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当などの従業員給付費用が9億円(構成比39%)、広告宣伝費及び販売促進費が3億円(同13%)を占めています。売上原価の構成比は55%です。
■(3) セグメント収益
アパレル事業とジュエリー事業は減収減益(営業損失)となり、苦戦しました。一方、トイ事業は売上が伸長し、利益も大幅に増加しました。全社費用等の調整額が大きく、連結全体では営業損失となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| アパレル事業 | 27億円 | 26億円 | -2億円 | -2億円 | -7.9% |
| ジュエリー事業 | 9億円 | 8億円 | -0.1億円 | -0.6億円 | -7.1% |
| トイ事業 | 10億円 | 12億円 | 0.4億円 | 0.9億円 | 7.6% |
| その他(調整額等) | - | -0億円 | -1億円 | -1億円 | - |
| 連結(合計) | 47億円 | 45億円 | -3億円 | -3億円 | -6.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
夢展望は、株式発行による収入を財務活動の主な獲得要因としています。営業活動では、事業運営上の費用が発生し、資金の使用につながりました。投資活動では、関係会社への貸付が資金の使用を促しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.8億円 | -4億円 |
| 投資CF | -2億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | -1億円 | 3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、10代から30代の女性を中心とした顧客向けのアパレル事業と、ブライダルジュエリーを中心としたジュエリー事業を主軸に展開しています。「カワイイ」ファッションを国内外に届けることや、多様な人材が活躍できる組織づくりを目指しています。
■(2) 企業文化
年齢・性別・バックグラウンドを問わず、問題意識が高く行動力のある人材を積極的に登用する風土があります。現場の気づきを経営に反映させ、多様な人材が活躍できる風通しの良い組織づくりを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
「売上総利益率」、「営業利益率」等の各種利益率および「営業キャッシュ・フロー」を重視する経営指標として掲げています。具体的な数値目標は開示されていませんが、業績の着実な成長と収益体質の改善を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
アパレル事業では、越境EC販売を成長エンジンと位置づけ、IPコラボレーションの拡充やデジタルマーケティング強化によりグローバル展開を推進します。ジュエリー事業では、インバウンド向け接客体制の強化やファインジュエリーの拡充、SNSマーケティングの強化に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
年功序列を排除し、従業員の本質と行動を評価する人事制度を軸にしています。年齢や性別に関わらず、問題意識が高く行動力のある人材を積極的に登用し、経営層と現場のコミュニケーション円滑化にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.8歳 | 8.4年 | 3,510,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 51.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 55.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 18.1% |
※男性育児休業取得率については、当連結会計年度においては対象者がいないため記載を省略しています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 流行の変化と在庫リスク
アパレル業界は流行の変化が早く、顧客の嗜好に合致した商品を提供できない場合や、需要予測が外れた場合に、販売機会の損失や過剰在庫による評価損が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) システム障害のリスク
事業運営の基盤となるシステムやインターネット接続環境において、自然災害、事故、不正アクセス等による障害が発生した場合、サービスの安定的提供が困難となり、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) カントリーリスク
商品の一部は中国で生産されているため、同国における地政学的リスクや為替変動、人件費上昇などが、生産管理や仕入原価に影響を与え、業績を圧迫する可能性があります。



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