トレンダーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トレンダーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場し、美容・医療領域を中心としたマーケティング事業と、成長企業への投資を行うインベストメント事業を展開しています。直近の決算では、主力事業の好調と投資収益により売上高62億円、経常利益10億円となり、前期比で増収増益を達成しました。


※本記事は、トレンダーズ株式会社 の有価証券報告書(第25期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. トレンダーズってどんな会社?


美容・医療領域に強みを持つマーケティング企業です。SNSトレンド分析やインフルエンサーネットワークを活用したソリューションを提供しています。

(1) 会社概要


2000年に設立され、女性に特化したマーケティングサービスを開始しました。2012年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たし、その後、美容メディア「MimiTV」の運営会社などを子会社化して事業を拡大しました。2025年にはリアルイベント運営を行うzenplusを子会社化するなど、積極的なM&Aにより成長を続けています。

現在の従業員数は連結で243名、単体で193名です。大株主の構成は、筆頭株主が美容系総合サイトを運営する資本業務提携先のアイスタイルで、第2位以降は資産管理業務を行う信託銀行等の金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
アイスタイル 31.14%
NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN(CASHPB) 7.11%
MSIP CLIENT SECURITIES 3.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は黒川涼子氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
黒川 涼子 代表取締役社長 東京スタイル、テンプスタッフ等を経て2006年に入社。執行役員、取締役副社長等を歴任し、2020年より現職。グループ会社の代表取締役も兼任。
田中 隼人 取締役 2014年に入社し、執行役員CFOを経て2020年より現職。グループ会社の取締役も兼任。


社外取締役は、石川森生(株式会社RESORT代表取締役CEO)、横山隆治(有限会社シックスサイト代表取締役社長)、濱田健作(アイスタイル上級執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティング事業」および「インベストメント事業」を展開しています。

マーケティング事業


美容クリニックや化粧品メーカー等の顧客企業に対し、インフルエンサーマーケティングやSNS広告運用、メディア運営を通じたソリューションを提供しています。また、美容・医療領域での知見を活かし、クリニック専売品の開発・販売などのブランド開発も手掛けています。

収益は、顧客企業からのマーケティング支援サービス料や広告掲載料、および商品の販売代金等から構成されています。運営は主に同社が行っていますが、美容メディア運営等の一部事業はMimi Beautyなどの子会社が担っています。

インベストメント事業


同社グループが保有する資金を有効活用し、非上場企業やファンドを中心とした成長事業・企業への投資を行っています。キャピタルゲインの獲得だけでなく、投資先とのシナジー創出や新規事業の開発も視野に入れた活動を展開しています。

収益は、保有する営業投資有価証券の売却益や、社債等から得られる利息収入等から構成されています。運営は主に同社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は33億円から90億円の間で推移しており、変動が見られます。特に2023年3月期に売上高・利益ともに大きく伸長しましたが、翌期には反動減が生じました。直近の2025年3月期は再び増収増益に転じており、利益率は16.0%と高い水準を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 33億円 66億円 91億円 57億円 62億円
経常利益 5億円 6億円 10億円 8億円 10億円
利益率(%) 13.8% 9.0% 11.2% 13.6% 16.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 1億円 11億円 5億円 5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は50%台前半で安定しており、高収益な事業構造を維持しています。営業利益率も10%台後半まで上昇しており、収益性の向上が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 57億円 62億円
売上総利益 31億円 33億円
売上総利益率(%) 54.0% 52.8%
営業利益 8億円 10億円
営業利益率(%) 13.9% 16.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が7億円(構成比32%)、業務委託費が3億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力のマーケティング事業が増収増益となり、全社の業績を牽引しました。また、インベストメント事業も売上・利益ともに大きく伸長し、高い利益率を記録しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
マーケティング事業 55億円 60億円 8億円 10億円 16.1%
インベストメント事業 1億円 2億円 1億円 1億円 69.2%
連結(合計) 57億円 62億円 8億円 10億円 16.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 9.2億円 -1.9億円
投資CF -2.3億円 -7.7億円
財務CF 10.1億円 1.3億円


なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に営業投資有価証券の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「トレンドを捉え、新しい時代を創る」をミッションとして掲げています。SNS等から生活者や時代のトレンドを予測・分析するメソッドを軸に、デジタル領域におけるマーケティングソリューションやコンテンツ、製品の提供を通じて、新しい価値の創出を目指しています。

(2) 企業文化


同社では、「想定外の自分に出会う」をテーマとした人材育成を行っており、挑戦を歓迎し成長機会を提供する企業文化を形成しています。年齢や性別等の属性に関わらず、実力ある社員を早期に管理職や子会社役員に登用するなど、多様な人材が活躍できる環境づくりを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期的な数値目標として、以下の指標を掲げています。
* 2026年3月期から2029年3月期までの4年間の営業利益CAGR(年平均成長率)25~30%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、主力の美容マーケティング領域において、インフルエンサーサービスや美容メディア等の成長領域へリソースを集中し、継続的な成長を図っています。また、そこで得た収益をメディカルマーケティング領域等の新規事業へ積極的に投資し、新たな収益の柱として育成することで、大幅な利益成長を目指しています。

* 競争力のあるマーケティングサービスの開発
* 新規事業(メディカルマーケティング領域)の立ち上げ及び収益化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人的資本を重視し、経験豊富で専門性の高い社員が長期的に活躍できる環境整備を進めています。オフィスワークとリモートワークを併用する働き方やフレックスタイム制度の導入など、ライフイベントと仕事の両立支援に注力しています。また、属性に関わらず機会を提供するダイバーシティ&インクルージョンの推進にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 32.5歳 5.1年 5,468,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 90.9%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 89.1%
男女賃金差異(正規雇用) 93.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 143.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員における女性比率(87.6%)、管理職に占める女性社員の割合(90.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) マーケティング事業の市場動向


同社グループが属するインターネット広告市場は成長を続けていますが、景気変動や外的要因による経済停滞、顧客企業の広告宣伝費抑制などが起きた場合、市場成長が鈍化し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) サービスの陳腐化


インターネット業界では技術やサービスの進化が速く、競争が激化しています。同社グループのサービスやノウハウが陳腐化し、変化への対応が遅れたり、顧客ニーズに適合できなくなったりした場合、業績に影響が出る可能性があります。

(3) 化粧品等の開発及び販売


美容クリニック専売品や化粧品の販売において、法令遵守や品質管理に努めていますが、商品に瑕疵や安全性に問題が生じた場合、信頼の喪失や損害賠償責任の発生により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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