トレンダーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トレンダーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トレンダーズは東京証券取引所グロース市場に上場し、SNSとリテールを掛け合わせたマーケティング事業、インベストメント事業、ECコンサルティング事業を展開しています。直近の業績では、子会社化の進展等により大幅な増収を達成した一方で、先行投資やのれん償却費の増加等により減益となっています。


※本記事は、トレンダーズ株式会社の有価証券報告書(第26期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. トレンダーズってどんな会社?


同社はSNSファーストな統合型プランニングによるマーケティング支援やECコンサルティング等を手掛ける企業です。

(1) 会社概要


2000年に設立され、女性に特化したマーケティングサービスを開始しました。2012年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしています。2024年にはアイスタイルと資本業務提携を締結し、2025年にzenplusやしるし等の企業を相次いで連結子会社化することで、従来のSNSマーケティングに加え、リアルイベントやECコンサルティング領域へと事業を拡大しています。

現在の従業員数は連結で277名、単体で204名体制となっています。筆頭株主は資本業務提携先である事業会社のアイスタイルで、第2位は信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は金融機関となっています。

氏名 持株比率
アイスタイル 31.58%
日本カストディ銀行(信託口) 6.38%
NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN(CASHPB) 3.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は黒川涼子氏が務めており、社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
黒川涼子 代表取締役社長 1997年東京スタイル入社。テンプスタッフ等を経て2006年同社入社。2014年取締役、2020年代表取締役社長就任。Mimi Beauty代表取締役社長等より現職。
田中隼人 取締役 2014年同社入社。2018年執行役員CFO、2020年取締役CFO就任。クレマンスラボラトリー取締役、zenplus取締役、しるし取締役等より現職。


社外取締役は、石川森生(Mr.Yook代表取締役)、横山隆治(シックスサイト代表取締役社長)、濱田健作(アイスタイル上級執行役員CSO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティング事業」「インベストメント事業」「ECコンサルティング事業」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) マーケティング事業


SNSファーストな統合型プランニングによるマーケティング支援や、自由診療クリニックのマーケティング支援を提供しています。美容カテゴリ等の幅広い顧客企業に対し、生活者の意識や購買行動に影響を与えるSNSを活用したマーケティングソリューションを展開しています。

インフルエンサーマーケティング等における顧客企業からのサービス対価などを主な収益源としています。事業の運営は同社のほか、Mimi Beauty、zenplus、CARAFUL、クレマンスラボラトリー等の子会社が行っています。

(2) インベストメント事業


保有する資金を効果的かつ効率的に運用するため、社債や成長企業株式の取得等による投資運用を行っています。中長期的な視点で非上場会社等を始めとする成長事業や企業への投資を通じた価値の創出を目指しています。

保有する社債の利息収益や、投資事業有限責任組合出資を通じた株式の売却益などを主な収益源としています。この事業の運営は同社が行っています。

(3) ECコンサルティング事業


商品を「知る」「体験する」「購入する」プロセスをシームレスにつなぐため、ECモールに特化した戦略コンサルティングや運用代行サービスを提供しています。美容領域をはじめとする顧客企業のECプラットフォームでの売上拡大を支援しています。

顧客企業からのコンサルティングフィーや、ECモールの売上に連動して得られるレベニューシェア等を主な収益源としています。運営は主に、しるしおよびECのしるしが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一時期減少したものの、直近では子会社化の影響もあり再び増加傾向にあります。一方で経常利益は安定して推移していましたが、直近では先行投資やM&Aに伴う費用の増加等により減益となり、当期利益は赤字に転じています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 66億円 91億円 57億円 62億円 83億円
経常利益 6億円 10億円 8億円 10億円 7億円
利益率(%) 9.0% 11.2% 13.6% 16.0% 8.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 11億円 5億円 5億円 -2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高は増加したものの、売上総利益率はやや低下しています。さらに営業利益率も16.0%から8.8%へと低下しており、販管費の増加が利益を圧迫していることがうかがえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 62億円 83億円
売上総利益 33億円 41億円
売上総利益率(%) 52.8% 49.1%
営業利益 10億円 7億円
営業利益率(%) 16.0% 8.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が11億円(構成比33%)を占めています。売上原価の内訳データは公開されていません。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力であるマーケティング事業が前期から大きく成長し、全体の収益を牽引しています。また、当期から新たにECコンサルティング事業が加わり、収益基盤の多様化が進んでいます。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
マーケティング事業 60億円 77億円
インベストメント事業 2億円 1億円
ECコンサルティング事業 - 5億円
連結(合計) 62億円 83億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.3%で市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -2億円 23億円
投資CF -8億円 -30億円
財務CF 1億円 31億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


生活者および市場のトレンドを捉えた事業展開により、社会に新しい価値を創出することを方針として掲げています。中長期にわたり継続的に成長し続ける事業・組織作りを目指すとともに、株主価値の最大化やダイバーシティ&インクルージョンの推進を優先課題としています。

(2) 企業文化


「想定外の自分に出会う」をテーマに、挑戦を歓迎し成長機会を提供する企業文化を形成しています。また、性別や年齢、年次といった属性に関わらず機会が与えられる環境を重視し、多様な社員が最大限にパフォーマンスを発揮できる職場作りを推進しています。

(3) 経営計画・目標


2025年5月に発表した中期経営計画において、経営上の客観的な指標として以下の数値を設定しています。

* 2026年3月期から2029年3月期までの4年間の営業利益CAGR:25~30%

(4) 成長戦略と重点施策


従来の「SNSマーケティング」から「SNS×リテールマーケティング」へと事業ドメインを発展させることで、美容カテゴリだけでなくより幅広い顧客企業に付加価値の高いサービスを提供していく方針です。既存のSNSマーケティングに加え、リアルイベントやECコンサルティング事業を掛け合わせ、商品を「知る」「体験する」「購入する」をシームレスに繋ぐリテールマーケティング企業としての成長を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


優秀な人材が働き続けられるよう、仕事とライフイベントの両立が可能な環境整備を進めています。オフィス勤務とリモートワークを併用する働き方やフレックスタイム制度の導入に加え、年齢や性別に関係なくミッションをベースに人事評価を行う制度を取り入れ、多様な人材が活躍できる組織作りを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 33.3歳 5.5年 5,786,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 88.6%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 83.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 89.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 120.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) マーケティング市場の変動と競争激化

インターネット広告市場は中長期的に成長すると予想されるものの、感染症拡大のような外的要因による経済停滞や顧客の広告宣伝費抑制により、市場の成長が短期的に鈍化し、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) サービスの陳腐化リスク

インターネット業界は技術やサービスの移り変わりが激しく、常に新たな価値を提供する必要があります。ノウハウの陳腐化や顧客ニーズへの対応が遅れた場合、競争力が低下し業績に悪影響を与えるリスクがあります。

(3) インベストメント事業の投資回収リスク

インベストメント事業における非上場企業等への投資は、新規上場やM&Aでの回収を前提としています。投資先企業の業績悪化により営業投資有価証券の価値が大幅に低下した場合、損失が発生する可能性があります。

(4) のれんの減損リスク

過去の企業買収により多額ののれんを計上しています。買収時には十分なデューデリジェンスを実施していますが、経営環境の悪化等により計画通りに事業が進捗しない場合、減損処理が生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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