※本記事は、アズマハウス株式会社 の有価証券報告書(第48期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アズマハウスってどんな会社?
和歌山県を地盤とし、分譲住宅、賃貸管理、ホテル運営などを多角的に展開する地域密着型の総合不動産会社です。
■(1) 会社概要
1977年に和歌山市で東不動産として設立されました。2011年に現社名へ変更し、2013年にJASDAQ(現スタンダード)市場へ上場しました。2020年にはアイワグループを子会社化し、賃貸管理戸数を大幅に拡大しました。2024年にはグループ内の管理会社を合併させ、業務効率化を図っています。
連結従業員数は235名、単体では155名です。筆頭株主は代表取締役社長の東行男氏で、第2位は東優子氏です。創業家および役員が主要株主となっており、経営陣が安定的に株式を保有する構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 東 行男 | 36.15% |
| 東 優子 | 15.40% |
| スリーエースコーポレーション | 5.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は東 行男氏です。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 東 行男 | 代表取締役社長 | 1977年同社入社。1991年より社長を務める。 |
| 大東 篤史 | 専務取締役開発事業部管掌賃貸部管掌ホテル部管掌 | クマイ不動産を経て2003年入社。2022年より現職。 |
| 平山 豊和 | 専務取締役営業部管掌資産活用部管掌建設部管掌営業業務管理部管掌 | アクティブマドリードを経て2001年入社。2022年より現職。 |
| 真川 幸範 | 常務取締役財務部管掌経営企画部管掌経理部管掌 | 又一住宅建設を経て1998年入社。2022年より現職。 |
社外取締役は、北畑 米嗣(北畑会計事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産・建設事業」、「不動産賃貸事業」、「資産活用事業」、「ホテル事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 不動産・建設事業
分譲土地販売、建売住宅販売、売建住宅販売、注文建築を主力とし、不動産販売や仲介など不動産に関連する業務全般を行っています。また、中古住宅のリフォーム提案や工事請負、損害保険代理業務なども手掛けています。
主な収益源は、一般顧客への住宅・土地の販売代金や建築工事請負代金、仲介手数料などです。運営は主にアズマハウスが行っており、地域密着型の店舗展開をしています。
■(2) 不動産賃貸事業
不動産賃貸経営を主力とし、不動産賃貸管理や賃貸仲介を行っています。和歌山県を中心に店舗を展開し、自社物件の保有だけでなく、オーナーからの管理受託も行っています。
収益は、入居者からの賃料収入や、不動産オーナーからの管理手数料、仲介手数料などから得ています。運営はアズマハウスおよび株式会社賃貸住宅センター、株式会社シージェーシー管理センターが行っています。
■(3) 資産活用事業
資産運用提案型賃貸住宅や建売賃貸住宅の販売を、和歌山県および大阪府を中心に展開しています。土地所有者等に対して有効活用の提案を行っています。
収益源は、投資家や土地所有者への収益物件の販売代金や建築工事請負代金です。運営は主にアズマハウスが担当しています。
■(4) ホテル事業
和歌山市内でビジネスホテルを3箇所保有・運営しているほか、焼肉店やカフェの運営も行っています。
主な収益は、宿泊客からの室料や飲食代金です。運営はアズマハウスが行っています。
■(5) その他
東京都において、不動産および賃貸管理業務のエリア拡大を図ることを目的として事業展開しています。
収益源は不動産取引や管理業務に伴う手数料収入等です。運営は連結子会社の興國不動産株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は130億円から140億円台で推移しており、直近では前期比で微増となりました。経常利益は毎期10億円前後を安定して確保しています。利益率は8%台と比較的高い水準を維持しており、安定した収益基盤を有していることがわかります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 143億円 | 139億円 | 142億円 | 131億円 | 133億円 |
| 経常利益 | 11億円 | 12億円 | 12億円 | 10億円 | 12億円 |
| 利益率(%) | 7.7% | 8.4% | 8.1% | 7.4% | 8.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 8億円 | 8億円 | 8億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微増し、売上総利益率も34.0%と前年より改善しました。営業利益は2割以上増加し、営業利益率は9.3%に向上しています。販管費の抑制が寄与し、本業の収益性が高まっていることが確認できます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 131億円 | 133億円 |
| 売上総利益 | 44億円 | 45億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.8% | 34.0% |
| 営業利益 | 10億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 7.7% | 9.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7億円(構成比21%)、支払手数料が4億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の不動産・建設事業は増収増益となり、堅調に推移しました。不動産賃貸事業も増収増益で、利益率が高く全体の利益を牽引しています。資産活用事業は減収減益、ホテル事業も減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不動産・建設事業 | 77億円 | 78億円 | 2億円 | 3億円 | 4.1% |
| 不動産賃貸事業 | 35億円 | 38億円 | 9億円 | 11億円 | 27.8% |
| 資産活用事業 | 10億円 | 8億円 | 1億円 | 1億円 | 10.3% |
| ホテル事業 | 8億円 | 7億円 | 1億円 | 1億円 | 12.3% |
| その他 | 1億円 | 1億円 | 0.2億円 | 0.2億円 | 23.1% |
| 調整額 | - | - | -4億円 | -4億円 | - |
| 連結(合計) | 131億円 | 133億円 | 10億円 | 12億円 | 8.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は「健全型」です。本業で稼いだ資金(営業CFプラス)を使って、借入金の返済(財務CFマイナス)や設備投資(投資CFマイナス)を行っており、財務体質は健全な状態にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 27億円 |
| 投資CF | -11億円 | -14億円 |
| 財務CF | 7億円 | -13億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「より大切に、より迅速に、すべてはお客様のために」をモットーとし、商品の品質・性能・対応・サービスの向上に徹底してこだわり、お客様満足を追求することを経営理念としています。また、経済社会の発展に貢献し、社会から信頼され続ける企業を目指しています。
■(2) 企業文化
「企業行動憲章」を定め、働くすべての人々が高い倫理観を持って活動することを重視しています。社会的責任の重さを自覚し、法令やルールを厳格に遵守することで、社会にとって有用な存在であり続けるという価値観を共有しています。
■(3) 経営計画・目標
経営上の目標として、収益性を表す売上高経常利益率と、安全性・健全性を表す自己資本比率を重視しています。具体的には、以下の数値を維持することを目標としています。
* 売上高経常利益率:8%以上
* 自己資本比率:40%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
総合不動産会社としてのワンストップ体制のメリットを活かし、シナジー効果の最大化による持続的成長と高収益体質の実現を目指しています。また、主要商圏である和歌山に加え、大阪などの近隣地域への拡大も推進し、事業基盤の強化を図ります。
* 組織主体の体制への転換とDXによる業務効率化
* ガバナンス体制の強化とバックオフィス体制の見直し
* 安定的な配当実施による株主利益の最大化
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
個人主体から組織主体の体制への転換を図り、従業員一人ひとりのスキルアップやDXによる作業効率向上を推進しています。また、健康経営優良法人の認定を受けるなど、従業員の健康管理を経営視点で捉え、働きがいのある職場環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 48.8歳 | 8.1年 | 5,537,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、不動産部門に占める女性の平均勤続年数(11.9年)、不動産部門に占める男性の平均勤続年数(12.8年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不動産市況の動向
不動産業界は景気や金利動向の影響を受けやすく、需要悪化により販売用不動産の評価損や固定資産の減損損失が発生する可能性があります。同社は事業収支のモニタリングや適正価格の検証を行い、対策を講じています。
■(2) 法的規制
宅地建物取引業法や建設業法、旅館業法などの法的規制を受けており、免許の取消し等は事業に重大な影響を及ぼします。社員教育やコンプライアンス体制の整備、法規制動向の収集・分析によりリスク低減に努めています。
■(3) 競合について
大手企業を含む多数の事業者との競合があり、競争激化による採算悪化の可能性があります。同社はワンストップ営業や地域密着の強みを活かし、差別化と事業基盤の拡充を進めています。
■(4) 有利子負債への依存
不動産取得資金を主に借入金で調達しているため、金利上昇が業績に影響を及ぼす可能性があります。健全な財務体質の維持や金融機関との関係強化、資金調達の多様化に取り組んでいます。



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