めぶきフィナンシャルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

めぶきフィナンシャルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

めぶきフィナンシャルグループは東京証券取引所プライム市場に上場し、常陽銀行と足利銀行を中核として銀行業務を中心に証券やリース事業などを展開しています。業績トレンドとしては、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により、直近の決算では大幅な増収増益を達成し、順調な成長軌道を描いています。


※本記事は、株式会社めぶきフィナンシャルグループの有価証券報告書(第10期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. めぶきフィナンシャルグループってどんな会社?


常陽銀行と足利銀行を中核事業会社とし、北関東を地盤に総合金融サービスを提供しています。

(1) 会社概要


2008年に足利ホールディングスとして設立され、足利銀行を完全子会社化しました。2013年に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしています。2016年に常陽銀行と経営統合し、現在のめぶきフィナンシャルグループが発足しました。その後もリース、証券、信用保証、クレジットカード事業を展開する企業を完全子会社化しています。

現在の従業員数は連結で5,880名、単体で12名体制です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行であり、第2位も同様に信託業務を担う金融機関となっています。また、第3位には国内の大手生命保険会社が名を連ねており、機関投資家や金融関連企業が上位を占める安定した構成となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.05%
日本カストディ銀行(信託口) 6.72%
日本生命保険相互会社 2.93%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。取締役社長(代表取締役)は秋野哲也氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
秋野 哲也 取締役社長(代表取締役) 1986年常陽銀行に入行し、リスク統括部長などを歴任。2017年に同社経営企画部統括部長に就き、2022年より現職。
清水 和幸 取締役副社長(代表取締役) 1984年足利銀行に入行し、総合企画部長などを歴任。2016年に同社取締役に就任し、2020年より現職。
小野 利彦 取締役 1991年常陽銀行に入行し、経営企画部次長などを歴任。2018年に同社経営企画部統括部長に就任し、2022年より現職。
大塚 浩樹 取締役 1989年足利銀行に入行し、総合企画部担当部長などを歴任。2019年に同社経営管理部統括部長に就任し、2025年より現職。
鳥羽 吉嗣 取締役 1988年常陽銀行に入行し、市場金融部長などを歴任。2022年に常陽銀行取締役常務執行役員に就任し、2024年より現職。


社外取締役は、戸塚正一郎(元SUBARU常務執行役員)、朱純美(コアバリューマネジメント代表取締役社長)、吉武博通(学校法人東京家政学院理事長)、永沢徹(永沢総合法律事務所代表)、中野智美(中野智美公認会計士・税理士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業務」および「その他業務」を展開しています。

銀行業務


同社グループの中核事業として、常陽銀行と足利銀行の本支店等を通じて地域顧客に多様化する金融ニーズに応えるサービスを提供しています。具体的には、預金業務、貸出業務、内国・外国為替業務、商品有価証券売買業務、信託業務、証券投資信託や保険商品などの金融商品仲介を行っています。

収益は、企業や個人顧客への貸付に伴う利息や、金融商品販売に伴う各種手数料などから得ています。事業の運営は常陽銀行および足利銀行が担っており、広域ネットワークを活用した総合金融サービスの拡大を図りながら、地域社会とともに持続的な成長を目指しています。

その他業務


銀行業務以外の周辺金融サービスや、地域のカーボンニュートラルに資する事業、地域商社事業などを展開し、顧客満足度の向上に努めています。地元事業者を中心としたリース業務、有価証券の売買や委託の媒介を行う証券業務、信用保証業務などを提供しています。

収益は、顧客からのリース利用料、証券の売買や募集・売出しの取扱手数料、信用保証料、クレジットカードの決済手数料などから得ています。運営は、めぶきリース、めぶき証券、めぶき信用保証、めぶきカードなどの連結子会社がそれぞれ担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の直近5年間の業績推移を見ると、経常利益および当期利益ともに順調に拡大しています。特に最新の決算期では、金利上昇に伴う貸出金利回りの増加や有価証券利息配当金の増加により、過去最高水準の利益を計上しており、力強い成長軌道に乗っていることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
経常利益 650億円 466億円 630億円 828億円 1157億円
当期利益(親会社所有者帰属) 272億円 160億円 330億円 320億円 475億円

(2) 損益計算書


同社の直近2期間の損益推移を見ると、営業利益が大幅に伸長しています。これは、貸出金等の増加や金利上昇に伴う利回りの改善が収益全体を押し上げたためとみられます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業利益 322億円 479億円


販売費及び一般管理費のうち、給与・手当が15億円(構成比69%)、広告宣伝費が2億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社の事業領域別の経常収益を見ると、貸出業務、有価証券投資業務、その他のすべての部門で前年度を上回る収益を計上しています。金利環境の好転と的確なポートフォリオ運営が寄与し、各部門がバランスよく成長を牽引しています。

区分 経常収益(2025年3月期) 経常収益(2026年3月期)
貸出業務 1312億円 1672億円
有価証券投資業務 1099億円 1378億円
その他 1191億円 1384億円
連結(合計) 3602億円 4433億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も5.1%で市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -9814億円 -11195億円
投資CF -1956億円 3893億円
財務CF -330億円 -499億円


なお、同社は銀行関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「質の高い総合金融サービスの提供を通じ、地域とともに、ゆたかな未来を創り続けます。」を経営理念として掲げています。グループの創意を結集して地域の持続的成長に貢献するとともに、「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を目指す姿として設定し、顧客や地域とのリレーション深化を図っています。

(2) 企業文化


多様な知見や能力を持つ人材一人ひとりが持てる力を最大限発揮できる組織風土を重視しています。従業員が自律的なキャリアを切り拓くことで新たな価値を創造し続ける文化の醸成や、成果と貢献が適切に評価され成長を実感できる環境を整備しています。また、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進を通じ、多様性と自律性を備える集団の形成を目指しています。

(3) 経営計画・目標


「第4次グループ中期経営計画」において、地域社会への貢献と企業価値の向上を目指し、以下の指標を目標として設定しています。

* 連結ROE(純資産ベース):9.0%以上
* 連結純利益:700億円(当期計画)
* 付加価値額の拡大(取引先の成長支援を通じた地域経済への貢献)

(4) 成長戦略と重点施策


社会課題解決戦略、事業ポートフォリオ戦略、経営基盤強靭化戦略の3つの基本戦略を展開しています。地域産業の成長や脱炭素化を支援するコンサルティング機能の強化に加え、リスクに見合ったリターンを重視する戦略的な資金配分を進めます。また、デジタル化(DX)の推進や人的資本への積極的な投資により経営基盤を強靭化し、持続的な企業価値の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


長期ビジョンの実現に向けて、金融知識にとどまらず多様な角度から顧客や地域の課題を発掘し、解決へ導く人材の育成と増強に取り組んでいます。自律的なキャリア形成を支援するための研修制度の充実やリスキリング機会の提供を行うとともに、多様な人材がライフイベントに応じながら長く活躍できるよう、柔軟な働き方や職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 47.5歳 24.4年 13,050,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.2%
男性育児休業取得率 101.6%
男女賃金差異(全労働者) 65.1%
男女賃金差異(正規雇用) 65.1%
男女賃金差異(パート・有期) 61.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、DX人材(757名)、高度資格保有者数(510名)、健康診断受診率(99.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 地域経済・地域社会の衰退


同社は北関東および隣接地域を主要な営業地盤としているため、域内の人口減少や地域経済の縮小が預金・貸出金残高の減少につながる可能性があります。また、地域産業の衰退によって取引先の業績が悪化した場合、与信費用が増加し、グループの収益力や経営基盤に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(2) 急速なデジタル化・銀行サービスの競争激化


AIやフィンテックなどのデジタル技術の急速な発展への対応が遅れた場合、提供する商品やサービスの競争力が低下するおそれがあります。さらに、異業種からの銀行業参入や金融業界の再編が加速することで預貸金の獲得競争が激化し、同社の収益力低下につながる可能性があります。

(3) サイバー攻撃・大規模システム障害の発生


サイバー攻撃や大規模なシステム障害が発生した場合、業務継続が困難になるリスクがあります。顧客情報の流出やシステム復旧のための多額の費用が発生するだけでなく、同社グループの社会的信用が著しく毀損し、業績および財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。