※本記事は、株式会社めぶきフィナンシャルグループ の有価証券報告書(第9期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. めぶきフィナンシャルグループってどんな会社?
常陽銀行と足利銀行を中核とする総合金融グループです。北関東を地盤に広域ネットワークを展開しています。
■(1) 会社概要
2008年4月に足利ホールディングスとして設立され、同年7月に足利銀行を完全子会社化しました。2016年10月に常陽銀行と経営統合し、現在の商号である「めぶきフィナンシャルグループ」が発足しました。その後、2017年にめぶきリース(旧常陽リース)およびめぶき証券(旧常陽証券)を完全子会社化し、グループ機能を強化しています。2022年4月の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しました。
2025年3月31日現在、グループ全体の従業員数は5,828人、同社単体では13人です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第3位には生命保険会社が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.08% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.27% |
| 日本生命保険 | 2.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は秋野哲也氏が務めています。社外取締役比率は41.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 秋野 哲也 | 取締役社長(代表取締役) | 1986年常陽銀行入行。人事部長、経営企画部長、常陽銀行頭取などを経て2022年より現職。 |
| 清水 和幸 | 取締役副社長(代表取締役) | 1984年足利銀行入行。経営企画部長、足利銀行頭取などを経て2020年より現職。 |
| 小野 利彦 | 取締役 | 1991年常陽銀行入行。経営企画部長、常陽銀行専務執行役員などを経て2022年より現職。 |
| 内藤 善寛 | 取締役 | 1986年足利銀行入行。人事部長、経営管理部統括部長、あしぎん総合研究所社長などを経て2020年より現職。 |
| 鳥 羽 吉 嗣 | 取締役 | 1988年常陽銀行入行。市場金融部長、常陽銀行取締役常務執行役員などを経て2024年より現職。 |
| 大 塚 浩 樹 | 取締役 | 1989年足利銀行入行。経営企画部長、足利銀行取締役常務執行役員などを経て2025年より現職。 |
| 竹之内 等 | 取締役(監査等委員) | 1983年常陽銀行入行。融資審査部長、常陽銀行取締役常務執行役員などを経て2024年より現職。 |
| 田 﨑 義 典 | 取締役(監査等委員) | 1988年足利銀行入行。監査部長、足利銀行執行役員などを経て2022年より現職。 |
社外取締役は、大野弘道(元味の素取締役常務執行役員)、朱純美(コアバリューマネジメント社長)、吉武博通(元筑波大学副学長)、永沢徹(弁護士)、中野智美(公認会計士)です。なお、2025年6月の株主総会にて大野弘道氏は退任し、戸塚正一郎(元SUBARU常務執行役員)氏が新任予定です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
常陽銀行および足利銀行の本支店等において、預金、貸出、内国・外国為替、有価証券売買、信託、投資信託・保険商品の窓口販売などの銀行業務を行っています。グループの中核業務として、多様化・高度化する金融ニーズに対応しています。
収益は主に貸出金利息や手数料等から得ています。運営は株式会社常陽銀行および株式会社足利銀行が行っています。
■(2) リース業
地元事業者を中心に、リース業務などの金融サービスを提供しています。
収益は主にリース料収入等から得ています。運営は株式会社めぶきリースが行っています。
■(3) 証券業
有価証券の売買、媒介、募集・売出しの取扱いなどを行っています。地域顧客の資金運用と資金調達の両面から幅広いサービスを提供しています。
収益は主に委託手数料などの証券業務収入から得ています。運営はめぶき証券株式会社が行っています。
■(4) その他事業
信用保証業務、クレジットカード業務、地域商社事業、地域のカーボンニュートラルに資する事業などを行っています。
収益は保証料、クレジットカード手数料、商社ビジネスによる収益などから得ています。運営はめぶき信用保証株式会社、株式会社めぶきカードなどが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は増収増益となりました。経常収益は、前連結会計年度比で500億94百万円増加し3,601億63百万円となりました。これは、主に資金運用収益の増加によるものです。一方、経常費用は303億35百万円増加し2,773億61百万円となりました。これは、主に債券売却損の増加によるものです。これらの結果、経常利益は前連結会計年度比197億59百万円増加し828億1百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益も148億61百万円増加し582億28百万円となりました。過去5年間の業績を見ると、当期は経常収益、経常利益、当期純利益ともに過去最高水準を記録しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 2,747 | 2,681 | 3,295 | 3,101 | 3,602 |
| 経常利益(億円) | 541 | 650 | 466 | 630 | 828 |
| 当期純利益(億円) | 365 | 430 | 322 | 434 | 582 |
■(2) 損益計算書
当期は、経常収益が前期比で大幅に増加した一方で、経常費用も増加しました。経常収益の増加は、主に資金運用収益の増加によるものです。経常費用が増加した主な要因としては、債券売却損の増加が挙げられます。これらの結果、経常利益は前期比で増加し、当期純利益も増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 3,101 | 3,602 |
| 経常費用 | 2,470 | 2,774 |
| 経常利益 | 630 | 828 |
| 当期純利益 | 434 | 582 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
当期の役務取引等収益合計は、前期比で増加しました。これは、非金利収益の強化に向けた取り組みが進展したことを示唆しています。中でも、預金・貸出業務が引き続き最大の収益源となっており、その規模は当期においても堅調に推移しました。次いで、証券関連業務も一定の収益を上げています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
めぶきフィナンシャルグループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況をご説明します。
営業活動によるキャッシュ・フローは、コールマネーの減少や貸出金の増加等により、前連結会計年度から大きく支出が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得が売却を上回ったことを主因に、前連結会計年度に引き続き支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払いによる支出等により、前連結会計年度と同程度の支出となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △25 | △9,814 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △3,237 | △1,956 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △319 | △329 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「質の高い総合金融サービスの提供を通じ、地域とともに、ゆたかな未来を創り続けます。」をグループ経営理念として掲げています。また、長期ビジョン2030において「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を目指す姿としています。
■(2) 企業文化
同社は、常陽銀行と足利銀行が培ってきた顧客や地域とのリレーション、地域への深い理解を維持・深化させることを重視しています。広域ネットワークを活用し、地域産業の掘り起こしや地域経済の活性化、新たな市場創造に取り組むことで、地域とともに持続的な成長を目指す文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「第4次グループ中期経営計画」(2025年度~2027年度)を策定し、持続的成長に向けた進化を加速する期間と位置付けています。また、2027年度の主要KPIとして以下の目標を掲げています。
* 地元法人貸出金残高(平残):3兆6,900億円
* 法人役務手数料(銀行合算):175億円
* 預り資産残高(銀行・証券合算):3兆2,000億円
* 個人向け貸出残高(平残):5兆6,000億円
* 戦略的DX投資額(3年累計):140億円
* 人的資本投資額(3年累計):30億円
* 代理以上に占める女性比率:27.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「社会課題解決戦略」「事業ポートフォリオ戦略」「経営基盤強靭化戦略」の3つを基本戦略としています。地域産業の成長支援や脱炭素社会への貢献などの社会課題解決を通じて社会的価値を創造するとともに、リスク・リターンを考慮した経営資源の配分やDXによる付加価値創出、人的資本経営の強化などを通じて、経済的価値の向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「地域とともにあゆむ価値創造グループ」の実現に向け、地域や顧客の課題を多角的に捉え解決できる人材の育成・確保を重視しています。専門スキルを持つ人材の育成やリスキリング、自律的なキャリア形成支援、DE&I推進、健康経営などを通じて、多様な人材が能力を最大限発揮できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.8歳 | 24.8年 | 12,032,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。また、従業員は出向者で構成されています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.3% |
| 男性育児休業取得率 | 114.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 52.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 63.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 62.8% |
※上記数値は「当社(子銀行合算)」のデータです。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、DXベース人材(ITパスポート取得者)(4,124名)、高度資格保有者数(492名)、FP2級保有者数(3,770名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材獲得競争の激化・従業員満足度の低下
採用環境の競争激化や雇用の流動化により、必要な人材が確保できず戦略が機能不全に陥るリスクがあります。また、人的資本への投資効果が得られず、価値創造を担う人材の育成・確保が停滞した場合、競争力の低下を招く可能性があります。
■(2) 地域経済・地域社会の衰退
主要な営業地盤である北関東地域の経済が衰退した場合、預金・貸出金の減少による収益力低下や、取引先企業の業績悪化に伴う与信費用の増加が懸念されます。域内GDPの縮小は経営基盤の弱体化につながり、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) デジタル社会の進展・銀行サービスの競争激化
デジタル技術の革新や異業種の参入により、銀行サービスの競争が激化しています。DX対応の遅れは競争力の低下を招くほか、デジタル投資に見合った業務効率化が進まない場合、収益力が低下するリスクがあります。



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