※本記事は、株式会社ホットマンの有価証券報告書(第52期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ホットマンってどんな会社?
同社は「イエローハット」をはじめとする多様なフランチャイズ店舗を展開するメガフランチャイジーです。
■(1) 会社概要
同社は1975年1月に宮城県古川市にて設立され、カー用品店を開店しました。1984年にローヤル(現イエローハット)とグループ店契約を締結し、1998年には「TSUTAYA」、2004年には「アップガレージ」のフランチャイズ運営を開始しました。2014年3月に東京証券取引所に上場を果たし、近年も新規ブランドの店舗展開を広げています。
単体従業員数は903名です。筆頭株主は代表取締役の伊藤信幸氏で、第2位はフランチャイザーであり同社の事業上の重要な取引先であるイエローハット、第3位はホットマン従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤 信幸 | 15.99% |
| イエローハット | 15.59% |
| ホットマン従業員持株会 | 6.35% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。取締役社長(代表取締役)は伊藤信幸氏が務めており、取締役の社外取締役比率は28.6%(取締役7名中2名)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊藤 信幸 | 取締役社長(代表取締役) | 1975年1月に同社を設立し、代表取締役に就任。2015年12月に多賀城蔦屋書店の代表取締役社長を務めるなど、同社の経営を牽引し現在に至る。 |
| 伊藤 忠行 | 常務取締役営業本部長 | 1998年10月に同社入社。管理本部長や営業本部長などの要職を歴任し、2025年6月より現職。 |
| 熊谷 拓 | 取締役営業部長 | 1997年4月に同社入社。第1営業本部部長や営業本部営業部長を経て、2025年6月より現職。 |
| 門田 敏則 | 取締役営業部長 | 1996年1月に同社入社。営業本部営業部長を経て、2025年6月より現職。 |
| 小野 信哉 | 取締役管理本部長 | 2001年3月に同社入社。管理本部管理部長を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、今野明夫(元七十七銀行)、大久保弘子(元三森コーポレーション代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「イエローハット事業」「TSUTAYA事業」「アップガレージ事業」および「その他」事業を展開しています。
■イエローハット事業
主にカー用品の販売および取付、車検、整備等のカーメンテナンスサービスを提供しています。一般顧客を主な対象とし、ドライブレコーダーなどの安全運転支援グッズの提案や、タイヤ、バッテリーなどの消耗品販売を行っています。
イエローハットをはじめとする仕入先から商品を仕入れ、販売および役務提供の対価を顧客から受け取る収益モデルです。運営は同社が行っています。
■TSUTAYA事業
書籍、文具、コスメ等の雑貨の販売、およびDVDやコミックのレンタルサービスを提供しています。流行やメディアの影響を受けにくい書籍の販売に注力し、一般顧客向けに利便性の高い店舗を展開しています。
書籍やDVD等の販売およびレンタル利用料を顧客から受け取る収益モデルです。運営は同社が行っています。
■アップガレージ事業
中古カー用品およびバイク関連パーツの買取・販売、ならびに一部新品カー用品の取り扱いを行っています。一般顧客を対象に、資源の再生や循環を促進するリユースビジネスを展開しています。
顧客からの買取を通じて在庫を確保し、それらを販売することで得られる代金が主な収益源です。運営は同社が行っています。
■その他事業
「カーセブン」「ダイソー」「コメダ珈琲店」「シャトレーゼ」「買取大吉」「宝くじ売場」などのフランチャイズ店舗の運営および不動産賃貸業務を行っています。自動車買取から飲食、雑貨販売まで幅広いサービスを一般顧客に提供しています。
各ブランドの販売代金や買取再販利益、および不動産の賃貸収入が主な収益源です。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は概ね200億円台で推移しており、直近の2026年3月期には225億円と増加傾向にあります。経常利益は2024年3月期に落ち込んだものの、その後回復し、直近では7億円水準を維持しています。当期利益も安定して計上しており、堅調な業績推移が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 209億円 | 218億円 | 210億円 | 219億円 | 225億円 |
| 経常利益 | 5.1億円 | 4.4億円 | 3.5億円 | 7.3億円 | 7.0億円 |
| 利益率(%) | 2.5% | 2.0% | 1.7% | 3.3% | 3.1% |
| 当期純利益 | 2.7億円 | 1.9億円 | 2.0億円 | 3.3億円 | 3.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前年度から増加したものの、売上総利益率は仕入価格の高騰等によりわずかに低下しています。その結果、営業利益は横ばいから微減の推移となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 219億円 | 225億円 |
| 売上総利益 | 100億円 | 101億円 |
| 売上総利益率(%) | 45.7% | 44.7% |
| 営業利益 | 6.6億円 | 6.5億円 |
| 営業利益率(%) | 3.0% | 2.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が36億円(構成比38%)、地代家賃が12億円(同13%)を占めています。売上原価の内訳としては、当期商品仕入高が123億円(売上原価合計の99%)と大部分を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のイエローハット事業はタイヤ販売の好調により増収となったものの、仕入価格高騰による原価増等で減益となりました。アップガレージ事業は収益構造の見直しが奏功し増益を達成。TSUTAYA事業は減収ながらも損失幅を縮小しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| イエローハット | 169億円 | 173億円 | 9.8億円 | 8.5億円 | 4.9% |
| TSUTAYA | 15億円 | 14億円 | -0.9億円 | -0.3億円 | -2.2% |
| アップガレージ | 11億円 | 12億円 | 1.0億円 | 1.6億円 | 13.3% |
| その他 | 24億円 | 26億円 | 1.0億円 | 1.3億円 | 4.9% |
| 連結(合計) | 219億円 | 225億円 | 6.6億円 | 6.5億円 | 2.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.5億円 | 10.9億円 |
| 投資CF | -8.3億円 | -3.1億円 |
| 財務CF | 1.7億円 | -3.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も46.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「他人(ひと)のしあわせが、自分のしあわせ」を経営理念に掲げ、地域社会の人々の生活をより楽しく、より豊かに高めていくことを使命としています。顧客とのつながりを大切にし、ステークホルダーの利益を最大化することで、社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
「社員の成長なくして会社の発展なし 会社の発展なくして社員のしあわせなし」という社是のもと、社員の成長を第一に考える文化があります。「挨拶」「掃除」「名刺の配布」「御礼ハガキ」「徹底」といった商売の基本行動を「6S」として徹底し、長所を伸ばして個性を活かせる職場環境づくりを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
長期的な目標として売上総利益率50%の達成を掲げています。直近の第52期末の実績は44.7%でしたが、第53期においては45.6%を目指し、継続的な利益率の改善に取り組んでいます。小売業を通じて適正な利益額を確保し、安定した資金基盤を構築することを目標としています。
* 長期目標:売上総利益率 50.0%
* 第53期目標:売上総利益率 45.6%
■(4) 成長戦略と重点施策
地域密着型のメガフランチャイジーとして、事業間の横断的なシナジー効果を追求する複合出店戦略やドミナント戦略を推進しています。主力事業では季節要因への依存から脱却するため、車検獲得や工賃収入を伴うカーメンテナンスサービスの提供を強化し、安定的に高粗利を獲得する体制構築を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最も重要な経営資本と位置づけ、多様性を尊重した採用・育成に取り組んでいます。新卒・中途採用に加え、外国人技能実習生や障害者の雇用を推進し、多様なバックグラウンドを持つ社員が活躍できる環境を整備しています。また、独自の研修や勉強会を通じて、接客力やコンプライアンス意識の向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.1歳 | 11.8年 | 4,148,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.5% |
| 男性育児休業取得率 | 0.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 81.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 93.6% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障害者の雇用人数(2.2%)、外国人技能実習生の雇用人数(131名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) フランチャイザーとの関係悪化に関するリスク
同社はメガフランチャイジーとして多様なブランドを展開していますが、フランチャイザー側の風評被害や経営方針の転換が同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。特に主力のイエローハットとのグループ店契約が解除された場合、重大な影響が生じるリスクがあります。
■(2) 季節・天候要因による業績変動リスク
主力のイエローハット事業は、スタッドレスタイヤ等の季節用品の販売が大きな比重を占めています。そのため、暖冬による降雪不足などの天候不順が発生した場合、販売数の低迷を招き、同社の業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 人材確保・育成に関するリスク
事業の拡大には優れた人材の確保と育成が不可欠です。少子高齢化が進む中、適切な人材を十分に確保・育成できない場合、店舗運営やサービス品質の維持に支障をきたし、同社の事業展開や競争力に影響を与えるリスクがあります。
■(4) 法的規制やコンプライアンス違反リスク
自動車整備に付随する道路運送車両法や、個人情報保護法、古物営業法など多岐にわたる法的規制を受けています。これらに抵触し、指定工場の資格取り消しや営業停止処分などを受けた場合、社会的信用の失墜を招き、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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