ホットマン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホットマン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホットマンは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、イエローハットやTSUTAYA等の店舗運営を行うメガフランチャイジーです。東北地区を中心に多角的に事業を展開しています。直近の業績は、暖冬等の影響があったものの、タイヤ販売等が好調で売上高は増収、経常利益は大幅な増益となりました。


#ホットマン転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社ホットマン の有価証券報告書(第51期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ホットマンってどんな会社?


同社は「イエローハット」等のメガフランチャイジーとして、東北を中心に多角的な店舗展開を行う企業です。

(1) 会社概要


1975年に設立され、宮城県古川市にてカー用品店を開店しました。1984年にイエローハットとグループ店契約を締結し、主力事業の基盤を確立。その後、1998年にTSUTAYA事業、2004年にアップガレージ事業を開始するなど多角化を推進しました。2014年にはJASDAQ(現スタンダード市場)への上場を果たしています。

同社(単体)の従業員数は885名です。筆頭株主は創業者の伊藤信幸氏で、第2位は事業提携先であるイエローハットです。従業員持株会も主要株主として名を連ねており、安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
伊藤 信幸 15.99%
イエローハット 15.59%
ホットマン従業員持株会 7.71%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名、計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は伊藤信幸氏が務めています。社外取締役比率は約28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
伊藤 信幸 取締役社長(代表取締役) 1975年1月同社設立、代表取締役就任より現職。
伊藤 忠行 常務取締役兼営業本部長 1998年10月同社入社。管理本部長等を経て、2025年6月より現職。
熊谷  拓 取締役営業部長 1997年4月同社入社。第1営業本部部長等を経て、2025年6月より現職。
門田 敏則 取締役営業部長 1996年1月同社入社。営業本部営業部長を経て、2025年6月より現職。
小野 信哉 取締役管理本部長 2001年3月同社入社。管理本部管理部長を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、今野明夫(コセキ顧問)、大久保 弘子(三森コーポレーション相談役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「イエローハット事業」「TSUTAYA事業」「アップガレージ事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) イエローハット事業


カー用品の販売、取付、車検、整備等を主な事業としています。東北地区(宮城、岩手、福島)を中心に、茨城、栃木、長野を含めたエリアで90店舗を展開しており、同社の主力事業となっています。

一般顧客からの商品購入代金や、車検・整備等のサービス対価が主な収益源です。運営は同社が行っており、イエローハット本部とグループ店契約を締結して店舗運営を行っています。

(2) TSUTAYA事業


書籍、文具雑貨等の販売およびDVD等のレンタルを行っています。宮城県と岩手県で計6店舗を展開しており、書籍や文具、コスメ等の品揃え強化により顧客利便性の向上を図っています。

顧客からの商品購入代金やレンタル料が収益源です。運営は同社が行っており、カルチュア・エクスペリエンス等とフランチャイズ契約を締結しています。

(3) アップガレージ事業


中古カー用品の買取および販売を行っています。宮城県、福島県、岩手県で計8店舗を展開し、中古品の買取強化による在庫の流動性確保と販売機会の創出に注力しています。

顧客からの商品購入代金および買取による利ざやが収益源です。運営は同社が行っており、アップガレージグループとフランチャイズ契約を締結しています。

(4) その他事業


自動車販売の「カーセブン」、100円ショップ「ダイソー」、コーヒーショップ「コメダ珈琲店」、菓子販売「シャトレーゼ」、買取専門店「買取大吉」等を運営しています。また、宝くじ販売や不動産賃貸も行っています。

各店舗における顧客からの商品・サービス購入代金や、不動産賃貸による賃料収入が収益源です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は210億円前後で安定して推移しています。2025年3月期は、主力事業での季節商品販売が好調だったことなどから増収となり、経常利益および当期純利益も前期から大きく回復しています。利益率は低水準ながらも改善傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 213億円 209億円 218億円 210億円 219億円
経常利益 6.6億円 5.1億円 4.4億円 3.5億円 7.3億円
利益率(%) 3.1% 2.5% 2.0% 1.7% 3.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.4億円 2.7億円 1.9億円 2.0億円 3.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は目標としていた水準に達し、改善が見られます。営業利益率は前期の1.4%から3.0%へと上昇しており、収益性が向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 210億円 219億円
売上総利益 92億円 100億円
売上総利益率(%) 44.0% 45.7%
営業利益 2.9億円 6.6億円
営業利益率(%) 1.4% 3.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が35億円(構成比37%)、地代家賃が12億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のイエローハット事業は、タイヤ販売や車検・整備が好調で増収となりました。TSUTAYA事業は退店の影響もあり減収、アップガレージ事業は中古需要の高まりで増収、その他事業も新規出店効果等により増収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
イエローハット 161億円 169億円
TSUTAYA 17億円 15億円
アップガレージ 11億円 11億円
その他 21億円 24億円
調整額 -0.5億円 -0.5億円
連結(合計) 210億円 219億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.6%で市場平均(7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.1%で市場平均(48.5%)を下回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 7.3億円 9.5億円
投資CF -11.5億円 -8.3億円
財務CF 3.1億円 1.7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「他人(ひと)のしあわせが、自分のしあわせ」を経営理念として掲げています。小売業を通じて顧客の役に立ち、その対価として適正な利益を確保することで、安定した資金の確保と企業の存続繁栄を目指しています。

(2) 企業文化


商売の基本として「挨拶」「掃除」「名刺の配布」「御礼ハガキ」「徹底」の5つの事項を徹底することを経営方針としています。特に、整理・整頓・清掃・清潔・躾・先手の挨拶を総称した「6S」の徹底により、「気付き」を養い接客対応の向上を図る文化があります。

(3) 経営計画・目標


中期的な目標として、売上総利益率の向上を掲げています。長期的には売上総利益率50%を目標としており、第52期については45.8%を目標数値として設定しています。また、イエローハット事業では各店舗月間車検獲得50台以上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


地域密着型のメガフランチャイジーとして、M&Aや複合出店、ドミナント出店戦略を推進しています。特にイエローハット事業では、タイヤ販売への依存から脱却し、車検やコーティング等のメンテナンス収入を強化することで、安定的に高粗利を獲得する体質への転換を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社員の成長なくして会社の発展なし」という社是のもと、個性を活かせる職場環境づくりと教育に重点を置いています。新卒・中途採用に加え、外国人技能実習生や障害者雇用を積極的に推進するなど、採用活動の多様化を進めています。また、女性社員の教育に注力し、幹部候補としての育成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.5歳 11.7年 409万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.8%
男性育児休業取得率 0.3%
男女賃金差異(全労働者) 70.7%
男女賃金差異(正規雇用) 78.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 91.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障害者の雇用人数(27名)、外国人技能実習生の雇用人数(72名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) イエローハットとの関係


同社の主力事業はイエローハットとのグループ店契約に基づいており、商品仕入の約7割を依存しています。出店や退店、販売価格の設定等について事前協議が必要であり、同社の方針と異なる制約を受ける可能性があります。また、契約解除事由が発生した場合、経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 経済情勢及び天候要因


主力であるイエローハット事業は季節変動が大きく、特に第3四半期のスタッドレスタイヤ販売が業績に大きく影響します。暖冬による降雪不足や消費者の節約志向の高まりなど、天候や経済情勢の変化が来店客数や客単価に影響し、業績が変動するリスクがあります。

(3) 人材の確保・育成


少子高齢化と地方における若年層の減少が進む中、事業拡大に必要な人材の確保が困難になるリスクがあります。自動車整備士の不足や採用難が続けば、車検・整備部門の強化方針に支障をきたし、サービスの質や収益性に影響を与える可能性があります。

(4) 法的規制


道路運送車両法、産業廃棄物法、個人情報保護法、古物営業法など、多岐にわたる法令の規制を受けています。不正改造への関与や産業廃棄物の不適正処理、個人情報の漏洩、古物営業法違反などが発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜により、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。