※本記事は、株式会社リボミック の有価証券報告書(第22期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リボミックってどんな会社?
独自の創薬プラットフォーム技術を核に、次世代核酸医薬「アプタマー医薬」の研究開発を行うバイオベンチャーです。
■(1) 会社概要
2003年8月、東京大学医科学研究所の研究成果を基に設立され、2005年3月にRNAアプタマーを利用した医薬品開発を本格化させました。2014年9月には東証マザーズ(現グロース)への上場を果たしています。その後、2017年8月に米国子会社RIBOMIC USA Inc.を設立するなど、グローバルな展開を進めています。
同社の従業員数は単体で25名です。大株主には、ネット証券大手の楽天証券や、ロンドンを拠点とする金融機関NOMURA INTERNATIONALが名を連ねています。また、事業会社としては全薬工業が上位に含まれており、創業者である中村義一氏も主要株主の一人です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 楽天証券 | 6.26% |
| NOMURA INTERNATIONAL PLC A/C JAPAN FLOW | 1.54% |
| 全薬工業 | 1.29% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名、計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中村義一氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中村 義一 | 代表取締役社長兼事業推進本部長 | 東京大学医科学研究所教授を経て、2005年同社取締役最高技術責任者ファウンダー。2012年より現職。 |
| 大岩 久人 | 取締役執行役員管理本部長 | 住友銀行入行後、SMBC日興証券常務執行役員などを歴任。2021年同社入社。同年より現職。 |
| 安達 健朗 | 取締役執行役員研究開発本部長 | 日本学術振興会特別研究員を経て、2016年同社入社。執行役員探索研究部長等を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、西畑利明(元参天製薬取締役専務執行役員)、松藤千弥(東京慈恵会医科大学学長)、藤原俊伸(近畿大学薬学部教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「創薬事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■創薬事業
独自の創薬プラットフォーム「RiboART System」を活用し、疾患の原因となるタンパク質に結合して機能を阻害する「アプタマー医薬」の研究開発を行っています。主な対象疾患は、軟骨無形成症や加齢黄斑変性などの眼科疾患、希少疾患です。製薬企業やアカデミアとの共同研究も推進しています。
収益は主に2つのモデルから得ています。一つは自社創薬で、開発した医薬候補品の開発権や販売権を製薬企業へライセンスアウトし、契約一時金やマイルストーン、ロイヤルティーを受け取ります。もう一つは共同研究で、製薬企業等から研究費収入を得ます。運営はリボミックが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は変動が大きく、ライセンス契約や共同研究の有無に依存しています。利益面では、研究開発への積極的な投資を継続しているため、経常損失および当期純損失の計上が続いています。現在は将来の収益化に向けた先行投資フェーズにあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 0.9億円 | 0.8億円 | 0.7億円 | - | 0.0億円 |
| 経常利益 | -11.8億円 | -16.4億円 | -16.5億円 | -9.8億円 | -10.1億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | - | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -11.9億円 | -16.8億円 | -16.5億円 | -10.2億円 | -10.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益に対し、研究開発費などの費用が大きく上回っているため、営業損失および当期純損失となっています。収益は限定的である一方、医薬品開発に必要なコストが計上されています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | 0.0億円 |
| 売上総利益 | - | 0.0億円 |
| 売上総利益率(%) | - | 100.0% |
| 営業利益 | -11.2億円 | -10.5億円 |
| 営業利益率(%) | - | -49861.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1億円(構成比25%)を占めています。また、事業費用の大半を占める研究開発費は7億円計上されています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、当期は共同研究等により売上計上があります。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 創薬事業 | - | 0.0億円 |
| 連結(合計) | - | 0.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、医薬品の研究開発を事業とするベンチャー企業であり、安定的な収益計上まで先行投資期間が続くため、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。投資活動によるキャッシュ・フローも、研究開発への投資等によりマイナスで推移しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、新株発行等による資金調達によりプラスとなる場合があります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -9.3億円 | -10.0億円 |
| 投資CF | 1.8億円 | 0.7億円 |
| 財務CF | 0.3億円 | 6.7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「Unmet Medical Needs(未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズ)に応える」を企業理念に掲げています。RNAを成分とする「アプタマー医薬」の開発を通じて、世界中の患者に新しい治療薬を届けることを目指しています。
■(2) 企業文化
人の生命・健康に関わる企業として、高い倫理性を持ち、最新の科学・技術に基づく研究活動を推進する文化があります。また、コーポレート・ガバナンスの強化により企業価値の最大化を図り、透明性の高い経営とステークホルダーとの良好な関係維持を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
研究開発型ベンチャーとして、収益化まで長期間を要するため、ROE等の財務指標目標は設けていません。代わりに、研究成果(POC取得など)や開発イベント(治験申請など)を重視し、2025年までに優先度の高いパイプラインを臨床ステージへ移行させる「VISION 2025」を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「世界のアプタマー医薬品開発における主要な地位確立」を目指し、自社での臨床試験実施、パイプラインの拡充、AI等を活用した新規技術開発に注力しています。また、早期収益確保のためにライセンス活動や製薬企業との共同研究を積極的に推進し、資金調達による財務体質の強化も図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
Unmet Medical Needsに応えるため、高い倫理観と最新技術を持つ多様な専門人材の確保・育成を重視しています。少数精鋭の組織において、個々の能力発揮と自律的なキャリア形成を支援し、安全で健康的な職場環境の維持やライフイベントとの両立支援にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.6歳 | 5.6年 | 7,048,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 82.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(69.6%)、育児時短勤務取得者数(2名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 医薬品研究開発の不確実性
新規パイプラインの創出や臨床開発には高い不確実性が伴います。開発候補品が得られない場合や、臨床試験での副作用発現等により開発が中止される場合、事業計画の変更や追加費用の発生により、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 収益の不確実性と変動性
収益はライセンス契約に基づく一時金やマイルストーン、ロイヤルティーに依存しています。提携先の事情による開発中止や、製品化後の販売不振、競合品の台頭などにより、期待した収益が得られない可能性があります。
■(3) 資金調達と財務基盤
先行投資型のビジネスモデルであり、安定収益確保までは継続的な営業損失が見込まれます。研究開発活動に必要な資金を、提携や公的助成、新株発行等で確保できない場合、事業継続に懸念が生じる可能性があります。



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