※本記事は、エンカレッジ・テクノロジ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
エンカレッジ・テクノロジは、セキュリティ対策や内部統制強化に対応するパッケージソフトウエア製品の開発・販売を主軸とする企業です。ライセンス販売、保守サポートサービス、クラウドサービス、コンサルティングサービス、SIO常駐サービスなどを展開しています。
単体従業員数は124名です。同社の報告セグメントはパッケージソフトウエア事業の単一セグメントとなっています。
エンカレッジ・テクノロジは、セキュリティ対策や内部統制強化に対応するパッケージソフトウエア製品の開発・販売、保守サポート、クラウドサービス、コンサルティングサービス、SIO常駐サービスを自社で展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エンカレッジ・テクノロジは、ITソフトウェアの開発・販売を主軸とする企業であり、その事業特性から人的資本を最も重要な経営資源と位置付けています。そのため、社員一人ひとりの専門性や創造力を重視し、柔軟な働き方と人材育成に力を入れていることが特徴です。社員が安心して長く働ける環境を整え、個人の成長と働きがいを追求する企業文化が伺えます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的若い年齢層の社員が活躍しており、平均勤続年数からは一定の定着傾向が見られます。社員の成長とキャリア形成を支援する環境が整っていることが、これらの傾向に繋がっていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,575,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.3年 |
| 平均年齢 | 38.0歳 |
| 単体従業員数 | 124人 |
同社は退職給付型の制度として退職一時金制度、確定拠出型の制度として確定拠出年金制度を設けております。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「価値創造の源はお客様にある」との経営方針に基づき、顧客課題を本質から理解し、高度な技術力と業務理解力を兼ね備えた人材の育成・確保に重点を置いています。VISION2030に向けたプロダクト開発やサービス提供に対応できる高度専門人材の採用・育成、次世代を担う中核人材・リーダー人材の育成を推進しています。挑戦を後押しする人事制度の運用や多様な人材が能力を発揮できる職場環境の整備、働きがいと生産性の両立を図る組織づくりに継続的に取り組んでいます。
人材の採用においては、IT技術者の慢性的な不足に対応するため、原則として新卒採用を重視し、経験が浅い層のポテンシャル採用で補完し育成に注力しています。大学との共同研究やインターンシップを通じて学生との相互理解を深め、就職後のミスマッチ防止にも取り組んでいます。新卒入社の社員には、入社前後の導入研修や配属部門ごとの実務研修を通じて、社会人としての基本行動やIT技術、製品知識の習得を支援しています。
給与は毎月支給する給与と年2回の賞与で構成されており、人事評価制度の中で資格等級ごとに設定された給与テーブルに基づき、性別や年齢、職種の区別なく支給されます。賃金テーブルの見直しを逐次行っており、2026年3月期には平均6%の賃上げを実施しました。また、2027年3月期には賞与の標準支給月数を従来の4ヶ月から5ヶ月へ増加させることで、年収の6%アップを計画しています。賞与には業績連動制度を採用しつつ、セーフティネットとして最低支給月数も設定されています。
同社では2022年3月期より、新しい人事制度「Encourage Smart life Style(ESS)」を導入しています。この制度により、社員は月単位で勤務形態を柔軟に選択でき、勤務形態が変わっても処遇や評価に影響を受けません。ジョブディスクリプション(職務記述書)によって役割と成果、評価基準を明確にし、リモートワーク環境下でも公平な評価を実現しています。ダイバーシティとインクルージョンを推進し、性別、年齢、国籍等に関わらず個人の能力によって評価される仕組みです。現行等級のまま上位等級の業務に挑戦できる「チャレンジ制度」も設けられており、成果が認められれば通常のステップを経ずに昇格が可能です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。現行の賃金テーブルに男女の格差はありませんが、近年は女性社員が増加していることと創業から数年は男性社員のみであったことから、男女の平均年齢に差異があり、賃金差異の要因となっています。有期労働者の賃金差異は、時短勤務の男性とフルタイム勤務の女性の構成が要因です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 13.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 90.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 90.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 108.0% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| チャレンジ制度成功者数(2026年3月期) | 2名 |
| 女性次期管理職として就業(提出日現在) | 7名 |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 産休取得者数(2026年3月期) | 5名 |
| 育休取得者数(2026年3月期) | 8名 |
| うち男性の取得(2026年3月期) | 2名 |
| 時短勤務(育児)(2026年3月期) | 2名 |
| 介護休職取得者数(2026年3月期) | 0名 |
働き方・生産性
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 月平均残業時間実績(2026年3月期) | 27時間43分 |
| 離職率(2026年3月期) | 11.5% |
人材育成・採用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒入社者数(2026年3月期) | 6名 |
| キャリア入社者数(2026年3月期) | 4名 |
| 入社後導入研修参加者数(2026年3月期) | 6名 |
| 外部個別・専門研修参加者数(のべ人数)(2026年3月期) | 262名 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
エンカレッジ・テクノロジは、パッケージソフトウエア事業を主軸に、企業のITインフラにおける情報セキュリティとシステム運用効率化を支援しています。同社は、デジタル化を推進する企業が直面するサイバー脅威への対策や、人手不足に対応するための生産性向上に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、パッケージソフトウエア事業の単一セグメントで事業を展開しています。主な事業内容は、情報セキュリティ対策製品やシステム運用効率化製品の開発・販売、およびそれらに付随するサービス提供です。特に、特権ID管理製品「ESS AdminONE」や証跡管理製品「ESS REC 6」といった製品が主力となっています。
収益モデルとしては、製品のライセンス販売を起点とし、それに派生するコンサルティングサービス、保守サポートサービス、クラウドサービスなど多岐にわたります。当事業年度では、ライセンス売上は減少したものの、コンサルティングサービス売上、保守サポートサービス売上、クラウドサービス売上がそれぞれ伸長しました。特にクラウドサービス売上は大きく伸びています。
保守サポートサービス売上は目標とする保守更新率を達成し、堅調に推移しています。同社は本邦以外の外部顧客への売上高はなく、国内市場に特化しています。また、株式会社NTTデータへの販売実績が、当事業年度の総販売実績の約2割を占める状況です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度の売上高は、前年同期に比べて増加しました。営業利益と経常利益も前年同期に比べて増加しています。
一方、当期純利益は前年同期に比べて減少しました。売上高の増加は、ライセンス売上が減少したものの、コンサルティングサービス売上、保守サポートサービス売上、クラウドサービス売上が伸長したことによるものです。営業利益の増加は、減価償却費の減少があった一方で、労務費・人件費や外注費の増加があった中で実現しました。経常利益の増加は、受取利息の増加が主な要因です。当期純利益の減少は、法人税等の税金費用が増加したことによるものです。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
エンカレッジ・テクノロジは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている状況です。財務基盤の厚みや資金の流れから、同社の安定性と成長への姿勢を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
エンカレッジ・テクノロジの財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。自己資本比率は71.0%となっており、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較しても高い水準です。
手元資金である現金及び預金等は、当期末で21.5億円となっています。これらの数値は、同社が安定した経営基盤を維持していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にも関わる要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 35.1億円 | 35.7億円 |
| 自己資本比率 | - | 71.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 25.1億円 | 21.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
エンカレッジ・テクノロジの当期の営業活動によるキャッシュ・フローはプラスとなっています。これは、税引前当期純利益や減価償却費、売掛金及び契約資産の減少、保守サポートサービス売上に係る契約負債の増加が主な収入要因となり、本業で安定的に資金を生み出していることを示しています。
一方で、投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスです。これは、定期預金の預入および払戻、市場販売目的ソフトウエア等の無形固定資産の取得、有形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。財務活動によるキャッシュ・フローもマイナスであり、配当金の支払額によるものとなっています。
これらの資金の流れから、同社は本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況がうかがえます。本業で安定した資金を確保しつつ、成長投資を継続していることは、中長期的な雇用や給与の安定性、そして会社の成長性につながる要素です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.5億円 | 7.5億円 |
| 投資CF | △2.6億円 | △9.4億円 |
| 財務CF | △1.3億円 | △1.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 0.8億円 | △1.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、主力製品である「ESS REC」の市場認知向上に伴う新規参入や、強力なライバル製品の出現により優位性が失われた場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、次世代型特権ID管理ソフトウエア「ESS AdminONE」等、他製品でも競争力が保てない場合も同様です。
また、全売上高に占める株式会社NTTデータへの売上高の割合が高く、2026年3月期は19.7%となっています。今後、当該契約が何らかの理由で変更あるいは解消された場合には、同社の財務状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、IT技術者不足による賃金高騰や人材市場の流動化、少子化による新卒採用の売り手市場化により、今後も採用が困難な状況が続くものと考えています。IT技術者の確保が計画通りに進まない場合、研究開発の遅れによる製品リリースの遅延が発生する可能性があります。
加えて、営業職の人材確保が計画通りに進まない場合は顧客開拓の遅延や競合製品による商談の失注などにより、同社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エンカレッジ・テクノロジは、システム運用の安全と安定稼働の実現を通じて、社会に貢献することを目指している企業です。社名にも掲げる「勇気づける(エンカレッジ)」をモットーに、お客様企業の最適なシステム運用を支援しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
エンカレッジ・テクノロジは、「勇気づける(エンカレッジ)」をモットーに、システム運用の安全と安定稼働の実現を通じてICT社会に貢献することを目指しています。2024年4月には、『すべての人々が安心してITを利用できる社会を創る』をパーパス(同社の存在意義)として定めました。
経営理念として、「お客様の視点で新たな価値を創造し、満足いただける製品とサービスを提供すること」「社員と会社の目的を一致させ、物心一体の幸福を追求すること」「国内外の法令と企業倫理を遵守し、誠実かつ公平に業務を遂行すること」の3点を掲げています。
2030年に向けた長期ビジョン「VISION2030」では、システム運用管理分野において新たな価値を創造し、クラウドサービスへの本格参入やコンサルティングサービスなど、新たなソリューションを展開することを目指しています。また、リーダー育成を通じて顧客志向で機動力ある新体制を築く方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、お客様を価値創造の源とし、その喜びを自らの幸せと捉えることを大切にしています。勇気を持ってチャレンジすることが会社成長の源であり、敬意と感謝を持ち、期待に応える行動を促す企業風土の創造を目指しています。お客様との対話を重視し、技術を磨き最適な解決策を導くことに努めています。
2022年3月期に導入された人事制度「Encourage Smart life Style(ESS)」により、社員は月単位で勤務形態を柔軟に選択でき、処遇や評価に影響なく働ける環境です。職務記述書に基づく公平な評価制度は、リモートワークにおいても正当な評価を実現しています。
また、現行等級のまま上位等級の業務に挑戦できる「チャレンジ制度」を設けており、自らハイレベルな業務に挑戦し成果が認められれば昇格も可能です。社員が高いエンゲージメントをもって自律的に働ける職場環境を整え、仕事と生活の充実を支援するカルチャーです。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、持続的な成長のために「人材強化」を重点施策の一つとしています。優秀な技術者の安定確保と多様な人材の獲得・育成が不可欠と認識し、社員の働きがいと生産性向上を両立させ事業拡大を目指しています。
具体的な取り組みとして、「ダイバーシティの推進」では、性別、年齢、国籍に制約を設けず多様な人材を採用し、能力を事業に活かしています。「女性活躍の推進」では、女性管理職候補者の育成を進め、2028年3月31日時点の女性管理職を2025年4月1日時点の2倍以上に増やす目標です。
また、「柔軟な働き方と公平・公正な人事評価制度の両立」では、職務記述書に基づく公正な評価や、週休3日・週6日勤務を可能とする労働時間制の定着により、社員満足度向上を図っています。「安心して継続的に働くことができる賃金の見直し」も行い、必要な人材確保と社員の安定的な就業を支援しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エンカレッジ・テクノロジは監査等委員会設置会社であり、取締役会と監査等委員会が連携して経営を監督する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は代表取締役社長の石井進也氏です。上位株主には複数の投資事業有限責任組合が名を連ねており、多様な株主によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 石井 進也 | 26.81% |
| UHPartners3投資事業有限責任組合 | 7.57% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 | 7.51% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.68% |
| ソルクシーズ | 3.57% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は石井進也氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石井 進也 | 代表取締役社長 | 1983年コンピュータサービス入社、2002年同社設立より現職。 |
| 日置 喜晴 | 取締役サービス統括部長 兼マーケティング部長 | 1991年第一ホテル入社、2008年同社入社、2024年より現職。 |
| 飯塚 伸 | 取締役経営管理部長 | 1994年矢澤会計事務所入所、2017年同社入社、2019年より現職。 |
| 上田 浩 | 取締役プロダクト統括部長 兼カスタマーサポート部長兼 品質保証部長 | 1983年住友信託銀行入社、2019年同社入社、2024年より現職。 |
| 渡部 信之 | 取締役セールス統括部長 兼戦略営業部長 兼ソリューション営業部長兼 パートナー営業部長 | 1984年富士銀ソフトウエアサービス入社、2022年同社入社、2024年より現職。 |
社外取締役は、工藤 克彦氏(元三井住友トラスト・ホールディングス専務執行役員・東邦システムサイエンス社外監査役・トランヴィア社外監査役)、板垣 浩二氏(合同会社Vista Plusパートナーズ代表社員CEO・GENDA社外監査役)です。
同社は2021年6月25日に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しています。社外取締役が過半数を占める監査等委員会により、客観的かつ中立的な立場から経営監視機能が発揮される体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、監査等委員でない取締役に対しては基本報酬と業績連動報酬が、監査等委員である取締役に対しては基本報酬のみが支給される体系です。業績連動報酬の総額は、営業利益の10%を上限として決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 88百万円 | 17.7百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 12百万円 | 6.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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