タメニー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タメニー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。婚活、カジュアルウェディング、地方創生/QOL事業を展開。「よりよい人生をつくる。」を理念に、結婚相談所や低価格帯の挙式プロデュースを手掛ける。2025年3月期は売上高59億円と増収も、広告強化による販管費増や減損損失の計上により、営業損益および最終損益は赤字に転落しました。


※本記事は、タメニー株式会社 の有価証券報告書(第21期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タメニーってどんな会社?


結婚相談所「パートナーエージェント」や挙式プロデュース「スマ婚」等を運営し、婚活から結婚式までを支援する企業です。

(1) 会社概要


2006年にテイクアンドギヴ・ニーズの子会社として旧パートナーエージェントが設立され、2008年のMBOにより独立しました。2015年に東証マザーズへ上場し、2019年にはカジュアルウェディング事業へ本格参入するため株式会社メイション等をグループ化しました。2020年に現社名へ変更し、事業領域を拡大しています。

同社(単体)の従業員数は298名です。筆頭株主は同業で資本業務提携先の株式会社IBJで、第2位は創業者で代表取締役社長の佐藤茂氏、第3位は結婚相談所運営などを手掛ける事業会社です。

氏名 持株比率
IBJ 15.09%
佐藤 茂 12.31%
TMSホールディングス 6.85%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は佐藤茂氏です。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 茂 代表取締役社長 2000年サンマークライフクリエーション入社。テイクアンドギヴ・ニーズを経て2008年同社代表取締役社長。2024年代表取締役会長を経て2025年4月より現職。
栗沢 研丞 代表取締役会長
取締役会長
1983年日本リクルートセンター入社。オークネット執行役員等を経て2020年同社入社。2022年代表取締役社長を経て2025年4月より現職。
伊東 大輔 取締役 2005年フィールズ入社。2018年同社入社。2025年6月より現職。


社外取締役は、小村富士夫(株式会社Jスタイル代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「婚活事業」「カジュアルウェディング事業」「地方創生/QOL事業」を展開しています。

(1) 婚活事業


結婚相談所「パートナーエージェント」、婚活パーティー「OTOCON」、相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」等を展開しています。1年以内の成婚を目指す顧客に対し、専任コンシェルジュによる活動支援や、会員相互紹介による出会いの機会を提供しています。

主な収益源は、会員からの入会金・月会費・成婚料や、パーティー参加料、プラットフォーム利用事業者からの利用料等です。運営は同社が行っています。

(2) カジュアルウェディング事業


「スマ婚」ブランドによる挙式披露宴プロデュースや、フォトウェディング「LUMINOUS」、結婚式二次会幹事代行「2次会くん」等を展開しています。格安婚や少人数挙式、フォト婚など、多様化するニーズに対応したサービスを提供しています。

主な収益源は、挙式・披露宴・パーティー・撮影等のプロデュース対価として顧客から受領する施行代金です。運営は同社が行っています。

(3) 地方創生/QOL事業


地方自治体向けに婚活支援システム「parms」の提供や支援センター運営受託を行うほか、会員向けに保険販売や住宅・不動産紹介等のライフサポートサービスを提供しています。

主な収益源は、自治体からのシステム利用料・運営受託費や、提携先事業者からの紹介手数料、保険販売手数料等です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの業績推移です(2024年3月期以降は単体)。売上高は回復基調にありますが、利益面では赤字計上が目立ちます。特に直近2025年3月期は減損損失の計上により大幅な最終赤字となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 44.3億円 55.7億円 56.0億円 56.0億円 59.1億円
経常利益 -20.9億円 -2.2億円 -2.3億円 0.3億円 -1.0億円
利益率 -47.2% -3.9% -4.1% 0.5% -1.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -17.2億円 -3.4億円 -8.0億円 0.0億円 -8.5億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、コスト増により営業損益が悪化しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 56.0億円 59.1億円
売上総利益 39.3億円 40.1億円
売上総利益率(%) 70.3% 67.8%
営業利益 0.8億円 -0.6億円
営業利益率(%) 1.4% -1.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が11億円(構成比27%)、広告宣伝費が8億円(同19%)を占めています。売上原価では、その他費用が8億円(構成比44%)、婚礼会場費が7億円(同35%)を占めています。

(3) セグメント収益


婚活事業は減収減益となりましたが、カジュアルウェディング事業と地方創生/QOL事業は増収となり、特に地方創生/QOL事業は大幅な増益を達成しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
婚活事業 23億円 21億円 6億円 3億円 15.9%
カジュアルウェディング事業 30億円 34億円 -0.4億円 0.2億円 0.5%
地方創生/QOL事業 3億円 4億円 0.3億円 0.7億円 17.9%
連結(合計) 56億円 59億円 0.8億円 -0.6億円 -1.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で資金を稼ぎつつ、投資と借入返済を進める健全型のキャッシュ・フローです。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 6億円 3億円
投資CF 0.1億円 -1.0億円
財務CF -2億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-122.4%(2023年3月期実績)で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は-19.4%(2025年3月期、債務超過)で市場平均を大きく下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「よりよい人生をつくる。」を企業理念として掲げています。顧客が求める独自サービスを創出し提供することで、顧客利益の最大化に努め、豊かで持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「創造する力とおもいやり、おもてなしで、人々の心を満たし、活力ある社会の実現を支えます。」という存在意義(パーパス)を掲げています。婚活、カジュアルウェディング、地方創生/QOL領域において、このパーパスに基づいた事業活動を推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は長期ビジョンとして「上場企業のサービス業で売上高100位以内」を目指しています。この実現に向け、2025年3月期からの3か年を持続的成長に向けた基盤構築期間と位置づけています。

* 2027年3月期 売上高:74億9700万円
* 2027年3月期 営業利益:6億6900万円
* 2027年3月期 営業利益率:8.9%以上

(4) 成長戦略と重点施策


競争力及び生産性の強化、人的資本及び財務資本の強化、社会との共生推進に取り組む方針です。具体的には、ブランド認知向上、展開エリア拡大、IT/DXによる業務革新を推進し、婚活事業ではパートナー企業連携による会員数拡大、カジュアルウェディング事業では婚姻組数の約2%へのサービス提供を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材育成強化、社内(制度)環境整備、多様性推進を重点テーマとしています。計画的な採用と継続的な育成プログラムの整備、福利厚生やライフサポートの拡充、育児・介護支援や柔軟な働き方の推進により、優秀な人材の確保と定着を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.0歳 7.3年 4,210,957円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 50.9%
男性労働者の育児休業取得率 33.3%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 78.0%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 80.0%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 88.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(14.8%)、従業員満足度(77.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 婚活関連事業に係るリスク


結婚相手紹介サービスにおいて、人材流出等により独自のノウハウやシステム技術が競合他社へ流出した場合、競争優位性が低下する可能性があります。また、会員による不適切行為等が発生した場合、信用低下により業績に影響を与える可能性があります。

(2) カジュアルウェディング関連事業に係るリスク


提携会場の方針変更や関係悪化により提携解消が生じた場合、安定したサービス提供に支障をきたす可能性があります。また、挙式披露宴は季節変動の影響を受けやすく、繁忙期に天候不順や災害等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 市場動向について


少子高齢化による結婚適齢期人口の減少や、結婚式に対する価値観の多様化が進んでいます。結婚希望者や婚姻組数が著しく減少した場合、既存市場が縮小し、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(4) 継続企業の前提に関する重要事象等


同社は営業損失および当期純損失を計上し、2025年3月期末で債務超過の状態にあります。また、手元資金に対し1年以内返済予定の借入金が多額となっており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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