フォーライフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フォーライフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フォーライフは東京証券取引所グロース市場に上場し、都市型・狭小・低価格の新築3階建戸建を主力とする分譲住宅事業や注文住宅事業を展開しています。直近の業績は、販売棟数の増加等により売上高が前期比増収となる一方、資材価格高騰等の影響もあり当期純利益は微減益となりました。自社設計・施工で高品質な住宅を提供します。


※本記事は、フォーライフ株式会社の有価証券報告書(第27期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フォーライフってどんな会社?


分譲住宅と注文住宅を中心に、一次取得者向けの住まいづくりを展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1996年7月に設立されました。2004年に宅地建物取引業免許を取得して分譲住宅事業を開始し、2008年には一般建設業許可を取得して注文住宅事業へも参入しました。2013年に現在のフォーライフへと商号を変更し、2016年12月には東京証券取引所マザーズ市場(現在はグロース市場)へ株式を上場しました。その後も、京都へのオフィス開設など事業エリアを順調に拡大しています。

現在の従業員数は単体で115名です。筆頭株主は創業者の奥本健二氏であり、第2位には従業員持株会、第3位には個人株主が名を連ねています。

氏名 持株比率
奥本 健二 66.01%
フォーライフ従業員持株会 4.65%
若杉 精三郎 1.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長執行役員は奥本健二氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
奥本 健二 代表取締役社長執行役員 1988年ミヤマ入社。1989年住友不動産販売入社。1996年同社設立、代表取締役社長。2015年より現職。
中村 仁 取締役専務執行役員住宅営業本部長 2012年同社入社、常務取締役。2013年常務取締役住宅営業部長等を経て、2022年より現職。
髙橋 効志 取締役常務執行役員建築本部長購買積算部長 2006年同社入社。2012年取締役住宅事業部長、施工部長等を経て、2025年より現職。
鈴木 亨 取締役執行役員管理本部経理財務部長 2015年同社入社。2017年執行役員経営管理部長、2019年経理財務部長等を経て、2025年より現職。


社外取締役は、井上悦孝(元銀泉リインシュアランス社長)、武井佐代里(元都市再生機構理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「分譲住宅事業」「注文住宅事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 分譲住宅事業


「都市型・狭小・低価格」の新築3階建戸建住宅を主体とした企画・開発・販売を展開しています。神奈川県横浜市・川崎市や東京23区を主要エリアとし、一次取得者(20〜40代とその家族)を主なターゲットとして、良質でリーズナブルな住み心地の良い家を提供しています。

顧客へ戸建住宅等を販売して対価を得る収益モデルです。事業用地の仕入から設計、施工・管理、販売までを自社で一貫して行っています。同事業はフォーライフが運営しており、建物の規格化によるコスト抑制と棚卸資産の高回転率化を実現しています。

(2) 注文住宅事業


「人生の価値を考える住まいの提供」をテーマに、新築戸建住宅の建築請負を行っています。東京都23区内や横浜市・川崎市を中心に、子育て世代でも無理なく購入できる適正な価格帯で、顧客のこだわりに沿った間取りやデザインプランを提案しています。

顧客と建物請負工事契約を結び、建築工事の進行に伴って対価を得る収益モデルです。同事業の運営もフォーライフが担っており、分譲住宅と同様に自社設計・自社施工管理体制を活かすことで、中間コストを削減しつつ高品質な住宅の提供を可能としています。

(3) その他


マンションの1室等の区分所有権を取得してリノベーションを行ったうえで販売する事業や、既存顧客からの要望に応じた住宅の小規模改修工事(リフォーム)等を手掛けています。

リノベーション済み物件の販売代金や、リフォームの工事代金を顧客から受け取る収益モデルです。同事業もフォーライフが運営しており、主に京都の事業部において既存マンションの付加価値を高める取り組みを行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、直近の2026年3月期には175億円規模まで拡大しています。利益面では市況変動により一時的に落ち込む時期もありましたが、直近は持ち直しを見せ、経常利益率は4.5%に改善しました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 124億円 141億円 140億円 148億円 175億円
経常利益 7億円 3億円 2億円 5億円 8億円
利益率(%) 5.8% 2.4% 1.5% 3.5% 4.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 2億円 2億円 6億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高の順調な拡大に伴い売上総利益も増加し、売上総利益率は改善しました。営業利益率も前期の4.0%から5.0%へ上昇しており、自社一貫体制の強みを活かした本業の収益性が高まっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 148億円 175億円
売上総利益 18億円 22億円
売上総利益率(%) 12.0% 12.5%
営業利益 6億円 9億円
営業利益率(%) 4.0% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、販売手数料が5億円(構成比37%)、給料手当及び賞与が2億円(同14%)を占めています。売上原価においては、土地購入費が78億円(構成比51%)、外注加工費が55億円(同36%)となっています。

(3) セグメント収益


主力の分譲住宅事業は、東京23区における販売棟数の比率上昇により単価が上がり、大幅な増収増益となりました。注文住宅事業も堅調な受注により成長しています。その他事業は販売実績が少なく減収減益で推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
分譲住宅事業 124億円 149億円 10億円 13億円 9.0%
注文住宅事業 22億円 25億円 1億円 1億円 5.8%
その他 1億円 0.4億円 -0.2億円 -0.3億円 -68.8%
調整額 -億円 -億円 -5億円 -6億円 -%
連結(合計) 148億円 175億円 6億円 9億円 5.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローがマイナスで、財務キャッシュ・フローがプラスの「勝負型」です。本業は資金流出超過ですが、将来の成長のために借入等で投資を継続している状態です。

なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -7億円 -2億円
投資CF 8億円 -1億円
財務CF 7億円 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「建物創りを通して、志を持って事業にあたる」「社内の協調と協働により一人当たりの生産性において地域においての業界ナンバーワンを目指す」「お客様に、安心と安全を備えた、低価格で高品質な住宅を提供する」などの経営理念を掲げています。第一次住宅購入層を中心に、高品質で安全性の約束されたスタンダード住宅を提供することを存在意義としています。

(2) 企業文化


同社は、高い生産性、効率性、財務健全性の維持を重視しています。「時に合わせて柔軟に変化する能力を養いスピーディな営業を目指す」という理念のもと、事業環境の変化に対応した迅速な意思決定と経営効率の向上に努めています。また、社員が働きがいとやりがいを持って能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成にも取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は経営上の目標として、「売上高」「営業利益率」「ROE(自己資本利益率)」の3つの客観的な指標を特に重視しています。また、株主に対しては利益還元を経営の重要課題と位置付けており、業績に応じた成果を配分する基本方針として、配当性向20%を基本とする安定的な配当を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


既存店舗の規模拡充により東京・神奈川エリアでの営業基盤を固め、周辺地域や関西圏への進出を図っています。また、優良な事業用地を適正価格で安定的に確保するための仕入ルートの多元化、原価管理の徹底による収益の確保、そして人材の確保と育成を重点施策に掲げ、中長期的な収益力向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的な事業成長における人的リソースの寄与度が高いことから、人材を最優先すべき資本の一つと位置付けています。実務スキルの向上に向けた社内研修や資格取得支援を通じて事業を牽引する中核人材を育成するほか、意欲と能力のある優秀な社員が平等に管理職登用への機会を得られる人事制度を整備し、エンゲージメントの強化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.9歳 4.9年 8,576,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 64.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 10.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産市況等による業績変動リスク


分譲住宅事業における原価は事業用地の仕入価格や建築費に大きく依存します。そのため、景気や金利動向、消費税率の引き上げ等の経済情勢による不動産市況の悪化が、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社は需要が安定している都市部の一次取得者層に注力し、原価管理の徹底等でリスク低減を図っています。

(2) 販売時期の偏重リスク


各プロジェクトの規模や進捗によって売上計上(引渡時期)が変動するため、建築工事の遅延や販売計画の変更等により業績がブレる可能性があります。同社は、市場調査による適正な価格設定と機動的な見直しを行い、完成在庫期間の短縮化を図ることで、販売時期の変動リスクを抑制しています。

(3) 競合他社との競争激化リスク


同社の主力エリアである東京・神奈川圏は参入障壁が低く、大手や中堅業者との競合が厳しい市場です。競争激化によって仕入価格の上昇や販売価格の低下が生じる可能性がありますが、長年の狭小物件に関するノウハウで差別化を図り、仕入ルートの多元化や他地域への進出等で対抗しています。

(4) 建築工事に関するリスク


分譲戸建・注文住宅の建築において、一定の技術水準を満たす外部の建築工事業者に発注しています。事業拡大に伴い、求める技術水準を満たす業者が確保できない場合や、工事管理が適切に行われず品質問題やトラブルが発生した場合、追加費用や信用の低下を招き、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。