※本記事は、株式会社MS-Japan の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
MS-Japanは、管理部門職種や士業に特化した人材紹介事業を主軸としています。ダイレクトリクルーティングサービスやビジネスメディア運営、海外人材事業も展開しています。
単体従業員数は210名、連結従業員数は251名です。同社グループは人材事業の単一セグメントで構成されています。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)MS・HAYATE1号投資事業有限責任組合などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
MS-Japanは、専門性の高い人材サービス事業を展開しており、従業員の平均年齢は比較的若く、活気ある環境がうかがえます。給与水準は個人の職務内容や業績評価に基づいて決定される方針です。多様な働き方を支援する制度も導入されており、柔軟なワークスタイルが期待できるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が若く、平均勤続年数も比較的短めであることから、活発な人材の流動性やキャリアアップの機会が多い環境であると考えられます。個人の成長と挑戦を重視する企業文化が反映されている傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,431,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.4年 |
| 平均年齢 | 32.4歳 |
| 単体従業員数 | 210人 |
| 連結従業員数 | 251人 |
| 単体のグループ内比率 | 83.7% |
同社は確定拠出型の制度として、確定拠出年金制度を採用しています。在外連結子会社もオーストラリアの法令に基づく確定拠出型退職給付制度(Superannuation)を採用しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループの人材戦略は、事業の持続的な成長と新しい価値の創造に向け、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、変化を恐れず挑戦し続ける組織づくりを基本方針としています。ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を深く理解し、自ら考え挑戦し続けるプロフェッショナルの育成と輩出に注力しています。
個人の適性やキャリア志向に応じた成長機会を提供し、新卒・中途や性別等の属性に依らない公平な登用を推進しています。従業員の給与その他の給付の額および内容については性別による差異はなく、個人の職務内容、役割、および業績評価(成果)に基づき決定されます。
多様性のある職場環境の実現を目指し、新卒や中途、国籍、障害、性別等の個々人の属性に依ることなく積極的に採用および管理職への登用を行う方針です。また、従業員それぞれが最大限パフォーマンスを発揮できるよう、全ての職種に対してフレックスタイム制度を導入しています。ライフイベントに応じたフルタイム・時短勤務への切り替えも柔軟に認めています。業務内容や個人の事情を考慮し、リモートワークと出社を柔軟に組み合わせた勤務制度も導入し、個別最適なワークスタイルの実現を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女の賃金の差異は、主に男女間の管理職比率および雇用形態の差異によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 19.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 正規雇用労働者の男女の賃金の額の差異 | 72.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 70.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 84.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
MS-Japanグループは、管理部門職種や士業に特化した人材紹介事業を主軸としています。国内では人材紹介サービス、ダイレクトリクルーティングサービス、ビジネスメディアの運営を行い、海外ではオーストラリアで人材紹介・派遣事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループの主軸事業は、管理部門職種(経理・財務・人事・総務・法務・経営企画等)および弁護士・公認会計士・税理士などの士業に特化した人材紹介事業「MS Agent」です。転職希望者と採用企業をマッチングさせる成功報酬型の収益モデルを採用しており、特定領域への専門特化による精度の高いマッチングが特徴となっています。自社メディア「Manegy(マネジー)」を活用したコンテンツマーケティングにより、独自の登録者獲得ルートを確立しています。
ダイレクトリクルーティングサービス「MS Jobs」は、求職者と採用企業が直接応募・スカウトできるサービスであり、独自のAIモデル「AIスコアリング検索」を導入してマッチング精度の向上を図っています。メディア事業「Manegy」は、士業や管理部門の業務に役立つコンテンツを提供し、広告収益やリード提供による収益を得ています。また、スマートフォン向けアプリ「Manegy Clip」の配信も行っています。
海外人材事業は、連結子会社であるFourQuarters Recruitment Pty.Ltd.がオーストラリアで財務・会計、テクノロジー、人事などに特化した人材紹介・派遣事業を展開しています。同社グループの売上高は、人材紹介売上高が最も大きく、次いで海外人材売上高が続いています。海外人材売上高は前期から増加しており、オーストラリアでの事業が成長傾向にあります。為替レートの変動が海外人材売上高に影響を与える傾向が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で増加傾向にあります。特に直近の連結会計年度では、前期から売上高が増加しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、概ね増加傾向で推移しています。直近の連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から増加しました。営業利益率、経常利益率、当期純利益率は、いずれも高い水準を維持しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 37.6億円 | 42.9億円 | 45.7億円 | 74.7億円 | 76.5億円 |
| 経常利益 | 15.4億円 | 17.9億円 | 16.6億円 | 16.8億円 | 16.8億円 |
| 経常利益率 | 41.0% | 41.6% | 36.4% | 22.5% | 22.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 10.3億円 | 12.2億円 | 11.3億円 | 10.3億円 | 10.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 41.34 | 48.95 | 45.40 | 41.53 | 41.64 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、直近の連結会計年度で前期から増加しました。従業員1人あたりの営業利益も、前期から増加する傾向にあります。これらの指標は、同社グループの生産性が向上していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 29.5百万円 | 30.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.3百万円 | 6.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、事業活動を通じて安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。これにより、経営の安定性が確保されている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは強固な財務基盤を築いています。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均を大きく上回る水準であり、ROE(自己資本利益率)も平均を上回っています。手元資金も十分に確保されており、事業運営の安定性につながる状況です。これらの財務指標は、事業活動を安定的に継続し、雇用や給与の基盤を支える上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 97.7億円 | 96.3億円 |
| 自己資本比率 | 89.2% | 88.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.4% | 10.8% |
| 現金及び預金 | 43.0億円 | 39.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期から増加し、16.2億円の収入となりました。これは主に売上高の増加や利息及び配当金等の受取によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、投資有価証券の取得による支出が増加した一方で、投資有価証券の売却及び償還による収入もあったため、5.6億円の支出となっています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いにより14.8億円の支出となりましたが、前期と比較すると支出は減少しています。
これらの結果、事業活動で得た資金で投資活動を賄い、さらに余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは10.6億円のプラスとなっています。この状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる財務状況であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.9億円 | 16.2億円 |
| 投資CF | △3.0億円 | △5.6億円 |
| 財務CF | △16.5億円 | △14.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 12.0億円 | 10.6億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内の経済情勢の変動による影響を受ける可能性があります。景気停滞により企業が人材採用を抑制した場合、求人案件の減少に伴い業績に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
また、海外子会社におけるカントリーリスクや地政学リスクも挙げられています。当該国の政治や経済の変化、紛争やテロによる緊張が、資産価値の変動や社員の人命・資産に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業拡大においては、人材採用投資に伴う人件費の増加が販売費及び一般管理費に影響を与えています。これは、優秀な人材の獲得と維持が事業成長にとって重要な要素であることを示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
MS-Japanは、士業や管理部門領域に特化した人材サービスとメディア事業を展開し、社会に新しい価値を創造することを目指しています。個の自主自立と組織の融合・調和を重視し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「新しい価値創造・融合と調和・個の自主自立」という企業理念を掲げています。自主自立した個と組織が有機的に融合し調和する社会を実現するため、次代に必要な新しい価値を創造することを経営理念としています。
「世界一の経営管理プラットフォームを創り出す」ことをミッションとし、士業と企業の管理部門領域で培ったデータベースとネットワークを幅広く活用しています。人材関連事業に留まらず、同領域の人々の課題解決となるサービス提供を基本的な方針としています。
ニッチかつ専門性の高い領域において、グローバルトップクラスのポジション確立を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
MS-Japanは、「新しい価値創造・融合と調和・個の自主自立」という企業理念のもと、ミッション・ビジョン・バリューを体現できる人材の育成に取り組んでいます。変化を柔軟に捉えて行動し、それぞれが挑戦し続けられるよう、個々の適性やキャリア志向を踏まえた成長機会を提供しています。
新卒や中途、国籍、障害、性別といった個人の属性に依らず、積極的に採用や管理職への登用を行う方針です。全ての社員に平等な機会を設けることで、多様性のある職場環境を推進しています。
従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、全ての職種でフレックスタイム制度を導入しています。また、ライフイベントに応じたフルタイムや時短勤務への切り替えも柔軟に認めています。リモートワークと出社を組み合わせた勤務制度も導入し、組織の生産性向上と円滑なコミュニケーションの両立を図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
MS-Japanは、社会及び経済の環境変化への対応を重要な課題と認識しています。生成AIをはじめとする技術革新を既存事業の競争力強化や生産性向上、新たな付加価値の創出に繋げることが不可欠と考えています。これまでの常識に固執せず、最新技術と多様な価値観を積極的に取り入れ、変化をチャンスと捉えることで企業価値向上を目指しています。
収益源の多様化も重点テーマの一つです。既存事業のシェア拡大に加え、管理部門及び士業領域で蓄積したデータをAI等の最新技術で高度に利活用し、新たな収益の柱となる周辺領域への事業創出を継続的に行います。
情報管理の徹底も重要な課題です。事業運営上多数の個人情報を取り扱うため、規程の厳格な運用、最新のセキュリティリスクに対応した定期的なモニタリング、社員の意識を高める継続的な教育を徹底しています。
内部管理体制の強化も進めています。事業ポートフォリオの多様化に伴い、広範なリスクを適切にコントロールし、グループ全体でのガバナンスを機能させることが重要です。事業環境の変化に合わせ、内部管理体制の継続的な見直しと高度化を図り、意思決定の透明性と迅速性を両立させる体制を構築しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
MS-Japanは、監査等委員会設置会社として、取締役会と監査等委員会を設置しています。社外取締役が過半数を占める監査等委員会が、取締役会の監督機能強化と経営の透明性確保に貢献しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
MS-Japanの株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社T&Aホールディングスであり、次いで有本隆浩氏が上位株主となっています。有本隆浩氏の資産管理会社である株式会社T&Aホールディングスと株式会社MA、そして有本隆浩氏個人が上位を占めており、創業家およびその関連会社が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| T&Aホールディングス | 34.89% |
| 有本 隆浩 | 21.10% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.84% |
| 株式会社MA | 2.01% |
| 村形 清 | 0.34% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役会長CEOは有本隆浩氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 有本 隆浩 | 代表取締役会長 CEO | 1985年3月 ㈱リクルート入社、1990年4月 同社設立 代表取締役、2025年6月 代表取締役会長 CEOより現職。 |
| 藤江 眞之 | 取締役社長 COO | 2006年4月 同社入社、2023年4月 常務取締役 COO、2025年6月 取締役社長 COOより現職。 |
| 山本 拓 | 取締役副社長 CFO | 2010年2月 あずさ監査法人入所、2013年9月 同社入社、2023年7月 常務取締役 CFO、2025年6月 取締役副社長 CFOより現職。 |
社外取締役は、西田穣氏(オープンアップグループ代表取締役会長兼社長CEO)、和田育子氏(フリービット執行役員・取締役・監査等委員)、大浦善光氏(ウィズバリュー代表取締役・監査等委員)、坂元英峰氏(弁護士法人マーキューリージェネラル開設者・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、会社法に基づく機関として株主総会、取締役会、監査等委員会を設置しています。取締役会は7名で構成され、うち4名が社外取締役です。監査等委員会は3名の監査等委員である取締役(全員が社外取締役)で構成されており、取締役会の監督機能の強化と経営の透明性確保を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
MS-Japanの役員報酬は、固定報酬と譲渡制限付株式報酬で構成されています。ただし、監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は固定報酬のみです。取締役の指名・報酬等に関する手続きの公正性、決定プロセスの透明性及び客観性を担保するため、独立社外取締役を過半数とする指名・報酬委員会を設置しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.4億円 | 48.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 26百万円 | 6.6百万円 |
取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、譲渡制限付株式報酬3,729千円であります。なお、譲渡制限付株式報酬は当事業年度における費用計上額を記載しております。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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