レノバ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レノバ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レノバは東京証券取引所(プライム市場)に上場し、太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギー発電所および系統用蓄電所の開発・運営を主力としています。直近の業績は、新規の大型バイオマス発電所の稼働開始などにより売上収益が前期比で大幅増収となり、営業利益や当期利益も順調な増益トレンドを達成しています。


※本記事は、株式会社レノバ の有価証券報告書(第27期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. レノバってどんな会社?

(1) 会社概要


同社は2000年5月にリサイクルワンとして設立され、当初は環境・エネルギー分野の調査やコンサルティング事業を行っていました。その後、2012年10月に再生可能エネルギー事業へと参入し、2013年12月に現在のレノバへと商号を変更しました。2017年2月に東証マザーズへの上場を果たしています。

現在は連結で314名、単体で220名の従業員を抱える体制で事業を推進しています。筆頭株主は創業者の木南陽介氏であり、第2位および第3位の株主には、資本業務提携などの関係にある事業会社の東京瓦斯や住友林業が名を連ねています。

氏名 持株比率
木南陽介 16.17%
東京瓦斯 13.02%
住友林業 8.07%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長CEOは木南陽介氏が務めています。取締役7名のうち4名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
木南陽介 代表取締役社長CEO マッキンゼー・アンド・カンパニー入社後、2000年にレノバを設立し代表取締役社長に就任。2016年より現職。
山口和志 取締役執行役員CFO ゴールドマン・サックス証券を経て、2020年にレノバへ入社。執行役員CFO等を経て2020年より現職。


社外取締役は、島田直樹(ピー・アンド・イー・ディレクションズ代表取締役)、山崎繭加(華道家)、高山健(元楽天最高財務責任者)、Rajit Nanda(DataVolt CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「再生可能エネルギー発電等事業」および「開発・運営事業」を展開しています。

(1) 再生可能エネルギー発電等事業


太陽光、バイオマス、陸上風力、地熱などの再生可能エネルギー発電所および系統用蓄電所を開発し、長期にわたり所有・運営する事業です。FIT制度やFIP制度を活用した電力供給に加え、コーポレートPPAを通じて企業等の電力需要家へ直接電力を供給する取り組みも進めています。

収益は、電力需要家や一般送配電事業者等への売電や環境価値の販売、蓄電所を通じた調整力や容量確保価値の提供に対する対価から得ています。運営は、水郷潮来ソーラーや富津ソーラー、複数のバイオマス発電事業会社など、多数の連結子会社および持分法適用会社が担っています。

(2) 開発・運営事業


新しい再生可能エネルギー発電所や蓄電所等の企画・開発および建設管理を行い、運転開始後も保守や運営管理を継続的に行う事業です。事業候補地の開拓に始まり、資金調達、許認可取得、地域との合意形成、エンジニアリングなどの上流領域を自社内で一貫して手がけています。

発電所や蓄電所を所有するSPCの運営管理に対する報酬や、同社が主導して行う開発が成功した際に受け取る事業開発報酬などを主な収益源としています。本事業は主にレノバ本体や、子会社のレノバ・アセット・マネジメント、および海外における事業開発拠点が推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は直近5年間において概ね拡大傾向を維持しており、とくに直近2期で大幅な増収を実現しています。利益面では、開発報酬の有無等によって年度ごとの変動が見られるものの、長期的には着実な黒字基調を維持しており、発電事業からの安定収益と開発事業の成長が同社の業績を支える両輪となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 292億円 336億円 447億円 702億円 876億円
税引前利益 50億円 48億円 119億円 39億円 59億円
利益率(%) 17.2% 14.4% 26.5% 5.6% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 27億円 89億円 27億円 33億円

(2) 損益計算書


売上収益は複数の新規バイオマス発電所の稼働開始などにより大幅に伸長しました。売上総利益は微減となったものの、事業開発報酬の減少影響等を吸収しつつ、既存発電所からの売電収入の増加や企業結合に伴う再測定による利益の計上などにより、営業利益は大きく改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 702億円 876億円
売上総利益 59億円 56億円
売上総利益率(%) 8.4% 6.4%
営業利益 41億円 83億円
営業利益率(%) 5.8% 9.5%


販売費及び一般管理費のうち、業務委託費が19億円(構成比28%)、給料及び手当が18億円(同27%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の再生可能エネルギー発電等事業は、複数の大型バイオマス発電所の運転開始と連結化、および小規模・分散型太陽光発電の売電収入増加により大幅な増収を牽引しています。一方、開発・運営事業は、運営管理報酬などが増加したものの、事業開発報酬が減少した影響により微減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
再生可能エネルギー発電等事業 683億円 864億円
開発・運営事業 61億円 56億円
調整額 -41億円 -44億円
連結(合計) 702億円 876億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 315億円 283億円
投資CF -165億円 -117億円
財務CF -83億円 -174億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「グリーンかつ自立可能なエネルギー・システムを構築し枢要な社会的課題を解決する」をミッション(経営理念)とし、「日本とアジアにおけるエネルギー変革のリーディング・カンパニーとなること」をビジョンに掲げています。地域社会や自然環境との共生を重視し、持続可能なエネルギーの普及拡大を目指しています。

(2) 企業文化


「地球」「地域」「顧客」「株主」「社員」という5つの主要ステークホルダーに対するコミットメント(経営原則)を定めています。特に「地域の恵みである自然エネルギーを使わせていただいている」という視点を大切にし、地域関係者との長期的な共生・共創関係の構築を最も重視する文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画2030」において、太陽光、蓄電池、陸上風力の3事業を注力領域と位置づけています。中期的な通過点として、2030年度に以下の目標を掲げています。

* 運転中・建設中の合計設備容量:5.0GW
* EBITDA:600億円
* 累計GHG削減量:2,000万トン

(4) 成長戦略と重点施策


太陽光や陸上風力などマルチ電源の集中的な開発を進めつつ、コーポレートPPAによる直接電力販売も促進しています。さらに、系統用蓄電池などのGX(グリーン・トランスフォーメーション)事業を拡大し、アジアを中心とした海外事業展開や、オペレーションの最重要機能の内製化により収益性の向上と安定稼働の実現を図っていく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「あらゆる障壁がない・障壁をつくらない」職場環境の整備を目標に、多様な人材を平等に採用・評価・登用する方針を掲げています。即戦力人材に加え、成長ポテンシャルの高い人材も積極的に採用して社内育成を図り、一人ひとりの能力・成果に応じた「役割等級制度」「評価制度」「報酬制度」に基づき、メリハリのある処遇を実現しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.1歳 4.6年 10,862,278円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.7%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規労働者) -
男女賃金差異(非正規労働者) -


※同社は従業員規模が300人以下のため、有報には本稿の記載がありません。

また、同社は「人的資本」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者比率(90.1%)、女性比率(24.1%)、外国人比率(9.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) エネルギー関連法令規制や政策動向の変化

再生可能エネルギーの導入を後押しする政策が各国の潮流となっていますが、FIT制度やFIP制度、長期脱炭素電源オークションなどの支援制度の見直しや、大規模太陽光発電等に対する規制強化が進む可能性があります。これらの制度変更や出力制御ルールの見直し等に適切に対応できない場合、事業計画に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 各種電源特有の天候・調達・市場変動リスク

太陽光や風力は天候・日射量等の自然条件に発電量が左右されます。また、バイオマス発電では燃料の大部分を輸入材に依存しており、燃料価格や為替の変動、調達の遅延が収益を圧迫するリスクがあります。市場販売型の蓄電事業においても、需給調整市場等での取引価格変動やシステム不具合等により想定収益を確保できない可能性があります。

(3) 発電所・蓄電所の開発プロセスに係る長期化リスク

新規の開発プロジェクトでは、適切な土地の取得や、行政からの許認可取得、地域住民および環境団体との合意形成が不可欠です。加えて、電力系統への接続確保や、環境アセスメントでの想定外の課題発生、さらには資材やサービスの供給不足が生じた場合、開発の遅延や中止を余儀なくされるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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