※本記事は、プレミアグループ株式会社の有価証券報告書(第11期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. プレミアグループってどんな会社?
独立系の強みを活かし、自動車の購入から整備、アフターサポートまで複合的な金融・保証サービスを展開しています。
■(1) 会社概要
2015年に設立後、ファイナンス事業を手掛けるプレミア(旧ジー・ワンクレジットサービス)の株式を取得し完全子会社化しました。2017年に東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしています。国内での自動車販売金融や故障保証で培ったノウハウを活かし、タイやフィリピンなど東南アジアへも事業を拡大しています。
従業員数は連結で899名、単体で128名です。筆頭株主および第2位株主は資産管理業務等を行う信託銀行で、第3位株主には業務提携を通じ中古車修理保証制度等を共同展開している事業会社であるリクルートが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.03% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 8.64% |
| リクルート | 4.63% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は柴田洋一氏が務めており、社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柴田 洋一 | 代表取締役社長 CEO グループ成長戦略本部長 | 1982年佐藤商事入社。大信販等を経て、2007年ジー・ワンクレジットサービス(現プレミア)社長に就任。2016年より同社代表取締役社長。2026年2月より現職。 |
| 土屋 佳之 | 取締役 | 1994年学研クレジット入社。2007年プレミア入社。2016年に同社執行役員、2017年に同社取締役に就任し、2026年4月プレミア代表取締役社長執行役員COOより現職。 |
| 金澤 友洋 | 取締役 執行役員 CFO 財務経理本部長 財務部長 | 1999年佐藤公認会計士事務所入所。ガリバーインターナショナル等を経て2011年プレミア入社。2016年同社執行役員、2021年取締役に就任し、2026年2月より現職。 |
社外取締役は、中川二博(元リクルートカーセンサー代表取締役社長)、堀越友香(弁護士)、大嶋裕美(元パナソニックコネクト戦略企画本部長・IHI常務執行役員財務部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ファイナンス事業」「故障保証事業」「オートモビリティサービス事業」を展開しています。
■ファイナンス事業
新車・中古車を対象とするオートクレジットやエコロジークレジットなど、顧客が商品を購入する際に分割払いを選択できるクレジットサービスを提供しています。審査を行ったうえで加盟店へ立替払いを行う「立替払方式」と、提携金融機関が融資を行い同社が保証を担う「提携ローン方式」があります。
顧客からの分割払手数料や、提携ローン方式において最終的な同社の収益となる信用保証料が主な収益源です。運営は主にプレミアが行っており、顧客の信用審査や加盟店への代金送金、月々のクレジット代金の回収業務などを担っています。
■故障保証事業
提携先を通じて自動車を購入する顧客に対し、故障発生時に所定の範囲内で無償修理を提供する保証サービスを展開しています。自社ブランドである「プレミアの故障保証」や、有料会員組織向けの「カープレミア故障保証」、リクルートと提携したOEM商品などを提供しています。
提携先を通じて顧客から受領する故障保証代金が主な収益源です。運営は主にプレミアワランティサービスが担っており、保証書の発行から故障時の受付コールセンター業務、自動車整備工場への入庫誘導や修理代金の支払いまでを一貫して行っています。
■オートモビリティサービス事業
ファイナンス事業で引き揚げた車両の卸販売や、自動車整備工場向けの業務用ソフトウェアの販売、中古部品等を取り扱うリサイクルビジネスを手掛けています。また、自動車販売店や整備工場のネットワークを組織化した「カープレミアクラブ」を運営し、多彩な会員限定サービスを提供しています。
モビリティ事業者からのサービス利用料や、有料会員組織を通じた会費収入、ソフトウェアや車両・部品の販売代金が収益源です。運営はプレミアモビリティサービスやカープレミアをはじめとする同社グループ会社が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間において、売上収益および税引前利益ともに継続的な成長を遂げており、堅調な増収増益トレンドを維持しています。事業規模が拡大する中でも、おおむね20%前後の高い利益率を確保し続けており、安定した高収益体質が伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 208.9億円 | 254.7億円 | 315.5億円 | 364.1億円 | 440.4億円 |
| 税引前利益 | 40.2億円 | 53.4億円 | 62.4億円 | 68.5億円 | 86.2億円 |
| 利益率(%) | 19.2% | 21.0% | 19.8% | 18.8% | 19.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 29.4億円 | 39.9億円 | 46.1億円 | 46.5億円 | 60.7億円 |
■(2) 損益計算書
営業収益は約21%増加し、営業利益も順調に拡大しています。各事業の伸長に加え、故障保証事業における原価低減施策や、DX推進による業務プロセスのシステム化などの経費削減施策が奏功し、営業利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 364.1億円 | 440.4億円 |
| 売上総利益 | - | - |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 68.2億円 | 84.0億円 |
| 営業利益率(%) | 18.7% | 19.1% |
営業費用(356.4億円)のうち、従業員給付費用が74.0億円(構成比21%)、支払保証料が47.6億円(同13%)、故障保証原価が44.9億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全セグメントにおいて増収増益を達成しています。特にファイナンス事業はクレジット取扱高の堅調な推移により収益を牽引し、オートモビリティサービス事業は有料会員サービスの深化により利益が倍増するなど、成長の柱として大きく貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ファイナンス事業 | 201.5億円 | 248.0億円 | 45.7億円 | 47.4億円 | 19.1% |
| 故障保証事業 | 69.9億円 | 80.1億円 | 11.2億円 | 13.3億円 | 16.7% |
| オートモビリティサービス事業 | 92.5億円 | 110.7億円 | 11.7億円 | 22.4億円 | 20.3% |
| 調整額 | -0.5億円 | 0.9億円 | -0.5億円 | 0.9億円 | - |
| 連結(合計) | 364.1億円 | 440.4億円 | 68.2億円 | 84.0億円 | 19.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続しています。なお、同社は金融関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に金融保証契約の減少や金融債権の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -77.6億円 | -212.8億円 |
| 投資CF | -24.6億円 | -19.3億円 |
| 財務CF | 62.2億円 | 321.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「世界中の人々に最高のファイナンスとサービスを提供し、豊かな社会を築き上げることに貢献します」「常に前向きに、一生懸命プロセスを積み上げることのできる、心豊かな人財を育成します」というミッションを掲げています。事業を通じた社会貢献と、次代を担う人材育成の両立を経営の根幹に据えています。
■(2) 企業文化
「強い」「明るい」「優しい」という全役職員共通の行動規範である「VALUE」を掲げています。この概念に基づいた研修を継続的に実施することで、「高みを目指す」「最後まで諦めない」「既成概念の打破」といった組織風土を醸成し、従業員が自発的に行動できる環境づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
2030年3月期を最終年度とする中期経営計画「Change & Prove 2030」を策定し、金融企業から「プラットフォーム企業」への変革を基本方針としています。金利に左右されない「会費」と「故障保証」を核とした高収益モデルへ構造変革し、以下の目標達成を目指しています。
* 営業収益:840億円
* 税引前利益:210億円
* 当期利益:140億円
■(4) 成長戦略と重点施策
中小モビリティ事業者の経営インフラとなる「オートモビリティエコシステム」の完成を目指します。カープレミアクラブの会員組織の強化と多角的なPR投資を通じて独自の経済圏へユーザーを取り込むとともに、AI活用を前提としたシステム開発により競争力の最大化と付加価値の高いサービス提供に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人財」を最大の財産と位置づけ、バリューに賛同する人材の獲得と適材適所な配置を進めています。新卒・キャリア採用に加え、グローバル・DX等の専門人材の確保を強化しています。また、独自の研修体系や自己申告制度を通じて個々のキャリア形成を支援し、多様な従業員がパフォーマンスを最大化できる環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 36.7歳 | 7.9年 | 8,020,992円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 35.1% |
| 男性育児休業取得率 | 80.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 80.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 89.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 42.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(6.6%)、一人あたりの研修費用(76,118円)、有給休暇取得率(77.2%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 割賦販売法等の法的規制対応
同社グループの事業は「割賦販売法」に基づく個別信用購入あっせん業者の登録や、「古物営業法」「道路運送車両法」等の各種規制を受けています。将来において法律や実務慣行の変更が生じた場合や、許認可の取り消し・更新拒絶等が発生した際には、事業運営の継続や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 大規模システム障害と情報漏洩リスク
クレジット審査や債権管理等において、大量の個人信用情報を取り扱っています。サイバー攻撃や自然災害等によるシステム停止、通信ネットワークの切断が発生した場合、あるいは個人情報の漏洩や不正利用が生じた場合には、社会的信用の失墜や損害賠償責任の発生を通じて経営成績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 資金調達環境の悪化と金利変動リスク
事業拡大に伴い、銀行借入や金融債権の流動化等による資金調達を行っています。金融市場の混乱や信用力の低下により新たな資金調達が制限されるリスクがあるほか、借入金の一部に変動金利を採用しているため、市場金利の上昇による調達コストの増加が収益性を圧迫する可能性があります。



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