プレミアグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレミアグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。中古車販売店向けのファイナンス事業、故障保証事業、およびオートモビリティサービス事業を展開しています。当連結会計年度の業績は、営業収益364億円(前期比15.4%増)、営業利益68億円(同10.0%増)と増収増益を達成しました。


#記事タイトル:プレミアグループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、プレミアグループ株式会社 の有価証券報告書(第10期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. プレミアグループってどんな会社?


中古車販売店向けにオートクレジットや故障保証、整備支援等のサービスを複合的に提供する独立系企業です。

(1) 会社概要


同社は2015年に設立され、同年6月にプレミアファイナンシャルサービス(現プレミア)を完全子会社化しました。2017年12月に東証二部へ上場し、2018年12月に東証一部へ変更、2022年4月にプライム市場へ移行しました。近年はASEAN諸国での故障保証事業やオートファイナンス事業の展開も進めています。

連結従業員数は814名、単体では121名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も同様に信託銀行です。第3位は米国に拠点を置く銀行の常任代理人である国内メガバンクです。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 15.90%
日本カストディ銀行(信託口) 15.43%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 8.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長 グループCEO兼COOは柴田 洋一氏です。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
柴田 洋一 代表取締役社長 佐藤商事、大信販(現アプラス)を経て、ガリバーインターナショナル(現IDOM)執行役員等を歴任。2016年より同社代表取締役社長。2024年よりグループCEO兼COO。
金澤 友洋 取締役 公認会計士事務所、ガリバーインターナショナル等を経て、2014年SBIクレジット執行役員。2024年同社取締役常務執行役員グループCFO就任。2025年4月より現職。
大貫 徹 取締役 アコム等を経て、2014年プレミアファイナンシャルサービス執行役員。2024年同社常務執行役員グループCDO兼CIO就任。2025年4月より現職。


社外取締役は、中川 二博(元リクルートカーセンサー社長)、堀越 友香(弁護士)、大嶋 裕美(IHI執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ファイナンス事業」、「故障保証事業」、「オートモビリティサービス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ファイナンス事業


主に中古車販売店等の加盟店を通じて、新車・中古車購入時のオートクレジットや、太陽光発電システム等を対象とするエコロジークレジットを提供しています。また、タイにおいて関連会社を通じたオートファイナンス事業も展開しています。

収益は、加盟店への立替払方式における分割払手数料から販売促進費等を控除した金額や、提携ローン方式における信用保証料等からなります。運営は主にプレミアが行い、海外事業は持分法適用関連会社等が担っています。

(2) 故障保証事業


自動車購入時に保証料を支払うことで、故障発生時に無償で修理が受けられるサービスを提供しています。自社ブランド商品や「カーセンサーアフター保証」等のOEM商品があり、ASEAN諸国でも展開しています。

収益は、提携先を通じて受領した故障保証代金を保証期間にわたり按分して計上する故障保証収益等です。運営は主にプレミアワランティサービスが行い、海外では現地合弁会社等が展開しています。

(3) オートモビリティサービス事業


自動車流通に関連する多様なサービスを提供しています。具体的には、引揚車両のリユース(卸販売)、整備工場向け業務ソフトウェア「GATCH」の販売、オートリース、リサイクルパーツの流通、および会員組織「カープレミアクラブ」の運営などを行っています。

収益は、車両や部品の販売代金、ソフトウェア販売代金、リース料、会員組織の会費収入等からなります。運営は、プレミアモビリティサービス、カープレミア、PLS、PAS、プレミアソフトプランナー、プレミアオートパーツ等が各事業を担当しています。

(4) その他


報告セグメントに含まれない事業として、グループ内のシステム開発や保守・運用等を行うシステム事業が含まれていました。なお、同事業を担っていたプレミアシステムサービスは2025年2月に清算結了しています。

収益は、システム開発や保守・運用に係る対価等が該当します。運営は主にプレミアシステムサービスが行っていました。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間において、売上収益は毎期順調に増加し、直近では364億円に達しています。利益面でも、税引前利益および当期利益ともに増加傾向にあり、増収増益基調を維持しています。特に売上収益の成長が著しく、事業規模の拡大が続いています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 179億円 209億円 255億円 315億円 364億円
税引前利益 35億円 40億円 53億円 62億円 69億円
利益率(%) 19.3% 19.2% 21.0% 19.8% 18.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 24億円 29億円 40億円 46億円 47億円

(2) 損益計算書


売上収益は前期比で約15%増加し、事業の拡大が継続しています。営業利益も増加していますが、営業利益率は若干低下しました。これは事業拡大に伴う費用の増加などが影響していると考えられます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 315億円 364億円
売上総利益 - -
売上総利益率(%) -% -%
営業利益 62億円 68億円
営業利益率(%) 19.6% 18.7%


営業費用(296億円)のうち、従業員給付費用が66億円(構成比22%)、支払保証料が39億円(同13%)、故障保証原価が38億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで売上収益が増加しました。特にファイナンス事業は売上規模が大きく、全体を牽引しています。利益面では、ファイナンス事業は前期比で微減となりましたが、故障保証事業とオートモビリティサービス事業は大幅な増益となり、収益源の多角化が進んでいます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ファイナンス事業 178億円 202億円 47億円 46億円 22.7%
故障保証事業 60億円 70億円 8億円 11億円 16.1%
オートモビリティサービス事業 77億円 93億円 8億円 12億円 12.7%
その他 0.1億円 0.2億円 0.6億円 0.5億円 306.7%
調整額 - - -0.9億円 -1.0億円 -%
連結(合計) 315億円 364億円 62億円 68億円 18.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主にその他の資産(立替金等)の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 25億円 -78億円
投資CF -31億円 -25億円
財務CF 69億円 62億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率(連結)は10.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「世界中の人々に最高のファイナンスとサービスを提供し、豊かな社会を築き上げることに貢献します」「常に前向きに、一生懸命プロセスを積み上げることのできる、心豊かな人財を育成します」というミッションを掲げ、2030年までに「ONE&ONLYのオートモビリティ企業」となることを目指しています。

(2) 企業文化


全役職員が共有する価値観として「バリュー」を定めており、「強い」「明るい」「優しい」というキーワードを掲げています。「高みを目指す」「最後まで諦めない」「既成概念の打破」といった組織風土の醸成に努め、バリューに基づいた研修を継続的に実施することで、全従業員がその役割を体現できる環境作りを行っています。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期までの中期経営計画「ONE&ONLY 2026」において、カープレミア事業モデルの確立等を基本方針に掲げています。
* 営業利益:420億円
* 税引前利益:90億円
* 親会社の所有者に帰属する当期利益:61億円
(※2025年5月修正後の2026年3月期目標値)

(4) 成長戦略と重点施策


「ONE&ONLYのオートモビリティ企業」を目指し、カープレミアクラブ(会員組織)を中心とした中古車領域経済圏の構築を推進しています。ファイナンス事業ではオートクレジット取扱高の伸長や海外展開、故障保証事業では自社商品の拡販や整備入庫誘導による原価低減、DX推進による業務効率化等に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「心豊かな人財を育成する」というミッションのもと、バリュー(「強い」「明るい」「優しい」)に共感する人材を採用し、OJTや階層別研修を通じて育成しています。ダイバーシティ推進や従業員のWell-being向上にも注力し、女性活躍や男性育休取得の奨励、外国籍人材の採用など、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.2歳 6.8年 7,571,392円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 79.5%
男女賃金差異(正規雇用) 88.4%
男女賃金差異(非正規) 58.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(7.8%)、外国人従業員比率(11.5%)、有給休暇取得率(74.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変化による影響


主力事業であるファイナンス事業や故障保証事業等は、景気動向や雇用情勢、税制改正等の影響を受けやすい性質があります。個人消費が減退した場合、クレジットや故障保証の取扱高減少、債権回収への悪影響等が生じ、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 大規模災害等の発生


大規模災害や感染症の拡大等が発生した場合、事業継続計画(BCP)等の対策を講じていますが、想定を超える事態が生じた際には、事業運営に支障をきたし、経営成績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(3) システムリスクおよびサイバー攻撃


事業運営においてコンピュータシステムや通信ネットワークを多用しており、個人情報等の重要情報を扱っています。自然災害、事故、サイバー攻撃等によるシステム障害や情報漏洩が発生した場合、業務停止や信用の毀損を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。

(4) 法的規制および許認可


事業遂行にあたり「割賦販売法」「古物営業法」等の規制を受け、許認可の取得が必要です。法令違反等により許認可の取消しや更新不許可となった場合、または法改正により規制が強化された場合には、事業活動が制限され、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。