※本記事は、プロパティデータバンク株式会社の有価証券報告書(第26期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. プロパティデータバンクってどんな会社?
不動産・施設管理のクラウドサービスを主力とし、業務効率化と資産価値向上を支援しています。
■(1) 会社概要
同社は2000年に設立され、不動産クラウド「@property」の提供を開始しました。2018年の上場を経て、近年はM&A等により事業領域を拡大しています。直近ではプロパティデータテクノス、プロパティデータサイエンス、ソフトウエア開発を手掛けるリーボなどを完全子会社化し、体制を強化しています。
現在の体制は、連結従業員数が76名、単体では45名となっています。筆頭株主はその他の関係会社である清水建設で発行済株式の27.26%を保有し、第2位は創業者の板谷敏正氏、第3位は投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 清水建設 | 27.26% |
| 板谷 敏正 | 10.74% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 | 7.39% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長は板谷敏正氏、代表取締役社長は武野貞久氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 板谷 敏正 | 取締役会長(代表取締役) | 1989年清水建設入社。2000年同社設立、代表取締役社長。芝浦工業大学客員教授等を経て、2022年より現職。 |
| 武野 貞久 | 取締役社長(代表取締役) | 1992年清水建設入社。2003年同社入社。営業本部長、取締役副社長等を経て、2022年より現職。 |
| 大田 武 | 常務取締役 | 1993年さくら銀行入行。2006年同社入社。企画管理本部長、営業本部長等を経て、2019年より現職。 |
| 堀之内 はる代 | 取締役 | 1990年日本興業銀行入行。2003年同社入社。ソリューション事業本部長等を経て、2019年より現職。 |
社外取締役は、窪田達史(清水建設グループ経営戦略室事業管理部長)、山口弘信(元みずほリース常務執行役員)、鏑木耕三(元オリックス証券取締役専務執行役員)、小田島労(元NTTデータ経営研究所取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「@property」事業の単一セグメントで事業を展開しています。単一セグメントのため、提供サービスごとに解説します。
■(1) クラウドサービス
不動産・施設の運用管理を支援する統合資産ERP「@property」をはじめ、「PDB-Platform」上で展開される各クラウドサービスの提供、保守メンテナンス、ユーザーサポートなどを行っています。不動産ファンドや一般事業会社、公共事業者などが主な顧客です。
登録建物データ数に応じた従量課金による月額利用料および保守サービス料を顧客から受け取るストック型の収益モデルです。事業の運営はプロパティデータバンクが中心となって行っています。
■(2) ソリューションサービス
クラウドサービスを導入済み、または導入予定の顧客に対する初期コンサルティング、データ登録代行、教育・講習会、システム連携などのオプション追加やカスタマイズ開発などを提供しています。
顧客の個別のニーズに応じたシステムの導入支援や開発受託に対する対価として、フロー型の収益を受け取るモデルです。本事業も主にプロパティデータバンクが運営を担っています。
■(3) その他事業
不動産関連文書のデジタル化やBPOサービス、AI技術を用いた募集賃料算定などのデータサイエンスサービス、商業店舗売上予測クラウドサービス、Webアプリケーションの受託開発などを提供しています。
各サービスに対する利用料や業務受託料を受け取るモデルです。プロパティデータテクノス、プロパティデータサイエンス、リーボの各子会社がそれぞれの専門領域で運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の業績を見ると、売上高は一時的な増減はあったものの、全体として拡大傾向にあります。特に直近2期は連続して増収増益を達成しており、経常利益率も30%台へと改善するなど、収益力の高さが伺えます。
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 28億円 | 25億円 | 33億円 | 37億円 |
| 経常利益 | 8億円 | 4億円 | 9億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 29.1% | 17.4% | 28.3% | 30.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 3億円 | 7億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益・営業利益ともに順調に拡大しています。売上総利益率は約60%という高い水準を維持しており、営業利益率も約30%と、高収益なビジネスモデルであることが確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 33億円 | 37億円 |
| 売上総利益 | 20億円 | 22億円 |
| 売上総利益率(%) | 59.7% | 60.0% |
| 営業利益 | 9億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 28.2% | 29.9% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が1.7億円(構成比15%)、給料及び手当が1.6億円(同15%)、支払手数料が1.5億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメントは単一ですが、サービス区分別の売上を見ると、ストック型収益であるクラウドサービスが着実に伸長し、全体の過半を占めています。フロー型収益のソリューションサービスやその他サービスも順調に売上を伸ばしています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| クラウドサービス | 18億円 | 20億円 |
| ソリューションサービス | 11億円 | 12億円 |
| その他 | 4億円 | 5億円 |
| 連結(合計) | 33億円 | 37億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.4%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社はミッションとして「新しい知識社会の創造」を掲げています。単なるデータの処理・管理といった領域を超え、提供するサービスを知識社会における最も優れたものへと進化させることを目指しています。また、ビジョンには「知識の集約により顧客の業務に革命を 顧客の資産に価値向上を」を据え、業務の飛躍的な効率化と資産価値向上への貢献を使命としています。
■(2) 企業文化
同社は中長期的な経営戦略において「挑戦し、自らを変革する中長期志向の経営」を方針としています。めざましい進歩を遂げる情報技術の潮流の中で長期的に存続し成長するため、自らの技術や事業を研鑽し、変革し続けることを重視しています。そのために、中長期志向の人材育成やパートナー企業との連携強化といった挑戦的な経営基盤作りに取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は現在、2023年3月期から2027年3月期までの5カ年を対象とした中期経営計画を推進しています。グループの形成を通じた提供機能の拡充や新たな領域への進出により、不動産の一生涯を表す「不動産WHOLE LIFE」をフルカバーすることを目標としています。最終年度の目標数値は以下の通りです。
* 2027年3月期 売上高:75億円
* 2027年3月期 営業利益:17億円
■(4) 成長戦略と重点施策
成長戦略として、経営コンセプトに「原点継承×仕組革新」を掲げています。原点であるクラウドサービスの拡大を加速させるとともに、時代に合わせたサービスの変革を進めています。具体的な施策として、顧客の業務を根幹から支える「不動産DXプラットフォーム(PDB-Platform)」の開発や、提案型営業による案件の大型化を推進し、製造業や小売業など顧客層の拡大に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を企業価値向上の源泉となる重要な経営資本と位置づけ、継続的な採用活動とスペシャリストの育成を推進しています。2022年度より新人事制度を導入し、「職責」「専門性」「パフォーマンス」の3つの観点から従業員を処遇・支援しています。また、ジョブ型雇用人事制度の浸透や多様な契約形態の活用により、人材の多様性確保と組織全体の生産性向上に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.6歳 | 5.4年 | 7,762,677円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) パブリッククラウド市場の動向
同社の事業は国内パブリッククラウドサービス市場を基盤としています。経済情勢や景気動向によりIT投資の減退が生じ、クラウド市場の成長が鈍化した場合、新規受注が減少し、同社グループの事業拡大計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 主力サービスへの依存
同社グループの売上高の大部分は、主力サービスである「@property」に依存しています。競合サービスの参入等により競争環境が大幅に変化した場合や、顧客ニーズに応じた機能の改善が遅れた場合、解約による売上減少などの影響が生じるリスクがあります。
■(3) 情報管理と情報漏洩リスク
クラウドサービスの性質上、顧客情報などの重要な情報を扱っています。サイバー攻撃やヒューマンエラーによる情報漏洩、予期せぬシステム障害が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の低下を招き、事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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