※本記事は、Kudan株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
Kudanグループは、機械が現実空間を認識・理解し、自律的に判断・行動するための「空間知覚」技術を基盤として、デジタルツイン及びロボティクス向けのソフトウェア、ソリューション、関連ハードウェアパッケージを提供しています。AIが現実空間を理解する「機械の眼」となる空間知覚技術の研究開発と事業化を進めています。
単体従業員数は15名、連結従業員数は30名です。セグメントはAP事業の1つです。
当連結会計年度において、Kudanグループは「空間知覚プラットフォーム」へのコアSWの拡張を進め、デジタルツイン及びロボット向けに技術・事業領域を拡大しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
Kudanは、空間知覚技術という革新的な技術領域に取り組む企業であり、グローバルな環境で多様な人材が活躍できる働き方を推進しています。従業員の専門性や成果を重視した評価制度が給与に反映される仕組みとなっています。時間や場所にとらわれない柔軟な働き方も特徴の一つです。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、比較的若い年齢層の従業員が、短い勤続年数で活躍している傾向が見られます。これは、新しい技術領域で事業を展開する同社の特性を反映していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,347,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.2年 |
| 平均年齢 | 37.6歳 |
| 単体従業員数 | 15人 |
| 連結従業員数 | 30人 |
| 単体のグループ内比率 | 50.0% |
同社グループは確定拠出型の退職給付制度を採用しています。これは、会社が拠出した資金を従業員が運用し、将来の給付額が運用実績によって変動する制度です。
この制度は、同社の子会社であるKudan Limitedが所在国(英国)の年金法に基づき加入が義務付けられたものです。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
Kudanグループは、フィジカルAI時代の基盤技術となる空間知覚技術の研究開発と社会実装を推進するため、人材の確保と育成を経営上の最優先課題の一つと位置付けています。グローバル規模で採用活動を行い、日本、イギリス、ドイツ、アメリカの各拠点において、性別や国籍を問わず多様な人材の採用を進めています。
従業員の能力向上には、顧客やパートナーとの共同での事業開発・研究開発を含む複数案件の経験を通じた専門知識の継続的な向上を図っています。給与の額は、社内における評価制度に則り、役職または役割、専門性及び実現した成果を総合的に評価して決定される仕組みです。また、多様なグローバル人材が意欲を持って活躍できるよう、フルリモートワークやフレックス制度を導入し、働きやすい職場環境の整備に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象でないため、記載を省略しています。提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
Kudanは、機械が現実空間を認識・理解し、自律的に判断・行動するために必要な「空間知覚」技術を基盤として、デジタルツインやロボティクス向けのソフトウェア、ソリューション、関連ハードウェアパッケージを提供する企業です。AIが現実空間を理解するための「機械の眼」に相当する技術の研究開発と事業化を進めています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、空間知覚技術を中核に、デジタルツイン及びロボティクス領域で事業を展開しています。カメラやLidarなどのセンサーから得られるデータを処理し、機械が自己位置や周辺環境を認識・理解するためのソフトウェア技術を提供しています。これにより、現実空間をデジタル空間に複製するデジタルツインと、ロボットが現実空間を知覚して行動する自律制御の両方を支援しています。
収益は、SLAM(自己位置推定と地図作成を同時に行う技術)を中核としたSWアルゴリズムのライセンス提供、業務用途向けのSWソリューション、そしてソフトウェア利用を補完するHWパッケージの販売から得ています。特に当連結会計年度においては、ハードウェア販売が収益の大きな部分を占めています。
同社グループは、AP事業を主要な事業としており、他の事業セグメントは重要性が乏しいため、単一セグメントとして事業活動を行っています。対象市場は建設・土木、設備管理、インフラ、製造、物流、災害対応、スマートシティ、自動運転など、幅広い産業にわたります。また、フィジカルAIの発展に不可欠な現実空間データの取得、3D化、意味付け、シミュレーション活用、ロボット行動データとの連携といったデータ技術にも取り組んでいます。
地域別の売上高を見ると、当連結会計年度は日本が大部分を占めていますが、その他地域からの売上も存在します。また、為替レートの変動による為替差益が発生しており、海外事業における為替リスクがあることが示されています。主要な顧客として、株式会社神戸清光、株式会社アクティブリテック、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構など、特定の顧客への収益集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあり、特に当連結会計年度は前期から大きく伸長しました。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、継続して損失を計上しています。しかし、当連結会計年度においては、販売費及び一般管理費の削減施策や為替差益の発生などにより、損失額は前期から大幅に減少しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは継続して支出となっていますが、その支出額は前期から減少しています。同社グループは、研究開発費を含む人件費関連コストが運転資金の大部分を占めると説明しており、少数の従業員で事業展開を行っているため、必要となる運転資金の水準は相対的に低い傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2.7億円 | 3.3億円 | 4.9億円 | 5.2億円 | 12.0億円 |
| 経常利益 | △6.8億円 | △3.9億円 | △50百万円 | △7.4億円 | △1.7億円 |
| 経常利益率 | △250.5% | △118.6% | △10.3% | △143.6% | △14.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △22.4億円 | △4.1億円 | △70百万円 | △8.0億円 | △1.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △283.74 | △49.30 | △7.88 | △72.85 | △16.68 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して大きく増加しています。これは、売上高の大幅な伸長と、当連結会計年度における組織最適化による従業員数の減少が影響していると考えられます。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期と同水準の損失を示しており、引き続き収益性の改善が課題となっています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 12.6百万円 | 39.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △19.5百万円 | △19.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、空間知覚技術の研究開発とソリューション展開を進める中で、事業拡大のための投資を継続しており、現時点では資金の流出が先行する成長投資フェーズにあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期からやや減少したものの、依然として高い水準を維持しています。これは、非製造業のプライム市場平均と比較しても高い水準にあり、財務の健全性を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっており、収益性の改善が今後の課題であると考えられます。手元資金である現金及び預金は前期から減少していますが、依然として一定の厚みがあり、不測の事態への耐性があることがうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 31.3億円 | 26.4億円 |
| 自己資本比率 | 91.7% | 88.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △6.5% |
| 現金及び預金 | 25.9億円 | 19.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純損失や売上債権及び契約資産の増加などにより、当期も支出となりました。しかし、前期と比較すると支出額は減少しています。投資活動によるキャッシュフローも有形固定資産の取得による支出があり、当期も支出となっていますが、前期に比べて大幅に減少しました。財務活動によるキャッシュフローは、株式の発行による収入があり、当期は収入となっています。これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは当期も支出となっており、現時点では本業で生み出す資金で投資を賄いきれていない状況が示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △8.2億円 | △6.3億円 |
| 投資CF | △1.6億円 | △14百万円 |
| 財務CF | 18.5億円 | 18百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △9.8億円 | △6.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、技術革新の速度が著しい情報通信業に属しており、代替技術の急激な進歩や競合技術の出現により、技術優位性が維持できない可能性があります。また、空間知覚関連事業の収益化は顧客の研究開発計画や製品化計画に影響を受けるため、想定通りに進展しない場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループが継続的に成長していくためには、柔軟かつグローバルに対応できる優秀な人材の獲得と育成が重要な要素とされています。これらの要員を十分に採用できない場合や、採用後の育成が十分に進まなかった場合には、同社グループの成長を阻害する要因となる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Kudanは、「全ての機械に眼を与える」というビジョンを掲げ、空間知覚技術の研究開発を通じて産業界に新たなイノベーションを起こすことを目指す技術集団です。同社グループは、フィジカルAI時代における空間知覚技術の中核企業として、事業拡大を推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
Kudanグループは、「Eyes to the all machines」(全ての機械に眼を与える)をコーポレートビジョンとして掲げています。空間知覚に関する研究開発と先端技術企業への研究成果の提供を生業とする技術集団であり、継続的な研究開発を通じて産業界に新たなイノベーションを起こすことを目標としています。
研究開発や事業展開においては、常に他社と比較できない唯一の存在となることを目指し、事業と研究開発の発展、そして株主利益の拡大を図っています。今後は、フィジカルAI時代における空間知覚技術の中核企業として、事業拡大を目指す方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
Kudanグループは、競争力の源泉を「人材」と捉え、経営上の最優先課題の一つとして人材の確保及び育成を行っています。グローバル規模で採用活動を行い、日本、イギリス、ドイツ、アメリカの各拠点において、性別や国籍を問わず多様な人材の採用を推進しています。
また、顧客・パートナーとの共同での事業開発・研究開発を含む複数案件の経験を通し、各従業員の能力・専門知識の継続的な向上を図っています。中長期的な企業価値向上のため、性別や年齢、国籍などに関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を推進しています。具体的には、フルリモートワーク・フレックス制度を採用し、働きやすい職場環境の整備に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
Kudanグループは、優先的に対処すべき課題として、開発体制の強化を挙げています。基盤技術及びソフトウェアの開発に不可欠な、卓越した能力と専門分野を超えた応用力をもつ人材の確保と育成に努めています。
また、フィジカルAI向け事業エコシステムの構築も重要なテーマです。空間知覚プラットフォームを発展させ、同社技術の社会実装及び収益化を加速するための事業エコシステムを構築していくことが必要不可欠であると考えています。さらに、2014年11月設立の成長段階にある会社として、内部管理体制の強化も重要な課題と認識し、業務の適正性、財務報告の信頼性確保、及び法令遵守の徹底を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は取締役会設置会社であり、かつ監査等委員会設置会社です。代表取締役直轄の内部監査を実施することで、経営に対する監督の強化を図っています。経営戦略の迅速な実行と、経営の健全性、透明性、客観性の確保を両立する企業統治体制を採用しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの筆頭株主は個人株主であり、上位には海外の機関投資家や事業会社が名を連ねています。特定の株主が比較的高い持株比率を占める資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大野 智弘 | 29.33% |
| UNION BANCAIRE PRIVEE | 6.97% |
| ヘルシア | 2.27% |
| BOFAS INC SEGREGATION ACCOUNT | 1.80% |
| 上田八木短資 | 1.68% |
「UNION BANCAIRE PRIVEE」、「BOFAS INC SEGREGATION ACCOUNT」、「BANK JULIUS BAER AND CO. LTD. SINGAPORE CLIENTS」には海外居住者の所有する同社株式が含まれています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役CEOは項大雨氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大野 智弘 | 代表取締役 | 1993年アンダーセン・コンサルティング東京事務所入社、2011年Kudan Limited設立代表取締役、2014年同社設立取締役、2014年同社代表取締役より現職。 |
| 項 大雨 | 代表取締役CEO | 2009年トヨタ自動車入社、2014年マッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社入社、2016年同社入社、2020年同社代表取締役CEOより現職。 |
| 郝 天 | 取締役COO | 2010年日本エリクソン入社、2021年同社入社、2023年同社取締役COOより現職。 |
| 浅野 礼子 | 取締役 | 2005年NTTドコモ入社、2024年同社入社、2026年同社取締役より現職。 |
社外取締役は、美澤臣一氏(コ・クリエーションパートナーズ代表取締役・監査等委員)、小栗久典氏(弁護士法人内田・鮫島法律事務所パートナー・監査等委員)、三井田隆氏(三井田公認会計士事務所代表・監査等委員)です。
同社は取締役会設置会社であり、かつ監査等委員会設置会社です。社外取締役は、専門的知識と経験に基づき、客観的かつ中立的な立場から経営の監督・監視を行う役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、固定の基本報酬(金銭報酬)のみで構成されており、業績連動報酬や退職慰労金は設定されていません。報酬額は株主総会で決議された限度額の範囲内で、会社全体の業績や個々人の貢献度を考慮して決定される方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 47百万円 | 11.7百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 15百万円 | 3.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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