※本記事は、SANEI株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
SANEIは、給水栓・給排水金具・継手および配管部材の製造・販売を主な事業内容とする水栓金具専門メーカーです。デザイン性の高い水栓をインテリアの一部として提案し、住宅・非住宅分野への製品拡充やエレクトロニクスとの融合による高付加価値製品の開発にも注力しています。
単体従業員数は630名、連結従業員数は827名です。セグメントは水栓金具事業の1つです。
主な国内グループ会社は、アクアエンジニアリング(水栓金具事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
SANEIは水まわり製品を扱う企業として、人々の暮らしに欠かせないインフラを支えています。同社グループでは、安定した事業基盤のもと、従業員の長期的なキャリア形成と働きがいを重視する姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を重視する傾向があり、平均勤続年数から長期的に働く社員が多いことがうかがえます。年齢構成もバランスが取れており、幅広い世代の社員が活躍している環境です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,618,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.5年 |
| 平均年齢 | 40.7歳 |
| 単体従業員数 | 630人 |
| 連結従業員数 | 827人 |
| 単体のグループ内比率 | 76.2% |
同社および国内連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付制度として退職一時金制度を採用しています。また、一部の国内連結子会社は確定拠出制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
当社の退職一時金制度では、主として、退職給付として従業員の資格に応じて付与されるポイントの累計額に基づいた一時金を支給しています。退職給付債務は11.7億円、確定拠出制度への要拠出額は10百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、継続的な成長のために優秀な人材の確保と従業員一人ひとりの持続的な成長が重要であると考えています。これを実現するため、役割、職責、成果および能力等を踏まえた、公平かつ納得感のある評価および処遇制度と働き方の多様化促進を基本方針としています。
従業員の給与その他の給付の額及び内容については、役割等級制度に基づき設定されており、従業員の役割や期待される成果に応じた処遇が行われています。賞与については、等級および賞与算定期間における人事考課結果等を総合的に勘案して決定されており、従業員の成果発揮およびモチベーション向上につながる制度運用に努めています。
採用においては、定期的な新卒採用に加えて中途採用も積極的に実施し、人材の確保に努めています。また、eラーニングの導入や外部資格の取得に対する奨励金の支給などにより、社員の継続的な成長に取り組んでいます。同社の持続的発展の実現に向けて女性の力をより一層生かすため、2020年には「女史ワーキンググループ3Active」を立ち上げ、新製品企画や福利厚生制度の提案などの社内活動を行っています。
2023年3月より実施された新人事制度では、離職率低下や男女間賃金差異の緩和に資する施策として、希望転勤制度および勤務地の限定した正社員制度の導入、育児のための時短勤務可能期間の延長、総合職・一般職の区分の廃止を実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、役割等級制度による賃金水準の違いや、男女の役割等級ごとの人数分布の差、非正規従業員の雇用形態による賃金差異が要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 37.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 54.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 65.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 56.7% |
従業員の中途採用比率
提出会社単体の中途採用比率データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 2023年度 正規従業員の中途採用比率 | 70.7% |
| 2024年度 正規従業員の中途採用比率 | 34.5% |
| 2025年度 正規従業員の中途採用比率 | 47.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
SANEIは、給水栓や給排水金具、継手、配管部材の製造・販売を主力とする企業です。同社グループは、水栓金具を単なる設備機器としてではなく、インテリアの一部と捉え、プロダクトデザイナーや建築・空間デザイナーとの協働を通じて多様なデザインの水栓を提案しています。住居分野だけでなく、オフィスビルやホテル、病院、駅舎といった非住宅分野にも製品を提供しており、高付加価値の高級水栓や、タッチパネル式、音声認識システムなどのエレクトロニクスとの融合にも注力しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは水栓金具事業の単一セグメントで事業を展開しており、給水栓・給排水金具・継手及び配管部材の製造・販売を主な事業内容としています。収益は、主に完成した商品や製品を顧客に供給することで得ています。国内では出荷時に収益を認識しており、取引価格は値引き額などを控除した金額で算定されます。
販売チャネルは多岐にわたり、水まわり資材を取り扱う管材店を主軸とする管工機材ルート、量販店やオンライン販売を強化するリテールルート、システムキッチンやユニットバスメーカー向けのメーカールート、そして中国・台湾・インドネシアなどのアジア諸国や北米への輸出を行う海外ルートがあります。これらのルートを通じて、ホテルや飲食店、病院などの非住宅分野への展開や、ホームセンター、家電量販店、GMS、ドラッグストアへの提案強化、住宅設備機器メーカーとの協業を進めています。
生産体制は、岐阜工場を中核拠点とし、鋳造から加工、研磨、鍍金、組立、出荷までの一貫生産体制を確立しています。中国の大連三栄水栓有限公司では部品製造を、株式会社水生活製作所では給水栓類や浄水器類の設計・開発・製造・販売を行っています。為替リスクについては、中国の子会社との取引は原則として円建てで行うことで回避を図っています。また、特定の外部顧客への売上高が連結売上高の10%以上を占める相手先はないため、収益が特定の顧客に集中している状況は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期にわたり増加傾向を示しています。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、増減を繰り返しながら推移しており、直近の連結会計年度では前期と比較してわずかに減少しました。この利益の減少は、主力製品の原材料である銅価格の高騰や、大阪・関西万博関連の協賛費用を計上したことなどが要因として挙げられています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 230億円 | 266億円 | 275億円 | 285億円 | 290億円 |
| 経常利益 | 14.9億円 | 9.1億円 | 19.7億円 | 18.4億円 | 18.0億円 |
| 経常利益率 | 6.5% | 3.4% | 7.2% | 6.5% | 6.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 10.0億円 | 6.3億円 | 13.5億円 | 12.5億円 | 12.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 218.31 | 137.70 | 294.56 | 274.03 | 266.72 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加傾向を示しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期と変わらず推移しています。これらの指標は、同社グループの従業員一人あたりの収益創出力が向上しつつも、利益創出力は安定していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 33.7百万円 | 35.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.2百万円 | 2.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、自己資本比率が高く安定した基盤を示しています。一方で、事業活動で得た資金を将来への投資に積極的に充てている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と安定した純資産を維持しています。これは、外部環境の変化に対する耐性を示すものです。また、ROEはプライム市場平均と比較してやや低い水準にありますが、手元資金は一定の厚みがあり、事業継続のための資金的な余裕がある状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 147億円 | 157億円 |
| 自己資本比率 | 58.3% | 63.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.2% | 8.3% |
| 現金及び預金 | 21.6億円 | 18.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは収入となりました。しかし、前期と比較すると大幅に減少しています。これは主に仕入債務の減少や棚卸資産の増加、法人税等の支払額によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは支出となっており、主に有形固定資産の取得によるものです。これは将来の成長に向けた投資を継続していることを示しています。その結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローはマイナスとなりました。
財務活動によるキャッシュフローは収入に転じており、主に借入金の純増によるものです。全体として、同社グループは本業で得た資金を上回る投資を行っており、外部からの資金調達も活用しながら事業の成長を目指している状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 16.8億円 | 49百万円 |
| 投資CF | △13.6億円 | △11.0億円 |
| 財務CF | △3.6億円 | 7.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.2億円 | △10.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内の景気動向や住宅需要の変動に大きく影響を受ける事業構造です。新築・リフォーム需要の変動が、同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当業界における価格競争は熾烈であり、激しい価格競争にさらされた場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、継続的な成長のために優秀な人材の確保を重要視しています。しかし、採用が計画通りに進まなかった場合や人材の流出があった場合、または人材確保のために人件費が上昇した場合には、同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
SANEIは、「人類ある限り水は必要である」という理念のもと、水まわりを通じて人々の生活に貢献することを目指しています。地球環境との共存を重視し、持続可能な社会の実現に向けた企業活動を推進している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
SANEIは、「人類ある限り水は必要である」という社是のもと、水まわりを通じて社会に貢献し、企業価値の向上を目指しています。創業以来、「点の販売」から「水道(みずみち)=線の販売」へと事業を発展させてきました。今後は水栓金具に留まらず、住空間全体を提案する「水域(みずいき)=面の販売」へと事業領域を拡大する方針です。タグライン「水をつなぐ」企業として、人々の暮らしを潤し、安全・安心で歓びあふれる製品提供を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社是に基づき、社会にとって有益な存在となることを目指しています。使用者の目線に立ち、安全で快適な製品・サービスを提供すること、法令遵守と高い倫理観を持って企業活動を推進することを重視しています。また、地球環境問題への配慮や地域社会への貢献、全ての社員の個性を尊重した職場環境の実現も掲げています。危機管理の徹底や国際社会のルール遵守も行動指針に含まれており、経営トップが率先して模範となるよう行動することが求められています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長と高収益体質の実現に向け、強固な経営基盤の構築を進めています。重点テーマとして、需要変動に対応できる効率的な生産・物流体制の構築や、温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた取り組みを推進しています。また、働き方改革の推進と人材の多様化を図り、「自ら考え行動する人材」の育成に注力しています。リスク管理体制の強化、内部統制システムの適切な運用、情報開示とコンプライアンスの徹底を通じて、経営の健全性と透明性を高めることにも取り組んでいます。さらに、事業活動全体での環境負荷低減や環境保全活動の推進も重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
SANEIは監査役会制度を採用しており、取締役会と監査役会が連携して経営の監督機能を果たしています。社外役員も選任し、経営の透明性と意思決定の迅速化を図る体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
SANEIの株主構成を見ると、代表取締役社長である西岡利明氏と代表取締役副社長である吉川正弘氏が上位を占めています。また、SANEI従業員持株会をはじめとする同社グループ関係者が上位株主として名を連ねており、創業家や同社グループ関係者が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 西岡 利明 | 28.31% |
| 吉川 正弘 | 23.15% |
| SANEI従業員持株会 | 7.10% |
| SANEI会 | 5.05% |
| SANEI共栄会 | 3.29% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は西岡利明氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西岡 利明 | 代表取締役社長 | 1981年3月オリエント貿易㈱入社、1982年12月同社入社。1985年4月取締役就任、2004年10月代表取締役社長就任より現職。 |
| 吉川 正弘 | 代表取締役副社長 | 1982年4月ヒフティー貿易㈱入社、1985年4月同社入社。取締役就任、2004年10月代表取締役副社長就任より現職。 |
| 新田 裕二 | 常務取締役執行役員コーポレート本部長 購買本部長 | 1986年4月同社入社。2015年6月取締役営業本部長就任、2024年6月常務取締役執行役員コーポレート本部長兼購買本部長就任より現職。 |
| 早川 徹 | 取締役執行役員ものづくり本部長 | 1991年9月㈱名南経営コンサルタンツ入社。2006年12月㈱水生活製作所代表取締役社長就任、2024年3月取締役執行役員ものづくり本部長就任より現職。 |
| 丸川 達也 | 取締役執行役員開発本部長 | 1985年4月㈱ノーリツ入社。2022年5月同社入社執行役員開発本部長就任、2022年6月取締役執行役員開発本部長就任より現職。 |
| 松井 優樹 | 取締役執行役員営業統括本部長B&D本部長 | 2004年4月同社入社。2024年6月取締役執行役員営業本部長就任、2026年3月取締役執行役員営業統括本部長兼B&D本部長就任より現職。 |
社外取締役は、瀧勝巳氏(タキカツミアンドプロデューサーズ設立)と永山祐子氏(永山祐子建築設計設立)です。
同社は監査役会制度を採用しています。社外取締役2名および社外監査役2名を選任し、専門的かつ中立・公正な立場から経営の監督および監視を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
SANEIの取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして株主利益と連動した報酬体系を目指しています。個々の取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬を月例で支払い、役位、職責、在任年数などを総合的に勘案して決定されています。業績連動報酬や非金銭報酬は含まれていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 2.8億円 | 46.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 15.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 19百万円 | 4.8百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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