※本記事は、株式会社交換できるくん の有価証券報告書(第27期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 交換できるくんってどんな会社?
同社は、住宅設備機器の交換工事をネット完結型で提供する「交換できるくん」を運営する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1998年に有限会社ケイシスとして設立され、2001年に住宅設備機器販売サイトを開設しました。2018年にサービス名を「交換できるくん」へ変更し、2020年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。2024年には株式会社アイピーエスを完全子会社化し、ソリューション事業を強化しています。
連結従業員数は170名(単体56名)です。筆頭株主は創業社長の資産管理会社である株式会社CRESCUNT、第2位は社長の栗原将氏であり、経営陣が株式の過半数を保有しています。第3位は取締役の栗原剛氏です。また、伊藤忠エネクスホームライフ株式会社との資本業務提携により、同社も大株主に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| CRESCUNT | 42.11% |
| 栗原 将 | 16.21% |
| 栗原 剛 | 5.68% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は栗原将氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 栗原 将 | 代表取締役社長 | 1996年株式会社メガ入社。1998年有限会社ケイシス(現同社)設立、代表取締役社長。2024年KOUKANDEKIRUKUN ASIA PTE. LTD.代表取締役より現職。 |
| 佐藤 浩二 | 取締役副社長コーポレート本部長 | 1992年日本ユニシス(現BIPROGY)入社。株式会社豆蔵ホールディングス代表取締役社長などを経て、2022年より現職。 |
| 吉田 正弘 | 取締役アドバイザリーセールス本部長 | 1992年株式会社エヌ・シー・アイ入社。株式会社フォスターネット代表取締役、株式会社コーワメックス代表取締役などを経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、吉野登(元株式会社モスフードサービス常務取締役経営戦略本部長)、鈴木謙吾(弁護士・鈴木謙吾法律事務所代表)、野田優子(公認会計士・野田綜合会計事務所代表)、服部道子(プロゴルファー・パリオリンピックゴルフ競技日本代表女子コーチ)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住設DX事業」および「ソリューション事業」を展開しています。
■(1) 住設DX事業
キッチン、トイレ、洗面台、給湯器などの住宅設備機器と、その交換工事をセットで販売するeコマース事業です。Webサイト「交換できるくん」を通じて、一般住宅オーナー等から注文を受け、訪問による取付工事を提供しています。現地調査を行わず、ネット上で見積りから受注までを完結させる仕組みが特徴です。
収益は、顧客から受領する住宅設備機器の商品代金および工事費用からなります。運営は主に同社および株式会社KDサービスが行っています。また、KOUKANDEKIRUKUN ASIA PTE. LTD.も同事業に関連しています。
■(2) ソリューション事業
企業の業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するシステム開発受託事業です。要件定義から開発、運用保守までを一気通貫で提供しています。特に、住宅設備業界向けのシステム開発ノウハウを活かしたソリューション提供などを行っています。
収益は、顧客企業から受領するシステム開発受託費や保守運用費などからなります。運営は主に株式会社アイピーエスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第24期より連結財務諸表を作成しています。売上高は順調に拡大しており、特に直近の第27期では100億円を突破しました。利益面では、第26期まで増加傾向にありましたが、第27期は積極的な広告宣伝投資や体制強化に伴う費用増により、各段階利益で減益となっています。
| 項目 | 24期 | 25期 | 26期 | 27期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 48億円 | 60億円 | 76億円 | 103億円 |
| 経常利益 | 1.0億円 | 3.0億円 | 3.4億円 | 1.7億円 |
| 利益率(%) | 2.1% | 5.0% | 4.4% | 1.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.7億円 | 2.0億円 | 2.3億円 | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は約36%増加し、事業規模が拡大しています。一方で、売上原価率の上昇や販売費及び一般管理費の増加により、営業利益率は低下しました。特に広告宣伝費などの先行投資が利益を圧迫している構造が見て取れます。
| 項目 | 26期 | 27期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 76億円 | 103億円 |
| 売上総利益 | 18億円 | 24億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.4% | 23.0% |
| 営業利益 | 3.3億円 | 1.6億円 |
| 営業利益率(%) | 4.3% | 1.6% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が6.4億円(構成比28.8%)、給料及び手当が4.5億円(同20.4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期より報告セグメントが「住設DX事業」と「ソリューション事業」に変更されました。住設DX事業はテレビCM等の効果もあり売上が伸長しましたが、広告宣伝費の投下により利益率は低水準です。ソリューション事業は新たに連結に加わり、収益に寄与しています。
| 区分 | 売上(26期) | 売上(27期) | 利益(26期) | 利益(27期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 住設DX事業 | - | 92億円 | - | 1.7億円 | 1.9% |
| ソリューション事業 | - | 11億円 | - | 0.2億円 | 1.9% |
| 調整額 | - | -1億円 | - | -0.3億円 | - |
| 連結(合計) | 76億円 | 103億円 | 3.3億円 | 1.6億円 | 1.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で獲得した現金を、将来の成長に向けた投資に積極的に回している「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 26期 | 27期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.5億円 | 0.5億円 |
| 投資CF | -5.9億円 | -5.3億円 |
| 財務CF | 2.8億円 | 3.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.3%で市場平均をやや下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「『出会えて良かった!』のために」を経営理念として掲げています。社会で必要とされる存在であり続けるため、顧客には「心から頼んで良かった」、従業員には「心から働いて良かった」と感じてもらえる会社を目指し、安心と納得のサービス提供を第一としています。
■(2) 企業文化
同社は、顧客に対して「嘘をつかない」「がっかりさせない」ことを最も大切な信条としています。「透明性のある料金体系を提示し安心施工を約束すること」を事業コンセプトとし、見積り額=支払総額とする明朗会計や、施工スタッフのスキルチェックなど、顧客の不安を払拭する誠実な姿勢を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、事業を継続的に発展させるために収益力を高め、適正な利益確保を図ることを重視しています。客観的な経営指標として、売上高および営業利益の向上を目指しています。また、事業モデルを勘案したKPIとして、売上高を構成する要素の中でも「工事件数」を重要な指標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、Webマーケティングのノウハウを活用し、検索エンジン最適化(SEO)やインターネット広告により新規顧客獲得を積極的に展開します。また、低コスト集客の実現、知名度向上、システム強化、経営管理体制の強化、およびBtoB取引を含む販路拡大を重要課題として取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、中途採用による中枢人材の登用と新卒者の定期採用を組み合わせ、多様な人材確保を進めています。また、職人不足の社会課題に対し、複数の資格技能を有するジェネラリストの育成に取り組んでいます。社内に研修専用施設を設置するなど実践的な人材育成を推進し、働き方改革や賃金ベースアップによる定着率向上にも努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 27期 | 35.9歳 | 4.9年 | 5,186,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表をしておりませんので記載を省略しております。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) EC市場やリフォーム市場における競争
リフォーム市場の拡大に伴い、不動産や家具家電などの異業種からの参入が増加しています。これらの一部はeコマースを主力販路としているため、今後競争が激化した場合、同社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) サイトへの集客における外部検索エンジン
同社サイトへの集客は大半が検索サイト経由です。SEO対策を実施していますが、検索エンジン運営者が検索結果の表示ロジックを変更し、対策が機能しなくなった場合、集客力が低下し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) レピュテーションリスク
同社やサービスについて否定的な風評が広まった場合、信用や信頼が低下する可能性があります。コンプライアンス規程等に基づきリスク対応を行いますが、それでも否定的な風評が拡散した場合、顧客離れが生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 物流拠点の集中
商品の入荷から出荷までを主に神奈川県横浜市の商品センターで行っています。自然災害や火災等により同センターが操業不能となった場合、在庫の損失やサービスの遅延・停止が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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