ブロードマインド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブロードマインド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証グロース市場に上場し、生命保険や損害保険、証券、住宅ローン、不動産などをワンストップで提供するフィナンシャルパートナー事業を展開しています。2025年3月期は、コンサルタントの増員や不動産販売の寄与等により売上高は増収となりましたが、業容拡大に向けた積極的な投資を行った結果、経常利益は減益となりました。


#記事タイトル:ブロードマインド転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ブロードマインド株式会社 の有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブロードマインドってどんな会社?

保険・証券・住宅ローン・不動産を扱う「フィナンシャルパートナー」として、ワンストップサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要

2002年に設立し保険代理店事業を開始、その後金融商品仲介業や貸金業登録を行い取扱商品を拡大しました。2020年には不動産事業強化のためMIRAIを設立し、2021年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2025年には金融教育事業を行うMoney Withを設立するなど、事業領域を広げています。

同グループの従業員数は連結349名、単体335名です。筆頭株主は創業社長の伊藤清氏で、第2位は資本業務提携先である事業会社のクレディセゾン、第3位は同社取締役の吉橋正氏です。経営陣や提携先が主要株主となっており、安定的な株主構成といえます。

氏名 持株比率
伊藤 清 26.60%
クレディセゾン 17.48%
吉橋 正 9.93%

(2) 経営陣

同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は伊藤清氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
伊藤 清 代表取締役社長 NEC、日新製糖を経て1996年ソニー生命保険入社。2002年1月に同社を設立し代表取締役社長に就任、2025年1月よりMoney With代表取締役会長も兼任。
吉橋 正 取締役 アシスト、ソニー生命保険を経て2003年同社取締役就任。米国子会社社長を経て、2020年10月よりMIRAI代表取締役社長を兼任。
大西 新吾 取締役 電通を経て2006年同社入社。2008年6月より取締役を務める。
岡本 功治 取締役 エフ・エム等を経て2007年同社入社。大阪支社ゼネラルマネジャー、ファイナンシャルコンサルティング本部長等を歴任し2023年6月より現職。


社外取締役は、福森久美(元ヴィクトリア代表取締役社長)、髙橋直樹(元クレディセゾン代表取締役副社長)です。

2. 事業内容

同社グループは、「フィナンシャルパートナー事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) フィナンシャルパートナー事業(金融サービス)

個人顧客に対しライフプランニングを土台とした資産形成や資金計画策定支援を行い、保険・証券・住宅ローン等の金融商品をワンストップで提供しています。法人顧客には財務やリスク対策等の経営課題解決を支援します。主なターゲットは一般的な勤労者世帯です。

収益は主に提携金融機関から受け取る手数料(生命保険・損害保険の代理店手数料、金融商品仲介手数料、住宅ローン案件紹介手数料など)です。運営は主にブロードマインドが行っています。

(2) 不動産関連事業

顧客のライフステージに応じた住み替えや資産形成・運用ニーズに対し、不動産の売買仲介や自社開発物件の販売を行っています。フィナンシャルプランニングの一環として、住宅購入や不動産投資の提案を行います。

収益は不動産仲介手数料や販売用不動産の売却代金です。運営は主に子会社のMIRAI株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は直近5期間において継続的に増加しており、順調な事業拡大が続いています。利益面では、2023年3月期に大きく伸長しましたが、2025年3月期は業容拡大に向けた人材採用やシステム投資、オフィス移転等の先行投資を行った影響により、減益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 33億円 36億円 43億円 52億円 60億円
経常利益 4億円 5億円 7億円 8億円 6億円
利益率(%) 12.9% 14.2% 15.1% 14.4% 9.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 3億円 6億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書

前期と比較して売上高は増加しましたが、売上総利益率はほぼ横ばいで推移しました。一方で、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は減少し、営業利益率は低下しました。積極的な事業投資によりコストが増加したことが要因です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 52億円 60億円
売上総利益 43億円 50億円
売上総利益率(%) 83.1% 82.8%
営業利益 7億円 5億円
営業利益率(%) 13.8% 8.6%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が17億円(構成比38%)、賞与引当金繰入額が2.5億円(同6%)を占めています。

(3) セグメント収益

同社はフィナンシャルパートナー事業の単一セグメントですが、売上高は前期比で増加しました。主な要因は、コンサルタントの増員による生命保険代理店手数料の増加や、金融商品仲介手数料の伸長です。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
フィナンシャルパートナー事業 52億円 60億円
連結(合計) 52億円 60億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉に流動性の確保を図り、取引金融機関との当座貸越契約により、より柔軟かつ安定的な流動性の確保を目指しています。

営業活動では、税金等調整前当期純利益等により、前年同期比で大幅に増加した資金を獲得しました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出があったものの、差入保証金の回収や投資有価証券の償還による収入により、前年同期比では使用額が減少しました。財務活動では、株式の発行による収入があった一方、配当金の支払額があったため、使用した資金は前年同期比で増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.7億円 3.1億円
投資CF -9.0億円 -1.4億円
財務CF -0.9億円 -1.8億円

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、パーパス(存在意義)として「金融の力を解き放つ」を、ミッション(使命)として「金融に倫理を、人生に自由を」を掲げています。特定の業態にとらわれず、顧客のライフプラン実現に最適な金融サービスを開発・提供する「フィナンシャルパートナー」となることを目指しています。

(2) 企業文化

金融商品の販売資格ごとの縦割り構造ではなく、顧客のライフプランを土台とした業横断的なワンストップサービスの提供を重視しています。また、コンプライアンスマインドや顧客に寄り添う姿勢を大切にし、新卒採用を中心とした理念教育を通じて、高い倫理観を持つプロフェッショナルの育成に注力しています。

(3) 経営計画・目標

企業価値向上のため、売上高及び営業利益の継続的かつ安定的な成長を目指しています。特に、顧客数の拡大を示す「売上高」、本業の収益性を示す「営業利益」および「営業利益率」、資本効率を示す「自己資本利益率(ROE)」を重要な経営指標として設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策

「ライフイベントに最適な金融ソリューションを提供する」というコンセプトのもと、以下の施策を推進します。
1. 組織拡大と生産性向上:コンサルタントの増員と育成強化により相談受付体制を拡充し、広告宣伝強化で自社集客を増やします。
2. LTV向上:デジタルプロダクトを活用した接点強化や、リタイアメント層・富裕層向けの提案力強化により、クロスセルを推進します。
3. 新領域への挑戦:金融リテラシー向上や事業者向け課題解決等の新サービス開発に注力します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

営業部門のコンサルタントの約半数(主力組織では8割以上)を新卒採用者が占めており、理念への共感を重視した採用を行っています。商品知識だけでなく社会保障制度や税制等の知識を体系的に習得する独自プログラムを開発し、プロフェッショナル人材の早期育成と定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.0歳 5.7年 5,805,127円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 8.0%
男性労働者の育児休業取得率 25.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 51.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 60.6%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 94.4%

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 生命保険会社との関係

同グループの売上高の過半は生命保険契約に係る代理店手数料が占めており、中でもメットライフ生命保険への依存度が高くなっています(2025年3月期で売上高の31.5%)。保険会社の営業政策変更や手数料率の改定、風評悪化等が発生した場合、同グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2) 競合について

IFA法人や来店型保険ショップ等の競合に加え、金融サービス仲介業の創設やフィンテック企業の参入により競争環境が変化しています。同社サービスの差別化が困難になった場合や、消費者の金融行動の変容により既存サービスの価値が相対的に低下した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。

(3) 市場について

少子高齢化や「人生100年時代」を背景にパーソナルファイナンスへの関心は高まっていますが、経済情勢の変動や新しい金融サービスの登場により市場成長が鈍化する可能性があります。消費者の意識や行動が大きく変容した場合、同グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) 自然災害等の予期せぬ要因

大規模な自然災害や感染症の拡大、テロ等の予期せぬ事態が発生した場合、対面でのコンサルティング活動が制限されるなどして機会損失が生じる可能性があります。また、提携先企業の事業活動に支障が出た場合も見込み客の獲得に影響が及び、業績が悪化する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。