ブロードマインド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブロードマインド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブロードマインドは東京証券取引所グロース市場に上場し、保険や証券、住宅ローン等のワンストップサービスを提供するフィナンシャルパートナー事業と、不動産販売事業を展開しています。直近の業績は、売上高が減少した一方で営業利益は増加し、減収増益となっています。ライフプランニングを土台とした提案が強みです。


※本記事は、ブロードマインド株式会社の有価証券報告書(第25期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブロードマインドってどんな会社?


同社は、保険や証券、住宅ローン等をワンストップで提供する包括的な金融コンサルティング事業を展開しています。

(1) 会社概要


同社は2002年に設立され、生命保険及び損害保険の乗合代理店として事業を開始しました。2009年に金融商品仲介業の登録を取得後、2013年に貸金業者登録、2015年に宅地建物取引業免許と銀行代理業許可を取得し、取扱領域を拡大しました。その後、2021年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしています。

同社グループは、連結従業員数312名、単体では301名の体制で事業を運営しています。筆頭株主は代表取締役社長の伊藤清氏で、第2位は資本業務提携を締結しているクレディセゾン、第3位は取締役の吉橋正氏となっており、経営陣と提携先による安定した資本構成となっています。

氏名 持株比率
伊藤 清 24.82%
クレディセゾン 17.42%
吉橋 正 9.89%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は伊藤清氏が務めています。社外取締役の比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
伊藤 清 代表取締役社長 1988年日本電気入社、1989年日新製糖入社。1996年ソニー生命保険を経て、2002年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2025年Money With代表取締役会長より現職。
吉橋 正 取締役 1991年アシスト入社、1998年ソニー生命保険入社。2003年に同社取締役に就任。その後米国子会社等の代表取締役社長を経て、2020年にMIRAI代表取締役社長より現職。
大西 新吾 取締役 1989年電通入社。2006年に同社に入社し、2008年に取締役に就任より現職。
岡本 功治 取締役 1996年エフ・エム入社後、複数企業を経て2007年同社入社。大阪支社ゼネラルマネジャー、執行役員、ファイナンシャルコンサルティング本部長等を経て、2023年に取締役に就任より現職。


社外取締役は、福森久美氏(公認会計士福森久美事務所代表)、髙橋直樹氏(クレディセゾン代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「フィナンシャルパートナー事業」および「不動産販売事業」を展開しています。

フィナンシャルパートナー事業


主に個人顧客に対し、ライフプランニングを土台とした資産形成や資金計画の策定支援を行っています。法人顧客に対しては、財務や事業リスク対策を中心とした経営課題の解決支援を提供しており、保険、証券、住宅ローン等の金融商品を業横断的に取り扱うことで、顧客のライフステージに応じた最適な提案を行っています。

収益源は、生命保険、損害保険、証券、住宅ローン等の商品販売に応じた提携金融機関からの代理店手数料や仲介手数料です。主力となる生命保険の手数料には、初年度のフロー収益と継続手数料のストック収益が含まれます。運営は主にブロードマインドが行っています。

不動産販売事業


新築一棟RCマンションの企画・開発・販売および不動産コンサルティングを行っています。資産形成や資産運用に対するソリューションの一環として、金融商品と組み合わせた提案を実施し、開発済み物件や開発中物件については、賃料収入を得ながら適切な時期に売却する事業モデルを展開しています。

収益源は、開発・販売した不動産の顧客への売却金額、および顧客から得る不動産仲介手数料です。出口価格の引き下げを回避し、計画した利益水準を確保する販売方針を採っています。運営は主に連結子会社であるMIRAIが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大を続けてきましたが、直近では減収に転じています。一方で経常利益は、前期の落ち込みから当期は回復し、利益率も12%台まで改善しました。資産形成への関心増を背景に、主力のオンライン営業組織の強化やAIエージェントシステムの開発による生産性向上が寄与しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 36億円 43億円 52億円 60億円 53億円
経常利益 5億円 7億円 8億円 5億円 6億円
利益率(%) 14.2% 15.1% 14.4% 8.3% 12.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 6億円 3億円 2億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は減少したものの、売上総利益は高水準を維持し、売上総利益率が大きく向上しました。これにより、営業利益は前期から増益となり、営業利益率も11.8%へと改善しています。業務効率化や収益性の高い単独での見込み客獲得量の増加などにより、収益基盤の強化が進んでいることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 60億円 53億円
売上総利益 49億円 49億円
売上総利益率(%) 82.7% 92.8%
営業利益 5億円 6億円
営業利益率(%) 7.7% 11.8%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が16億円(構成比37.6%)、賞与引当金繰入額が2億円(同5.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


フィナンシャルパートナー事業は、新規相談件数が過去最高となり、生命保険や金融商品仲介領域で手数料収入が伸長したことで売上が微増しました。一方、不動産販売事業は、建築資材価格等の高騰により利益水準確保を優先し、一部案件の販売を翌期に繰り越したため大幅な減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
フィナンシャルパートナー事業 48億円 48億円
不動産販売事業 12億円 5億円
連結(合計) 60億円 53億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナス、投資活動によるキャッシュ・フローがプラス、財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる「事業検討型」の構造となっています。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 3億円 -5億円
投資CF -1億円 0.2億円
財務CF -2億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.9%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.6%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


パーパス(存在意義)として「金融の力を解き放つ」を、ミッション(使命)として「金融に倫理を、人生に自由を」を掲げています。金融商品の流通を担うプレイヤーとして、顧客に最適な金融商品を提供するだけでなく、顧客のライフプランを実現するためのコンサルティングプロセスの品質や、金融リテラシー向上に資する情報提供が価値提供の源泉であると位置づけています。

(2) 企業文化


同社は、コンサルティングサービスを基軸としており、価値提供と競争力の源泉は人材にあるとの価値観を重視しています。顧客に寄り添う姿勢やコンプライアンスマインドを醸成するため、商品知識だけでなくライフプランニングや社会保険制度等の広範な知識を体系的に習得する教育プログラムを独自に開発しています。理念教育にも注力し、パーパスやミッションに強く共感した多様な人材の確保と育成を通じて、健全な組織拡大を図る姿勢を掲げています。

(3) 経営計画・目標


企業価値向上のため、売上高および営業利益の継続的な成長を目指しています。事業の成長を図るため「売上高」を、各事業の収益性を追うために「営業利益」を、安定的な成長の指標として「売上高営業利益率」を重視しています。また、投資価値の観点から資本効率向上との両立を目指し、「自己資本利益率(ROE)」を重要な経営指標として設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「ライフイベントに最適な金融ソリューションを提供する」という事業コンセプトに沿って、付加価値の高いサービスの提供を目指しています。コンサルタントの純増とBtoB新規マーケット開拓によりフィナンシャルパートナー事業の基盤を強化し、デジタルプロダクトの活用等で顧客のライフタイム・バリュー(LTV)向上を図ります。さらに、金融リテラシー向上や事業者向け課題解決等の新領域でのサービス開発にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社の事業はコンサルタント人材が競争力の源泉であるとし、経営理念に共感する優秀な人材の採用・育成・定着を重要戦略としています。デジタルを活用した効率的なスキル習得支援や、専任部門による教育体制を構築し、生産性の高位平準化を図っています。また、ライフステージに合わせた柔軟な働き方の支援や、本人の志向・適性を考慮した最適配置など、人事政策を通じたエンゲージメント向上と健康経営の推進にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 35.7歳 6.9年 6,241,116円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.8%
男性育児休業取得率 62.5%
男女賃金差異(全労働者) 54.7%
男女賃金差異(正規雇用) 69.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 83.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 生命保険会社との関係と手数料体系の変動

同社の売上高の多くは生命保険契約に係る代理店手数料が占めており、特定の保険会社への依存度が高い状況にあります。保険会社の営業政策の変更や財政悪化により手数料体系が変更された場合、または保険会社の風評悪化等で契約が解約された場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2) 金融サービス領域における競合激化

同社グループは金融機関から独立した金融サービス企業として事業を展開していますが、乗合保険代理店やIFA法人、新たに創設された金融サービス仲介業の事業者などが競合となります。競争が激化し、同社のサービスの差別化が図れなくなった場合や、新サービスの台頭により相対的価値が低下した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 不動産販売事業における市況変動

不動産販売事業では、開発・販売において計画した利益水準を確保する方針を採っています。しかし、市況の変化や顧客ニーズの変動により物件の仕入れや販売量が減少するリスクがあります。また、販売価格の下落やキャンセル等により売却収入が得られず、棚卸資産の評価損が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。