※本記事は、株式会社アイスコ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アイスコは、「I Care Everybody Company」という企業理念のもと、アイスクリーム・冷凍食品の卸売を行うフローズン事業と、食品スーパーマーケットの運営を行うスーパーマーケット事業を展開しています。食を通じた社会貢献を目指し、顧客に喜ばれる事業活動を行っています。
単体従業員数は868名です。同社の事業セグメントはフローズン事業とスーパーマーケット事業の2つです。
アイスコは、関東および東海エリアを中心に15拠点の物流センターと約400台の配送用トラックを所有し、フローズン事業を展開しています。また、神奈川県を中心に「スーパー生鮮館TAIGA」を7店舗運営するスーパーマーケット事業も手掛けています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アイスコは、冷凍食品やアイスクリームの卸売を中核とする事業を展開しています。同社では、従業員の給与水準や働き方について、安定した事業基盤のもとでどのような特徴があるのか、具体的なデータから見ていくことができます。人材育成や多様性を重視する方針も示されており、長期的なキャリア形成を考える上で参考となる情報が提供されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アイスコでは、従業員の平均年齢と平均勤続年数から、比較的若手層が活躍しており、一定の流動性も持ち合わせている組織であることがうかがえます。事業の特性上、現場力が重視される中で、新しい人材が継続的に加わり、キャリアを築いている状況が考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,421,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.8年 |
| 平均年齢 | 39.1歳 |
| 単体従業員数 | 868人 |
アイスコは、確定給付型の退職給付制度を採用しています。これは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額が決まる制度です。
同社は国内の従業員を対象とした退職一時金制度を設けています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は7.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
アイスコは、第二次中期経営計画において「人的資本経営の実践」を重点施策の一つに掲げ、会社の成長を担う人材の確保・育成を通じて企業価値の向上を目指しています。冷凍食品・アイスクリームの卸売を中核とする事業において、現場力と企画提案力の双方が競争力の源泉であると認識し、人材戦略を経営戦略の中核に位置付けています。
人材戦略の基本方針として、主要ポスト人材の獲得を進めるとともに、公正かつ時代や業界に見合った賃金制度・評価制度の継続的なアップデートを図っています。職務内容や役割の重要度・専門性に応じた処遇を実現し、高い付加価値を創出する人材に報いる公正な賃金体系の構築を目指しています。入社後のオンボーディングの充実や心理的安全性の高い組織風土の醸成、社員が自律的なキャリアビジョンを描けるための支援を通じて、人材の早期定着とエンゲージメントの向上にも努めています。
次世代を担う人材育成では、外部機関の活用や社内研修により、階層別・能力別の研修を実施しています。リーダーシップ、問題解決力、マネジメント能力など各階層に求められる能力の開発を通じて、自律的に考え行動できる人材を育成しています。また、経営理念を体現できる人材を責任あるポストへ計画的に登用し、次世代の経営を担うマネジメント人材の育成に取り組んでいます。現場におけるOJTの充実と各業務の標準化も進め、教育の質の均一化と早期戦力化を図っています。
ダイバーシティの推進も重点施策の一つであり、女性社員の活用を促す取り組みを進めています。年齢・性別・国籍・職種等にかかわらず、あらゆる従業員が公正に処遇される環境づくりと、外部人材の取り込みによる価値観の多様性の向上に取り組んでいます。給与その他の給付の額及び内容の決定については、個々の社員の職務内容および役割に応じた適切な報酬水準を設定し、業績や行動に対して公正に評価し報いる制度を導入しています。給与水準は経済状況や労働市場の変化に対応するため定期的に見直しを行い、競争力のある報酬を提供することで優秀な人材の確保と定着を図る方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 42.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 45.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 91.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 89.5% |
多様性・登用
女性従業員比率は、臨時従業員(1日8時間換算)を含む比率です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性従業員比率 | 24.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社アイスコは、フローズン事業とスーパーマーケット事業の二つの主要な事業を展開し、食を通じて社会貢献を目指しています。お客様に喜ばれることを目標に、事業活動を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、アイスクリームや冷凍食品の卸売を行うフローズン事業と、食品スーパーマーケットを運営するスーパーマーケット事業を主軸としています。食の流通と販売を通じて、顧客に価値を提供しています。本邦以外の外部顧客への売上高はないため、海外売上高や直接的な為替リスクはありません。
ナラティブの販売実績によると、株式会社クリエイトエス・ディー、株式会社ドン・キホーテ及びそのグループ会社、株式会社コスモス薬品、スギホールディングス株式会社といった主要得意先への販売が同社の売上高の一定割合を占めています。
フローズン事業
フローズン事業は、関東および東海エリアを中心に、物流センターと配送用トラックを所有し、主にドラッグストアや食品スーパーなどの小売店向けに市販用冷凍食品およびアイスクリームの卸売を行っています。新規事業としてフローズン専門店の運営も手掛けています。収益は、冷凍食品・アイスクリームの卸売と、売り場への直接陳列や発注サービスを含む「フルメンテナンスサービス」の提供から得ています。運営は、同社が直接行っています。この事業の売上高は前期比で増加しています。
スーパーマーケット事業
スーパーマーケット事業は、神奈川県を中心に「スーパー生鮮館TAIGA」を7店舗、テナントとして1店舗展開しています。生鮮3品(青果・鮮魚・精肉)に注力し、鮮度・品質・品揃え・価格にこだわった商品を提供しています。収益は、生鮮3品を中心とした食品の小売販売から得ています。運営は、同社が直接行っています。この事業の売上高は前期比で増加しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| フローズン事業 | 477億円 | 506億円 |
| スーパーマーケット事業 | 70.3億円 | 71.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度の売上高は前期比で増加しています。営業利益と経常利益も前期比で増加傾向を示しています。一方で、当期純利益は前期比で減少となりました。これは、スーパー生鮮館TAIGA藤が丘店に係る減損損失や固定資産売却損といった特別損失を計上したことによるものです。本業の収益力は向上しているものの、一時的な損失が最終利益に影響を与えた状況となっています。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アイスコは、財務の安定性を確保しつつ、将来に向けた成長投資を積極的に進めている段階にあります。本業で得た資金を物流体制の強化や新規事業に投じている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤を見ると、自己資本比率は前期からやや低下しているものの、一定の水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)は前期から減少しており、プライム市場平均(9.4%)と比較すると同程度の水準を示しています。手元資金である現金及び預金は増加しており、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 3,840百万円 | 4,148百万円 |
| 自己資本比率 | 22.1% | 19.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.5% | 9.0% |
| 現金及び預金 | 1,438百万円 | 1,764百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、営業活動による資金が収入となり、投資活動による資金が支出となる「成長投資」の傾向を示しています。本業で得た資金を、物流センターの建設などの設備投資に充てている状況です。
営業活動によるキャッシュフローは前期に比べて増加しており、本業で安定的に資金を生み出していることがうかがえます。投資活動によるキャッシュフローは、関東マザー物流センターの建設に伴う有形固定資産の取得などにより、前期に比べて支出が大幅に増加しています。財務活動によるキャッシュフローは、新規借入により収入が増加しており、投資活動による支出を補填している状況です。フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、積極的な投資フェーズにあることが示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 178百万円 | 593百万円 |
| 投資CF | △729百万円 | △2,882百万円 |
| 財務CF | △414百万円 | 2,615百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △551百万円 | △2,289百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社のフローズン事業は、主力商品であるアイスクリームが季節商品であり、天候の影響を受ける可能性があります。特に冷夏の場合は売上が減少し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、フローズン事業においては、特定の取引先への売上依存度が高い状況です。特定の取引先との関係が継続困難になった場合や、取引が大幅に減少する場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、安定的な成長を確保するために優秀な人材の確保が必要不可欠と考えています。特にフローズン事業のフルメンテナンスサービスを提供するにあたり、優秀な配送員を継続して雇用することが重要です。
しかし、労働人口の減少や人件費の高騰により、計画通りに人材を確保できない場合や、さらなる人件費の高騰が生じた場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アイスコは「I Care Everybody Company」を企業理念に掲げ、顧客第一の精神と持続可能な社会への貢献を重視する企業です。フローズン卸業界でのオンリーワンを目指し、変革と成長を追求するカルチャーがあります。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「I Care Everybody Company ~あらゆる人々に慈しみの心をもって接する企業でありたい~」を企業理念としています。顧客を第一に考えることを全従業員に徹底し、事業の拡大と企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。
また、10年ビジョンとして「iceco VISION 2030」を定めています。卸業界内でオンリーワンのポジションを確立し、収益力でフローズン卸業界ナンバーワンを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は企業理念である「I Care Everybody Company」のもと、持続可能な社会の実現に向けた事業活動を行っています。顧客第一の精神を全従業員に徹底し、質の高い付加価値業務の提供に徹する企業風土があります。
10年ビジョン「iceco VISION 2030」では、自立型人財の育成やSDGsへの取り組みを通じて、持続可能な社会への貢献を目指しています。人材育成においては「自ら考え行動し、結果を出せる社員の育成」と「人を育てることが出来る社員の育成」を目標としています。特に多様性の観点から、女性社員の育成にも力を入れて取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は経営環境の変化に対応するため、第二次中期経営計画において「環境変化への徹底対応」を基本方針としています。重点テーマの一つとして「人的資本経営の実践」を掲げ、人材採用や人材育成への投資を重視しています。具体的には、多様な働き方への対応や働きやすい人事制度への改定を推進するとともに、現場での教育体制を整え、業務の標準化や社員教育を徹底しています。
また、「新規事業の育成」としてFROZEN JOE’Sの収益化と出店加速、海外戦略の確立に取り組んでいます。さらに、「コンプライアンス経営の推進・徹底」として、リスク管理やコンプライアンス遵守体制の構築・運用・強化、全従業員への法令遵守体制の周知徹底に努めています。サステナビリティの観点からは、食品ロス削減への貢献やCO2削減に向けた取り組みも行っています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アイスコは、取締役会と監査等委員会を基軸としたコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。迅速かつ効率的な意思決定と経営監視が行われる体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社KANコーポレーションであり、その後に取締役会長の相原敏貴氏、代表取締役社長の相原貴久氏が続きます。代表取締役社長の相原貴久氏の所有株式数には、株式会社KANコーポレーションが所有する株式数が含まれており、創業家およびその関連会社が上位株主を占める資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| KANコーポレーション | 34.35% |
| 相原 敏貴 | 5.72% |
| 相原 貴久 | 4.96% |
| 江崎グリコ | 3.82% |
| アイスコ従業員持株会 | 3.63% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は相原貴久氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 相原 貴久 | 代表取締役社長 | 1994年4月同社入社、1999年6月同社取締役総務部長、2002年5月同社専務取締役を経て、2018年6月より現職。 |
| 相原 敏貴 | 取締役会長 | 1966年4月相原冷菓店入社、1972年4月株式会社相原冷菓専務取締役、1992年5月株式会社アイスコ代表取締役社長を経て、2022年6月より現職。 |
| 三國 慎 | 専務取締役 | 1996年4月オハヨー乳業株式会社入社、2015年7月同社取締役、2016年4月同社専務取締役を経て、2020年10月より現職。 |
| 永野 泰敬 | 取締役CFO | 2013年2月有限責任監査法人トーマツ入所、2017年5月同社入社、2017年7月同社経営企画室長を経て、2018年1月より現職。 |
社外取締役は、岡宮健一氏(元株式会社神奈川銀行支店長・監査等委員長)、中田雅明氏(元株式会社魚力代表取締役社長・監査等委員)、榎本進一郎氏(弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役3名全員が社外取締役で構成されています。これにより、独立した立場からの経営監視が実効的に行われる体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、取締役(監査等委員を除く)の報酬について、役職や業績、会社への貢献度を考慮し、指名報酬委員会の答申に基づき取締役会で決定する方針です。固定報酬に加え、株主との株価変動メリット・リスク共有を目的とした譲渡制限付株式報酬制度を導入しています。監査等委員である取締役の報酬は、監査等委員会の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.1億円 | 27.3百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 10百万円 | 3.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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