おきなわフィナンシャルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

おきなわフィナンシャルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

おきなわフィナンシャルグループは東京証券取引所プライム市場および福岡証券取引所に上場する金融持株会社です。沖縄銀行を中心に銀行業務やリース業務など、金融をコアとする総合サービスを展開しています。直近の業績では、貸出金利回りの上昇や貸出金残高の増加などにより、前年比で増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社おきなわフィナンシャルグループの有価証券報告書(第5期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. おきなわフィナンシャルグループってどんな会社?


同社は沖縄銀行を持株会社化した金融グループで、地域密着型の総合金融サービスを提供しています。

(1) 会社概要


同社は2021年10月、沖縄銀行の単独株式移転により持株会社として設立され、同時に東京証券取引所と福岡証券取引所に上場しました。設立に伴い、おきぎんリースなどの関係会社を直接出資会社として再編し、総合金融グループ体制を構築しています。2025年には新たな子会社を設立し、事業領域を拡大しています。

従業員数は連結で1,513名、単体で132名となっています。大株主の構成を見ると、筆頭株主および第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には同社の従業員持株会が名を連ねており、従業員による安定的な株式保有が行われていることが特徴です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.67%
日本カストディ銀行(信託口) 4.41%
おきなわフィナンシャルグループ従業員持株会 3.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.0%です。代表取締役社長は山城正保氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
山城正保 取締役社長(代表取締役) 1982年沖縄銀行入行。同行代表取締役頭取等を経て、2021年10月より同社代表取締役社長に就任。2024年4月より現職。
伊波一也 専務取締役(代表取締役) 1988年沖縄銀行入行。同行本店営業部長、常務取締役等を経て、2021年10月より同社常務執行役員。2023年6月より現職。
佐喜真裕 取締役(監査等委員) 1988年沖縄銀行入行。同行監査部長、常務取締役等を経て、2021年10月同社常務執行役員。2024年6月より現職。


社外取締役は、山城貴子(元沖縄県議会事務局長)、村上尚子(元沖縄弁護士会会長)、杉本健次(元JTB沖縄代表取締役社長)、野崎聖子(元沖縄弁護士会会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。

銀行業


預金業務、貸出業務、内国・外国為替業務、有価証券投資業務、国債などの窓口販売業務および信託業務などを提供しています。主に地域のお客さまや事業者を対象に、総合的な金融サービスを展開しています。

貸出金利息や有価証券利息配当金、および役務取引等に伴う手数料を主な収益源としています。運営は同社の子会社である沖縄銀行が行っています。

リース業


各種設備のリース業務およびそれに関連する割賦販売業務などを提供しています。主に沖縄県内の事業者を対象に、設備投資などの資金ニーズに応えるサービスを展開しています。

顧客からのリース料や割賦販売に伴う手数料を主な収益源としています。運営は同社の子会社であるおきぎんリースが行っています。

その他


金融商品取引業務、クレジットカード業務、コンピュータ関連業務、信用保証業務、金融経済の調査・研究業務、債権管理・回収業務およびコンサルティング業務などを提供しています。

各業務に伴う手数料やコンサルティング料を主な収益源としています。運営はおきぎん証券、おきぎんジェーシービー、おきぎんシステムソリューションズなどの各子会社がそれぞれ担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間において、経常利益は安定して拡大しており、増益傾向が続いています。直近の期ではさらに大幅な増益を達成しており、グループ全体の収益力が向上していることがうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - - - - -
経常利益 80億円 86億円 88億円 105億円 158億円
利益率(%) - - - - -
当期利益(親会社所有者帰属) 22億円 31億円 53億円 10億円 15億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益を分析します。売上高および売上総利益のデータは存在しませんが、営業利益は前期から増益となっており、本業における収益力の改善が見て取れます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - -
売上総利益 - -
売上総利益率(%) - -
営業利益 10億円 15億円
営業利益率(%) - -

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力の銀行業が貸出金利息の増加などにより大きく成長し、全体の増収を牽引しています。リース業も堅調に推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
銀行業 422億円 517億円
リース業 113億円 123億円
その他 53億円 64億円
連結(合計) 588億円 704億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 172億円 -1017億円
投資CF -1066億円 -483億円
財務CF -19億円 -28億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.1%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も5.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「地域密着・地域貢献」を経営理念(ミッション)に掲げています。また、目指すべき姿(ビジョン)として、金融と非金融の事業領域でお客さまをサポートすることで、カスタマー・エクスペリエンス(CX)を実現し、地域とともに成長する金融をコアとする総合サービスグループとなることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は行動規範(バリューアンドスピリット)として、「感動」「創造」「挑戦」の3つを掲げています。新たな価値を提供して顧客の感動をいちばんに考え行動すること、情熱と新たな発想で未来を創造すること、そして知性を磨き品性を高め、創意と進取の精神で挑戦することを重視する企業文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


第2次中期経営計画(2024年4月~2027年3月)において、最終年度である2026年度の目標経営指標として以下の数値を掲げて経営を行っています。

・連結経常収益:800億円
・連結当期純利益:120億円
・連結ROE:6.70%程度
・連結自己資本比率:11%程度

(4) 成長戦略と重点施策


第2次中期経営計画「成長の共創 ~おきなわの成長をともに創る~」に基づき、「地域社会の価値向上」「人的資本経営」「成長基盤の構築」の3本を戦略の柱として展開しています。沖縄県のリーディング産業振興への貢献や、非連続な成長を実現するための構造改革、マーケットインによるサービス提供に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


職員一人ひとりがグループと地域社会の成長を支える人財となるべく、多様な価値観を尊重し、能力を最大限に発揮できる組織を目指しています。「地域社会の価値向上に資する人財育成」「成長基盤の構築に資する人財育成」「ダイバーシティの推進」「職員の働きがいの創出とその向上」の4点について環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.9歳 18.8年 7,510,000円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 77.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 67.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(係長級以上)(36.1%)、職員全体に占める上級職の比率(約65%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) システム障害による業務停止リスク


金融サービスの提供における情報システムの重要性を鑑み、予期せぬシステム障害や誤作動など、システムの不備に伴い損失の発生に繋がるリスクがあります。同社はバックアップ体制の構築や業務継続計画の整備、クラウドサービスの活用などの対策を講じています。

(2) サイバー攻撃によるセキュリティリスク


近年のサイバー攻撃の高度化・巧妙化に伴い、同社はこれを経営上のトップリスクと認識しています。重大なインシデントが発生した場合、業務運営への影響に留まらず、顧客へ多大な影響を及ぼすリスクがあるため、セキュリティ管理態勢の強化に努めています。

(3) コンダクト・リスクによる信用低下


法令や社会規範に反する行為、または法令として整備されていなくても社会規範に悖る不適切な行為等により、顧客保護や市場の健全性、公正な競争、公共の利益および同社グループのステークホルダーに悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 個人情報の漏洩リスク


顧客に関するデータの漏洩、不正使用や悪用等が生じた場合、顧客の信用を失うほか、経済的・精神的損害に対する賠償等により、同社グループの業績に直接的な影響を与えるリスクがあります。個人情報の取扱いについては最大限の注意を払って事業を運営しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。