※本記事は、株式会社おきなわフィナンシャルグループ の有価証券報告書(第4期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. おきなわフィナンシャルグループってどんな会社?
沖縄銀行を中核とし、リース、証券、カード等の金融サービスを総合的に提供する地域金融グループです。
■(1) 会社概要
2021年10月、株式会社沖縄銀行の単独株式移転により設立され、東証一部(現プライム)に上場しました。同日、リース、カード、証券、システム関連の子会社を直接出資会社として再編しました。中核の沖縄銀行は1956年に設立され、県内経済の発展に寄与してきました。
連結従業員数は1,492名、単体では121名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第3位は従業員持株会です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.07% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.93% |
| おきなわフィナンシャルグループ従業員持株会 | 3.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.0%です。代表取締役社長は山城正保氏です。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山城 正保 | 取締役社長(代表取締役) | 1982年沖縄銀行入行。取締役総合企画本部長、代表取締役頭取を経て、2021年同社代表取締役社長。2023年より沖縄銀行代表取締役会長兼頭取、同社代表取締役会長兼社長を務め現職。 |
| 伊波 一也 | 専務取締役(代表取締役) | 1988年沖縄銀行入行。執行役員お客さま本部法人部長、常務取締役を経て、2021年同社常務執行役員。2023年より沖縄銀行代表取締役専務および同社代表取締役専務を務め現職。 |
社外取締役は、村上尚子(弁護士・元沖縄弁護士会会長)、当山恵子(司法書士・税理士)、比嘉満(元内閣府沖縄総合事務局経済産業部中小企業課長)、杉本健次(元JTB沖縄代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。
■銀行業
株式会社沖縄銀行において、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務、有価証券投資業務、国債等窓販業務および信託業務等を行っています。また、連結子会社にて信用保証業務や債権管理・回収業務なども展開しています。
主な収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金、各種手数料などです。運営は主に株式会社沖縄銀行が行っており、その他、おきぎん保証株式会社、おきぎんビジネスサービス株式会社などの連結子会社も業務を担っています。
■リース業
リース業務およびそれに関連する業務を行っています。地域の顧客に対して、機械設備や車両などのリースサービスを提供しています。
主な収益は、顧客からのリース料収入です。運営は主に株式会社おきぎんリースが行っています。
■その他
金融商品取引業務、クレジットカード業務、コンピュータ関連業務、コンサルティング業務等を行っています。
収益源は、証券業務の手数料、クレジットカードの年会費や取扱手数料、システム開発・運用の受託料などです。運営は、おきぎん証券株式会社、株式会社おきぎんジェーシービー、株式会社おきぎんエス・ピー・オーなどがそれぞれ行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の推移を見ると、経常収益は順調に増加傾向にあります。経常利益も増加基調で推移しており、特に直近期では100億円台に乗せました。一方、当期利益については変動が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 505億円 | 527億円 | 536億円 | 588億円 |
| 経常利益 | 80億円 | 86億円 | 88億円 | 105億円 |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 22億円 | 31億円 | 53億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高(経常収益)が増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 536億円 | 588億円 |
■(3) セグメント収益
銀行業セグメントが収益の柱となっており、全体の増収増益を牽引しています。リース業は横ばい、その他事業は増収ながら減益となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業 | 372億円 | 422億円 |
| リース業 | 113億円 | 113億円 |
| その他 | 53億円 | 53億円 |
| 調整額 | -2億円 | -0億円 |
| 連結(合計) | 536億円 | 588億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローがプラス、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスの「健全型」です。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -426億円 | 172億円 |
| 投資CF | -251億円 | -1,066億円 |
| 財務CF | -53億円 | -19億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は5.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
経営理念(ミッション)として「地域密着・地域貢献」を掲げています。また、目指すべき姿(ビジョン)として、金融と非金融の事業領域で顧客をサポートすることで、カスタマー・エクスペリエンス(CX)を実現し、地域とともに成長する金融をコアとする総合サービスグループを目指しています。
■(2) 企業文化
行動規範(バリューアンドスピリット)として、「感動:新たな価値を提供し、あなたの感動をいちばんに考動します」「創造:情熱と新たな発想で未来を創造します」「挑戦:知性を磨き、品性を高め、創意と進取の精神で挑戦します」を定めています。
■(3) 経営計画・目標
第2次中期経営計画「成長の共創~おきなわの成長をともに創る~」(2024年4月~2027年3月)を策定しています。2026年度の目標経営指標(ムーンショット目標)として、以下の数値を掲げています。
* 連結経常収益:710億円
* 連結当期純利益:110億円
* 連結ROE:6.2%程度
* 連結自己資本比率:11%程度
■(4) 成長戦略と重点施策
「地域社会の価値向上」「人的資本経営」「成長基盤の構築」の3つの戦略を軸に展開します。地域社会に対しては、リーディング産業振興への貢献や県民所得向上支援に取り組みます。成長基盤に関しては、非連続な成長を実現するための構造改革やマーケットインによるサービス提供、グループシナジーの発揮によるトップライン伸長を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
地域社会の価値向上や成長基盤の構築に資する人財育成、ダイバーシティの推進、職員の働きがいの創出・向上を掲げています。多様な価値観を尊重し、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる組織を目指し、経営戦略と人財戦略が連動した「人的資本経営」を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.4歳 | 19.3年 | 7,499,000円 |
※従業員は株式会社沖縄銀行からの兼務出向者です。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 18.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 63.0% |
※データは連結子会社である株式会社沖縄銀行のものです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 信用リスク
今後の経済環境や信用供与先の財務状況の悪化等により、資産価値が減少ないし消滅し、損失が発生する可能性があります。これら経済環境や与信先動向の変化の結果、同社グループの業績および財務内容の悪化、自己資本の減少につながる恐れがあります。
■(2) 市場リスク
資産・負債の金利または期間のミスマッチが存在する中での金利変動、有価証券等の価格変動、外貨建資産・負債における為替レートの変動により、損失が発生する可能性があります。これらのリスク顕在化により、業績および財務内容の悪化、自己資本の減少につながる可能性があります。
■(3) 流動性リスク
財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなくなる資金繰りリスクや、市場の混乱等により取引ができなくなる市場流動性リスクがあります。通常よりも著しく高い金利での調達や不利な価格での取引を余儀なくされた場合、損失が発生する可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。