#記事タイトル:ヤマエグループホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、ヤマエグループホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第4期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ヤマエグループホールディングスってどんな会社?
食品や住宅資材などを扱う総合卸売業です。九州を地盤に全国へ事業を拡大し、M&Aによる多角化を推進しています。
■(1) 会社概要
2021年に単独株式移転によりヤマエ久野の完全親会社として設立され、東京証券取引所市場第一部および福岡証券取引所に上場しました。2022年4月にはプライム市場へ移行し、同年8月に日本ピザハット・コーポレーションを子会社化しました。2023年にはコンフェックスホールディングスを子会社化し、2025年にヤマエグローバルを設立するなど事業拡大を続けています。
同グループの連結従業員数は5,997名、単体では137名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位はヤマエグループ社員持株会、第3位は従業員福利厚生団体であるヤマエ第一食栄会です。安定した株主構成のもと、経営が行われています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.59% |
| ヤマエグループ社員持株会 | 5.02% |
| ヤマエ第一食栄会 | 4.34% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表者は代表取締役社長COO最高執行責任者の大森礼仁氏です。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 網田 日出人 | 代表取締役会長CEO最高経営責任者 | 1974年ヤマエ久野入社。食品部長、営業統轄等を歴任し、2014年同社社長就任。2021年同社設立に伴い代表取締役会長兼社長、2023年より現職。 |
| 大森 礼 仁 | 代表取締役社長COO最高執行責任者 | 1979年ヤマエ久野入社。鮮冷部長、食品流通本部長等を歴任し、2021年同社社長就任。2023年より現職。 |
| 山田 良 二 | 取締役副社長CAO最高総務責任者本社部門統轄 | 1985年東京証券(現東海東京証券)入社。2003年ヤマエ久野入社後、総務部長等を歴任。2024年より現職。 |
| 丸山 武 子 | 常務取締役CHO最高人事責任者人事・総務担当 | 1987年ヤマエ久野入社。海外事業部長、人事部長を経て、2023年より現職。 |
| 工藤 恭 二 | 取締役 | 1985年ヤマエ久野入社。鮮冷本部長等を歴任し、2023年ヤマエ久野代表取締役社長(現任)。2024年より現職。 |
社外取締役は、安倍寛信(元三菱商事執行役員)、中西常道(公認会計士)、下坂正夫(日清製粉グループ本社内部監査部部長)、山本智子(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「食品関連事業」、「糖粉・飼料畜産関連事業」、「住宅・不動産関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 食品関連事業
一般加工食品、菓子、酒類、冷凍食品などの販売に加え、弁当や焼酎の製造、農水産物の加工販売、ピザハットなどの飲食サービスを行っています。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、外食産業などが主な顧客です。
商品の販売代金や飲食サービスの提供対価を主な収益源としています。運営は、中核事業会社のヤマエ久野のほか、日本ピザハット、コンフェックス、みのりホールディングス、ヤマエ菓子、河内屋ジェノスなどが担っています。
■(2) 糖粉・飼料畜産関連事業
製パン・製菓メーカーや食品加工業者向けに、砂糖、小麦粉、油脂などの食品原材料を販売しています。また、畜産農家や飼料メーカー向けに飼料、畜産物、水産物の販売を行うほか、自社グループで畜産農業も営んでいます。
食品原材料や飼料、畜産物などの商品販売代金が収益の柱です。事業運営は、ヤマエ久野を中心に、丸永、トップ卵、馬場飼料などのグループ会社が行っています。
■(3) 住宅・不動産関連事業
木材や建材、住宅設備機器の販売に加え、戸建住宅やマンションの建築工事、不動産の売買・賃貸事業を展開しています。工務店やハウスメーカー、一般個人顧客などが取引先となります。
建築資材の販売代金、工事請負代金、不動産の販売・賃貸収入などを収益源としています。ヤマエ久野に加え、ハイビック、ヤマエBUILD、ワイテック、LUMBER ONEなどの事業会社が運営しています。
■(4) その他
上記セグメントに含まれない事業として、運送事業、ガソリンスタンド等の燃料関連事業、レンタカー事業、情報処理サービス事業などを行っています。
物流サービス料、燃料販売代金、レンタカー利用料、情報システム利用料などを収益としています。主な運営会社は、ヤマエ石油、高千穂倉庫運輸、ヤマエレンタリース、九州栄孝エキスプレスなどです。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の業績を見ると、売上高は積極的なM&A効果もあり、5,036億円から1兆69億円へと倍増しています。利益面でも拡大基調にあり、経常利益は79億円から176億円へと大きく伸長しました。当期利益については、直近の数値において連結と単体のデータ混在が見られますが、全体として増収増益の力強い成長トレンドを示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,036億円 | 5,880億円 | 7,127億円 | 10,069億円 |
| 経常利益 | 79億円 | 122億円 | 148億円 | 176億円 |
| 利益率(%) | 1.6% | 2.1% | 2.1% | 1.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 16億円 | 29億円 | 48億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は約1.4倍に拡大し、売上総利益も大幅に増加しています。売上原価率は87.5%前後で推移しており、卸売業としての特性を示しています。営業利益率は1.6%から2.0%の範囲で推移しており、規模拡大に伴う販管費の増加を吸収しながら利益を確保しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,127億円 | 10,069億円 |
| 売上総利益 | 8,954億円 | 12,574億円 |
| 売上総利益率(%) | 12.6% | 12.5% |
| 営業利益 | 139億円 | 158億円 |
| 営業利益率(%) | 2.0% | 1.6% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が395億円(構成比36%)、従業員給料及び賞与が181億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全てのセグメントで増収を達成しています。特に食品関連事業は、子会社の新規連結効果や人流回復による需要増により大幅な増収となりました。住宅・不動産関連事業もM&A効果等により伸長しています。糖粉・飼料畜産関連事業もインバウンド需要や価格転嫁により堅調に推移しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 食品関連事業 | 5,054億円 | 7,687億円 |
| 糖粉・飼料畜産関連事業 | 1,039億円 | 1,160億円 |
| 住宅・不動産関連事業 | 811億円 | 987億円 |
| その他 | 222億円 | 235億円 |
| 調整額 | -億円 | -億円 |
| 連結(合計) | 7,127億円 | 10,069億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ヤマエグループホールディングスは、食品・酒類、食品原材料、飼料・畜産・水産物、住宅資材・木材の販売を主たる事業としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加や売上債権の減少により、前連結会計年度に比べて収入が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻しや関係会社清算による収入があったものの、有形固定資産等の取得による支出が前連結会計年度に比べて減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済や連結子会社の自己株式の取得等により、前連結会計年度に比べて収入が大きく減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 239億円 | 259億円 |
| 投資CF | -368億円 | -190億円 |
| 財務CF | 382億円 | -84億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「業界の公共性を十分理解し、社業の進展を通して社会に奉仕することを目標に、効率の高い営業体制をもって収益の向上に邁進する」を経営の基本理念として掲げています。「流通のトータルサポーター」として、効率的な営業体制の構築と社会貢献の両立を目指しています。
■(2) 企業文化
創業以来の基本理念を継承しつつ、「私たちは人・企業・社会をつなぎ、多様な豊かさと暮らしを一人ひとりの生活にお届けすることを通じて地域の発展、そして持続可能な社会の実現に向けて貢献し続けてまいります」というグループ理念を掲げています。サプライチェーン全体での価値創造とサステナブルな成長を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「Progress Go’25」において、「流通のトータルサポーター」としての進化と、サステナブルな成長を目指す企業グループへの変革を掲げています。
* 売上高:10,000億円
* 経常利益:220億円
* ROE:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「Progress(進化)」に向けた基本戦略として、「ガバナンス強化」「サステナビリティ戦略」「M&A戦略」「エリア・物流戦略」の4つを推進しています。M&Aや新規事業への成長投資、および設備投資やDX投資による効率化を進め、事業領域の拡大と経営基盤の強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人」を最も重要な経営資源と位置づけ、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。「ダイバーシティの推進」「人材育成の強化」「健康経営」を柱とし、全従業員が快適に働き続け、成長・活躍できる環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.1歳 | 1.7年 | 6,770,000円 |
※平均年間給与は、連結子会社から支給された年間の給与、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
※男女賃金差異(非正規雇用)は、対象者がいないため記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 国内市場・経済動向による影響
国内景気の動向や人口減少、少子高齢化などの人口構造の変化、海外情勢や為替相場の変動による取扱商品の価格高騰、物流コストの上昇などが、グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
■(2) 地域依存のリスク
売上高の50%以上を九州・沖縄エリアが占めています。関東・関西や海外への展開を進めていますが、依然として九州・沖縄エリアの経済環境や人口構造、自然災害などの動向が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 人材確保と育成のリスク
成長・拡大には専門知識や管理能力を持つ優秀な人材が不可欠です。積極的な採用や処遇改善を行っていますが、雇用情勢の変化により必要な人材を確保できない場合や、人件費が高騰した場合、業績に影響が出る可能性があります。また、過重労働等の労務問題が発生した場合、信用失墜につながるリスクがあります。



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