#記事タイトル:グローバルセキュリティエキスパート転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、グローバルセキュリティエキスパート株式会社 の有価証券報告書(第42期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. グローバルセキュリティエキスパートってどんな会社?
中堅・中小企業向けに「教育」を軸としたサイバーセキュリティサービスを多面的に展開する専門企業です。
■(1) 会社概要
同社は1984年、ビジネスブレイン太田昭和の100%出資により設立されました。2000年に現商号へ変更し、セキュリティ事業を本格化。2017年に兼松エレクトロニクスと資本業務提携を行い、2021年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2024年には子会社CyberSTARを設立し、連結決算体制へと移行しています。
連結従業員数は195名(単体165名)です。筆頭株主は経営コンサルティング等を行うビジネスブレイン太田昭和で、第2位はSIerの兼松エレクトロニクスです。事業会社との強固な提携関係を持ちながら、独立したセキュリティ専門企業として事業を展開しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ビジネスブレイン太田昭和 | 39.66% |
| 兼松エレクトロニクス | 20.31% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.92% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性0名の計13名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は青柳史郎氏です。社外取締役比率は46.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青柳 史郎 | 代表取締役社長 | 1998年ユニリタ入社。クラウドテクノロジーズ取締役等を経て2012年同社入社。営業本部長、経営企画本部長等を歴任し、2018年より現職。 |
| 原 伸一 | 代表取締役副社長 | 1991年アマダ入社。アドバンスト・リンク代表取締役等を経て2018年同社入社。管理本部長等を務め、2023年より現職。 |
| 三木 剛 | 常務取締役エリア統括 | 2007年神戸デジタル・ラボ入社。同社取締役等を経て2019年同社入社。西日本支社長等を歴任し、2025年6月より現職。 |
| 中村 貴之 | 常務取締役教育事業本部 本部長 | 2001年ソフトバンク・テクノロジー入社。スカイディスクを経て2019年同社入社。営業本部長等を歴任し、2025年6月より現職。 |
| 吉見 主税 | 取締役西日本支社 支社長 | 2005年EPコンサルティングサービス入社。同社取締役等を経て2020年同社入社。ITソリューション事業本部長等を歴任し現職。 |
| 鈴木 貴志 | 取締役サイバーセキュリティ事業本部 副本部長 テクノロジー統括部 統括部長サイバーセキュリティ研究所 所長 | 1992年三菱電機入社。フューチャーシステムコンサルティング等を経て2014年同社入社。サイバーセキュリティ事業本部本部長等を歴任し現職。 |
| 後藤 慶 | 取締役サイバーセキュリティ事業本部 副本部長 | 2003年日本サードパーティ入社。EPコンサルティングサービス等を経て2020年同社入社。ITソリューション事業本部本部長等を歴任し現職。 |
社外取締役は、近藤壮一(兼松エレクトロニクス専務)、岡田幸憲(ビジネスブレイン太田昭和執行役員)、上野宣(トライコーダ代表)、井上純二(元NEC経営監査本部専任監査役)、古谷伸太郎(公認会計士)、水谷繁幸(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「サイバーセキュリティ事業」および「その他」事業を展開しています。
■コンサルティング・脆弱性診断
企業のセキュリティ課題に対し、現状可視化やリスク分析を行い改善策を提案するコンサルティングと、ハッカーと同様の技術でシステムへの疑似攻撃を行い脆弱性を診断するサービス(タイガーチームサービス)を提供しています。主な顧客は中堅企業や官公庁です。
収益は、コンサルティングフィーや診断サービス料として顧客から受領します。セキュリティ体制構築支援や各種認証取得支援も含まれます。運営は主にグローバルセキュリティエキスパートが行っています。
■セキュリティ教育
企業全体のセキュリティリテラシー向上を図る訓練サービス(標的型メール訓練「トラップメール」等)や、エンジニア向けの認定資格トレーニング(EC-Council、SecuriST等)を提供しています。
収益は、訓練サービスの利用料や、教育講座の受講料・試験料から構成されます。運営は主にグローバルセキュリティエキスパートが行っています。
■セキュリティソリューション
最新の脅威に対抗するセキュリティ製品の提供や、インシデント発生時の緊急対応、事態収束後の再発防止サポートなどをワンストップで提供しています。
収益は、セキュリティ製品の販売代金や導入支援費用、運用管理サポート料などから得ています。運営は主にグローバルセキュリティエキスパートが行っています。
■ITソリューション・人材
ITインフラ構築等のソリューション提供に加え、パートナー企業のIT人材をセキュリティ人材へリスキリングした上で顧客に提供するSES(システムエンジニアリングサービス)を展開しています。
収益は、システム構築費用や、エンジニアの稼働に基づくSES利用料などから得ています。人材関連事業の運営は主に子会社のCyberSTARが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社は2025年3月期より連結財務諸表を作成しています。当期の売上高は88億円、経常利益は約16億円となりました。企業のDX推進やサイバー攻撃の増加を背景に、中堅・中小企業のセキュリティ対策ニーズを捉え、すべての事業部門で売上が伸長しました。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 88.0億円 |
| 経常利益 | 15.6億円 |
| 利益率(%) | 17.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 10.1億円 |
■(2) 損益計算書
2025年3月期の損益状況を見ると、売上高88億円に対し、売上総利益は31億円(利益率34.8%)を確保しています。営業利益は16億円(利益率18.3%)となり、人材投資などのコスト増を吸収して高い収益性を維持しています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 88.0億円 |
| 売上総利益 | 30.7億円 |
| 売上総利益率(%) | 34.8% |
| 営業利益 | 16.2億円 |
| 営業利益率(%) | 18.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が5.2億円(構成比36%)、役員報酬が1.7億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全てのサービス領域で需要が拡大しています。特にセキュリティソリューションとITソリューション(人材事業含む)が売上規模を牽引しており、コンサルティングや教育事業も堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) |
|---|---|
| コンサルティング | 18.6億円 |
| 教育 | 15.0億円 |
| セキュリティソリューション | 28.1億円 |
| ITソリューション | 26.3億円 |
| 連結(合計) | 88.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は32.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.8%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | 10.2億円 |
| 投資CF | -4.1億円 |
| 財務CF | -4.6億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「サイバーセキュリティ教育カンパニー」をコンセプトに掲げています。中堅企業において対策ニーズが高いものの専門人材が不足している現状を踏まえ、培った知見を社会に還元することで、日本の情報セキュリティレベル向上に貢献することを理念としています。
■(2) 企業文化
「教育」を軸とした多面的なサービス展開を重視しています。中堅・中小企業に最適化したサービスを提供することで顧客の自衛力を高めるとともに、セキュリティ人材不足という社会課題に対し、自社での人材育成やパートナー企業人材のリスキリングを通じて解決を図る姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、成長性と収益性を重視しており、以下の指標を重要な経営指標として定めています。具体的な数値目標については有価証券報告書内では言及されていませんが、これら指標の継続的な向上を目指しています。
* 売上高の前期比増加率
* 売上高営業利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
「サイバーセキュリティ教育カンパニー」の訴求強化、アップセル・クロスセルの推進、利益体質の強化に加え、西日本支社を足掛かりとした東京以外の商圏拡大、および人材リソース不足の解消を重点施策としています。また、持分法適用関連会社とのシナジー創出にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
セキュリティ人材不足に対し、専門人材の採用だけでなく、入社後の教育によってセキュリティ人材へと育成する方針をとっています。また、パートナー企業のIT人材をリスキリングしてSESとして提供するビジネスモデルを確立するなど、社内外のリソースを活用した人材確保に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.4歳 | 4.3年 | 7,403,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 需要の低迷に関するリスク
同社グループは中堅企業を主な顧客としています。現在、中堅企業におけるサイバーセキュリティ需要は活況ですが、経済環境の変化等により需要が著しく低迷した場合、事業展開や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合の出現に関するリスク
現在は中堅企業向けに最適化したサービス提供により独自のポジションを築いていますが、今後、同様の顧客層をターゲットとする競合が出現した場合、競争激化により事業展開や経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 人材の確保に関するリスク
サイバーセキュリティ業界では専門人材が不足しています。業容拡大に見合う十分な人材を確保できない場合、サービス提供の遅れや生産性の低下を招き、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社は教育による育成やパートナーシップ推進で対策していますが、人材流出等のリスクも存在します。



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