※本記事は、株式会社ネットプロテクションズホールディングス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
ネットプロテクションズホールディングスは純粋持株会社であり、単体従業員数は16名、グループ連結従業員数は377名です。
同社グループは、2002年より日本で初めて信用リスク保証型のBNPL(Buy Now Pay Later:後払い)決済サービスを提供する決済ソリューション事業を展開しています。与信審査から請求書発行、入金確認、督促、貸倒対応まで、決済関連業務全般をワンストップでアウトソースできるサービスを、連結子会社4社とともに提供しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、後払い決済事業を先駆的に展開し、「つぎのアタリマエをつくる」ことを目指す企業です。事業の成長を支えるため、従業員の自律性と自己実現を重視した独自の組織文化を築いています。階層のないティール型組織を採用し、個々人が主体的にイノベーションを生み出し、多様な働き方を実現できる環境が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社の平均年齢は38.4歳、平均勤続年数は2.6年となっています。平均勤続年数が比較的短めであることから、組織の成長フェーズや人材の流動性が活発である傾向がうかがえます。多様な経験を持つ人材が活躍しやすい環境であると考えられます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 11,661,379円 |
| 平均勤続年数 | 2.6年 |
| 平均年齢 | 38.4歳 |
| 単体従業員数 | 16人 |
| 連結従業員数 | 377人 |
| 単体のグループ内比率 | 4.2% |
同社グループは確定拠出型の退職給付制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)を導入しており、国内および海外のグループ会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、市場の変化に迅速に適応し、主体的にイノベーションを生み出し続ける組織基盤を最大の競争優位性と位置づけています。誠実で変革志向のWillを持つ人財を採用し、全体最適と長期視点を持てるよう成長を支援する方針です。
給与の決定においては、短期的な業績数値だけでなく「人間の器の拡大」と「スキルの向上」を重視する人事評価・報酬制度を導入しています。従業員は能力に応じた6段階のバンド(等級)に位置づけられ、バンドは成熟度や視野の広がりで評価されます。同バンド内では一定の昇給率で給与が上昇する仕組みにより、安心して挑戦できる環境を整えています。
具体的な人材戦略として、従来のピラミッド型管理職を置かない「自律分散型組織」を選択し、人財が自律的に役割を考え、領域を横断してコラボレーションできる環境を構築しています。マネージャー制度を廃止した人事評価制度「Natura」では、年次や役職に関係なく意見が尊重される意思決定が実現され、360°評価や定期面談を通じて成長を支援しています。また、「ワーキンググループ制度」により、誰もが部署横断的なプロジェクトに参画し、新規事業の創出や次世代アントレプレナーシップを備えた人財の育成を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ネットプロテクションズ
労働者の男女の賃金の差異は、報酬体系が男女同一であるため、等級構成に起因するものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 24.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 116.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 80.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 93.3% |
指標及び目標
数値は株式会社ネットプロテクションズのみです。育児休業からの復職率は、男性及び女性の従業員(臨時雇用者を除く)を母数として割合を算出しています。管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合について、管理的地位とは等級がバンド3以上の者を指します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児休業からの復職率 | 91.7% |
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 24.1% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ネットプロテクションズホールディングスは、BNPL(Buy Now Pay Later:後払い)決済サービスを主軸とする決済ソリューション事業を展開しています。同社グループは、純粋持株会社としてグループ全体の経営を統括しています。
同社グループは、信用リスク保証型のBNPL決済サービスを日本で初めて提供しました。このサービスは、与信審査から請求書発行、入金確認、督促、貸倒対応まで、一連の決済関連業務をワンストップでアウトソースできる点が特徴です。個人向け、法人向け、EC、対面販売など、多様な取引形態に対応する複数サービスを提供しています。
具体的には、「NP後払い」や「atone」といったB2C取引向けサービス、企業間取引を対象とした「NP掛け払い」などのB2B取引向けサービスを展開しています。また、「AFTEE」を通じて台湾やベトナムでも同様のサービスを提供しており、海外での事業も行っています。同社グループの収益は、これらの決済サービスを通じて加盟店から受領するシステム利用料や成約サポート手数料、債権買取手数料、購入者からの請求書発行手数料や延滞事務手数料などから得ています。数万社にわたる加盟店への依存度が低く、EC・決済市場全体のマクロ環境変化の影響を受けやすい事業構造となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
ネットプロテクションズホールディングスグループの過去5期間の業績は、営業収益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のいずれも増加傾向を示しています。特に直近の当連結会計年度では、営業収益、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益が前期から大きく増加しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 187億円 | 193億円 | 208億円 | 230億円 | 252億円 |
| 税引前利益 | 6.3億円 | △5.3億円 | △8.2億円 | 21.4億円 | 28.5億円 |
| 税引前利益率 | 3.4% | △2.7% | △3.9% | 9.3% | 11.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2.4億円 | △4.4億円 | △8.3億円 | 13.5億円 | 17.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 2.62 | △4.59 | △8.55 | 13.86 | 17.44 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり営業収益は前期から減少しましたが、従業員1人あたり営業利益は前期から増加しています。これは、同社グループの収益性が改善し、従業員一人あたりの利益創出能力が高まっていることを示しています。組織全体の効率化が進んでいる傾向が見られます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 68.5百万円 | 66.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.3百万円 | 7.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、安定した経営基盤を示しています。本業で着実に資金を生み出し、投資活動も賄えている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は24.7%であり、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と同程度の水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は8.6%で、プライム市場平均(9.4%)を下回っています。現金及び現金同等物は202億円と潤沢に確保されており、事業運営に必要な資金を十分に保持している状況です。これらの財務指標は、同社グループが安定した事業運営を継続するための基盤を有していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 192億円 | 210億円 |
| 自己資本比率 | 27.1% | 24.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.3% | 8.6% |
| 現金及び現金同等物 | 170億円 | 202億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは89.7億円のプラスとなり、前期から増加しています。これは本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは△17.5億円のマイナスで、主にシステム開発投資による無形資産の取得に資金を投じています。これは将来に向けた事業基盤の強化に積極的な姿勢が見られます。
財務活動によるキャッシュ・フローは△41.2億円のマイナスとなっており、主に短期借入金の返済に資金を充てています。結果として、フリーキャッシュ・フローは72.2億円のプラスを確保しており、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出している優良な状態です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した経営基盤を持ち、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 65.7億円 | 89.7億円 |
| 投資CF | △15.1億円 | △17.5億円 |
| 財務CF | 12.1億円 | △41.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 50.6億円 | 72.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの提供するBNPL決済サービスは、EC市場の成長に付随するものです。EC市場の成長が鈍化した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、BNPL決済市場では類似サービスを提供する事業者が増加しており、競争が激化するリスクがあります。これにより、手数料の減額や顧客離れが生じる可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、BNPL決済サービスの開発や推進に必要な特定の専門知識を持つ熟練した従業員の雇用と維持が不可欠であると認識しています。人材が確保できなかった場合や人材流出が進んだ場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、業容拡大に伴い、現在の社風に合致した人材を十分に確保できないリスクも指摘されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ネットプロテクションズホールディングスは、「つぎのアタリマエをつくる」というミッションを掲げ、事業と組織の両面で革新を追求する企業です。関わる全てのステークホルダーが「手間」なく「信用リスク」なく商取引を実現できる社会を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ネットプロテクションズホールディングスグループは、「つぎのアタリマエをつくる」をミッションに掲げています。事業と組織の両面で革新的な仕組みを創造し、それを社会に広げていくことを目指しています。具体的には、BNPL決済ソリューションの提供を通じて、関わる全てのステークホルダーが「手間」なく「信用リスク」なく商取引を実現できるよう貢献しています。
また、組織面では従業員個々人が自律的に役割を考え業務遂行する「ティール型組織」を採用し、現場担当者の意見を尊重した意思決定の実現を図っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、従業員個々人が自律的に役割を考え業務を遂行する「ティール型組織」を企業風土の根幹としています。これは、意思決定に関する権限や責任を個々の従業員に移譲し、組織の目的実現に向けて共鳴しながら行動する組織を指します。
「すべてのステークホルダーと真摯に向き合う」という組織規範を掲げ、顧客、株主、パートナー、従業員、そして地球環境に対しても真心をもって向き合うことを大切にしています。従来のピラミッド型管理職を置かない「自律分散型組織」を選択し、階層がなく部署間の摩擦が少ない環境で、人材が自律的に役割を考え、領域を横断してコラボレーションすることを促進しています。
人事評価制度「Natura」ではマネージャー制度を廃止し、年次や役職に関係なく意見や想いを尊重した意思決定を実現しています。また、部署や年次にとらわれない関係性づくりを支援する「ファミリー」制度も導入されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、ミッション実現と事業計画達成に向け、複数の課題に取り組んでいます。情報セキュリティ及びガバナンスの強化を重要課題と認識し、社内教育・研修の実施やシステムの強化・整備を進めています。
また、人材の高度化にも注力しています。ティール型組織の実践企業として、社員が自分らしく働ける文化や風土を実現しながら、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を積極的に採用し、事業成長に貢献させることを目指しています。
さらに、AIの活用による競争力強化及び収益性の向上も重点テーマです。組織全体におけるAI活用の比率を高めることで、業務プロセスの抜本的な効率化及び自動化を推進し、より強固な収益構造の構築と利益の最大化を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ネットプロテクションズホールディングスは監査等委員会設置会社であり、取締役会が業務執行の決定と監督を担っています。また、任意の指名・報酬委員会などを設置し、経営の健全性と透明性の向上に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ネットプロテクションズホールディングスの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるリコーリース、次いで投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズⅤ号が名を連ねています。その他、ジェーシービーなどの事業会社や、複数のアドバンテッジパートナーズ関連の投資ファンドが上位に位置しています。代表取締役社長も上位株主の一人であり、多様なステークホルダーによって支えられている状況がうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| リコーリース | 10.91% |
| 投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズⅤ号 | 10.64% |
| ジェーシービー | 8.78% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.18%です。代表取締役社長は柴田紳氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柴田 紳 | 代表取締役 社長 | 1998年日商岩井入社、2001年ITX入社。同年ネットプロテクションズ出向取締役、2004年同社代表取締役。2018年7月同社代表取締役社長より現職。 |
| 山下 貴史 | 取締役 CIO | 1999年エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア入社。2006年デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム入社。2014年ネットプロテクションズ入社。2024年6月同社取締役CIOより現職。 |
| 秋山 瞬 | 取締役 | 2005年ジェイブレイン入社。2009年ネットプロテクションズ入社。2017年同社執行役員。2024年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、江尻裕一氏(yamanoha代表取締役)、中村公美氏(LIFULL社外取締役)、滝田健太郎氏(リコーリース執行役員経営管理本部長)、中野功一氏(ネットプロテクションズ監査役・監査等委員・監査等委員会委員長)、佐藤有紀氏(創・佐藤法律事務所代表弁護士・監査等委員)、石井隆一氏(クオンタム・リープ・グロース・イニシアティブ代表取締役社長Co-Founder・監査等委員・指名・報酬委員長)、市川雄介氏(アドバンテッジパートナーズパートナー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が経営の意思決定と監視に貢献しています。監査等委員である取締役は、取締役の業務執行状況を監査・監督し、コーポレート・ガバナンスの健全な機能維持を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ネットプロテクションズホールディングスでは、役員報酬は月額固定報酬、業績連動報酬、株式報酬で構成されています。常勤取締役には、企業業績や個人の貢献度を考慮した月額固定報酬に加え、GMVや税引前利益を指標とする業績連動報酬が毎月支給されます。また、譲渡制限付株式や、TSR、GMV、税引前当期純利益などを組み合わせた業績目標達成度に応じた業績連動型株式報酬も導入されており、経営責任とインセンティブの連動が図られています。
なお、報酬等の支給対象となる役員には、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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