※本記事は、株式会社ヌーラボ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ヌーラボグループは、「To make creating simple and enjoyable-創造を易しく楽しくする-」をミッションに掲げ、企業や個人の生産性向上を目的としたクラウドサービス事業を展開しています。プロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、情報セキュリティ・ガバナンス強化ツール「Nulab Pass」の3つのサービスを提供しています。
単体従業員数は189名、連結従業員数は207名です。同社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントです。
同社グループの事業は、ヌーラボが提供するクラウドサービスが中心であり、国内においてはヌーラボが直接事業を展開しています。
「Typetalk」サービスは2025年12月1日に終了し、連結子会社であるNulab USA, Inc.及びNulab Netherlands B.V.は清算手続き中です。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ヌーラボは、クラウドサービス事業を展開する企業として、従業員の多様な働き方を支援し、個々の自律性を尊重する企業文化を築いています。給与水準や働き方の具体的なデータは、以下の各項目で詳しくご紹介します。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的短く、平均年齢も若めの傾向が見られます。これは、組織の年齢構成や人材の定着状況の一端を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,762,746円 |
| 平均勤続年数 | 4.2年 |
| 平均年齢 | 38.5歳 |
| 単体従業員数 | 189人 |
| 連結従業員数 | 207人 |
| 単体のグループ内比率 | 91.3% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ヌーラボグループは、「To make creating simple and enjoyable-チームの創造を易しく楽しくする-」というミッションのもと、プロジェクト管理ツールなどの開発・提供を通じてチームのコラボレーションを促進しています。中長期的な成長のため、優秀な技術者や販売体制の強化、管理部門の人材確保と育成を重要な経営課題と位置付けています。特にAIを活用したサービス開発や新規事業創出プログラム「Nu Source」を通じた挑戦には、多様な人材の獲得が不可欠であると考えています。
給与は、個々の従業員の経験・技能・職務遂行能力・職務内容・勤務成績・勤務態度等を総合的に勘案して決定されます。給与改定は会社業績および人事考課の結果に基づいて定期的に実施され、公正性・客観性が規程に定められています。賞与は基本給をベースに勤務成績等を勘案して決定され、会社の業績や経営状況に応じて決算賞与が支給される場合もあります。
人材育成においては、ダイバーシティとインクルージョンをコラボレーションの核と捉え、「ダイバーシティとインクルージョンのポリシー」を策定し、新入社員向けの研修を実施しています。採用時の勤務地要件の原則廃止や社内規程のジェンダーレス化など、多様な人材が活躍できる環境整備を継続しています。書籍購入補助手当や研修補助手当、語学学習支援といった各種学習支援制度も整備し、従業員の自発的なスキル向上を支援しています。
また、従業員一人ひとりが自律的に働ける環境を重視しており、コアタイムのないフレックスタイム制や在宅勤務制度を導入しています。出産・育児・介護休暇制度、子育て支援休暇、慶弔見舞金制度なども整備し、ライフスタイルに合わせた働き方をサポートしています。定期的なギャザリングや部活動補助制度によるコミュニケーション活性化、有休奨励日の設置による年次有給休暇取得促進、育児休業からの復職者向けキャリア形成支援など、従業員エンゲージメント向上に向けた多様な取り組みを行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は公表義務の対象とならない海外子会社のため、記載を省略しています。男女賃金差異のうち、正規雇用労働者およびパート・有期労働者に関する項目は開示されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 12.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 83.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 81.3% |
グループ全体(連結)
当社グループの連結ベースの指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 83.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ヌーラボは、企業や個人の生産性向上を目的としたクラウドサービス事業を展開しています。チームのコラボレーションを促進し、働くことを楽しくするツールの提供を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ヌーラボは、クラウドサービス事業の単一セグメントで事業を展開しています。主にプロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、組織の情報セキュリティ・ガバナンスを高めるツール「Nulab Pass」の3つのサービスを提供しています。これらのサービスは、企業や個人の生産性向上を支援するものです。
収益モデルは、主に顧客の使用期間や使用容量、ユーザー数等に応じた定期定額契約(サブスクリプション)による継続的な課金が特徴です。特に「Backlog」は一部プランを除きユーザー数無制限の料金体系を採用しており、非IT分野での利用も拡大しています。
同社グループの売上高は、BacklogとNulab Passの有料契約件数の増加により伸びています。一方で、ビジネスチャットツール「Typetalk」は、経営資源の選択と集中を目的としてサービスを終了しました。また、連結子会社であるNulab USA, Inc.及びNulab Netherlands B.V.は清算手続きを進めており、経営資源の最適配分と財務体質の健全化を図っています。
地域別の売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えており、国内市場が中心です。特定の主要顧客への売上集中は見られません。なお、営業外収益には為替差益の計上があることから、為替変動の影響を受ける側面もあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期間にわたり増加傾向を示しています。しかし、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は変動が見られ、特に当連結会計年度は前期と比較して減少となりました。
当連結会計年度の営業利益は前期から減少しており、販売費及び一般管理費の増加が影響しています。親会社株主に帰属する当期純利益の減少には、連結子会社の清算に伴う事業構造改善引当金繰入額や本社オフィスの移転に伴う減損損失などの特別損失の発生も影響しています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは継続して獲得しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 23.3億円 | 27.1億円 | 36.6億円 | 41.1億円 | 43.9億円 |
| 経常利益 | 1.6億円 | 93百万円 | 3.3億円 | 6.4億円 | 3.7億円 |
| 経常利益率 | 7.0% | 3.4% | 9.0% | 15.6% | 8.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.0億円 | 88百万円 | 3.1億円 | 5.5億円 | 1.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 33.31 | 13.98 | 47.73 | 85.25 | 27.67 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から減少となりました。これは、売上高の伸びに対し、従業員数の増加や販売費及び一般管理費の増加が影響している状況を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.8百万円 | 21.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.6百万円 | 1.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で資金を生み出しているものの、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。そのため、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準を維持しています。当期のROE(自己資本利益率)はプライム市場平均とほぼ同水準であり、前期からは減少しています。手元資金である現金及び預金は潤沢に確保されており、事業運営の安定性を示すものとなっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 19.1億円 | 19.8億円 |
| 自己資本比率 | 45.0% | 43.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 34.1% | 9.2% |
| 現金及び預金 | 31.3億円 | 29.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、当期において2.8億円の獲得となりました。これは主に税金等調整前当期純利益や前受収益の増加によるものです。しかし、前期の7.5億円と比較すると減少しています。
投資活動によるキャッシュフローは、当期において△3.5億円の使用となりました。これは主にソフトウエア及びソフトウエア仮勘定等の無形固定資産の取得による支出が増加したためです。前期の△1.3億円と比較すると、投資支出が拡大している状況です。
財務活動によるキャッシュフローは、当期において△1.0億円の使用となりました。これは主に自己株式の取得による支出によるものです。結果として、本業で得た資金を投資に充てた結果、自由に使える資金であるフリーキャッシュフローは当期に△0.7億円となり、前期の6.2億円の獲得からマイナスに転じています。これは、将来の成長に向けた積極的な投資フェーズにあることを示しており、今後の事業拡大への期待が持てる一方で、短期的な資金の流動性には注意が必要な状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.5億円 | 2.8億円 |
| 投資CF | △1.3億円 | △3.5億円 |
| 財務CF | △1百万円 | △1.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.2億円 | △0.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの売上高は、主力サービスであるBacklogが全体の92.0%を占めています。そのため、Backlogの売上高が著しく減少した場合、事業及び業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、コラボレーションツール市場には競合企業が複数存在しており、今後も新規参入やAI技術の進展による競争激化のリスクがあることを示しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大のために優秀な人材の確保、育成及び定着が不可欠であると認識しています。人材獲得競争の激化や人材流出が進んだ場合、経常的な業務運営及び事業拡大に支障が生じ、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
当連結会計年度において、連結子会社の清算に伴う事業構造改善引当金繰入額98百万円が特別損失として計上されています。この費用は事業再編・拠点統廃合・人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ヌーラボは、創造を易しく楽しくすることをミッションに掲げ、チームのコラボレーションを促進するサービスを提供しています。多様性とインクルージョンを重視し、従業員が個々のライフスタイルに合わせて活躍できる環境づくりに力を入れている会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「To make creating simple and enjoyable-創造を易しく楽しくする-」をミッションに掲げています。プロジェクト管理ツール「Backlog」などの開発・改良を通じて、企業がビジネスを行う上で必要となるサービスをフルラインナップで提供し、企業価値の増大を目指しています。
業務フロー全体の円滑化をサポートし、コミュニケーションだけでなくチームのコラボレーションを促進する企業としてのポジション確立を目指しています。また、エンジニア以外の幅広い職種の方々にも親しみやすいUIとシンプルな操作性を追求したサービス展開を進めています。
「チームの仕事を前に進める世界」を実現するため、ユーザー数無制限のライセンス形態で蓄積されたナレッジデータをAIと共生させ、機能開発と体制構築を加速させています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」というブランドメッセージを掲げています。コラボレーションのコアとしてダイバーシティ(多様性)とインクルージョンを非常に重要視しており、「ダイバーシティとインクルージョンのポリシー」を策定・公表しています。
このポリシーを社内で徹底するため、新入社員には「ダイバーシティ研修」を実施しています。また、多様性のある人材採用を加速させるため「採用ポリシー」を公表し、採用時の勤務地要件の原則廃止といった取り組みも行っています。
個々のライフスタイルに合わせて活躍できる環境を実現するため、コアタイムのないフレックスタイム制や在宅勤務、出産・育児・介護休暇制度などを整備しています。学習・研修支援制度や慶弔見舞金制度も導入されています。
従業員同士のコミュニケーション活性化のため、定期的なギャザリングや部活動補助制度を実施しています。また、有休奨励日の設置を通じて年次有給休暇の取得促進にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、今後の成長を実現する上で、「優秀な人材の継続的な採用と育成」を重要な経営課題としています。優秀な技術者や販売体制の増強、管理部門の強化に向けた人材確保と育成を進め、従業員が能力を最大限発揮できる体制構築を目指しています。
次に、「情報管理体制の強化」も重点テーマです。顧客の機密情報を含む様々な情報を預託・保存しているため、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得や社内教育・研修、システムの整備を通じて、情報管理を継続的に強化しています。
さらに、「内部管理体制の強化」も重視しています。効率的なオペレーション体制を基盤としつつ、コンプライアンス体制と内部統制の充実・強化を図ることで、更なる事業拡大と企業価値向上を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ヌーラボは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営の意思決定と監督を担う体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役である橋本正徳氏です。上位には個人株主や投資事業有限責任組合が名を連ねており、多様な主体によって支えられている資本構成となっています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 橋本 正徳 | 24.46% |
| SHINSUKE TABATA | 23.57% |
| Founder Foundry1号投資事業有限責任組合 | 5.05% |
| アリオト | 4.57% |
| SBI証券 | 3.40% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役は橋本正徳氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 橋本 正徳 | 代表取締役 | 2004年3月に同社を設立し代表取締役に就任。それ以前は有限会社橋本建装やメディアファイブ株式会社に勤務。 |
| 小川 淳 | 取締役 | 株式会社リクルート、グーグル株式会社等を経て、2025年9月に同社に入社。2026年6月より取締役COOに就任。 |
| 中島 成一朗 | 取締役 | 株式会社IHI、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社等を経て、2025年3月に同社に入社。2026年6月より取締役CPOに就任。 |
社外取締役は、小笹文氏(合同会社カラフル 代表社員)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役1名と社外監査役3名を含む体制で、経営の透明性と公正性を確保しています。社外取締役は、企業経営の経験と見識に基づき、客観的かつ独立した視点から経営全般の監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、非金銭報酬等(ストック・オプションおよび譲渡制限付株式)の組み合わせで構成されています。固定報酬は月額で支給され、業績連動報酬は連結売上高や有料契約数の成長率を指標としています。また、中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして、ストック・オプションや譲渡制限付株式による非金銭報酬も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 57百万円 | 14.3百万円 |
| 社外取締役 | 1名 | 6百万円 | 5.6百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 20百万円 | 6.8百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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