※本記事は、SBIリーシングサービス株式会社の有価証券報告書(第8期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. SBIリーシングサービスってどんな会社?
航空機・船舶等のオペレーティング・リース事業ファンドの組成・販売を行うSBIグループ企業です。
■(1) 会社概要
同社は2017年に設立され、同年6月にSBIマネープラザよりオペレーティング・リース事業に係るファンドを譲り受けました。2019年には小型航空機などを扱うゼネラルアビエーション事業を開始し、2022年10月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。その後、2023年には投資運用業の登録を行っています。
連結従業員数は58名、単体従業員数は58名です。筆頭株主はSBIホールディングスの完全子会社であるSBIノンバンクホールディングスで、第2位は証券金融会社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBIノンバンクホールディングス | 62.63% |
| 日本証券金融 | 3.18% |
| NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN(CASHPB) | 2.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名、計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は佐藤公平氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 公平 | 代表取締役会長兼社長 | 野村證券執行役等を歴任後、2022年SBIホールディングス顧問。2023年6月より現職。 |
| 階戸 雅博 | 取締役副社長 | SBI証券執行役員、SBIマネープラザ取締役執行役員常務、同社社長を経て2020年4月より現職。 |
| 吉原 寛 | 常務取締役 | 野村證券公開引受部長等を経て、2020年同社取締役。2024年6月より現職。 |
| 鈴木 治 | 常務取締役 | 野村バブコックアンドブラウン執行役員、三井住友ファイナンス&リース執行役員を経て、2024年6月より現職。 |
| 真鍋 修平 | 取締役 | 芙蓉総合リース等を経て、SBIリース(現三井住友トラスト・パナソニックファイナンス)代表取締役。2018年3月より現職。 |
社外取締役は、粟野公一郎(村田・若槻法律事務所弁護士)、西堀耕二(元税理士法人トーマツ理事長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「オペレーティング・リース事業」単一セグメントですが、提供サービスにより「ファンド事業」「ゼネラルアビエーション事業」「プリンシパルインベストメント事業」に区分して展開しています。
■ファンド事業
航空機、船舶等の大型償却資産を対象としたリースファンド(JOL/JOLCO)を組成し、投資家に販売しています。主な顧客は、減価償却メリットやキャピタルゲインを求める法人投資家です。
収益は、案件組成や管理による手数料、およびリース物件の売却益等から得ています。同事業では、同社および子会社(SPC)が業務執行組合員や営業者となり、投資家からの出資金と金融機関からの借入金で資産を購入し、航空会社等にリースします。運営は主に同社および子会社が行っています。
■ゼネラルアビエーション事業
ヘリコプターを含む小型航空機を対象としたリース事業案件の組成・販売・管理を行っています。また、航空会社等の需要家に向けて機材の販売も行います。
投資家へのリース事業案件の譲渡による収益や、機材の販売収益を得ています。比較的少額かつ短い投資期間の商品を提供することで、投資家の多様なニーズに対応しています。運営は主に同社が行っています。
■プリンシパルインベストメント事業
同社グループの資金で航空機や船舶等の大型償却資産を購入し、航空会社や海運会社等へオペレーティング・リース形式で賃貸する事業です。
借り手(レッシー)からのリース料収入およびリース満了時の物件売却によるキャピタルゲインを収益としています。自社グループのリソースを活用した投資事業として位置づけられています。運営は主に同社子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は変動が見られますが、経常利益は安定的な成長傾向にあります。直近の2025年3月期は減収となりましたが、利益率の大幅な改善により、各利益段階で増益を達成しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 120億円 | 296億円 | 396億円 | 541億円 | 419億円 |
| 経常利益 | -7億円 | 28億円 | 35億円 | 49億円 | 61億円 |
| 利益率(%) | -5.6% | 9.5% | 8.9% | 9.1% | 14.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -76億円 | 104億円 | 23億円 | 32億円 | 41億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い売上原価が大きく減少したことで、売上総利益は増加しました。これにより営業利益率も改善し、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 541億円 | 419億円 |
| 売上総利益 | 83億円 | 105億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.3% | 24.9% |
| 営業利益 | 53億円 | 67億円 |
| 営業利益率(%) | 9.8% | 16.1% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が14億円(構成比37%)、従業員給与が7億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは、「オペレーティング・リース事業」単一セグメントであり、サービスごとの収益は開示していません。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、案件組成や手数料収入といった営業活動に加え、ファンド事業やゼネラルアビエーション事業の運転資金を効率的に調達するため、融資枠や社債発行による財務活動を行っています。
営業活動では、案件組成や各種手数料収入により資金を生み出しています。投資活動については、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保するための活動を行っています。財務活動では、コミットメントライン等の融資枠や社債発行により、事業運営に必要な資金を調達しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -267億円 | -265億円 |
| 投資CF | -2億円 | -1億円 |
| 財務CF | 256億円 | 229億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「100年企業への挑戦」を経営理念として掲げています。航空機・船舶等の価値ある優良資産を対象とした魅力ある商品の組成・販売を通じて、投資家、パートナー、借り手(レッシー)の持続的な成長に貢献することを目指して事業に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は「インテグリティ重視・安心安全・高度な専門性発揮」を事業の基本運営方針の一つとしています。誠実、真摯、高潔などを意味するインテグリティを重視した行動を基礎に、働く人やステークホルダーにとって安心安全で、顧客に対して高度なソリューション提供力を発揮する会社を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「平均10%+αの安定・継続的な経常利益成長」を運営方針として掲げ、経営目標の達成状況を判断する指標として経常利益を重視しています。
* 2026年3月期の経常利益予想:70億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は安定・継続的な事業成長を目指し、顧客ニーズに対応した商品ラインナップの拡充や多様な商品戦略に取り組んでいます。具体的には、JOL・JOLCO商品、航空機・船舶、円建て・ドル建て等を組み合わせた多様な商品の提供、およびパートナーやSBIグループとの連携深化による事業基盤の拡大を重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は事業を支える優秀な人材の確保を最重要課題とし、高度な専門知識や経験を持つ「プロフェッショナル人材の確保及び育成」を掲げています。オペレーティング・リース取引の業界経験者等を積極的に採用するとともに、教育研修制度の拡充や業務環境の整備により、従業員エンゲージメントの向上と人材の長期定着を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.0歳 | 2.9年 | 10,879,373円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(75%)、eNPS -44(-44)、月間平均残業時間(14時間38分)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ファンド事業におけるリスク
同社のファンド事業では、借り手(レッシー)の業績悪化によりリース料支払いが滞った場合や、リース期間終了時の物件売却価格が想定を下回った場合に、投資家の元本毀損等のリスクがあります。これにより、同社商品の販売減少や手数料収入の減少など、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 資金調達に関するリスク
同社事業は、商品組成時の立替出資や航空機等の仕入に多額の資金を必要とします。資金調達は主に金融機関からの借入等に依存しているため、経済状況の悪化等により借入等が困難になった場合、ファンド組成に支障が生じ、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、借入金に係る財務制限条項への抵触リスクもあります。
■(3) 特定取引先への依存に関するリスク
航空機にかかるオペレーティング・リース事業において、ファンド組成のアレンジの多くを業務提携先であるABL Aviationに依存しています。同社との関係維持が困難になった場合、ファンド組成や販売ができなくなり、同社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。



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