※本記事は、SBIリーシングサービス株式会社の有価証券報告書(第9期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. SBIリーシングサービスってどんな会社?
航空機や船舶等を対象とするオペレーティング・リースファンドの組成と販売を中心に事業を展開しています。
■(1) 会社概要
2017年4月に設立され、同年6月にSBIマネープラザが行っていたオペレーティング・リース事業に係るファンドを譲受しました。2019年に小型航空機等を扱うゼネラルアビエーション事業を開始し、オートパンサーから事業を承継しています。2022年10月には東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。
従業員数は連結66名、単体66名体制で事業を運営しています。筆頭株主は同社の親会社であるSBIノンバンクホールディングスで、第2位は個人の石井良明氏、第3位は過去に事業を承継した経緯のある事業会社のオートパンサーとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBIノンバンクホールディングス | 61.96% |
| 石井 良明 | 2.80% |
| オートパンサー | 2.08% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は佐藤公平氏です。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤公平 | 代表取締役会長兼社長 | 1984年野村證券入社。野村ホールディングス経営企画部長、野村バブコックアンドブラウン代表取締役社長等を経て、2023年6月より現職。 |
| 階戸雅博 | 取締役副社長(管掌 事業開発本部) | 1995年三和銀行入社。SBI証券執行役員商品部長等を経て、2017年4月同社代表取締役社長に就任。2020年4月より現職。 |
| 吉原寛 | 常務取締役(管掌 管理本部) | 1987年野村證券入社。同社公開引受部長、野村バブコックアンドブラウンコーポレート統括部長等を経て、2024年6月より現職。 |
| 鈴木治 | 常務取締役(管掌 営業本部) | 1988年日本電信電話入社。野村バブコックアンドブラウン執行役員、三井住友ファイナンス&リース執行役員等を経て、2024年6月より現職。 |
| 真鍋修平 | 取締役(管掌 経理部、財務部) | 1988年芙蓉総合リース入社。SBIリース(現三井住友トラスト・パナソニックファイナンス)代表取締役等を経て、2018年3月より現職。 |
社外取締役は、粟野公一郎(村田・若槻法律事務所)、西堀耕二(元デロイトトーマツ税理士法人理事長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「オペレーティング・リース事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) ファンド事業
投資家からの出資金および金融機関からの借入金を用いて、航空機や船舶などの大型償却資産を購入し、航空会社や海運会社にオペレーティング・リース形式で賃貸するサービスを提供しています。リース満了時には市場で資産を売却し、キャピタルゲインの獲得を目指すファンド商品を投資家向けに組成・販売しています。
収益源は、案件組成や事業管理にかかる手数料、ならびにリース物件や匿名組合出資持分の投資家への販売・譲渡による手数料収入などです。運営は同社、および案件ごとに設立されるSPC(特別目的会社)等の子会社が主体となって行っています。
■(2) ゼネラルアビエーション事業
ヘリコプターを含む小型航空機を対象に、定期航空運送路線以外の運航会社等を借り手としたリース事業案件の組成、管理、および投資家への販売までの一連のサービスを提供しています。また、航空会社などの需要家に対して直接、機材の販売やリースを行う事業も展開しています。
投資家への販売や譲渡を通じた手数料収入に加え、需要家に向けた機材の販売およびリース取引そのものから収益を得ています。当事業の運営は同社が主体となって行っています。
■(3) プリンシパルインベストメント事業
金融機関からの借入金などを活用して航空機や船舶等の大型償却資産を購入し、航空会社や海運会社等の借り手に対して直接オペレーティング・リース形式で賃貸するサービスを提供しています。リース満了時には資産の市場売却等によるキャピタルゲインの獲得を目指します。
借り手である航空会社や海運会社から受け取るリース料の収入を主な収益源としています。運営は同社の子会社が主体となり、金融機関や同社からの借入金を用いて事業を推進しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は年度により変動が見られますが、直近の2026年3月期には643億円と大幅な増収を達成しています。経常利益は毎期着実に増加しており、利益率も直近2期は13%以上の高水準で推移し、安定した成長基調を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 296億円 | 396億円 | 541億円 | 419億円 | 643億円 |
| 経常利益 | 28億円 | 35億円 | 49億円 | 61億円 | 87億円 |
| 利益率(%) | 9.5% | 8.9% | 9.1% | 14.5% | 13.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 104億円 | 23億円 | 32億円 | 41億円 | 57億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期間の419億円から当期間は643億円へと大きく拡大しました。これに伴い売上総利益や営業利益も順調に増加しており、営業利益率は15%台を維持するなど、高い収益性を確保していることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 419億円 | 643億円 |
| 売上総利益 | 105億円 | 139億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.9% | 21.7% |
| 営業利益 | 67億円 | 97億円 |
| 営業利益率(%) | 16.1% | 15.1% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が16億円(構成比38%)、従業員給与が7億円(同16%)、租税公課が4億円(同10%)を占めています。
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなる「健全型」です。本業の営業利益で借入金の返済を進めつつ、必要な投資も手元資金で賄うことができる優良な状態にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -265億円 | 0億円 |
| 投資CF | -1億円 | -3億円 |
| 財務CF | 229億円 | -16億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は25.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
投資家、パートナー、借り手(レッシー)に対して、航空機や船舶等の価値ある優良資産を対象とした魅力ある商品の組成と販売を行い、「100年企業への挑戦」という経営理念のもと、ステークホルダーの持続的な成長に貢献できるよう事業に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
インテグリティ(誠実、真摯、高潔)を重視した行動を基礎としています。働く人やあらゆるステークホルダーにとって安心安全であり、かつ顧客に対して高度なソリューション提供力を発揮するプロフェッショナルな会社を目指す文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
安定・継続的事業成長を目指し、2027年3月期から2029年3月期までを対象期間とする中期経営計画において、経常利益の安定・継続的な成長を事業の基本運営方針として掲げています。
* 平均10%+αの安定・継続的な経常利益成長
* 2027年3月期の経常利益額:89億円
■(4) 成長戦略と重点施策
国内外の経済・金融情勢や多様な顧客ニーズに対応するため、付加価値の高いオペレーティング・リース商品を提供し事業基盤の拡大を図ります。有力アレンジャーやSBIグループ各社との協業を通じて商品提供体制を充実させるとともに、業務の効率化と高度化に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)やAIの活用を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
安定・継続的な事業成長を実現するため、オペレーティング・リース業界経験者や高度な金融専門知識を有するプロフェッショナル人材の積極的な採用を進めています。また、継続的な教育研修制度の充実や働きやすい業務環境の整備を通じて、従業員エンゲージメントの向上および人材の長期定着を図る方針を掲げています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.5歳 | 3.3年 | 11,326,373円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、月間平均残業時間(13時間12分)、有給休暇取得率(74%)、定着率(87%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 借り手(レッシー)の業績悪化リスク
ファンド事業において、借り手である航空会社などの業況が悪化しリース料が支払われない場合、ファンドの収益が悪化して投資家の出資金元本が毀損する可能性があります。この結果、同社が組成する商品への投資意欲が低下し、手数料収入などの経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
■(2) 航空・海運業界への依存リスク
取扱うオペレーティング・リースファンドのリース物件は航空機や船舶等であり、これらの業界の設備投資動向に大きく影響を受けます。両業界の業績や市況次第では、投資家の信頼低下やリース期間終了後の物件売却価格の下落が生じ、商品の販売やファンドの組成が困難になる可能性があります。
■(3) 金融商品取引法等の規制リスク
商品の私募の取扱いや売買を行うため、第二種金融商品取引業などの登録を受けています。法令違反により登録取消しや業務停止命令等の行政処分を受けた場合、ファンドの組成および販売活動に重大な支障が生じ、同社グループの事業展開や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。



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