※本記事は、株式会社ハルメクホールディングス の有価証券報告書(第6期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. ハルメクホールディングスってどんな会社?
シニア女性の「よりよく生きる」を応援するプラットフォーム企業です。雑誌「ハルメク」を軸に、通販やイベント等の多角的なサービスを展開しています。
■(1) 会社概要
1989年設立のユーリーグを前身とし、民事再生を経て2009年に事業譲受。2016年にハルメクへ商号変更し、2020年にMBOを実施しました。2021年に持株会社である同社が旧ホールディングスを吸収合併し、2023年にグロース市場へ上場。現在は持株会社体制でグループ経営を行っています。
連結従業員数は414名、単体では77名です。筆頭株主はエンジェル投資家の松島陽介氏、第2位は代表取締役社長の宮澤孝夫氏、第3位はエンジェル投資家の山元雄太氏です。経営陣やその資産管理会社、個人投資家が主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 松島 陽介 | 17.27% |
| 宮澤 孝夫 | 14.69% |
| 山元 雄太 | 13.82% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表者は代表取締役社長の宮澤孝夫氏です。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮澤 孝夫 | 代表取締役社長 | ボストンコンサルティンググループ、テレマーケティングジャパン代表取締役兼CEOを経て、2009年より同社グループの経営に参画。2020年より現職。 |
| 石井 文範 | 取締役CFO | 東海銀行、ミスミグループ本社などを経て、2021年より現職。 |
| 土屋 淳一 | 取締役 | テレマーケティングジャパンなどを経て、2009年より同社グループCFOなどを歴任。2020年より現職。 |
| 山岡 朝子 | 取締役 | 主婦と生活社を経て、2017年よりハルメク編集長。2021年より現職。 |
社外取締役は、髙橋伸治(西本WismettacHD執行役員)、林南平(NHパートナーズ代表)、中村大(DNパートナーズ代表)、大村由紀子(三浦法律事務所弁護士)、青野雅朗(CrossOver法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ハルメク事業」および「ことせ事業」を展開しています。
■ハルメク事業
雑誌「ハルメク」の出版、カタログ通販、Webサイト「HALMEK up」、イベント・講座などのコミュニティ運営を行っています。シニア女性の悩みやニーズに応える情報、商品、体験を提供しています。
収益は、雑誌の定期購読料、通販商品の販売代金、イベント参加費、広告掲載料などから得ています。運営は主に株式会社ハルメク、株式会社ハルメク・エイジマーケティング等が行っています。
■ことせ事業
シニア女性(主に60代以上)をターゲットとしたカタログ通販事業です。新聞広告などで集客し、ファッションや生活雑貨などを低価格帯で提供しています。
収益は、通販商品の販売代金から得ています。運営は株式会社ハルメク・アルファ等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上収益は順調に拡大しており、成長傾向にあります。利益面でも、当期は前期比で増益となり、親会社所有者帰属持分当期利益率は改善しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 151億円 | 252億円 | 287億円 | 314億円 | 339億円 |
| 税引前利益 | 5億円 | 12億円 | 19億円 | 7億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 3.1% | 4.6% | 6.5% | 2.2% | 3.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 8億円 | 12億円 | 5億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益が増加し、売上総利益も増加しています。営業利益も増加しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 314億円 | 339億円 |
| 売上総利益 | 178億円 | 191億円 |
| 売上総利益率(%) | 56.5% | 56.3% |
| 営業利益 | 9億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 2.7% | 3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費及び販売促進費が54億円(構成比30%)、従業員給付が46億円(同26%)を占めています。売上原価では商品原価が大部分を占めています。
■(3) セグメント収益
ハルメク事業は雑誌読者数の維持や通販の伸長により増収増益となりました。一方、ことせ事業は新規顧客獲得が進んだものの、売り逃し等の影響で減収となり、セグメント損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| ハルメク事業 | 240億円 | 268億円 |
| ことせ事業 | 77億円 | 76億円 |
| 調整額 | -3億円 | -4億円 |
| 連結(合計) | 314億円 | 339億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスであり、本業で稼いだ資金で投資や借入返済を行う「健全型」に該当します。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2億円 | 24億円 |
| 投資CF | -4億円 | -3億円 |
| 財務CF | -38億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「50代からの女性がよりよく生きることを応援します」を経営理念とし、シニア女性が人生の後半を元気に前向きに楽しく暮らせるようお手伝いすることを使命としています。シニア女性が必要とするコンテンツや商品、サービスを厳選して提供し、安心・信頼できるコミュニティを作ることを目指しています。
■(2) 企業文化
「思い込みを捨てる」「わかった気にならない」というポリシーを重視しています。お客様の生の声を徹底的に収集・活用し、独りよがりな提案を排除することで、顧客エンゲージメントを高める姿勢が根付いています。また、「シニア世代の信頼を裏切らない」ことを信条としています。
■(3) 経営計画・目標
シニア女性向けビジネスNo.1企業を目指し、特に雑誌「ハルメク」の「読者数」と、グループサービスを利用した「顧客数」を重視する経営指標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「情報コンテンツ」「物販」「コミュニティ」の3事業の連動による相乗効果を強化します。具体的には、Webプラットフォーム「HALMEK up」の強化、オリジナル商品の開発、実店舗展開による新規顧客獲得、B2Bビジネスの拡大などを推進しています。
また、インナーなどの競争力がある商品の展開力強化や、カタログ配布効率の改善による収益性の向上にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
シニア女性の声を大切にするため、ハルトモ(モニター組織)との連携や、女性社員の活躍推進を重視しています。男女の区別なく能力に基づき評価し、柔軟な働き方ができる環境整備や研修の充実に努めています。優秀な人材の確保と育成を不可欠と考え、採用と教育・研修を積極的に行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.7歳 | 6.9年 | 8,273,000円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 47.4% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 44.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 81.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 29.9% |
※数値は連結子会社である株式会社ハルメクの実績です。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(69.6%)、男性育休取得率(33.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況・競合に関するリスク
シニア市場は拡大傾向にありますが、法規制の変化やIT技術の進化、強力な競合の参入などにより、同社グループの事業展開の有用性が低下した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) システムに関するリスク
サービス提供においてコンピュータシステムを多用しており、サイバー攻撃によるシステム障害や情報漏洩、システムのリプレイスコストの増加、大規模なシステム障害などが発生した場合、業務停止や損害賠償等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定人物への依存に関するリスク
同社グループの運営は、代表取締役社長である宮澤孝夫氏に大きく依存しており、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。経営組織の強化を図り、過度な依存の解消に努めています。



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