GSI 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

GSI 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

札幌証券取引所に上場するGSIは、システム開発事業を主力とし、就労支援事業も展開しています。2025年3月期の業績は、売上高が42.4億円と前期比で増収を達成しましたが、経常利益は4.2億円、当期純利益は2.5億円といずれも減益となりました。


※本記事は、株式会社GSI の有価証券報告書(第21期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. GSIってどんな会社?


システム開発事業を主力とし、札幌・東京など全国展開するほか、就労支援事業やフィリピン子会社を通じたオフショア開発も手掛けています。

(1) 会社概要


2004年に札幌市で有限会社GLUE SYSTEMSとして設立され、2006年に現社名であるGSIへ商号変更しました。2023年6月に札幌証券取引所へ上場を果たし、同年10月には就労支援を行うCareer Ways、およびフィリピンでの開発拠点となるBe UNIQUE Inc.を設立しました。2024年には就労支援事業と海外子会社の営業を開始し、事業領域を拡大しています。

連結従業員数は538名(単体513名)です。筆頭株主は創業者の工藤雅之氏が代表を務める資産管理会社のKam Internationalで、第2位は証券会社の松井証券、第3位は代表取締役社長の小沢隆徳氏となっています。

氏名 持株比率
Kam International 78.00%
松井証券 2.30%
小沢隆徳 2.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は小沢隆徳氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
工藤雅之 代表取締役会長 2004年に同社(旧GLUE SYSTEMS)を設立し社長に就任。Kam International代表取締役などを経て2022年より現職。
小沢隆徳 代表取締役社長 2007年に同社入社。取締役、副社長を経て2022年より現職。
佐藤公則 取締役副社長 2005年に同社入社。札幌本部本部長、上席執行役員、システム開発事業部長などを経て2025年6月よりITソリューション事業部長を兼務し現職。
原田裕 常務取締役 2005年に同社入社。管理部経理総務課長、取締役業務管理事業部長を経て2025年6月より現職。


社外取締役は、大西登代子(有限会社ボイスオブサッポロ代表取締役)、大西將博(株式会社ゼロエンターテインメント代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システム開発事業」および「就労支援事業」を展開しています。

システム開発事業

通信、金融、小売など幅広い業種の顧客に対し、システム・ソフトウェアの開発や運用保守、ITソリューションの提供を行っています。また、Google Workspace等のプロダクト販売・導入支援も手掛けています。

収益は、エンジニアの派遣契約、準委任契約、請負契約に基づく開発・保守費用のほか、プロダクトの販売代金から得ています。運営は主にGSIおよび海外子会社のBe UNIQUE Inc.が行っています。

就労支援事業

ITスキルに特化した就労継続支援B型事業所を運営し、一般就労が困難な方々に対して就労機会の提供や、ウェブデザイン・プログラミング等のスキル習得支援を行っています。

収益は、障害者総合支援法に基づく訓練等給付費や、利用者による生産活動から生じる収入により構成されています。運営は子会社のCareer Waysが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大し42億円規模に達しています。一方で、利益面では経常利益、当期純利益ともに減少しており、増収減益の傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 40.2億円 42.4億円
経常利益 4.4億円 4.2億円
利益率 10.9% 9.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.4億円 2.5億円

(2) 損益計算書


売上高は増加していますが、売上総利益率は若干低下しています。販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益および営業利益率は低下しており、コストコントロールが課題となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 40.2億円 42.4億円
売上総利益 9.5億円 10.4億円
売上総利益率(%) 23.7% 24.6%
営業利益 4.3億円 4.0億円
営業利益率(%) 10.6% 9.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.9億円(構成比31%)、役員報酬が0.7億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のシステム開発事業は増収を維持しており、全社売上の大半を占めています。新規事業である就労支援事業も売上高を大きく伸ばしており、事業の立ち上げが進んでいることがうかがえます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
システム開発事業 40.2億円 41.9億円
就労支援事業 0.0億円 0.5億円
連結(合計) 40.2億円 42.4億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、運転資金の調達をフリー・キャッシュ・フローと金融機関からの借入れに依存し、財務健全性の維持を図っています。

営業活動では、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費、法人税等の支払いにより資金を得ています。投資活動では、投資有価証券や有形固定資産の取得により資金を使用しました。財務活動では、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な資金の使用要因となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 2.7億円 2.4億円
投資CF -0.7億円 -6.6億円
財務CF 3.7億円 -2.8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「ユニークであれ。革新的であれ。」をスローガンに掲げています。顧客企業への継続的で価値あるサービスの提供を使命とし、IT技術を通じてより快適な社会や幸せな暮らしの実現に貢献することを目指しています。また、ITスキルに特化した就労支援事業を通じて、障がいのある方々の社会活躍も支援しています。

(2) 企業文化


コンプライアンスを最重要課題とし、経営理念・行動規範に基づいたリスク管理を重視する文化があります。また、地域社会と共に発展できる「地域の中核企業」を目指しており、多様な働き方への対応や、社員の教育・研修にも力を入れています。顧客企業との信頼関係構築やパートナーシップ強化を重視する姿勢も特徴です。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画(2024年度~2026年度)を推進しており、システム開発事業における以下の指標を重要視して経営を行っています。

* 常駐・開発に従事する人員数
* 稼働率
* 1人当たり平均契約単価

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、大手SIerからの受注実績を活かし、要件定義・設計といった高付加価値な上流工程へのシフトを強化する方針です。また、海外子会社Be UNIQUE Inc.を活用したオフショア開発体制の拡充により、コスト競争力の確保とIT人材不足の解消を図ります。就労支援事業では、広告活用による認知度向上と利用促進を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


IT人材不足に対応するため、新卒・中途・リファラル採用に加え、全国拠点での地域採用やフィリピン子会社でのグローバル採用を推進しています。採用後は定期面談による適性把握や、階層別研修、資格取得支援制度の充実により、質の高いエンジニアの育成と定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 31.9歳 4.1年 4,347,233円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 89.7%
男女賃金差異(正規雇用) 90.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 32.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材(ITエンジニア)の確保・育成

システム開発等の技術サービスを提供する上で、優秀な人材の確保は事業継続の必須条件です。採用競争の激化や人材流出により十分な人員を確保できない場合、顧客ニーズに対応できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定人物・大株主への依存

創業者の工藤雅之会長は事業推進において重要な役割を担っており、同氏への過度な依存リスクがあります。また、同氏の資産管理会社が議決権の約78%を保有しており、同社の株式売却等があった場合、市場価値や経営に影響を与える可能性があります。

(3) プロジェクト管理と契約不適合責任

受託開発において、納期遅延や品質問題が発生した場合、契約不適合責任を問われる可能性があります。また、労働者派遣法や下請法などの法的規制への抵触や、情報漏洩等のセキュリティ事故が発生した場合も、信用低下や損害賠償により業績に影響する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。