※本記事は、コンヴァノの有価証券報告書(第13期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. コンヴァノってどんな会社?
ネイルサロンのチェーン運営を基盤に、コンサルティングや投資事業など多角化を進める企業です。
■(1) 会社概要
同社は2007年に設立され、同年ネイルサロンの1号店を出店しました。2013年に現在の法人が設立され旧法人を吸収合併し、2018年に株式上場を果たしました。近年は事業の多角化を進めており、2024年にコンサルティングやヘルスケア、投資を担う子会社を複数設立し、事業領域を大幅に拡大しています。
同社グループの従業員数は連結で541名、単体で479名です。筆頭株主は事業会社のNTで、第2位はディメンショナル、第3位はディメンショルの代表取締役である川口佑氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| NT | 61.55% |
| ディメンショナル | 7.33% |
| 川口佑 | 4.41% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は上四元絢氏が務めています。社外取締役の比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 上四元 絢 | 代表取締役社長 | 2010年に旧コンヴァノに入社。営業部での店長やグループリーダーを経て、執行役員として営業部及び人材教育部を管掌し、2023年より現職。 |
| 舟越 勇介 | 取締役副社長 | 2011年より複数の病院にて脳神経外科等で勤務。2023年に医療法人社団メディカルフロンティアに入社し、2026年より現職。 |
| 横山 周平 | 取締役 | アトリエはるかを経て2007年に旧コンヴァノに入社。執行役員営業部部長や最高執行責任者などを歴任し、2026年より現職。 |
| 位髙 力 | 取締役 | 2004年においしい厨房を個人創業し代表取締役に就任。複数の企業で代表取締役を務めた後、2024年に同社取締役に就任し、2026年より現職。 |
社外取締役は、白井真(元財務省証券検査官・弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ネイル事業」「コンサルティング事業」「ヘルスケア事業」「インベストメント&アドバイザリー事業」の4つの報告セグメントを展開しています。
■ネイル事業
同事業では、ジェルネイル専門サロン「ファストネイル」などのチェーン展開を中心にサービスを提供しています。パソコンやスマートフォンを使用したセルフオーダーシステムにより、低価格でスピーディーなサービスを実現しています。
主な収益源は、一般の顧客から受け取るネイルの施術料金や、店頭およびECサイトでのネイルケア商品の販売代金です。同事業の運営は、主にコンヴァノが担っています。
■コンサルティング事業
同事業では、経営戦略の策定から実行支援、バックオフィス機能の最適化、AIを活用したマーケティング支援など、総合的および専門的なコンサルティングサービスを提供しています。
主な収益源は、医療法人などの顧客から受け取るコンサルティング報酬やアウトソーシング受託による業務委託料です。同事業の運営は、Convano consultingやDataStrategyが行っています。
■ヘルスケア事業
同事業では、医療機関向けの診療材料や医療資材の卸売販売に加え、システム運用支援や業務改善提案などのデジタルトランスフォーメーション推進支援を提供しています。
主な収益源は、医療法人などの顧客から受け取る医療資材の販売代金や輸入代行手数料、業務支援サービスに対する対価です。同事業の運営は、シンクスヘルスケアが行っています。
■インベストメント&アドバイザリー事業
同事業では、事業承継や事業再生を目的とした中小企業向けのM&A支援および投資業務を行うほか、戦略的投資や資金運用機能として暗号資産の保有や運用を行っています。
主な収益源は、投資先企業の株式譲渡などに伴う投資回収益や、M&A支援を通じたアドバイザリー報酬です。同事業の運営は、虎ノ門キャピタルや日本美容・ヘルスケア成長投資1号組合などが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上収益は安定した成長を継続しており、直近の事業年度ではコンサルティング事業などの多角化により大幅な増収を達成しています。利益面については、人材投資などに伴い一時的に税引前利益が赤字となる期間もありましたが、直近では本業の収益性が向上し大幅に改善しました。一方で、暗号資産の評価損計上などにより最終利益が赤字となる年度も発生しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 21億円 | 23億円 | 26億円 | 32億円 | 155億円 |
| 税引前利益 | 0.8億円 | -0.4億円 | -0.7億円 | 1億円 | 14億円 |
| 利益率(%) | 3.8% | -1.8% | -2.7% | 3.9% | 9.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.5億円 | -0.3億円 | -2億円 | 0.8億円 | -11億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益は直近の期間で飛躍的に成長していますが、売上総利益の増加ペースは緩やかであり、売上総利益率は低下しています。一方で、コンサルティング事業などの利益率が高いビジネスの拡大により、営業利益および営業利益率は大きく改善する結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 32億円 | 155億円 |
| 売上総利益 | 11億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.4% | 8.0% |
| 営業利益 | 1億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 4.2% | 10.3% |
■(3) セグメント収益
ネイル事業は安定した推移を見せ、増収ならびに黒字転換を果たしました。コンサルティング事業およびヘルスケア事業は新規参入や体制強化により大きく成長し、全体の増収増益を強力に牽引しています。一方、インベストメント&アドバイザリー事業は増収となったものの、暗号資産評価損の影響などにより赤字となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ネイル事業 | 31億円 | 32億円 | -1.4億円 | 3億円 | 8.0% |
| コンサルティング事業 | 3億円 | 84億円 | 1.4億円 | 29億円 | 34.0% |
| ヘルスケア事業 | 1億円 | 23億円 | 0.8億円 | 16億円 | 66.5% |
| インベストメント&アドバイザリー事業 | 0.6億円 | 16億円 | 0.5億円 | -29億円 | -176.5% |
| 調整額 | -3億円 | -2億円 | -0億円 | -2億円 | - |
| 連結(合計) | 32億円 | 155億円 | 1億円 | 16億円 | 10.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業活動で利益を出し、資金調達によって積極的な投資を行う「積極型」の状況にあります。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-16.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.0%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2億円 | 39億円 |
| 投資CF | -0.1億円 | -115億円 |
| 財務CF | -3億円 | 110億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「新しい価値の創造と機会の拡大」を企業理念として掲げており、社名の「Convano」もこの頭文字に由来しています。従来の常識や既成概念にとらわれず、本質を見極めて実行するという姿勢を貫き、各事業領域における社会的課題に対してスピード感をもって解決策を提供し、持続的な企業成長と社会的価値創出の両立を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループ全体に共通する価値観として、「従来の常識や既成概念にとらわれず、本質を見極めて実行する」という経営姿勢が根付いています。ネイル事業における低価格・高品質モデルの構築をはじめ、すべての事業において課題に果敢に挑戦し続ける文化を重視しています。また、性別や価値観を問わない「人材の多様性」を大切にし、女性の視点を活かした事業運営を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、グループ全体としての企業価値の最大化を図るため、売上収益、営業利益、営業利益率、EBITDAおよびそれらの成長率を基本指標としています。また、財務的健全性と収益性のバランス確保を重視し、事業ごとに細かなKPIを設定しています。中期経営計画に基づく翌期の業績目標として、以下の数値を掲げています。
* 売上収益:268億円
* 営業利益:90億円
* 営業利益率:33.5%
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、コンサルティング事業を成長の中核としつつ、各事業の相互補完による持続的成長を目指しています。ネイル事業ではブランド価値の再定義や既存店舗の活性化を進め、ヘルスケア事業では商材の拡充と薬事承認を前提としたパイプライン構築を図ります。インベストメント&アドバイザリー事業においては、M&A支援体制の強化による投資先企業の成長促進を進めます。
* 中期的にはネイル事業で100店舗体制を構築し国内シェアNo.1を目指す
* コンサルティング事業のトータル支援体制の高度化
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、美容・医療・ヘルスケア領域における事業展開を推進するため、各事業を担う専門人材の確保・育成・定着を重要な経営基盤と位置づけています。具体的には、専門性を有する人材の採用強化や、OJT・研修を通じた継続的なスキルアップ支援に注力しています。また、多様な人材が活躍できるよう、柔軟な働き方の導入や報酬制度の見直しを図り、長く働きやすい職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 27.4歳 | 2.8年 | 3,352,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 88.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 61.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 168.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 医療・ヘルスケア事業の法規制対応リスク
同社は医療法人向けの業務支援や医療資材の販売を行っています。これらの事業は、薬機法等の法規制や医療政策の変更による影響を強く受けます。外部監査等により法規制への抵触が判明した場合には、契約の見直しや継続困難な事態が生じ、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) M&A・投資事業の環境変動リスク
同社は中小企業向けのM&A支援および投資事業を展開していますが、市場環境の悪化や投資先企業の業績低迷などにより、経済的な損失を被るリスクがあります。また、ファイナンスの契約内容によっては同社の財務状況に影響を与える可能性があるため、投資審査体制の強化などで対応しています。
■(3) 暗号資産の保有と価格変動リスク
同社は事業戦略の一環として暗号資産を保有していますが、市場価格のボラティリティにより短期間で評価額が大きく変動するリスクがあります。市場価格が取得原価を下回った場合には多額の評価損を計上する可能性があり、法規制や税制の変更による追加コストの発生もリスクとして認識されています。
■(4) サービスの低単価化と競争激化
ネイル事業において効率性を重視した結果、高品質・高単価な提案機能が低下し、市場競争の激化により顧客単価が低迷するリスクがあります。また、新規顧客の獲得が外部広告媒体に依存しているため、広告費の変動や集客力の低下が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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