コンヴァノ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コンヴァノ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場しており、ジェルネイル専門サロン「ファストネイル」のチェーン運営を主力としています。直近の決算では、ネイル事業の好調に加え、新たに開始したヘルスケア事業や投資関連事業の寄与もあり、売上収益は大幅な増収となり、営業損益も前期の赤字から黒字へ転換し増益を達成しました。


※本記事は、株式会社コンヴァノ の有価証券報告書(第12期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. コンヴァノってどんな会社?


ジェルネイル専門サロン「ファストネイル」のチェーン展開を中核に、ヘルスケア、投資事業も展開する企業です。

(1) 会社概要


2013年7月に株式会社CVNとして設立され、同年10月に旧コンヴァノを吸収合併して現在の商号となりました。2015年に独自WEB予約システム「FASTNAIL TOWN」を導入し、2018年4月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場しました。2024年には子会社および孫会社を設立し、ヘルスケア事業や投資・M&A事業へ参入するなど多角化を進めています。

同社の連結従業員数は436名、単体では392名です。筆頭株主は株式会社NTで、これは元筆頭株主であった青木剛志氏の資産管理会社です。第2位、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
NT 72.22%
山下奈津紀 4.63%
川口佑 4.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は上四元絢氏です。社外取締役比率は12.5%です。

氏名 役職 主な経歴
上四元 絢 代表取締役社長 2010年入社。店舗店長、トレーニング部や経営企画室のグループリーダーを経て、2023年6月より現職。
横山 周平 取締役副社長 アトリエはるかを経て2007年入社。事業開発室長、COOなどを歴任し、2022年6月より現職。Convano consulting代表取締役社長を兼任。
位髙 力 取締役 おいしい厨房(現・おいしい厨房)代表取締役。シンクスヘルスケア取締役等を兼任し、2024年3月より現職。
東 大陽 取締役 NSD、コスパクリエーション等を経て2024年3月に同社執行役員。2025年6月より現職。


社外取締役は、白井真(光和総合法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ネイル事業」「ヘルスケア事業」「インベストメント&アドバイザリー事業」を展開しています。

(1) ネイル事業


「ファストネイル」ブランドでジェルネイル専門サロンをチェーン展開しています。独自開発のオペレーションやセルフオーダーシステムにより、低価格かつスピーディーなサービスを提供し、関東エリアを中心に店舗を展開しています。また、ネイルケア商品の販売も行っています。

顧客から受け取る施術料や指名料、商品販売代金が主な収益源です。事業運営はコンヴァノが行い、子会社のConvano consultingが事務サービスの代行を担っています。

(2) ヘルスケア事業


医療法人向けに診療材料や医療資材の卸売販売を行うほか、医療機関のオペレーション効率化を図るシステム運用支援など、医療DXの推進支援を行っています。専任オペレーターによる現場支援などを通じ、業務改善に寄与しています。

医療機関への商材販売代金や業務支援サービスの対価を収益源としています。運営は主に子会社のシンクスヘルスケアが行っています。

(3) インベストメント&アドバイザリー事業


中小企業向けの事業承継や事業再生を目的としたM&A支援および投資業務を行っています。ハンズオン型の支援体制により、投資先企業の財務面や業務オペレーションの改善を図り、企業価値向上を支援します。

顧客からのアドバイザリー手数料や、投資先企業の価値向上によるキャピタルゲインなどを収益源としています。運営は子会社の虎ノ門キャピタルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は直近数年で増加傾向にあり、特に当期は大幅な増収となりました。利益面では過去に赤字を計上した期もありましたが、当期は営業黒字に転換し、親会社所有者帰属当期利益もしっかりと確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 16.2億円 21.4億円 23.3億円 25.9億円 32.4億円
税引前利益 -3.2億円 0.8億円 -0.4億円 -0.7億円 1.3億円
利益率(%) -19.7% 3.8% -1.8% -2.7% 3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.2億円 0.5億円 -0.3億円 -2.0億円 0.8億円

(2) 損益計算書


売上収益の増加に伴い売上総利益が拡大し、販売費及び一般管理費の増加を上回ったことで、営業損益が黒字化しました。利益率も改善傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 25.9億円 32.4億円
売上総利益 9.8億円 10.8億円
売上総利益率(%) 37.7% 33.4%
営業利益 -0.6億円 1.3億円
営業利益率(%) -2.3% 4.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.3億円(構成比29.2%)、支払報酬料が2.7億円(同23.8%)を占めています。売上原価においては、従業員給付費用が12.4億円(構成比63.8%)と高い割合を占めています。

(3) セグメント収益


主力のネイル事業が増収増益となり全社の業績を牽引しました。また、当期より新たに加わったヘルスケア事業とインベストメント&アドバイザリー事業もそれぞれ利益を計上しており、収益源の多角化が進んでいます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ネイル事業 25.9億円 30.9億円 -0.6億円 0.1億円 0.3%
ヘルスケア事業 - 1.0億円 - 0.8億円 77.4%
インベストメント&アドバイザリー事業 - 0.6億円 - 0.5億円 88.6%
連結(合計) 25.9億円 32.4億円 -0.6億円 1.3億円 4.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

コンヴァノのキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが、主に営業債権及びその他の債権の増減により、前連結会計年度に比べて支出が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出があったものの、前連結会計年度に比べて使用した資金は減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出があったものの、前連結会計年度に比べて収入が増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 3.4億円 1.7億円
投資CF -0.8億円 -0.1億円
財務CF 2.7億円 -2.7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「新しい価値の創造と機会の拡大」を企業理念として掲げています。社名の「Convano」もこの理念の英語表記の頭文字に由来しています。従来の常識や既成概念にとらわれず課題に挑戦し続け、各事業領域においてこの理念を体現することで、社会への貢献と持続的な成長を目指しています。

(2) 企業文化


「従来の常識や既成概念にとらわれず、本質を見極めて実行する」という経営姿勢を重視しています。ネイル事業における業界唯一のモデル構築や、コンサルティング、医療支援、投資の各領域における実行支援型のビジネスモデルを通じて、社会的課題に対してスピード感を持って解決策を提供することを目指しています。

(3) 経営計画・目標


グループ全体の企業価値最大化を図るため、売上収益、営業利益、EBITDA、およびそれらの成長率を重視しています。各事業においては、ネイル事業のオペレーション効率指標や、ヘルスケア事業の契約件数・取扱高、インベストメント事業のファンド運用残高などを管理指標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


ネイル事業では既存店舗の収益性向上と関東エリアを中心とした出店を進めるとともに、ブランド価値の再定義やオペレーションの再設計を行います。ヘルスケア事業では契約院数の増加や独占販売品目の拡充、投資事業ではシナジーが見込める案件への投資やM&A支援体制の強化を図ります。また、ITインフラ刷新やマーケティング強化も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ネイリストの定着率向上を重要課題とし、柔軟な働き方や報酬制度の見直し、生産性連動のインセンティブ制度設計を進めます。また、教育カリキュラムの再構築と研修施設の拡充により、採用から育成、配属まで一貫した人材活躍体制を整備し、専門人材の確保や育成にも注力する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 27.6歳 3.4年 3,092,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 73.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 24.5%
男女賃金差異(正規雇用) 26.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 113.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(73%)、役員に占める女性労働者の割合(12.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場動向と競合他社について


ネイル産業の成長鈍化や関東地区での競争激化により、既存店舗の売上が減少する可能性があります。また、低価格帯サロンの増加や顧客単価の低迷、新規顧客獲得における他社媒体への依存といった課題があり、自社集客力の強化や高単価サービスの提案が求められています。

(2) 人材の確保や人件費の高騰について


ネイル業界特有の離職率の高さや採用環境の悪化により、必要な人材を確保できなくなるリスクがあります。ネイリスト不足は店舗の稼働率低下や機会損失、顧客満足度の低下に直結するため、採用・教育の強化や職場環境の改善が重要な課題となっています。

(3) 新規出店計画について


主要駅を基軸とした出店戦略において、希望する条件の物件が確保できない場合や、賃料高騰により採算性が悪化する可能性があります。これにより新規出店が計画通り進まない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) システム障害について


オーダーシステムや予約システム、社内管理システムなどが、災害や機器の故障、通信回線の不具合等により停止した場合、店舗運営に支障をきたすリスクがあります。また、既存システムの老朽化による非効率やデータ活用の遅れも課題として認識されています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。