アライドアーキテクツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アライドアーキテクツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アライドアーキテクツは東京証券取引所グロース市場に上場し、生活者の声とAI技術を組み合わせたマーケティングAX支援事業を展開しています。2025年12月期は事業構造転換を推進し、売上高は30億円で減収となりました。また、特別調査費用などの一過性費用を計上したため、最終利益は7億円の赤字となっています。


※本記事は、アライドアーキテクツ株式会社の有価証券報告書(第21期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アライドアーキテクツってどんな会社?


生活者の声とAIを掛け合わせたマーケティングAX支援事業を中心に展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は2005年に設立され、2008年に企業ファンサイトモール「モニタープラザ(現・モニプラ ファンブログ)」のサービスを開始しました。2013年には東京証券取引所マザーズに上場を果たしています。その後、SNS広告運用支援「Letro」などの提供を開始し、直近では子会社の再編を行うなど、マーケティング支援領域での事業基盤強化を進めています。

現在の従業員数は連結で159名、単体で136名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業者のうちの一人である中村壮秀氏で、第2位は個人投資家の木下政弘氏、第3位は海外の金融機関であるINTERACTIVE BROKERS LLCとなっています。

氏名 持株比率
中村壮秀 30.32%
木下政弘 3.97%
INTERACTIVE BROKERS LLC 3.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は田中裕志氏が務めており、社外取締役の比率は50.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
田中裕志 代表取締役会長 リクルート、メルカリ等を経て2023年入社。管理部長等を経て、2025年3月より現職。
村岡弥真人 取締役社長 旭硝子を経て2012年入社。CPO等を歴任し、2024年取締役兼国内事業責任者を経て、2025年3月より現職。
中村壮秀 取締役ファウンダー 住友商事等を経て2005年同社設立、代表取締役社長に就任。代表取締役CEO等を経て、2025年3月より現職。


社外取締役は、小副川俊朗(元セイトー代表取締役社長)、神宮明彦(神宮前あおば税理士法人代表社員)、北島正一(みかさ総研代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティングAX支援事業」および「その他」事業を展開しています。

マーケティングAX事業


生活者の声(VOC)のデータとAI技術、クリエイティブを組み合わせた「三層支援モデル」により、顧客企業のマーケティング変革を一貫して支援しています。デジタル広告運用からSNS活用、VOCデータを収集・分析するプラットフォーム「Kaname.ax」などを提供しています。

顧客企業からサービスの利用料やソリューションの支援費用として収益を得るモデルです。事業の運営は主に同社およびデジタルチェンジなどのグループ会社が行っています。

海外事業その他


シンガポールなどの海外拠点を中心に展開していた海外SaaS事業や、顧客向けに広告クリエイティブの制作・提供などを行う事業です。当期において、海外SaaS事業からは撤退しています。

サービスの提供や制作の対価として顧客から収益を受け取るモデルです。本事業は主に同社および海外子会社等が行っていましたが、一部子会社の清算手続きを開始し、事業の整理を進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、事業構造の転換や海外事業の見直しを進めた影響により、売上高は減少傾向で推移しています。利益面においては、構造改革に伴う先行投資や特別調査費用などの一過性費用が発生したため、近年は経常損失および当期純損失を計上する厳しい状況が続いています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 62億円 45億円 41億円 35億円 30億円
経常利益 9億円 10億円 2億円 -4億円 -2億円
利益率(%) 14.0% 21.6% 5.1% -11.2% -5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 4億円 -6億円 -4億円 -7億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い売上総利益も減少しましたが、販売費及び一般管理費などのコストコントロールを徹底したことにより、営業損失は前期と比較して縮小傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 35億円 30億円
売上総利益 24億円 20億円
売上総利益率(%) 68.9% 67.7%
営業利益 -5億円 -2億円
営業利益率(%) -13.3% -6.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.8億円(構成比35%)、業務委託費が3.6億円(同16%)を占めています。売上原価については経費が6.5億円(構成比70%)、労務費が1.9億円(同21%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業赤字を資産売却や借入で補填する救済型の状態となっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -1.1億円 -8.6億円
投資CF -1.4億円 3.2億円
財務CF 3.1億円 1.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のためデータがありませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.9%であり、市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「世界中の人と企業の創造がめぐる社会へ」というミッションのもと、生活者の声(VOC)のデータとAI技術、クリエイティブを組み合わせ、顧客企業のマーケティングAX(AI Transformation)を支援する事業を展開し、企業価値および株主価値の向上を目指しています。人間の創造性こそが企業の最大の競争優位性であると位置づけています。

(2) 企業文化


従業員の多様性と包摂性に加え、継続的な成長を支援する学習環境の整備を進めています。AI活用によるマーケティング工程の効率化を全社的に展開する中で、従業員自身がAIツールを活用して業務の生産性を高め、失敗を恐れず挑戦を奨励する企業文化のもと、専門性を高め、相互に学び合う組織の実現を目指しています。

(3) 経営計画・目標


2026年12月期の業績予想として、売上高30億円、営業利益0.5億円などの達成を目標としています。さらに中期目標として2027年12月期に売上高50億円、営業利益率10%を目指しています。

* 2026年12月期目標:売上高30億円、営業利益0.5億円
* 2027年12月期目標:売上高50億円、営業利益5億円

(4) 成長戦略と重点施策


マーケティングAX支援事業のオーガニック成長を基軸としつつ、新領域の開拓による業容拡大を図ります。三層支援モデルの定着やデータプラットフォーム「Kaname.ax」の本格展開による顧客単価の向上を進め、上流ソリューションの案件比率を高めることで営業黒字化の実現を最優先課題としています。また、クリプト領域の事業開発を中長期的な成長軸として位置づけています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


AI・デジタル技術の急速な進展に対応するため、データサイエンスとクリエイティブ領域を融合した専門人材の計画的な増員と既存従業員のスキル向上を実施しています。単なる人員増加ではなく、一人当たりの付加価値向上を重視し、従業員一人ひとりが持つ創造性と専門性を最大限に発揮できる環境の構築を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 36.7歳 5.3年 6,430,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.0%
男性育児休業取得率 25.0%
男女の賃金差異(全労働者) 77.2%
男女の賃金差異(正規雇用労働者) 82.5%
男女の賃金差異(パート・有期労働者) 170.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) SNSプラットフォームへの依存と環境変化


同社のマーケティング支援事業は、Instagram、X(旧Twitter)、LINE、TikTok等のSNSプラットフォームを活用しています。そのため、新たなSNSの台頭による既存SNSの影響力低下や、SNS運営事業者の規約変更による広告規制、システム連携の不具合などが発生した場合、同社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) AI技術の進化と競争激化


自社開発のVOCデータ分析ソリューション「Kaname.ax」など、AI技術は同社グループの競争力の源泉です。しかし、生成AI技術の急速な進化により、競合他社がより高度なサービスを低コストで提供するリスクや、利用する外部AIサービスの仕様変更・料金改定、各国のAI規制強化などが生じた場合、事業展開に制約が生じる可能性があります。

(3) クリプト領域への参入に伴うリスク


新たに参入した暗号資産関連事業においては、各国の法規制の変更や、暗号資産の価格変動リスク、ハッキング・プログラムの脆弱性といった技術的リスクが存在します。暗号資産の市場価格が大幅に下落した場合や運用資産の毀損が生じた場合には、同社グループの業績や財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。