アライドアーキテクツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アライドアーキテクツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アライドアーキテクツは東京証券取引所グロース市場に上場し、生活者の声とAI技術、クリエイティブを組み合わせたマーケティングAX支援事業を展開しています。直近の業績は、事業構造転換等の影響により前年比で減収となったものの、コスト削減効果や不採算事業からの撤退により営業赤字は縮小傾向にあります。


※本記事は、アライドアーキテクツの有価証券報告書(第21期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アライドアーキテクツってどんな会社?


企業のマーケティング変革をデータとAI技術で一貫して支援する企業です。

(1) 会社概要


2005年8月にインターネットを利用したマーケティングを目的として設立されました。その後、企業ファンサイトモール等のサービスを開始し、2013年11月に東証マザーズに上場しました。2020年に動画制作支援サービスを開始するなど事業を拡大し、現在はマーケティングAX支援事業に経営資源を集中させています。

同社の従業員数は連結で159名、単体で136名です。筆頭株主は創業者の主要役員である中村壮秀氏で、第2位は個人株主、第3位は海外の証券会社となっています。

氏名 持株比率
中村壮秀 30.32%
木下政弘 3.97%
INTERACTIVE BROKERS LLC 3.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は田中裕志氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田中裕志 代表取締役会長 リクルートやメルカリ等を経て2023年に同社へ入社。管理部長や経営企画部長等を歴任し、2025年3月より現職。
村岡弥真人 取締役社長 旭硝子を経て2012年に同社入社。執行役員、CPO、プロダクトカンパニー長、国内事業責任者などの要職を歴任し、2025年3月より現職。
中村壮秀 取締役ファウンダー 住友商事等を経て2005年に同社を設立し代表取締役社長に就任。代表取締役会長やCEOを務めた後、2025年3月より現職。


社外取締役は、小副川俊朗(元セイトー代表取締役社長)、神宮明彦(神宮前あおば税理士法人代表社員)、北島正一(みかさ総研代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティングAX支援事業」を展開しています。

マーケティングAX支援事業


同事業では、生活者の声(VOC)のデータとAI技術、クリエイティブを組み合わせた「三層支援モデル」により、顧客企業のマーケティング変革を一貫して支援しています。デジタル広告の運用代行から、データ分析に基づくマーケティング戦略の立案、経営課題の解決を起点とした事業戦略の立案まで包括的なソリューションを提供します。

収益源は、自社開発のSNS活用支援プロダクト「Letro」や「echoes」、データプラットフォーム「Kaname.ax」等の利用料や、ソリューション提供に対する役務対価です。運営は同社および、デジタルチェンジやオセロ等の連携する子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は事業構造の転換や海外事業の見直しにより減少傾向が続いています。利益面についても、先行投資や一過性費用の計上により近年は厳しい状況が続いていますが、直近ではコストコントロールの徹底により経常赤字幅の縮小が見られます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 62.2億円 44.7億円 40.6億円 34.6億円 29.9億円
経常利益 8.7億円 9.6億円 2.1億円 -3.9億円 -1.6億円
利益率(%) 14.0% 21.6% 5.1% -11.2% -5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.9億円 3.9億円 -6.3億円 -4.4億円 -5.8億円

(2) 損益計算書


売上高が減少したものの、売上総利益率の改善や販売費及び一般管理費の削減効果により、営業赤字は縮小しています。構造改革による高付加価値ソリューションへの移行が進展し、収益体質の改善が図られています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 34.6億円 29.9億円
売上総利益 23.9億円 20.3億円
売上総利益率(%) 68.9% 67.7%
営業利益 -4.6億円 -1.9億円
営業利益率(%) -13.3% -6.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.8億円(構成比35%)、業務委託費が3.6億円(同16%)を占めています。また、売上原価のうち、経費が6.5億円(構成比72%)、労務費が1.9億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はマーケティングAX支援事業の単一セグメントですが、サービス別では主力のマーケティングサービスが堅調に推移しています。一方、CREADITSサービスは海外子会社の清算により売上が大幅に減少しました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
マーケティングサービス 30.4億円 29.9億円
CREADITSサービス 4.3億円 -
連結(合計) 34.6億円 29.9億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業活動における運転資金等の確保のため、主に内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っています。

営業活動では、売上債権の減少があったものの、当期純損失の計上や投資有価証券売却益の計上等により、資金が減少しました。投資活動では、無形固定資産の取得による支出があったものの、投資有価証券の売却による収入がそれを上回り、資金が増加しました。財務活動では、長期借入金の返済による支出があったものの、株式の発行による収入がそれを上回り、資金が増加しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -1.1億円 -8.6億円
投資CF -1.4億円 3.2億円
財務CF 3.1億円 1.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「世界中の人と企業の創造がめぐる社会へ」というミッションを掲げています。生活者の声(VOC)のデータとAI技術、クリエイティブを組み合わせ、顧客企業のマーケティングAX(AI Transformation)を支援する事業を展開し、企業価値および株主価値の持続的な向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、人間の創造性こそが変化の激しい現代社会における企業の最大の競争優位性であると考え、人的資本経営とサステナビリティの統合的アプローチに挑戦しています。失敗を恐れず挑戦を奨励する企業文化のもと、従業員自身がAIツールを活用して業務の生産性を高め、自律的に専門性を磨き相互に学び合う組織の実現を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は継続的な事業の発展と企業価値向上のため、売上高および営業利益とその成長率を重要な指標として位置づけています。2026年12月期の目標として以下を掲げています。

* 売上高:30.0億円
* 営業利益:0.5億円
* 経常利益:0.5億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:0.2億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社はマーケティングAX支援事業のオーガニック成長を基軸としつつ、新領域の開拓による業容拡大を図っています。国内事業へ経営資源を集中させ、三層支援モデルの本格的な定着と深化を通じて営業黒字化の実現を最優先課題としています。また、中長期的な成長軸としてクリプト・Web3領域における事業開発も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社はAIやデジタル技術の急速な進展に対応するため、データサイエンスとクリエイティブ領域を融合した専門人材の戦略的な強化を図っています。計画的な増員と既存従業員のスキル向上を並行して進め、従業員一人ひとりが持つ創造性と専門性を最大限に発揮できる学習環境の整備や、多様性と包摂性を重視した人事施策を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 36.7歳 5.3年 6,430,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.0%
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.2%
男女賃金差異(正規雇用) 82.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 170.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) SNSプラットフォームへの依存リスク

同社はInstagramやX、TikTok等のSNSを活用したマーケティング支援を行っています。SNS運営事業者の仕様変更や広告規制の方針変更、連携機能の不具合等が発生した場合、サービスの提供に支障が生じ、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) AI技術の進化に伴う競争激化リスク

同社はAIを活用したマーケティング支援を強みとしていますが、生成AI技術の急速な進化により、競合他社がより高度なサービスを低コストで提供する可能性があります。また、AI利用に関する法規制の強化や外部AIサービスの仕様変更等が事業展開の制約となるリスクがあります。

(3) 暗号資産関連事業に係る事業・財務リスク

同社は新たにクリプト・Web3領域へ参入しましたが、各国の法規制の整備状況や規制強化により事業拡大が制限される可能性があります。また、保有・運用する暗号資産の急激な価格変動や、DeFiプロトコル等におけるハッキングリスクが顕在化した場合、財政状態に重大な影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。